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フィーナ姉の部屋の石像、何かいるよ?

「じゃあ行ってくるね、カイル君」


お昼ご飯を食べ終え、食器を片付けたフィーナ姉が買い物袋を一つ持って離れの出入り口えあるドアに向かう。この離れでの生活は基本自給自足、だがそれでも手に入らない物は領主である父が治めている村の方での買い物となる。僕はそこまで行く事が出来ない為、買い物はフィーナ姉の仕事となる。買い物さえできない自分が非常にもどかしい。だからこんな言葉が口に出る。


「いつもすまないねえ……」


「それは言わない約束だよ、カイル君」


……乗ってくれるなあ、フィーナ姉。


「ところで何か食べたいものはあるかな、カイル君?」


僕はしばらく考える。


「……キノコのバター焼きかな」


「フム、それだとお魚さんのソテーもいいかもね。お魚さんは後で釣ってくるとしてキノコがなかったからそれは買ってくるとして……」


フィーナ姉の中で献立が決まっていく。


「よし、今日のメニューは決まったよ! じゃあ行ってくるよ、カイル君」


フィーナ姉がこちらに近づき僕の頬をひとなめする。


「フィーナ姉……」


「カイル成分補給だよ」


「僕から謎の成分が出てる?」


「これで元気一杯だよ!」


フィーナ姉がトタトタと駆け足で離れを出た。


「フィーナ姉、気を付けてね」


僕の声はフィーナ姉に既に届いてはいなかった。失笑しながら部屋を見渡す。人が一人いなくなっただけで驚くぐらい静かになる。普段は物寂しく感じられるが修行をする環境としては非常によかった。僕は座っていた椅子を引き、傍に置いてある木の杖を使って椅子から立ち上がった。杖がないと立ち上がる事さえ困難なのだ。


情けなさを感じながらも僕はウロウロと歩き回り色々な物に手をかざした。今朝の続きで今度は物の氣を感じてみる事にいたのだ。

今まで座っていた椅子、テーブル、流し台、肉を来るためのナイフ、狩りで狩った動物の毛皮などともかく目についた物に手をかざしてみる。その全ての物に気を感じる事が出来た。それらには強弱があり普段から使っている物、生物の毛皮などは強い氣を感じる事が出来た。


外に出て植物の氣も感じてみようと出口に向かおうとしたらどこかでドアが開く音がした。今この離れには僕以外誰もいない筈である。それなのにどうしてドアが開いた音がするのか。もしかして泥棒かと僕はゾッとしながらもどこのドアが開いたのかと聞こえた方向へ歩く。そこはフィーネ姉の部屋のドアだった。


「締め忘れたのかな?」


僕は首を傾げながらフィーナ姉の部屋の前に立つ。フィーナ姉には部屋に入るる事はもちろん見るのも厳禁と言われていたがこの場合はしょうがないよね。僕は自分に言い訳してドアを閉めるふりをして部屋を覗いた。そしてもの凄い罪悪感に襲われる。


簡素なベットに、洋服や小物を入れるタンス、古いか鏡台が一つと年頃の女の子にしては質素すぎる。僕の世話をしながらではお洒落など出来ないのだろう。僕が罪悪感にさい悩まされない様配慮してくれたのだろうな。優しすぎるよフィーナ姉。


「ゴメン、フィーネ姉。早く体をよくして何かプレゼントするよ。それまで待ってて」


僕は新たに誓いを立てる。


「いつまでも覗いてたら怒られるな」


部屋のドアを閉めようとした時、妙な物が僕の目入る。タンスに上にあるには……


「なんだろこれ、何の石像?」


そこにあったのは数セーチ(センチ)くらいの小さな女性の石像だった。優し気に微笑んでいてなんだか穏やかな気分になってくる。

女性像の前には果物が数点とキャンドル立てが置かれている。奉っているようにも見える。だとするとこの女性の像は神様の像なのだろうか?


「何でこんな像があるんだろう?」


フィーナ姉に聞いてみたい気もしたが部屋を覗いたことがばれてしまう。そうなるとどんな罰を受ける事やら、僕はゾッとした。これ以上いるべきではないと部屋を後にしようといた時、その石像が少し動いたように見えた。目をこすってもう一度見ると女性の像がユラリユラリと揺らめいて動いているように見えた。


「何!? 何で動いているの!?」


僕は椅子を持ってきてタンスの前に置き、危ないと思いながらも椅子の上に乗る。女性の石像を凝視する。ゆらゆらと揺らめいて動いているように見えるという怪現象を目の前にして僕は困惑する。


「何、これ危なくないか?」


僕は恐る恐る手を伸ばしてみた。すると手がビリっと痺れ弾かれる。ぎょっとしながら手を引っ込める。


「アイタッ!? 何で手を弾かれるの!? いや、これってもしかして……」


僕は両手をこすってから両手を石像に伸ばす。するとこれまでの物とは比べ物にならない強力な氣の感触が感じられた。


「やっぱりこの石造から強力な氣が放たれている。でもどうしてフィーナ姉がこんな石像持ってるの?」


そんな事を考えながら両手を動かし石像の周りの空間を弄る。まるで本物の女性の体を弄り回しているようなそんないけないイメージが頭の中に浮かんでくる。


「マズいな、もうやめよう」


僕は石像から離れようとするが一足遅かった。


「いつまでワシの体をまさぐっとるか!! このエロガキがっ!!」


耳元で妙齢な女性に怒鳴られたかと思ったら石像から光の玉のような物が放出され僕の顔面に直撃した。僕は後ろにのけ反り椅子から転げ落ちた。その際頭を打って気を失った。





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