第7話 覚醒
やっとここまでかけました。
あらすじにおいつきました。
いろいろ未熟ですが
よろしくおねがいします。
そこでは、規則正しく音がしていた。ピッピッピッピッという、心臓が正常に動いていることを示す音が、していた。そこに女性は眠っていた。沢山の機械に囲まれ、チューブに繋がれて。
それを見守る老夫婦が、一組いた。女性の両親である。老夫婦の夫の方が、やがてゆっくりと立ち上がった。
「母さん、もうすぐ面会終了の時間だ、行こう」
母親はそれを聞いて言った。
「嫌よ、あの子が起き上がる夢を、今朝見たの」
父親は苦笑いを浮かべて、言った。
「お前、何言ってるんだ? 灯はああして、もう三年も起き上がらないのに」
父親は、それでもまだ見続けようとする母親の手を取った。しかし、母親によってその手は払いのけられる。女性を凝視したまま、母親は言った。
「私は、灯、あんたを死なせやしないからね」
「分かったから、母さん、もう行こうや」
父親は、母親の肩に手をのせた。
と、一人の女性の看護師が入ってきた。
「蓮沼様、面会終了のお時間です」
女性の看護師は、点滴の袋を持っていた。今から食事の時間、ということなのだろうと父親は理解した。
「分かりました」
と父親は言った。
抵抗する母親を無理やり連れだそうとしたその時だった。規則正しく聞こえていた音が途切れて、突然長音になった。とうとう心臓が止まるときが来たのか、と父親は覚悟した。
「いやあああっ」
母親の叫び声が響いた。慌てて母親の様子を見ると、叩かれる前の子供のように、泣きながら目を瞑っていた。その視界をふさぐように、父親は母親を抱きしめる。
「蓮沼さん!!大丈夫ですか!?」
一瞬、父親は、自分とその妻に言われているのだと思った。しかし……。
「蓮沼……。私は蓮沼 灯……。ねぇおじさん。千葉君はどこ?」
声がする方を振り向くと、やせ細った女性が、娘が、灯が、目の前に、壁に寄り掛かるようにして立っていた。父親はそのことに驚愕し、声も出ない。
しばらく間が空き、やっとのことで言った。
「おい、母さん、灯が……」
言っている声が震えているのがわかる。しかしその震えを止める術を父親は持っていなかった。
黒い長い髪を揺らせながら、灯は、にっこりと笑って言った。
「もう一度言うわ。おじさん、千葉君はどこにいるのか、教えてください」
父親は、娘が何を言っているのか、とうとう理解できなかった。