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帝国の曙  作者: Admiral-56
13/21

第一二話 米太平洋艦隊撃滅作戦 伍

できれば定期投稿しようとかいう考えは何処へやら…


ちょっと、別のハワイ作戦で忙しくてですね(つまり某ゲーム)




「司令、第一艦隊より入電!敵水上打撃部隊の無力化に成功したとのことです!」


「そうか!」


先刻米空母艦載機隊を撃滅した第三航空機動艦隊は、帰還した戦闘機隊の燃料補給と整備を急ピッチで進めていた。


戦闘機隊の帰還によってスコット艦隊とハルゼー艦隊に位置が知られた可能性を考えていたからである。


「出来るだけ早く戦闘機隊を上げてくれ。直掩機が上空を警戒してくれてはいるが、もし100機を越える大編隊が来れば防ぎきれんだろう」


小沢司令は焦る気持ちを抑えながら腕時計を確認した。


「…我々の攻撃隊も、まもなく敵艦隊を捉えるはず。とにかくあらゆる状況に備えておけ」


「はっ!!」








その頃スコット艦隊とハルゼー艦隊は、大急ぎで攻撃隊の発艦作業を進めていた。


日本の戦闘機隊が帰還したルートから、第三航空機動艦隊の位置を特定できたのである。


「何…!?キンメル艦隊が、敗北した…!?」


ハルゼーはあまりの衝撃に、咥えていたパイプを取り落としてしまった。


「はい…突然敵大艦隊に包囲され、更に戦艦同士の対決で成す術なく一方的に敗北したようです」


「……っ」


まるで、悪い夢を見ているかのような感覚だった。


「クソっ、だからあんなノロマを連れ出すのは止すべきだったんだ」


「ノロマ…ですか?」


「分からんか!?あの戦艦どもだ!!」


本来であればキンメルはハルゼー艦隊にも戦艦を2隻つけるつもりだったのだが、ハルゼーはこれを拒否していた。


空母機動部隊に重要なのは機動性。つまりは速さ。


25ノットも出せない低速の戦艦は到底着いて行けない。


これからの主力は航空戦力だと考えていたハルゼーには、真珠湾に配備された戦艦8隻はただのお荷物であった。


「…しかし、まさか戦艦同士の対決でも一方的な敗北とは…一体何が起きた?」


しかしハルゼーも、いくら低速でも戦艦同士の砲撃戦であれば負けることは無いだろうと考えていた。


それ故に、この結果は到底信じられなかった。





「…やはり、近くに本隊が潜んでいたか」


スコットは部下からの報告を聞き、項垂れていた。


「あの8隻は囮だった。しかし、まさかたった2隻の戦艦に我々の戦艦5隻を潰されるとは…」


果たしてその差は、なんだったのか?


練度か?それとも兵装か?


どちらにしても、太平洋艦隊の主力であった戦艦部隊が大した戦果も残せぬまま敗北してしまったのはかなりの痛手だ。


そして、経験も豊富なはずのキンメルが負けたということは、正面からの艦隊決戦では現状日本艦隊に勝てないということでもある。


日本と開戦することが予想されてから、米海軍では当時の現状分析から様々なことを予想し、準備していた。


しかしこれは、"最も有り得ない"とされていた予想だ。


「やはり、これは一度パールハーバーに戻るべきだと思うが…」


現在、スコットとハルゼーは意見の食い違いがあった。


一度真珠湾に戻り体勢を立て直すべきだと考えるスコットと、直ちに日本艦隊を攻撃し戦況の優勢を取り戻すべきだと考えるハルゼーの考えは真っ向から対立していたのである。


戦術的に艦隊を二つに分けることは危険な為、撤退か攻撃のどちらかの行動を選ばなければならない。


最終的にはハルゼーの考えにスコットが仕方無く従い攻撃隊の出撃が決まったのだが、それまでにかなりの時間をかけてしまったのだ。


「極秘で戦艦までも建造していたのなら、隠し場所さえあれば二個艦隊は造れる時間があった筈だ。もし、今我々が追い掛けている空母部隊やキンメル艦隊を撃破した艦隊以外にも、まだ敵が潜んでいるとしたら…」


