第一章 伍話
アデル、出撃しまーす。
「ふぅ………。」
そう呟きながら、俺、廟は讖田君と一緒に下界へと下りた。アノーヨからはいつでも行けるし、いつでも戻れるらしい。しかし、一回ピチュるのはちょっとなあ………
「もうカバディーはやらなくていいんでやんすか?」
讖田君は、グッズを人里の倉庫にしまってきたらしい。さすが。
「もう大丈夫だよ。そうだ、人里を離れて旅してみない?」
「そうでやんすね。でも、武器が欲しいでやんす。」
確かに讖田君の言う通りだ。武器を買おうじゃないか。
「金は?」
「ふふふ………後払いでやんす。ツケでやんすよ。」
顔が黒いよ讖田君。俺は弓を買い、讖田君は刀を買った。
「じゃあ行こう讖田君。」
「おkでやんす。」
その時、俺らと同じくらいの女の子がこっちに向かってきた。走って。
「待ちなさいあんた達‼︎旅に出るんでしょう?!」
うん。
「ああ、そうだけど?」「そうでやんすよ。」
「じゃあ、あなた達のパーティに入れてくれないかしら?」
うっわー。すげぇ自信。実力はどうだろうか?
「おkでやんすけど…名前は何でやんす?」
俺も気になった。
「アデルよ。アデル・サラフォード。よろしくっ!」
ん?外人、かな?銀色に赤、いや、薄い赤紫色色の髪の色のポニテ。160位の背、そして勝気な性格、張るほど大きくないむry、何より俺が気になったのは、気配だ。明らかに他の人とは違う。俺は自分の目に、自信があった。
「おうおう、俺は霊屋 廟。」「讖田 平吉でやんす。」
自己紹介を終えた俺たちは、人里を離れて、平原に出た。
「てゆーか、何しに行くの?行き先を教えてくれないかしら?」
アデルが不満そうな顔で言う。すかさず俺は答える。
「分からん。そういえば、俺と讖田君は気づいたらここに居たんだ。アデル、ここはどこなんだか知らないか?」
「あー。知ってるわよ。」
@!
「まじかぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎こ、ここはどこドゥベェラァァァ?!」
お、落ち着け俺。
「落ち着きなさい(汗)ここは誰もが羨む聖地、『理想郷』の一つ、シン・カル・デナン。人々は『ユトランド』とも言うわ。」
し、知らなかった………ん?理想郷の『一つ』?
「一つって………他の所もあるでやんすか?」
「あるわ。確か、この先にワープゾーンがあったはず………」
俺と讖田君は口を揃えて言った。
「「行こうじゃないか‼︎」」
「三△三」
アデルが顔を変えた。
「いいけど…行くところがあったんじゃなかった?」
「理想郷が一つじゃないってことを調べるためだよ。」
「なるほど、行きましょうか。」
快く引き受けてくれた。ありがたいなぁ。
「あったわ。行きましょうか。」
「おー‼︎」「おー‼︎でやんす。」
扉の先には、広大な青い海ととても綺麗な一面の緑が広がる『理想郷』って感じの所だった。
次回、木曜日。お楽しみに〜