第16話
明けて次の日、私はミリィとヒサメに連れられてリオルイ服飾店にやってきていた。
ベッドの中にもぐりこんで徹底抗戦の意思を示した私だが、ミリィとヒサメの共同作戦で羽根布団を引きはがされたのであった。その後、朝食を一緒に食べた私達はその流れでここに来たというわけである。
ささやかな抵抗もむなしく、ミリィとヒサメに引きずられるように連行された私は深い深いため息をついた。
今日の私は、若草色のディアンドルを身に着けて長い黒髪をピンク色のリボンでツインテールにして、頭を覆うように、獣人用のクリーム色の三角巾をかぶっていた。三角巾の横の隙間から、縛った黒髪がぴょこんと飛び出ている。
この格好は、朝私の部屋に突撃してきたミリィとヒサメに無理矢理させられたものである。
私をこのような格好にした張本人その一であるミリィは、赤と黒のチェック柄のディアンドルを身に着けて、クリーム色の三角巾を頭にかぶっている。
張本人その二のヒサメは、この街に来てから購入したという薄水色のディアンドルに身を包んでいた。
「さあ覚悟しなさい!私達が可愛い服を選んであげるから!」
「いい加減、腹を決めるでござるよトーカ殿。この期に及んで情けないでござる」
「もうどうにでもなーれ……」
光の消えた瞳で、私は両脇をミリィとヒサメに抱えられながらリオルイ服飾店の中に入っていった。
「いらっしゃいませ!あ、トーカちゃん!大丈夫だったの!?」
「トーカちゃんですって!?姉さん、私にも会せ……ぶぎゅっ」
実にいい笑顔をして、私に抱きつこうとしたルイさんを、拳で床に叩き落としながら、リオさんが駆け寄ってくる。
そして、光の消えた瞳をしている私と、その両脇を抱えているミリィとヒサメを交互に見て、不思議そうな表情を浮かべた。
「ミリィちゃん、どうしたの?トーカちゃん、虚ろな目をしてるけど……」
「あ、リオさん!実はですね、昨日私達が話し合った結果、トーカが女の子としての自覚が足りないから、ああいう無茶をするという結論に至りまして。トーカが立派な年頃の女の子になるように、似合う可愛い服を買いに来たんです」
「あら。そうだったのね。それだったら色々取り揃えてあるわよ。今からいろいろ選んであげるから、トーカちゃんは私が預かるわね」
「私も一緒に選びます!そうだ、リオさん。こちらのヒサメもここに用事があるということで一緒に来たんです」
ミリィはそう言うと、私の左脇を抱えたままのヒサメをリオさんに紹介した。
「店主殿、お初にお目にかかるでござる。拙者、白金級冒険者でサムライをしているヒサメと申す。以後、お見知りおきいただけると嬉しいでござる」
「あら、可愛いお嬢さんね。私はリオルイ服飾店の店主をしているリオといいます。この、床に潰れているのはデザイナーで私の妹のルイ。よろしくお願いしますね」
「よろしくでござるよ。拙者が本日伺ったのは、拙者の防具である小袖と袴をアラクネ糸で織った布を使って作ってほしいからなのでござるよ。アラクネ糸で織られた布の事は、トーカ殿から聞いているでござる。その布の性能が、拙者の戦闘スタイルに非常にあっているのでござるよ」
「小袖と袴……。アキツ皇国の剣士が身に着けている衣服の事ね」
「そうでござる!それを拙者に作ってほしいのでござるよ!」
真剣な表情で、私を抱きかかえたリオさんに言うヒサメ。そんな彼女を見たリオさんは、床に潰れたままのルイさんを足で蹴り起こした。
「いったぁっ!痛いわよ姉さん!何するの!?」
「ルイ、貴女にお仕事の依頼よ。今すぐこのお嬢さんの希望を聞いて、小袖と袴をデザインしてアラクネ布で作りなさい。生半可な仕事は許さないわよ」
真剣な表情で、ルイさんを見下ろしながら言うリオさん。その表情に、ルイさんは立ち上がると真剣な表情で頷いた。
