緊急会議
ナンバーズの一人に小型カメラを仕掛け、ツーブレル王国滅亡の一部始終を見ていた国王側近のマーサンはナンバーズの帰宅を報告する。
「国王様。ナンバーズが戻られました」
「奴は……No.9は死んだか?」
「いいえ。全員揃っています」
「そうか……。下がれ」
「はっ」
マーサンは軽く会釈をしてその場を離れる。
エネアの処理に頭を悩ませる国王サンドマーク。
そう、何を隠そう今回のこのツーブレル王国滅亡の命令の真の理由は魔力研究の一環等ではなくエネアの死亡を目的としていたのだった。
魔力の解析を行っているこの研究所でエネアの存在は汚点そのもの。
どうにかしてでも消したい存在となっていた。
一時期は追放も考えていた国王だったが独占欲が強く、それが例え汚点であるエネアであっても他国の手に渡ることを許さなかった。
故にサンドマークは今エネアの処理に頭を悩ませる事になるのだが……。
考える事が嫌いな国王にとってこのエネアという汚点が頭を悩ませる存在になっている事も嫌悪する理由の一つとなっていた。
「おいマーサン。緊急会議を開くぞ。人を集めろ」
「かしこまりました」
思考を止めた国王が考える事など猿でもわかる。
緊急会議という名目で人任せにするのがサンドマークのお決まりだった。
2時間後――。
マーサンから招集を受け、緊急会議が開始される。
まず最初にサンドマークが議題を話した。
「今回の議題はナンバーズ最大の汚点であるNo.9の消去についてだ。皆よろしく頼む」
国王の仕事はこれでほぼ終わったようなものなのだ。
後は部下達が勝手に話し合いを進めるのを待つ。
「私からは放置による餓死を提案します。誰の手も汚さないという点においてはこれが最も良いでしょう」
最初に口を開いたのは研究所の最高責任者であるサッチョだった。
餓死を題材に会議は順調に進んでいく。
「私は反対だ。時間がかかりすぎる」
「私は賛成だ。放置するだけで死ぬならそれに超したことは無い」
ある者は反対の意を示し、またある者は賛成の意を示す。
最終的に押し問答になった所でこの題材は一旦保留となった。
そして次に、今まで一度も喋らなかったこの王国の執行官であるラッセロは右手を小さく上げその場で起立する。
そして、
「あのー、私から一つ提案があるのですが……」
ここで初めて口を開いた。
そんな勿体ぶるラッセロに怒りを見せる国王サンドマーク。
「何だ?早く言え」
「私は彼を死刑用の耐久マシンとして使いたいと考えております」
放たれたのは執行官に相応しい血も涙もない一言だった。
死刑用の耐久マシンとは詰まるところどれだけの死を耐久できるのかという単純な物である。
「そんな案が通るわけないだろう!」
「殺す事がメインなのだぞ!」
「何を考えている……」
案の定その提案は猛反対を喰らうことになる。
それもそのはず、今回のテーマはエネアの死であって生かすことは論外だ。
だが国王はその提案を聞いた途端今まで浮つかない表情だったのが、ニンマリと気持ち悪い笑みを零し、
「それにしよう!!」
両手で机をバンッ!と一回叩き、声を上げていたのだった。
「えー、国王直々の決定により、ナンバーズNo.9を死刑用の耐久マシンとして扱う事にする。
意義がある者は挙手を」
マーサンが会議を終わらせにかかる。
国王の一言に反対を申せる者など現れることも無く、会議は呆気なく幕を閉じた。




