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とある中学生

作者: 碌那空戯兎

何処にでもいるぼっち


とある私立学校に通う少年がいた。

黒い目に黒い髪平べったい顔、言わなくても分かるように彼は日本人だ。

特に目立った事も無い彼、いや人よりも劣っている彼は顔もカッコ良くは無いが別に気持ち悪い程でも無い。

成績は下の中で頭の悪い、背が160センチ、体重46キロの少し痩せた体型をする。


彼は独りだ。

世に言う『ぼっち』だ。


彼はコミュ症に隠れヲタク。

小説や漫画、アニメにゲーム。

お菓子にジュースなんて大好物だ。


だが、それは小学3年生の時に打ち砕かれた。


『離婚』


彼は小学校は続けたが精神には膨大な傷を負っていた。

そして、彼が5年生の時それは殆どが無くなった。


彼は死んでいる…


結局は母の元で暮らすことになった。

母は心配性でお金も無いのに私立に無理して行かせてくれた。

再婚し新たな父を迎える。


暮らしが楽になると偶に出かけるようになった。


ゲーム機だっていっぱい買ってもらった。


しかし、癒されることの無い『孤独』。


とある者が言った。


『死と孤独は一緒だ』


…と。


彼は死んでいた。

誰にも目も置かれずにただ救いを求めずに。


母はあの父に夢中だ。

彼になんて振り向かない。


殆ど誰も喋らない。


ついに彼は声を出せなくなってしまった。

いや、事実、出せる。

しかし、出せない、出させたく無い、出したく無い。


彼は逃げる。

現実からもなにからも。


ついに彼は自殺でも…と思った。

思ってしまったのだ。


彼は台所にある包丁を手に取る。

自分の胸まで届ける。


ギラッ


一瞬にして恐くなった。

まるで包丁が自分を殺すように見る。


いや、見ているのは包丁に映った彼だった。

恐くなり直ぐに包丁をもとの場所へ戻し部屋に戻る。


彼は次の日も学校へ行った。


彼は恐く頭をずっと抱える。

誰かが僕を見ていたんだ。

とでも思うかのように真っ青な顔をする。


そんな時彼は近づいてくる人がいた。

女性だ…制服には真っ赤なスカートを履いた女子がいた。


彼は信じられない。

自分の評価が低いのだ。

一瞬、自分に話しかけてくれる、心配してくれる、そう思うが、

彼はどうせ違う奴の所だと思う。


そんな彼の思いを裏腹に彼女はどんどんと近づいてくる。


……


遂に自分の席の前に来るかと思うと


『ねぇ、貴方大丈夫?保健室にでも行く?』


綺麗な声を出す女子。


ゾクッ!


急な声に思わず少し背中が動く


ゆっくりと顔を上げればクラスでも人気のある女子だ。

黒髪の長く整ったストレートに涙袋、二重であり目が大きい女子。


耳が熱くなり、声がうまく出せない。


『あ″ぁ、あ、あ、あ、』


頬もなんだか熱く、今にも燃え上がりそうになる。


…恋。


一つ思い浮かんだ。

これが…恋、な、のか?


彼は思う。

彼故に、優しくしてくれる女子に思う。


これは恋だ…と

文句は言わないで!

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