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日本人はぜんめつしました。  作者: 前立腺ボンバー
3/10

だい3わ 『日本人だ』





 ―1―





「や、やめてくれぇ……!も、もうやめてくれぇっ!ひいいいいっ!」



 ここは 日本では ありません。



「……クソッ」  



 だから 僕は このてににぎられた 石を こいつに 日本人に ぶつけなければ いけません。



「……クソ」



 ぼくのこころを さっしてか そらも くもっていきます。 



 あめすら ふりそうです。



『ほら!さっさとしろよグエン!何なら一緒に投げるか!?』


 

 かれに あくいは ありません。



 それが ぼくには ひどく おそろしく かんじます。



『大丈夫だよ、僕に……任せてくれ』



 もう かくごを きめなければ いけません。



『スゥーー』



 しんこきゅうして いきを ととのえます。



「いでええっ!死ぬっ!死んじまうっ!なんでもするからっ……やめてくれっ!たのむっ!」



 ボカアアッ! バキイイッ!


 そのかんにも 日本人の しょうねんは ボコボコにされています。



 今なら――



 この ぼうりょくの あらしのなか なら 僕のなげた 石など どうとでもないはず



「やめろっ!やめてくれえっ!クソッ!くそおおおっ!」



 それに こいつの おやは 日本をうった うらぎりもの らしいじゃないか。


 そうだ こいつのおやのような クズが 日本を ほろぼしたんだ。



 やっていい ぼくは こいつに 石をなげて いいんだ――




『行くぞ……劣島猿(れっとうざ)――』















「それを投げたら、お前はもう戻れなくなるぞ」













 ――りんとした こえが ひびく。




 まるで かたなの きっさきのような。



 つめたくも たしかな いしをかんじる きれいなこえ。








「な…何だ、君は?」





 思わず 日本ご が 口から もれる。



 そして 気づいたときには。



 ぼくの ぼくたちの めのまえには くろい髪を ポニーテールにした しょうじょが たっていた。







「私の名は愛國扶桑(まなくにふそう)――日本人だ」





 いってんのくもりのない ほうせきのような 黒くて まっすぐなひとみ。



 白い着物を 黒いセーラーふくの うえに はおり。


 まっかなスカートが かぜに まう。






「に、日本人……!?ば……バ、バカかよおまえええっ!じじ、自分から名乗るやつがあるかっ!」





 ボロボロになった 日本人が さけびます。



 それもそうです 日本人を なのるのは この国では じさつこういです。



 それも かのじょは きれいで わかい 女 どうなるのか ひをみるよりも あきらかです。  




「馬鹿者は……貴様(うぬ)じゃっ!」




 グシャアアアアッ!



「うういでででででででででええ!」



 ぼろぼろになった日本人でも かまわず がんめんを つかんで いっかつします。



(こ、こいつは……)



 いま かんぜんに わかりました このこは あたまが おかしい。



「日本人なら……日本人を名乗らんで――なんとするか!」



 そして かれのあたまを つかんだまま ぐるぐると 自分のからだを まわしていきます!



 まるで たつまきの ようです!




「103の愛國技の一つ、大東亜(だいとうあ)空の旅行オオオオオッ!」




 ブウウウウウンッ!




「ぎゃあああああああああっ!」





 ピカーン。

 

 ボロボロになった 日本人の わかものは ほしに なりました。




「何なんだ……何なんだこの子は?」




 わけがわからない いみがわからなすぎる。



 日本人を たすけにきたんじゃないのか?



『何言ってるか……ぜんっぜんわかんねえけど、お前がブッちめたってことは、お前は大陸の人間か?それにしても聞き慣れない言葉を使うなあ』



『でも私の母国語でもないアルね、まさか日本人じゃないでしょうし……』



 まわりの人間たちも そうぜんとしています。



(うわ、嫌な流れ……)



 そりゃあそうです じぶんたちが しいたげていた人間が そらのほしになったんだもの。


 ぼくも いみがわかりません。



「私は日本人だ――とまあ、世界で一番美しい言語たる日本語が貴様らに解るはずもないか、仕方ない――」



 あきれたようすで かたをすくめる 少女。

 




「アイアム、ジャパニーズ、マイネームイズ『フソウ・マナクニ』」



 

 うでをくんで そう言いきる 少女。



「アイアム、ア、ベイスボールファン、センキュウ」



 かのじょの 名 は 『愛國扶桑(まなくにふそう)』。



『は……?いみわかんね、日本人……だとっ!?』

 


 この 日本人がぜんめつした 国で わざわざ 英語で なのった彼女に。



『ブッとばしてヒンむいてやるぜ……クソ日本ビッ〇がッ!』



『散々やったあとに子孫が残らないようにしてやるぜ!クソがああっ!』



 まわりの人間達は いっせいにおそいかかっていく。




『何でわざわざ日本人が日本人ぶん投げたかわかんねえけど、頭のおかしいやつだ!こいつは!』




 ごめんなさい フソウ?さん。


 俺も…… そう思います。




 

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