交戦状態から導かれる交戦権とは、一連の戦争(始~交戦~終)行為の一部分に限定されているに過ぎない。
{国際紛争を解決する手段として}という限定した目的のために①戦争と②及び③を放棄し、{前項の目的を達するため}だけに陸海空軍その他の戦力も不保持と多くの条件を付けることに成功した草案者は、最後の目的を果たすために belligeren-cy という単語を選んだのであった。
The right (of) belligerency (of) the state will not be recognized.
国の交戦権は、これを認めない。である。
The right (of) belligeren-cy =交戦状態の権利=交戦権、と訳されている。
そして belligeren-cy =交戦状態 と訳される単語なのである。
語尾が Y と E の違いだけで同じ名詞だが belligeren-ce =戦争行為 という単語を使ったのであれば、戦争(始~交戦~終)という行為の始まりから途中、そして終わりまでの一連の戦争という行為が全部できなくなってしまうからである。
belligeren-ce =戦争行為 という単語を使ったら次のようになるだろう。
The right (of) belligeren-ce =戦争行為の権利=戦争権、と訳されて当然であろう。
これこそ、皆さんが学校で習った憲法第9条のイメージ、戦争を認めない憲法第9条のイメージではないだろうか。
しかし、現実的には憲法第9条が認めていないのは、交戦権=交戦状態の権利なのです。




