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消えた治癒士への執着は棄てて下さい  作者: みん


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7/10

7 ルベール=メンフィールス

*ノーザンディア王城・謁見の間*




「ただいま帰還しました」

「ああ、ご苦労だったね。報告は受け取ってある。疲れているだろうから、今日はこのまま下がって休むと良い。詳細についての報告は、明日の午後から時間を取ろう」

「承知しました。そうさせていただきます。お気遣いありがとうございます」


ノーザンディア国王からそう言われて、謁見の間から退出しようとした魔道士ルベール=メンフィールス公爵。


「下がる前に、私の部屋にいらっしゃい」

「………」


下がるルベール=メンフィールスに声をかけたのは、ルベールの実姉でありノーザンディアの王妃フィオナだった。


「今からならすぐに済むけど、日を改めると言うなら()()()()時間をとるわ」

「今すぐに伺います」


フィオナ王妃もメンフィールス公爵も微笑んでいるが、2人の放つ空気は冷気を纏っている。


「2人共ほどほどにな……」


そんな2人を苦笑しながら見送ったのは、ノーザンディア国王だった。





*フィオナ王妃・執務室*



「私……セオドリクに何か言う事はある?」

「あぁ、そうでしたね。王太子セオドリク様と聖女の結婚おめでとうございます」

「ありがとう……ってそうじゃないでしょう!」

「他に何か言う事がありますか?」


自分を睨んでいるフィオナに、ルベールは表情を変える事なく、その視線を受け止めている。


「はぁ……この結婚が気に入らないという事は知っていたけど、まさか結婚式にも参列しないなんて思わなかったわ。セオドリクは貴方の甥でもあるのよ?」

「それでは、()()殿()()は、『民の命より結婚式を優先しろ』と仰るのですか?」

「ルベール……そんな事は言ってないわ。国として民を一番に考えるのは当たり前の事よ。魔獣討伐ありがとう。ただ、セオドリクが貴方の不在を一番気にしていてショックを受けていたわ。だから、せめてセオドリクには直接祝いの言葉をかけてあげて欲しいのよ」

「それは勿論ですよ。可愛い甥ですから、()()()()()()()お祝いを持って伺います」


“忙しくて、すぐには時間がとれない”


「治癒士の事は残念だと思っているわ」


フィオナ王妃の言葉に反応するルベール。それでも、ルベールが言葉を口にする事はない。表情も変わる事はなかった。そのまま暫く沈黙が続いた後、先に口を開いたのはフィオナ王妃だった。


「言い訳じゃないけど、私もこの流れの早さには驚いているのよ。でも、国王がそうと決めたらそうするしかないのよ。だから、私個人としては、今ルベール達がしている事には口出しするつもりはないわ」

「ありがとうございます。その言葉だけで十分です。それでは、失礼します」


そう言うと、ルベールは頭を下げた後、執務室を退室した。





**ルベール視点**


「ルベール様、お帰りなさいませ。お疲れ様でございます」

「ただいま。俺の留守の間に何か変わった事などはなかったか?」

「特にはありませんが……今、来客が……」

「来客?」

「ルベール、お疲れ様。久し振りだね」


王城からメンフィールス公爵邸に帰って来た俺を出迎えたのは、執事のレックスとバズラス国の第三王子ラドルファスだった。


「ラドルファス殿下、お久し振りです」

「そんな畏まる必要は無いよ。そんな改まれると気持ち悪いから」

「相変わらず口が悪いな……くくっ」

「お前ほどじゃないよ。とにかく、お疲れのところ悪いけど話があるんだ」


ラドルファスは人懐っこく自由奔放な性格で、2人の兄とは違い王位に立つ資質や能力は持ち合わせていない──と言われているが、実のところは諜報能力が高い。王になる気は全く無く、父や兄達の為に諜報活動をしている。そんな訳で、戦闘能力もかなり高いから、俺達と一緒に亀裂の封印の旅に参加していたのだ。


「分かった。レックス、俺の執務室に準備を頼む」

「承知しました」






「“奇跡の聖女”について、ルベールはどう思う?」

「“神々に愛されている”んだろう?」


“亀裂の封印が終われば力を失う”


それが聖女の理だった。本来、役目を終えても聖女の力が失われる事がなかったのだが、聖女の力を手に入れようと紛争が起こり、聖女が犠牲になった事があり、それ以降、聖女が犠牲になったり争いが起きたりしないように─と、亀裂の封印が終わると聖女は力を失ってしまうが、神々からの祝福を受ける事で聖女を護るようになったと伝えられている。


それが、聖女の力が残ったままで祝福を受けたというのだから、神々に愛されているのだろう。


「残っていると言っても、あの頃の3分の1の力も無くて、軽い怪我程度しか治せないみたいで、もう殆ど聖女としての活動はしてないみたいだけどね。ま、亀裂を封印してくれただけで有り難い事だし、それ以上の事を聖女には求めてないけどね」

「そう言う割には、納得していないと聞こえるのは俺の勘違いか?」


ラドルファスにしては珍しく、少し棘のある言い方だ。


ー結婚式の時に何かあったのか?ー


旅の間、ラドルファスとナナカが険悪だったという報告はなかった。


「ナナカから、ジルダの魔力を感じたんだ」







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