「それでは、お客様。今から全身のサイズの計測を行いたいので、こちらに来ていただけますか?」
「承知したでござる。ミリィ殿とリオ殿、トーカ殿を頼んだでござるよ」
「わかったわ。こっちは任せておいて」
「さあ、ミリィちゃんとトーカちゃん。こちらにいらっしゃい」
試着室に向かうヒサメとルイさん。
普段着の並ぶ一角へ私を連行しながら向かうミリィとリオさん。
二手に分かれると、それぞれの目的を果たすべく狩人は獲物を連行していったのであった。
「さあ、選ぶわよ!」
「うふふっ。ミリィちゃんやる気十分ね」
「もちろん!トーカにどんな服を着せようかしら……」
私は、ミリィとリオさんに引きずられながら普段着が並ぶ店内の一角までやってきた。
様々なデザインの服が並ぶ中から、ミリィとリオさんは服を選び始める。
私は、それを虚ろな瞳でぼーっと見ていた。きゃいきゃい言いながら服を選ぶ二人を見て、私はこれから着せ替え人形になるのだと思うと、気持ちがずんとより一層沈むのを感じていた。
しばらくして、全身のサイズ計測が終わったヒサメも試着室から合流し、三人の女性陣はより一層黄色い声をあげながら私に着せるための服を選んでいく。
一時間ほどそうしていると、ようやく候補が絞れたのか三着の衣服といくつかの小物を抱えて、三人は私を試着室に連行した。
試着室に連れ込まれた私は、来ていたディアンドルを脱がされ、薄桃色の下着と白のニーソックスという姿にさせられた。そこにすかさず、リオさんが手にしていた服を手早く着せつけていく。
あっという間に、袖と襟、前立てのサイドにフリルをあしらった白の長袖ブラウスと紺色のリボンタイ、紺色のハイウエストロングスカート、ロングスカートの下には膨らませるための二段になったパニエを着させられた私が出来上がった。
「まずはこちらです。この組み合わせは、女性の清楚さを前面に押し出したデザインになっております。最近、人気が出てきた組み合わせですね。特に、男性が好むようなデザインをしているため十代後半から二十代前半の方に人気です」
「ほう、これはこれは」
「うん、特に男性の視線を集めるといったところがいいわね。この服なら少し動きにくいし、イメージ的にまずおとなしくしていないとだめだもの」
リオさんの説明に、うっとりしたような表情で答えるミリィとヒサメ。
「うん、これは決定と。早速お買い上げ決定とはやるわね、リオさん」
「伊達に、服飾店の店長はしておりませんよ。ルイのデザインに駄目出しをするのも私の仕事ですからね」
「なるほど、よくわかるでござるな。あの御仁、いったん走り出したら止まらない性格の様でござるし、どこかでそれを止める人がいなければならないでござる。あの御仁は、拙者の全身のサイズを測り終えたら、早速メモを持って奥に引き篭もったでござるよ」
リオさんの言葉に、頷いて同意を示すヒサメ。
「さて、次はこっちね!」
「どんどんいくでござるよ!」
ミリィとヒサメのやる気満々の声を受けて、リオさんは手早く私を下着姿にすると、そこに別の服を着せつけていく。
今度は、シンプルなデザインのクリーム色の長袖ブラウスに、明るいエメラルドグリーンの縁取りがされた白のケープ、明るいエメラルドグリーンのロングスカートとスカートを膨らませるための二段構造になっているパニエを着せられた。私の頭には、スカートと同じ色をしたやや小さめのサイズの獣人用ベレー帽をかぶらされている。
「こちらも、可憐さと清楚さを前面に出した組み合わせです。どちらかといえば十代前半の方を対象にしたデザインですね。これも、男性の趣味を大きく反映したデザインになっています」
「うん。男ってこういった服装が好きよね」
「何故普段着のこれではいけないんでござろうな」
ディアンドルのスカートをつまんで不思議そうに言うヒサメ。それを見て、リオさんは口を開いた。
