「泡の子」 2025/05/25
著◆樋口 六華先生
話の起伏が少ないが、芸術的な文章が「読む快楽」だった。
最近そういうジャンルがあるのかな?
メンタルヘルス(病んでる)主人公が多彩な比喩を使って、noteに書き込むような病的な文章を小説の形にするのって。
私が最近好きになった作家もそういう感じなんだけど。
流行、なんだろうか。
冒頭で書かれた「七瀬」は幻覚のような気もする。
主人公の見ているものは九割くらい幻覚なので(ちょっと盛ってるが)その幻覚と文章力がマッチしているのが面白かった。
amazonレビューでさして文学に詳しそうでもない主人公ヒヒルが、語彙が豊富すぎるのがおかしいといわれていたが、なるほどと感じるとともに、前述したような新しいジャンルの確立を感じた。
ジャンルと言わずとも、この作者の語彙力が抜きんでているから、作者の知識が炸裂して、「こういうの読みたい」あるいは「こういう表現をすると気持ちいい」みたいな勢いで書いてあるのかな? と感じた。
べつに読んでるこっちも文章の広がり方が気持ちいいので、それでいい。
作者は高校の受験時にこれを書いたとインタビューで述べていたが、次の作品が出たならまた期待したい。