日本国占領の準備。アーミー・メソッドの投入決定。占領国を骨の髄まで支配する方法。
彼は、何食わぬ顔をしてダグラス・マッカーサーの隣に座っていた。
居並ぶ米国首脳たちの前で淡々と日本国占領、家畜化計画の立案に関する説明をしていた。
特筆すべきは、実際の占領統治に当たっては日系人の通訳だけではなく、米軍将校に日本語を理解させ話させる構想を立てていたという点である。
米国に逆らったイエローモンキーを骨の髄まで支配する為、更には占領国統治を表面的にではなくその政体にまで深く関与し二度と逆らえない家畜にするという目的を達成する為には、支配者がその言語まで理解し操る必要性が高いと彼が主張したのであった。
表向きはである。
英国が植民地支配の際、支配者たらんとして現地の言語を一切学ばなかったことと180度違う方針であり、数々の支配者達の長い歴史の中でも異端と呼べる占領方針であったことには、間違いない。
但し、この占領方針による真の目的は、支配者であるはずの米国を逆に日本国に取り込み、日本国の存在が無ければ米国の経営が成り立たない、謂わば米国を軍事面ではなく、経済面で日本国に隷属させるべく導入された深慮遠謀な策であったのである。
彼のこの秘策、アーミー・メソッドの正式採用が満場一致で決まった。