「その服はプラナスとメルキュール王国、ティリウス聖王国の伝統衣装ですから。普段着として目にすることが非常に多いですし、デザインが与える印象が強くないとだめなのでしょうね」
「ふむ。そういうことでござるか」
「それなら、これも男の目を引く服になるのね。これで女の子らしくしなかったら興醒めもいいところだわ。これもお買い上げ決定ね」
ミリィがそう言うと、リオさんは手慣れた様子で素早く私を下着姿にしていく。
最後は、襟と裾、袖口にレースをふんだんに使った白い薄手の半袖ワンピースである。腰は、幅の広いベルトで締めている。
「シンプルだけど、これも清楚な雰囲気ね」
「これもいいでござるな。トーカ殿は長い黒髪でござるから、白が際立つでござる」
「はい。これから少し暑くなりますから、こういった服装もいいですね。特に、暑くなると薄着になりますから、男性の視線も集めやすくなるんですよ。それを逆手にとった服になります」
「なるほど。男性の視線が集まりやすくなるから、男に好印象を与えるものでないとだめってわけね」
「そうなりますね。本人の性格や好みを知っている人が見ると、普段の服装と違う服装を着ることで、その差がその人の印象に残りやすいというのもあります」
「ふむ。勉強になるでござる」
「お洒落って奥が深いわね」
「はい。ここに、髪形やお化粧を加えることによって、その方の魅力が何倍にもなれば、かえって下がってしまうこともあります。それを総合してご提案させていただくのも、私どもの仕事ですから」
リオさんがそう誇らしげに言うと、ミリィとヒサメは納得したように頷いた。
「じゃあ、これもお買い上げっと。やだ、全部お買い上げだわ。さすがリオさんね」
「うふふっ。褒めても何も出ないわよ。ミリィちゃんもヒサメちゃんも、服がほしかったらいつでも私に相談してね。予算を言ってくれれば、その中で似合う組み合わせを探してあげるから」
「はい!」
「その時は、よろしくお願いするでござるよ」
「じゃあ、お会計しちゃうわね。あ、そうだ。何か着ていっちゃう?」
リオさんが言うと、ミリィとヒサメは顔を合わせてひそひそと話し始める。
彼女たちはしばらく相談すると、話がまとまったのかリオさんに向き直った。
「じゃあ、二番目の組み合わせでお願いしてもいい?リオさん」
「ええ、いいわよ。これなら、ツインテールよりはロングの方が可愛いと思うから、髪形も変えてしまうわね。今櫛をとってくるわ」
そう言うと、リオさんは嬉しそうな表情を浮かべつつ試着室を出ていった。
「さて、ミリィ殿。これからどうするでござる?」
「もちろん、計画は考えてあるわよ。まずは、中央広場の露店でお昼にして、それから冒険者ギルドに行くわ」
「ほう、その心は?」
「この時間なら、ちょうどお昼だし中央広場の人手が最高潮になるの。街の中で働いているほとんどの人が、お昼は中央広場の露店で食べるからね。それに、今日は市場が開かれているから、いつもより人が多いわ。もちろん、そこには男の目もあるわけよ」
「なるほど。男の視線に慣らすというわけでござるな」
「そ。それ以外にも、男の視線があることで女の子らしい振る舞いをしなくてはいけない状況に置くという意味もあるわ。さすがに、この格好でいつものような振る舞いはできないと思うの」
「そのあとの冒険者ギルドというのはなぜでござる?」
「あそこには、街の人とは違った男が多いでしょ?それにも慣れさせるのよ」
「ほほう。それはそれは……。ミリィ殿も策士でござるな」
にやりとヒサメが笑うと、ミリィも底意地の悪そうな笑顔を浮かべて笑った。
「これで、明日の本番は大丈夫ね。モデルをするってことは、その服に合った振る舞いが要求されるからね。あの服でいつもの様子じゃ、興醒めでしょ?ほら!トーカもいい加減覚悟を決めなさい!」
