だい6わ 『ハイパー旭日フラッシャー』
「と、兎に角!日本人じゃ生きていけないんだってば!ほら、見て!」
げたばこ 入れの中を ぼくはあけた。
「ほう」
フソウさんは、その綺麗な瞳を細めた。
(……そりゃあさっきのはすごかったんだろうけど、エグいことを平然とする)
彼女の うわばきの なかには むすうのガビョウと 死んだカエルが 入れられていた。
「カエルか、こんなものに詰めるよりも……ストローで尻に空気を入れて爆発させたほうが面白いのに」
まがおで いいきる フソウさんだった。
「ざ、残虐っ!」
ま、マジで なんなの この子! イミワカンナイ!
「と、とにかく……絶対教室の机の上はラクガキだらけだし、花の入った花瓶とか置かれてるだろうし、椅子は汚物で……もう、あんなことをしでかしたんだ、普通に生活するのは無理だよ!」
そう 日本人にたいする こうげきは いじめではない。
「いくら腕っぷしが強くても!」
日本人は いくらでも さべつしてよい さげすんでよい。
「いくら日本人をブン投げる頭のおかしい子でも!」
それが 100年いじょう前から つづいていた この国の でんとう。
「日本人であることがバレたら……この社会では絶対生きていけないんだよ!!!」
思わず さけんでしまっていた。
げんじつを かのじょに しってほしくて。
「いや、タケル……お前……いいのか?」
「何が?」
フソウさんが きょとんとした顔で ぼくをみつめていた。
「さっきから日本語で叫びまくって……もう、お前も日本人だとバレているぞ」
………ドクウンッ!
「なっ!?」
思わず しゅういを みまわす。
げたばこの かげに。
かいだんの かげに。
むすうの ひとかげが…… こっちを ながめていた。
「……ど、どうしよう」
おわりだ。
もう これで僕も おわりだ。
これで僕も りょうしんも みんな…… 『きょうせいろうどうしょ』おくりだ……
「ハッ!まったく……大和の名をもつお前が、ビビるな!大丈夫だ!」
何をいってるんだ この子は。
「何が楽しいんだよフソウさん……これで僕も、父さんも母さんも皆掴まっちゃうんだ!」
どうほうが はめつしたっていうのに なんでそんなに えがおなんだ。
「させはせぬさ――今、スマホで母上に連絡した、君の家族は無事だ、絶対に手出しはさせない」
え?
「そして貴様は……まあ、私が守ってやろう、同じ日本人としてのよしみだ」
何を 何を言っているんだ この子は……
「ど、どうやって守るっていうんだよ……こんな、陰湿なイジメに暴力、いくら君の力が凄くても――」
そうだ どれだけ力で まもろうと。
まもりきれない ものもある――
「103の愛國技の一つ……『ハイパー旭日フラッシャー』!」
フソウさんが さけぶと。
「うわっ、まぶしっ!」
かのじょがはおった 白いきものの うしろに たいようをもした まっかな マークがうかびあがり。
そして むすうの あかいひかりが まわりを てらしていく――
「な……何だったんだ、って……こ、これは!」
ぼくは めをうたがった。
「……画鋲も、カエルの死骸も全部消えてやがるッ!?」
どうやら かのじょの なぞの ビームが それをしたのだろう。
すさまじい にんげんばなれした みわざだ。
「知らないのか?旭日旗は破魔の力をもつ太陽光を放つ旗だ、だからこそ――『奴ら』は念入りにそれを抹消しようとした」
そう言うと フソウさんは ふところからとりだした はたを 僕にくれた。
(……や、奴ら?ま、まあ深く考えるのはよそう、絶対にトラブルの臭いしかしない)
『』できょうちょう されているけど 僕は なんとかスルーにつとめた。
「ハイパー旭日フラッシャーはその破魔の力を一気に解放する技の一つだ、これで一週間はこの学校で悪事は働けぬ……この陽光が差すうちはな」
ええっ いっしゅうかん だけかよ……
「だが、その旭日旗をもっている限り……貴様の半径500メートルでは悪事は起きぬ、まあお守りとしてしっかり振っているのだな」
なるほど こっちは きげんが ないわけだな。
……なら あんしんか。
「さあ、そろそろ教室に行こうかタケル」
ふふっとわらって しょうじょは ぼくの てをひいた。
「お、おうっ……」
その てのひらは とても やわらかくて。
あたたかくて ぼくは きづいた……
おっ!?
おおおっ!?
あれあれあれえぇ~?
これって、アレですか?
けっきょく アレなんですか~?