もしこれ以上敵が潜んでいて、たった今この艦隊を狙っているとしたら。


艦載機発艦作業中の空母というのは、あまりにも無防備だ。


艦載機の発艦を容易ならしめるには空母を風上の方向に走らせ、向かい風と艦の速度による合成風力を利用しなければならない。


機体の重量や飛行甲板の長さによっては、この合成風力を上手く利用しなければ機体が離陸/発艦速度に達することが出来ず、飛行甲板から飛び出した途端墜落してしまう。


しかしそれはつまり、発艦作業中の空母は動きが読まれ易く、そしてまともに舵がきれないということである。


また発艦直前の機体には燃料や爆弾、魚雷が満載されており、巨大な爆弾を甲板に晒しているも同然の状態でもあるのだ。


「…しかし、あの"闘牛(ブル)"はやる気マンマンか」


キュリオスの艦橋から飛行甲板を見下ろしながら、スコットは溜め息をついた。


「私の予想がハズレていれば良いのだが…」


「司令!全空母、攻撃隊発艦準備完了です!」


「よし、攻撃隊発艦始め!」


一機目がゆっくりと始動位置につき、エンジン出力を最大まで上げる。


甲板要員が発艦始めの合図を手旗信号で送り、パイロットは親指を立ててそれに答えた。






「敵大型空母、発艦作業を始めました!」


「よし、動き出したな!」


潜望鏡を覗く藤見(ふじみ)艦長の報告に拳を握ったのは、伊号第九潜水艦(伊9)を始めとする第一潜水戦隊を率いる平田昂(ひらたのぼる)司令である。


「各魚雷に5°ずつ角度をつけ、扇状に発射!」


「ヨーソロー!」


魚雷発射管に魚雷が装填され、蓋が固く閉められる。


「発射管開け!全門、()ぇっ!!」


シュゴォッ


圧縮された空気によって魚雷が押し出され、海中に投げ出される。


放たれた4発の魚雷は設定通りの角度で扇状に広がりながら、空母キュリオスへと向かって行った。






「水中にて突発音!」


「何ッ!?」


空母の護衛にあたっていた駆逐艦マグフォードの聴音手が、伊9の魚雷発射音を聴き取った。


「続いて、2…4…8……20以上の魚雷発射音を確認!」






「しまったッ!!潜水艦が潜んでいたか!!」


スコットはマグフォードからの報告を聞き、あまりの悔しさに拳をデスクに叩き付けた。


分かっていたのに。


予想出来ていたのに。


ドドオオオォォンッ!!


「ぐぁっ!?」


空母キュリオスが激しく振動し、大きく揺れた。


魚雷が命中してしまったのである。


「くっ……被害状況を報せろ!」


『右舷、三箇所に被雷!居住区と弾薬庫に浸水発生!』


「……っ!?」


スコットの乗艦する空母キュリオスはスペリオル級空母である。


スペリオル級空母は新式の対魚雷防御が施されており、就役前の被雷実験では米海軍の魚雷十数本を受けてようやく小規模の浸水が発生するといったレベルであった。


しかし今この瞬間、魚雷たった三本で小さくない浸水が発生してしまったのだ。


「どうなっているんだ…当たり処が悪かったのか?……それとも、それほど高い威力だったというのか…?」


更にーーー


ドオオォォンッ!!


