「幼馴染のVtuber配信に出たら超神回で人生変わった」 2024/12/24
著◆道野クローバー先生
こちらの作品は第8回カクヨムWeb小説コンテスト「ラブコメ部門」〈特別賞〉を受賞して出版された経緯がある。
話の展開としてはいくつか笑える場面があり、面白い。ラブコメ要素が幼馴染の一本道であることもかなりポイントが高い。
Vtuberものの定番、配信切り忘れからの成功!という展開もきちんとやり遂げていた。
面白かったポイントとしては、
・主人公のVtuberのキャラ崩壊までが短い。
・主人公がややいじられキャラであり、ファンマークを決める流れもひどかったことから。
・中盤のサブキャラの特に市ヶ谷もちや安藤和夫との話が落ち着いて面白かった。
・実際にVtuberを推している人からすると、ファンだったら垂涎ものの神展開を連発しているため、痛快さを味わいやすいと考えられるため。
・そもそも主人公のゲームが強いという特性が、Vtuber適性が高くノンストレスで読める。今後の展開で、ゲームで俺TUEEができるのが想像できるため楽しい。
残念なポイントとしては、文章力がちょっと不安定な印象を受けた。「……だったんだ」というのがくる度に笑ってしまう。文章に慣れた後半は、話の内容だけに集中できた。
登場キャラクター数、イラストがついているキャラが多い割には、ポッと出て消えるキャラクターが多い。
100人以上が在籍するVtuber事務所に所属するという話の特性上、ネームドにしなければいけない上に多少絡ませなければいけないのだろうが、ポッと出して消すには惜しいと思った。Web版では今後も絡んでいるのかもしれないが、この一冊だけではそこまで不明。
よくない点というわけではないが、キャラクターがどれもオーソドックス・どこかで見たような性格をしていて、オリジナリティはあまりない。
幼馴染の一本道であることは評価できると書いたが、幼馴染も普通すぎて特別な魅力は感じなかった。とはいっても尖ったところがないので、とても読みやすい、ふつうのキャラクター造形といえる。
素晴らしいことに人数が多いにも関わらず全員のキャラ分けは成功していて、一人ひとりから何らかの個性は感じるし、言動もなんとなく想像できる。とても良いと思う。
ラブコメの観点からみると、ヒロインと絆を深めるエピソードが足りないような気がした。
あくまでVtuberが主軸であり、ラブコメはサブ要素というふうに読める。
読んでいる最中は楽しかったが、続きはあまり気にならない。