第8話 読者
新キャラ登場!今度は高校生。
さて、主人公との関係は?
よろしくお願いします。
藤村 真鈴の趣味はブログ巡りだ。自身もアカウントを持ってはいるが、あまり更新はしない。自分で書くと、どうしても詩みたいになってしまう。なのでどうしても書きたいことがあるときだけ、書く、というスタイルを取っていた。
自分は文章を書くのが下手だ。そう思ったのは、いつだっただろうか。小学生の頃だったような気がする。きれいな文章が書ける人が羨ましかった。やがてその気持ちは、真鈴を物静かな文学少女にした。高校生になったばかりの今、本は持たなくなって、スマホデビューした。電車通学になって、時間もでき、その間にブログ巡りをしている、というわけである。
そんな真鈴が、ここ1か月ほど前に見つけて、熱心に読んでいるブログがあった。そのブログが今更新された、との通知が入った。
『これは、恋?』というタイトルだった。
嫌な予感がしつつも、真鈴はポップアップを親指で触った。
『久しぶりに、あかり以外で、僕の心を動かす女性と出会った気がするんだ。』
そこまで読んで、真鈴は思わずうなった。
「うーん、やだあ」
隣に座っていた、親友の安川かよが、肩をたたいてきた。
「嫌やー、真鈴ちゃん、声がエロい♪」
それを聞いて、真鈴の頬はちょっと赤くなった。そしてちょっと膨れた。
「でも、やなんだもん」
言いながら、肩をたたかれてずれた眼鏡を直す。
「どしたん?」
「蓮が浮気してるから」
「れん?誰やそれ?」
「私の好きなブロガー。恋愛小説書いてる」
「ふーん、おもろいん?」
かよが覗いてきたので、真鈴はスマホを渡した。
「面白いよ、キュンキュンする」
「えっちな写真とか、絵とか何もないやん」
かよは真鈴にスマホを戻した。
「ないよ、小説ブログだもん」
「えー?ま、ええわ。私はもっとえっちなのが見たいなー」
「そっかー」
「うん」
そこで二人とも一度黙った。と思ったら、かよが声を上げた。
「あ、そうや!」
「え?」
「コメント書けば?」
「こ、コメント!?」
真鈴はびっくりした。何を言い出すのかと思ったら、自分の意見を他人に伝える、という、真鈴が最も苦手なことを勧めるのだから。
「だって、嫌なんやん?」
「嫌だけど……」
かよはいつだって、自分の意見は真っ直ぐ言う方だ。そこが真鈴と違っていた。
「嫌やったら、書いた方がええで?読者の意見は大事やで」
そう言って、かよは、かわいくニコッと笑った。
「う、じゃ、じゃあ、書く……」
「うんうん♪」
何と書けばいいのか、真鈴は思案し始めた。