続けざまに、艦に衝撃が走る。


「また被雷したのか!?見張りは何をしている!!」


「そ、それが…見えないんです」


「何!?」


「魚雷の航跡が、見えないんです!!」


米海軍で使用されていた標準的な魚雷の推進機構は内燃焼機関であり、排気をする必要がある。


魚雷が進んだ後には排気によって出た気泡が航跡として残る為、それが敵魚雷を目視で確認するための基準となっていた。


しかし日本海軍が開発した魚雷は"酸素魚雷"と呼ばれるものである。


これは本来であれば酸化剤として圧縮空気を積むところを、圧縮した純酸素を積むことによって、排気されるものを水蒸気と炭酸ガスだけに抑えたのである。


水蒸気は勿論、炭酸ガスもよく水に溶ける。


つまり、気泡が海面に到達するよりも先に海中に溶けることによって航跡を残し難くしたのである。


内燃焼魚雷の出す航跡に慣れてしまっていた米海兵がこの酸素魚雷を事前に発見するのは、至難の業であった。


「取り舵90!!この海域から離脱するぞ!!」


「し、しかし艦載機の発艦は…」


「そんなものは中止だ!!今ここで空母を減らされる訳にはいかない…!!」


「はっ…!了解しました!!」





「司令!!キュリオスとエンカレッジが離脱していきます!!」


「なんだと!?スコットめ…あの腰抜けが…!!」


ハルゼーの乗艦する空母エンタープライズは発艦作業を続けていた。


しかし既に右舷に2箇所被雷しており、速力が落ちつつあった。


「司令…ここは駆逐艦達に任せて、我々はスコット司令と共に退避しましょう!」


「煩いッ!こんな、一方的にやられっぱなしで堪るか…!!攻撃隊の発艦だけでも終わらせるんだ!!」





「…空母二隻は離脱しようとしています」


「深追いはしなくていい。魚雷発射後、直ちに急速潜航。ボーッとしていると爆雷を喰らうぞ!」


伊168の艦長、中村丙二(なかむらへいじ)少佐は冷静だった。


「今回の俺たちの役目は足止めだ。逃げてくれるならそれに越したことはない」


「了解。タンク注水!急速潜行ッ!!」


伊168のタンクに海水が注水され、艦体はみるみる沈んでいく。


「タンクブロー、ゆっくりだぞ」


十分に沈んだところでゆっくり排水し、沈降を止める。


丁度その時、離れた頭上で爆発音が起きた。


「…爆雷が炸裂したか」


「艦に影響はありません」


「よし。魚雷の装填急げ」


「はっ!」





「巡洋艦ニューアーク爆沈!シカゴ、被雷により舵損傷!」


「駆逐艦ベンソン、メイヨーは退艦命令を出しました!マディソンは機関部爆発!」


「まだか…まだ発艦作業は終わらんのか!?」


ハルゼーは怒鳴りながらエンタープライズ艦載機隊の指揮官、ホプキンス大尉を睨んだ。


しかし、返事は意外なものだった。


「司令…これ以上はもう、無理です」


「!?」


「これ以上艦が傾斜すれば、艦載機の発艦は不可能となります。流石に私も部下達に強引に発艦して入水自殺をしろとは命令できません」


「ぐ……ぅ……」


「それより今は、ここを可能な限り早く脱出して生き延びること考えましょう!」


流石のハルゼーも、ここまで来ればその闘志は失せつつあった。


「くそ…っ、我々も退避するぞ!!甲板上の航空機や爆弾は投棄しろ!」


しかし、その瞬間。


ゴ…ガガガガガ…!!


