だい2わ 『ここは日本ではありません』
「ぎええ…!?ひぃぃぃ!痛いッ!痛いいいい!」
そして ひとだかりができた こうしゃうらでは。
なわでしばられ 血だらけになった 男子高校生が いました。
『よくまぁ僕らのマネをしてくれたですね!クソ列島チ〇ッパ〇が!お前らの国はもう無いんだよ!死ねっ!死ねっ!死ねっ!』
「ハハハハッ!一人っ子政策してた俺たちだって今じゃこんなに栄えてるのに、どつやったら四桁以下に人種減らせるんだ!?」
バキイイイイィ! グシャァァァァァァ!
それは 日本人でした。
「ぐぁっ!なんでだよっ!俺の父親は……お前らの手先になって……日本売り渡し作戦の先導を切って戦ったのに!ちゃんと優遇してくれるって言ったのに…!」
日本人の しょうねんが ぼうで たたかれ。
『おい、こいつなんつってんだ?』
石をなげられ。
『わかんねーよ、日本語なんて今時俺らだって知らねえし、まあ……大昔は、俺たちの先祖が強制的に日本語使えとか、言われてたらしいがな!ベッ!ベッ!』
そしてつばをはかれていました。
『あー、そら滅んでも仕方ないわ……まあ、こいつも親ともども強制労働所送りだろ』
ゲシッ!ゲシッ!
ここでは 日本人に じんけんはありません。
『俺、昔…ネットで見たことあるけど地獄だぜー!延々と地面掘ってるの!』
学校のせんせいも 見て見ぬふりをします。
『私が見たのはみんなで輪になってずーっとでっかい丸太を回してたね!あれはウケたわ」
せんせいも だれひとり にほんじんでは ないからです。
そして 日本人とわかったからには こいつらの言うとおり かれも かれのかぞくも みな 『きょうせいろうどうしょ』 おくりになるのでしょう。
『おい、さっきはすまなかったなタモサク……ほら』
そして ぼくの 手に にぎりこぶし ぐらいの いしが わたされました。
『えっ……?』
ハンクス が ぼくに いし をてわたしたのです。
さっきの しゃざいの つもりなのでしょう。
『憂さ晴らしにせいぜい思い切りぶつけてやれよ、俺は後でいいからさ』
……ドクンッ。
……ドクンンッ!
「や、やめてくれぇ……!も、もうやめてくれぇっ!ひいいいいっ!」
できないっ! でもやらなければ…… やらなければこんどは ぼくが こいつのように!
「……クソッ」
ここは 日本ではありません。
日本れっとうは はんぶんに ぶんだんされました。
かたほうは 合衆国 の 新たな州に。
もう かたほうは たいりく の新たな省に。
ここでは 日本人として いきることが できません。
あらためて いわせて いただきます。
これは 日本人が ぜんめつした せかいの ものがたり。