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変化?

~第46話~


千尋とすみれちゃんと

友紀の3人で食事を

した後、

カラオケへ。

駅の近くの

前回も3人で行った所。

千尋はだいぶ飲んでいた。

友紀はすみれちゃんの

前でもあるし、

飲ませ過ぎた、

と反省していた。

カラオケに入り

歌いだす。

ここでもお酒を注文した。

甘いのかもしれない、

駄目なんだろう。

でも、友紀は

千尋の思うように

してやりたかった。

楽しく歌っていた。

突然、千尋は

涙をみせた。

友紀と離れ

付き合っていた    彼のことを

思い出したのだろう。

すみれちゃんを挟んで

座っていた友紀は

千尋のそばに。


「大丈夫!

 いいから…。」


友紀の手から

おしぼりを受け取ると

友紀を押しやった。

重い空気。


バラードが多く

選曲された。

ぼんやりと友紀は   千尋を眺めた。

小さな涙は

いつまでも、いつまでも

そこにあった。


部屋の電話が

重い空気を

震わせた。

延長はせずに

帰ることに。

小学生には

かなり遅い時間。


また、やっちゃった。

3人でいられた

嬉しさと共に友紀は

そんなことを思った。

駐車場までの道

千尋は不機嫌だった。


「いい…、

 ここからタクシー   で帰る。」


「タクシーなんて…。」



「いいの、

 構わないで。」



車に乗らない。

先に乗っていた

すみれちゃんに



「降りなさい、

 帰るよ。」



足どりもおぼつかない。



「風邪ひくから…。」



11月、外は

かなり寒い。

しぶしぶ車に。

家まで千尋は

何も話さなかった。  友紀はすみれちゃんに

飲ませ過ぎたことを

謝った。

家に着いた。

手を貸し車から

降ろそうとする。



「いい。」


涙声、

機嫌も悪い。

すみれちゃんも降ろし

千尋に手を貸そうとした。


「だから、いい。」            

ふらふらだ。

友紀にすみれちゃんが

目で合図する。

友紀は苦笑い。

すみれちゃんに    千尋の体を

まかせた。

玄関まで2人の後をついていった。

すみれちゃんが鍵を

開けて振り返った。

軽く頭を下げた。友紀も微笑み、


「ゴメンね、

 お母さん、

 頼むね。」


すみれちゃんは

頷く。

2人の姿が

鉄の扉の向こうに

静かに消えた。

静けさが

闇をより深くした。  友紀は立ち尽くしていた。

その場から動けなかった。

少しして部屋から

千尋の泣く声が…。            

「2人で生きて

 いこう…。」


この言葉だけは、

しっかりと聞き取れた。

後は

言葉とも、泣き声とも

判断がつかなかった。

しばらく千尋は

泣き止まなかった。  激しい雨が

友紀に打ちつけ、

激しい痛みが

友紀を襲った。

2人の小さな部屋にも

やむことのない

激しい雨が…

降り続いた。     この扉を隔てた中に  泣きじゃくった    千尋がいる。

飛び込みたかった。

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