凄まじい振動と衝撃音と共に、艦が大きく揺れた。


「なっ…!?」


突然の出来事にハルゼーは体勢を崩してしまい、そのまま倒れてしまった。


「し、司令…!早く救護班を!!」


「しっかりしてください、司令!…くそ、打ち所が悪かったか…」


副官達が急いで処置するものの、ハルゼーの意識は戻らない。


「くそ、何があった!?」


ホプキンスが叫ぶと、他部署からの報告を受けていた水兵が応えた。


「ど、どうやら敵潜水艦に乗り上げたようです」


「なんだと!?Darn it!不運が重なるな!!」


エンタープライズは偶然にも、潜水艦伊17に乗り上げてしまったのである。


伊17は船体前部に大きな損傷を受け、大急ぎで浮上したものの乗員の脱出中、十数名の犠牲と共に沈没していった。


エンタープライズはそこまで大きな損傷は無かったが艦底の一部に亀裂が入ってしまい、また司令官負傷という惨事になってしまった。


そして―――


「左舷前方より敵編隊接近中!!」


「!!」


ホプキンスは言葉を失った。


ハルゼーは頭を打ち意識不明。そのうえ艦隊の陣形など滅茶苦茶だ。


こんな状況では、マトモな対空戦闘が出来る筈が無い。


巡洋艦は雷撃から空母を護る為近くに付いているが、駆逐艦達は対潜水艦戦闘の為離れてしまっている。





『敵は満身創痍だ。各機、自身の任務を確実に遂行せよ』


『諒解ッ』


小沢艦隊より発艦した攻撃機隊は二つに分かれ、上空と低空から接近する。


先ずは艦攻隊が飛び込む。


20機の天星は海面から30m以内の低空を維持しながら高速にて接近する。


天星の機体下部に装着しているのは九八式航空魚雷。


内燃焼機関であるため航跡は残りやすいが、航空魚雷としては大型のものであるため威力は十分である。


また大型ということはその分多くの圧縮燃料を搭載出来、また大型の推進機関を搭載出来るため速力と射程距離も通常より大きくなる。


それはつまり、機体が目標から離れた位置から魚雷を投下しても命中させやすいということである。


『全機魚雷投下。魚雷投下後直ちに離脱せよ』


『諒解。安全装置解除、魚雷投下ッ』


ガコッ


大した邪魔も受けず、天星隊は全機が魚雷を投下し悠々と離脱する。


「航跡を確認!数20!」


「回避運動急げ!!」


連携の取れぬまま、各艦で回避運動を取る。


しかし、混乱によって滅茶苦茶になってしまった陣形の中では満足な回避運動は取れない。


軽巡オマハは魚雷を回避しようと面舵を取ったが、その先には操舵不能状態のシカゴがおり二艦は衝突してしまった。


旧式の巡洋艦であったシカゴはその衝撃で右舷に大きな破孔が出来てしまい、艦長は直ぐ様退艦命令を出した。


オマハも又左舷に大きな損傷を受け、大規模な浸水が発生。


更に追い討ちを掛けるように魚雷が命中し、あえなく撃沈となってしまった。


重巡ペンサコーラ、ソルトレイクシティは盾となるべく空母サラトガ、レキシントンと魚雷の間に割り込み、ペンサコーラは二ヶ所に被雷し大破。


ソルトレイクシティは艦首に被雷し、艦首が切断されてしまった。


又駆逐艦2隻が大破。1隻が轟沈した。


「敵機直上!!」


続いて、艦爆隊が上空より突入する。


15機の恒星は約80°の角度で急降下。


3機ずつの編隊を組みながら各目標への攻撃を開始した。


急降下爆弾をされては、流石に誰も空母を庇うことは出来ない。


サラトガ、レキシントン、エンタープライズの三隻に一編隊ずつが襲いかかった。


『安全装置解除。爆弾切り離しよォーい…()っ』


恒星から切り離された爆弾は一式航空爆弾というものであり、内容は五月雨弾と同様の集合(クラスター)弾である。


一つの爆弾から分裂した無数の小型爆弾が、エンタープライズの飛行甲板に降り注ぐ。


決して、艦を沈める程の威力は無い。


しかし空母の飛行甲板を使い物にならなくする分には十分である。


「く…っ!!甲板上には、まだ艦載機が…!!」


「甲板上にて火災発生!!」


「……っ!!」


恐れていた事態は起きた。


先程の小型爆弾が甲板上に残されていた戦闘機の一機に命中し、そこから漏れだした燃料に引火してしまったのである。


火災はあっという間に広がり、そして―――


ドゴオォンッ!!


「か、甲板に残っていた爆弾が誘爆!!」


「早く他の魚雷と爆弾を破棄しろ!!これ以上被害を広げるな!!」


同様の事態はコスモス艦上でも発生し、小型空母であったコスモスは格納庫まで延焼してしまい艦内で誘爆。


爆沈してしまった。


サラトガ、レキシントンは比較的被害が少なく、果敢に対空砲郡で反撃。


恒星3機を撃墜した。


しかし二隻とも飛行甲板は使い物にならない状態であり、最早着艦も発艦もできなくなってしまった。




漸く攻撃が止み、ホプキンスはエンタープライズ艦橋から艦隊の惨状を見渡した。


「…帰投しよう。この借りは、必ず返してやるのだ」


「はっ…」


だがここで、更なる恒星9機が突入する。


「敵機確認!!」


「まだ何かやるつもりなのか…!?」


3編隊に分かれた恒星は各編隊、空母一隻ずつを捉えた。


一発ずつの爆弾が叩き込まれ、そして―――


ヴウゥンッ







「山本長官、小沢司令より報告です」


「ほう」


「空母三隻の鹵獲に成功したようです」


「あちらも"ハ式弾"を使ったのか?」


「えぇ、そのようです」


「そうか…鹵獲の為だけに開発された、爆発せずに艦の機能だけを奪う爆弾か。海技廠はとんでもないものを発明したものだな」


「全くです」







最後の締め方が強引過ぎるかなぁ…


一先ず、米太平洋艦隊撃滅作戦はここまでです

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