「う……。ミリィもヒサメも意地悪……」
「何言ってるの?トーカ、明日本番じゃない。なるべくあの服に合った振る舞いじゃないと駄目でしょ?」
「そうでござるよ。トーカ殿、なるべく淑やかにした方がいいでござる」
「それに、リオルイ服飾店の将来もトーカにかかっているんだから、しっかりしないといけないでしょ?」
ミリィがそう言うと、ヒサメも同意したように頷く。
私は、それを見て大きなため息をついた。
「うう……。なるべく努力してみる……」
「なるべくじゃなくて、努力するの!」
「トーカ殿、アキツ皇国の女性らしい振る舞いはどうでござる?拙者、アキツ皇国の、特に高貴な女性はみんな淑やかであると聞いたことがあるでござるよ。それなら、トーカ殿も想像しやすいと思うでござる」
ヒサメがそう言って、私に助け舟を出す。
その言葉に、私ははっとしたような表情で彼女を見た。
「ん」
「で、ござるよ」
決心したような表情でヒサメを見て私がうなずくと、彼女はにっこりと笑った。
「何かをつかんだようね、トーカ」
「ん。ヒサメのおかげ」
「それは良かったでござるよ、トーカ殿。では、早速練習をしてみるでござる」
「そうね。さすがに時間がないから、少しでも時間が惜しいものね」
ミリィとヒサメがそう言って、私の事を見る。
私は、意を決すると口を開いた。
「私の名前は、トーカ・モチヅキと申します。ミリィさん、ヒサメさん。これから、どうぞよろしくお願いいたしますね」
穏やかな口調で、優しい微笑みを浮かべながら私はそう言葉を発しました。すると、ミリィとヒサメの顔が赤面したと思うと、次の瞬間二人は試着室の床に頽れたのです。
「は……破壊力が高すぎるわ……」
「アキツ皇国の高貴な女性は、皆こうなのでござるか?拙者、思わず熱い何かが溢れそうになってしまったでござるよ……」
「どうなされましたか?二人とも……。顔が赤いですよ?」
おろおろしながら私が言いますと、二人はのけぞるようなような体の動きをして私から離れました。
「やめ、やめて、トーカ。それ以上いけないわ!私、新しい世界の扉を開きそうになってしまうから!!」
「トーカ殿、今はいつもの口調でいいでござるよ!トーカ殿のその口調は、あまりにも破壊力が高すぎるでござる!」
「ん。そう?それなら元に戻す」
私はそう言うと、いつものクール系少女の表情に戻り、口調もいつものように変えた。
「ああ……。トーカのあれはすごすぎるわ。美少女って、雰囲気と口調を変えるだけでも破壊力が高くなるのね」
「そうでござるな、ミリィ殿。拙者、思わず跪いて忠誠を誓いそうになってしまったでござる」
はあはあと荒い息を突きながら立ち上がる二人。
それを見た私は、半眼で二人を見ながら口を開いた。
「やれって言ったのはミリィとヒサメ。私が悪いわけじゃない」
「それはそうだけど!あんなに破壊力が高いなんて思わなかったんだもん!」
「拙者も予測を誤っていたでござる。助言したのは拙者でござるが、トーカ殿から溢れ出る気迫に気圧されてしまったでござるよ。駄々漏れの殺気とは違う気迫でござったが、思わず忠誠を誓いたくなってしまうのは同じでござった……」
「でも、これで決定ね。明日はこれで行くわよ!」
「そうでござるな。これで成功間違いなしでござる!明日はフェル殿も来られると申していたでござるしな、トーカ殿!」
そう言って、私に太鼓判を押す二人。そこに、櫛を持ってリオさんが戻ってきた。
「ただいま、みんな。櫛を持って来たわよ」
「あ、リオさん!今、みんなで明日の練習を少ししていたの!服を変えたら、リオさんも見てもららっていい?」
「いやあ、破壊力抜群でござるよ。これで明日は大成功間違いないでござる」
「あら。じゃあ期待させてもらいますね」
