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消えた治癒士への執着は棄てて下さい  作者: みん


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2 辺境地

「ねぇ、本当に行かないの?」

「本当に行かないわ」

「割安で王都に行けるのに?」

「別に王都に興味はないから」

「成婚パレードがあるのに!?」

「んー……それも、別に興味無いかな…」



ここはノーザンディア王国の最北端に位置する辺境地。とは言え、この辺境地の先は海が広がっている為、他国からの脅威とは無縁で、魔獣が溢れるような鬱蒼とした森や山も無い平和な辺境地だ。王国内で言えば、他の領土よりも寒い冬の期間が少し長めだけど、夏はそれ程暑くもならないから過ごしやすい。

そんな辺境地から王都までは、馬車に乗って5日ほどかかる上に、それなりにお金もかかるから、滅多な事では王都に行く事はない。でも、今回はかなりの割安で王都に行けると言う事で、かなりの人数の領民が王都に行くようだ。

『何故割安に?』と言うのも、1週間後にこの国の王太子の結婚式と成婚パレードが王都で行われると言う事で、国から交通費の援助金が配分されるそうで、割安で王都に行ける事になったそうだ。


「私、馬車での長距離も苦手なの。だから、私の分までメリッサが楽しんで来て。それで、帰って来たら話を聞かせて」

「分かったわ。リヴィアンナの分までしっかり見て楽しんで来るわ」


と、私─リヴィアンナ─の友達であるメリッサは笑顔で答えた後、家へと帰って行った。


「成婚パレードか……盛大なものになるんだろうなぁ……」


何と言っても王太子妃となるのは、この世界を救ってくれた聖女様だ。盛大にならない筈がない。しかも、この聖女様はただの聖女ではなく、“奇跡の聖女”または“神々に愛された聖女”と呼ばれている。何故なら──


過去の文献から、過去に召喚された聖女達は、この世界の亀裂を浄化し終えると、必ず光の魔力を失うとされている。それでも、光の魔力を失ってしまっても神々からの加護があり続ける為、神々から愛されている事に変わりはない。

それが、今回召喚された聖女は、浄化し終えた後も、魔力はかなり弱くなってしまったようだけど、完全に失う事は無かったそうで、“奇跡の聖女”や“神々に愛された聖女”と呼ばれるようになった。

そんな聖女と王太子との結婚と成婚パレード。国中が祝福ムード一色になるのは当たり前だ。


それに───


この国は、3ヶ月間喪に服していた時期がある。それは、聖女達のパーティーが浄化を終えて帰って来てから半年後だった。今回の旅で、帰って来なかった者が1人居た。最後の亀裂を封印、浄化する時に消えてしまったそうだ。それから、数ヶ国合同の捜索隊が組まれて捜索を続けたけど、見付けるどころか手掛かりすら見付ける事もできず、最終的に“死亡した”と判断されたそうだ。それから、3ヶ月間、喪に服す事になった。

そうして3ヶ月間の喪が明けてから3ヶ月後に、王太子と聖女の婚約が発表され、更に半年後の今日から1週間後に結婚式が執り行われる事になった。

だからこそ、余計にお祝いムードに拍車が掛かったんだろう。


「王族の結婚なのに1年もかからないなんて……」


過去にも聞いた事がない。一般的な貴族の結婚でも1年以上かけて取り組む結婚式。王族ともなればそれ以上かけるのが通常だ。

悲しい出来事を慶事で払拭したかったのか。それとも………国として、急いで奇跡の聖女を手に入れたかったのか。


唯一帰って来れなかった1人は、王太子の婚約者の令嬢だった。もともと、旅が終われば結婚するだろうと言われていたから、ある意味準備は進められていた筈だから、こんなにも早く結婚にまで進められたんだろう。

とにかく、この世界に平和をもたらしてくれた聖女様には、王太子様と2人で幸せになって欲しいと思っている。それは、私だけじゃなくて、皆が思い願っている事だろう。


「どうか、幸せに………」

『リヴィも嬉しい?』

「アウラ、勿論よ」

『それなら、私も嬉しい』


そう言って、私の左肩に止まっているのは、見た目はメジロの様な鳥の風の妖精アウラ。私と契約を交わしている妖精で、私の左肩がお気に入りのポジションだ。羽は鮮やかなライトグリーンでお腹辺りは真っ白で、私の手の平よりも少し小さいサイズの可愛い妖精だ。動物の姿の妖精は下級で、上級にもなれば人の姿になる。


「アウラが嬉しいなら、私も嬉しいわ」

『同じね…ふふっ』


鳥だから表情は変わらないけど、嬉しさはしっかりと伝わってくるから、本当に不思議だなと思っている。



そう言う訳で、それなりの領民が王都へと出立すると、いつもより静かな日々が続いた。


友達(メリッサ)も居ないし、暇だから、今のうちに作っておこうかな」

「リヴィ様、お昼の支度ができました」

「あ、ミツ、ありがとう」


私のもう一人の同居人のミツは、家事全般が完璧な上に戦闘能力も完璧な、見た目は可愛らしい女の子。色んな理由があって、1年程前から私と一緒に暮らしている。


「ミツが作る物は何でも美味しいから、ついつい食べ過ぎちゃって……最近太った気がするわ」

「それは嬉しいです。リヴィ様はもともと細過ぎなので、もっと食べても大丈夫ですよ」


と、ミツが私を甘やかすのも太る原因の一つなのかもしれない。




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