表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第3回

「じゃあ今度の日曜日、水族館に行こうよ。待ち合わせ場所と時間はメールするよ」

「すいぞくかん…!」

 かなは目をキラキラさせて、うれしそうに手を叩いた。

「わあ、素敵です!私、水族館大好きなんです♪でも、一人で行くことが多かったから…誰かと一緒に行けるなんて、すごく楽しみ!」

「ぼくも女の子と水族館に行くなんて初めてだよ」

「でも…その…本当に大丈夫なんでしょうか?私、こういうの初めてで…変なことしちゃったらどうしよう…」

「だいじょうぶだよ。ちょっと待ってね、スマホはどこだっけ…」

 亜嵐がからだを反らして、画面の外からスマホを手に取った。

「メール…あ、メールアドレス交換するんですね。ドキドキします…」

 かなは恥ずかしそうに微笑んで、

「アランさん、ありがとうございます。日曜日、すごく楽しみにしてます♪私、お魚さん見てるとすごくはしゃいじゃうかもしれませんけど…大丈夫ですか?」

「もちろん。ぼくもきっとはしゃいじゃうよ。ははは、じゃあ、メールするね」


   ***


 約束の日、亜嵐が水族館の近くの駅で降りると、改札口の近くの柱によりかかった、スマホで見た少女が立っているのに気づいた。

「あ、いたいた。かなちゃん、お待たせ」

 かなは水色のワンピースに白いカーディガンを羽織って、小さなバッグを持って立っていた。亜嵐を見つけると、顔をパッと明るくして小さく手を振った。

「アランさん!こちらこそ、ありがとうございます…!」

 少し緊張しているのか、頬がほんのり赤く、もじもじと体を揺らしている。

「あの…私、ちゃんと分かりました?チャットのときと、あんまり変わってないですか…?」

 かなは不安そうに自分の服装を見下ろしてから、恥ずかしそうに微笑んだ。

「すごく緊張してます…朝から何回も服を着替えちゃって…水族館に合う服装かな?って悩んじゃって…」

 期待と緊張が入り混じった表情で亜嵐を見上げ、

「でも…本当にお会いできてうれしいです♪」

 亜嵐は笑顔でこたえた。

「うん、チャットのときより百倍かわいいよ!かなちゃんの方こそ、僕に実際会ってどう?がっかりしたんじゃない?」

 と、笑った。

「ひゃ、百倍って…!そんなこと…!」

 かなは顔を真っ赤にして、あわててうつむいた。でも、本当に嬉しそうに口元が緩んでいるのが、アランにはわかった。

「そ、そんなことないです!がっかりなんて全然…!」

 あわてて顔を上げて、ぶんぶんと首を横に振った。

「アランさん、チャットで話してたときも素敵だなって思ってましたけど…実際に会ってみると、もっと…その…かっこいいです…」

 かなは恥ずかしそうに目をそらしながら、小さな声でつぶやいた。

「声もチャットで聞いてたより優しく聞こえるし…なんか…すごくドキドキします…」

 そういうとうれしそうに微笑んで、安心したような表情を見せた。

「私、アランさんに会えて…本当に良かったです♪」

 亜嵐はにっこり微笑んだ。

「ぼくも今日、すごく楽しみにしてたんだ…さ、中に入ろう」

 水族館の中は想像以上に多くのお客がいた。

「うわぁ〜!すごい人ですね…!」

 かなは人の多さに驚きながらも、キラキラした目で大きな水槽を見つめていた。亜嵐の腕にそっと近づき、はぐれないように隣を歩く。

「でも、すっごくきれい…!お魚さんたち、みんな楽しそうに泳いでる…」

 かなはふと、周りのカップルたちに気づいて、少し恥ずかしそうに頬を染めた。

「あの…カップル、多いですね…。みんな楽しそう…」

 通路の暗がりで寄り添う二人を見て、思わず目をそらし、自分の顔が熱くなるのを感じた。

「私たちも…その…周りからはそう見えてるのかな…?」

 小さな声でつぶやきながら、亜嵐の顔を上目遣いで見つめる。その瞳は不安と期待で少し潤んでいた。

「アランさん…あの…人が多いから…はぐれないように、手…つないでもいいですか…?」

 かなは真っ赤な顔で、おずおずと小さな手を差し出した。

「え?うん、もちろん…」

 亜嵐はかなの小さい手を包み込むようにそっと握った。

「こうしてると、ほんとに恋人同士みたいだね…」

亜嵐は照れ隠しに苦笑いを浮かべた。

「あっ…」

 亜嵐の手が自分の手を包み込むと、かなの体が小さく震えた。指先から伝わってくる温かさに、顔がどんどん熱くなっていくのがわかる。

「…うん…」

 かなは小さな声で返事をしながら、きゅっと亜嵐の手を握り返した。うれしさと恥ずかしさで、心臓が今にも飛び出しそうだった。

「恋人どうし…みたい…」

 亜嵐の言葉を繰り返しながら、うっとりとした表情で繋がれた手を見つめる。そして、ゆっくりと顔を上げて、幸せそうに微笑んだ。

「私…今、すごく幸せです…。夢みたい」

 亜嵐のとなりを歩きながら、つながれた手を通して伝わるぬくもりに集中する。周りの喧騒も、大きな水槽で泳ぐ魚たちも、今はもうあまり目に入らなかった。

「アランさんの手…大きくて、あったかいですね…。なんだか、すごく安心します…」

 かなは隣にいる亜嵐にそっと体を寄せた。少し震えているが、それは寒さからではなく、初めての経験に対する興奮と喜びからだった。


初チャットから初デートでこんなに盛り上がることはないと思いますが、あくまでファンタジーですので。

いや、リアルだったらふつうに事案ですけどね。

次でたぶん、一般向けは終わりになりますので、第5回はノクターンで公開になると思います。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