ミリィとヒサメがそう言うと、リオさんは笑顔を浮かべて口を開いた。
「では、今から服を変えてしまいますね。もう少し辛抱してくださいね、トーカちゃん」
「ん」
私が頷くと、リオさんは手早く服を脱がせて私を下着姿にして、二着目に試着した服に着替えさせていく。服を身に着けさせ終わると、リボンを解いて持ってきた櫛で髪を丁寧に梳かしていく。サラサラのロングヘアになったら、私の頭に丁寧にベレー帽を載せる。
髪を縛っていた桃色のリボンで両方の袖を縛ると、リオさんは満足そうに頷いた。
「はい、これで終わりですよ。どこかきついところはないですか?」
「ん。大丈夫」
私はそう言って、試着室に備え付けの鏡で自分の姿を見る。
そこには、甘い雰囲気の清楚な格好をした黒髪ロングヘア―の猫耳少女の姿があった。
「さあ、トーカ。今よ」
「練習の成果を見せるでござるよ」
二人に促されて、私はリオさんの方を向いて口を開いた。
「リオさん、ありがとうございます。私、このような格好は初めてなのですが、どこかおかしいところはございませんでしょうか……?」
少し困ったような表情を浮かべて、私が言いますと、リオさんは床にうずくまって鼻を押さえてしまいました。
「あ……ああ……。最高……。最高よ、トーカちゃん……」
「どう?破壊力抜群でしょ」
「これなら、明日は大成功でござろう?」
ミリィとヒサメが、リオさんにそう声をかけますと、リオさんは右手の親指をまっすぐ立てて私達にそれを見せました。
それを見た、ミリィとヒサメがにっこりと笑ってハイタッチをしました。
「新しい世界の扉を開きそうになったわ……。トーカちゃん、それで明日は頼んでもいいかしら?」
「はい。わかりました、リオさん。私、明日は精一杯頑張らせていただきますね」
穏やかな笑顔を浮かべて私が言いますと、リオさんは顔を真っ赤にして、鼻息を荒くしていました。
「あ、これはちょっとあれね。トーカ、いつものに戻っていいわよ」
「ん、わかった」
そんなリオさんの様子を見て、ミリィがストップをかけると、私はいつもの様子で口を開いた。
その様子を見て、リオさんは落ち着いたのか、私達を促してカウンターへと歩いて行く。
「いっやあ、あれは破壊力抜群だったわね!」
「そうでござるな!それに、いいものを見せてもらったとかで、値段を少しおまけしてくださったでござるしな」
「ん。値引き前は全部合わせて一万フラウだったから、それが三割引きになっただけでもうれしい」
「これで三千フラウの値引きは破格よねぇ。やっぱり、お洒落服は高いわぁ」
「拙者も驚いたでござるよ。それだけ、トーカ殿のあれがすごかった、ということでござるな」
私達はリオルイ服飾店を後にすると、話しながら広場へ続く通りを歩いていく。
私は手にした、中に服の入った布製の手提げ袋を持ちなおすと、ミリィとヒサメに抗議の言葉を発した。
「でも、服の代金一万フラウはやりすぎ。ミリィとヒサメも自重するべき」
「あはは……。ついやる気が出ちゃってね。ごめん、トーカ」
「すまなかったでござる、トーカ殿」
「あまりやりすぎると、アキツモードで話す」
「いや、それはやめて。まだ耐性がついていないから!今度こそ新しい扉開いちゃうから!私に耐性がついてからにして」
「本当に、そうしてほしいでござるよ……。”氷の戦姫”状態のトーカ殿とは違った気迫で、拙者も新しい扉を開いてしまうでござるから、しばらくはなしにしてほしいでござる」
私が半眼になって言うと、ミリィとヒサメは笑いながら答えた。
「いやあ、これは広場の露店と冒険者ギルドが楽しみね!」
「拙者もどのような反応が返ってくるか今から楽しみでござるよ」
そう言って、いじわるそうな笑顔を浮かべる二人。
私はそれを見て、ふぅと息を吐いた。




