彼は、大英帝国から阿片利権を奪った日本人に接触した。
海軍は既に新型爆弾(原子爆弾)をB29に搭載し、実戦配備を完了している。
時間は無い。
彼は、OSS(戦略諜報局)を動かすしかないと判断した。
ただ、正規のルートではない。
長官のウイリアム・ドノバンに直接面会したのであった。
CIAの前身であり、COI(情報調査局)の後身であるOSSは、このウイリアム・ドノバンが創始者である。
ドノバンはさる1941年(昭和16年)10月に当時の大英帝国情報部第6課(MI6)の米国支局からロックフェラー・センター3603号室を引き継ぎ、COI(情報調査局)本部を設置していたのであった。
会談は、このロックフェラー・センターで行われた。
「私たちの仲間である日本人に接触したい。」気難しい彼が、誰にも見せた事の無い笑顔をドノバンに見せていた。
「そろそろ彼に接触する段階か。」ドノバンもこれ以上無いであろう親しみを込めた笑顔で応じた。
二人は結社に所属する肉親よりも信頼できる仲間なのであった。
「私はこの部屋を大英帝国から奪った。彼はもっと大きな利権を大英帝国から奪った。彼はManchuria(中国東北部)のKing(支配者)だからな。」
ドノバンは愉快この上ない口調であった。
彼もまた愉快であった。
イスラエル建国は目前なのだ。
日本人にも協力してもらおう。




