首相を務めた右派の日本自由党吉田茂、左派の民主党芦田均。どちらも統合運営委員会の支配下にあった。
いつものGHQ民政局のいつもの部屋だが立っているのは吉田茂ではない。
後に首相を務め、公職追放から復活した鳩山一郎と現代日本へと続く自由民主党を結党した、当時民主党総裁の芦田均が立っていた。
「芦田さん、お久しぶりです。芦田修正で{前項の目的を達成するため}の文言を入れていただいた衆議院帝国憲法改正小委員会の委員長を務めていただいて以来ですね。」彼は、いつもの暖かな口調で話しかける。
「お世話になっております。あの後も色々ありがとうございました。」戦前、外交官も勤めていた芦田は見た目良く背筋の通った整った男であった。
「あなたが呼び出すのだから単なる世間話ではない。日本社会党との連立政権のことでしょうか?」芦田は、吉田茂と違い論点がはっきりしている。そして、彼に単に服従している訳ではない、話し方にも対等感を漂わせている。
「さすがは、芦田さん。民政局とは内部対立している同じGHQの参謀第2部が左派政権、日本社会党政権を作りたがっている。民政局としては、これを黙認することにした。但し、早晩この社会党政権は潰す。」芦田が漂わせる対等感など気にせず彼は続ける。
「芦田さん、あなたはこの社会党政権に”トロイの木馬”として潜入参加してください。」
後に首相となり、現代日本へとその権力を連綿と受け継いでいる自由民主党の”民主党”部分の総裁芦田とも会話するつもりは無い。ただ、指示命令するだけであった。
「はい。分りました。」芦田はあっけないほど素直に即答した。ただ、何かを企んでいるようでもあった。
*憲法第9条を読み解く3つのポイント
1.{国際紛争を解決する手段として}①戦争と②及び③が放棄されている。
2.{前項1.の目的を達するために}陸海空軍その他の戦力を保持しない。
3.The right (of) belligeren-cy (of) the state will not be recognized.
交戦状態を意味する belligeren-cy という単語を選んだ。
戦争行為を意味する belligeren-ce という単語を避けた。
戦争権ではなく交戦権にしたかった。一連の戦争(始~交戦~終)行為の中で交戦に限定した。
戦争の始の部分は、先制攻撃するので交戦権に含まれていない。
Will が含まれている構文は、未来を表している。




