愛しの我が娘
私はローザを送った後、すぐに王宮に戻ろうとした。しかし、先程扉の前で子どもを送ろうとしていた平民にこちらの存在を知られてしまった。平民はスタスタと近寄り膝まづいた。
挨拶など面倒だから扉を避けたのに…
「国王陛下がいらしたにも関わらず、すぐに挨拶に伺えず申し訳ありませんでした。どうかお許しを…」
震えた声でで許しをこってきた。
はぁー、挨拶ごときで罰は与えないよ。えーとこういう時の対処法は、っと
国王として民の前では常に完璧でないといけないため、どんなケースでも模範解答を頭の中に全て入れているのだ。
「許す。其方は無事に子どもを学校へ送ることが出来たのか?」
「はっ!出来ました。お心遣い感謝致します。」
「そうか、それは良かった。では其方は仕事に精進するように」
「はっ!」
そんな会話を終えようやく王宮に戻った。
今日は仕事がいつも以上にあり大変だ。
他国との会談や国の予算会議などなど大きな仕事も含まれている。まあ、国王の仕事はほとんど大きいがな……
まずは予算会議だ。主に軍事費や学校にかけるお金を決める。
どんとん意見が出されていくなか、私は窓の外をぼーっと見ていた。ローザは上手くやってるのか?気になる。見に行きたい。
「…陛下、……国王陛下!」
声を掛けられてはっとした。
「あぁ、すまない…ところでなんの話しだったかな?」
会議に出ていた人は皆呆れた顔をしてこちらを見ていた。皆の視線が痛い…
「今年の予算は、御手元の書類どうりでよろしいですか?」
「あぁ、これで良い。後で承認の印を押しておく。皆ご苦労だった。」
会議を終え、次の仕事に向かっているとき私の側近が
「そんなにローザ様が心配ならみてきたらどうです?」と言ってきた。私はローザに迷惑をかけたくないから行けんと言うとやはり行きたかったのですね…と返された。否定はしないぞ?
長年一緒にいると心が読まれてしまうのか…
ん?そういえば、ローザと話をすると言ってから忙しくて話してないな…
ローザの魔力溢れた騒動のおかげで完全に忘れてた。今日帰ってきたら話さなくてはな…
やっとの事で仕事を終えた私はいてもたってもいられずに、朝ローザを送った扉のある建物に行った。ローザにはまだ教えていなかったが、この建物はロストサーチという。ロストサーチはこの国に古くから伝わる由緒正しき建物だ。ここは図書館も兼ねており魔法に関する書ならなんでもある…といわれている。実際に調べた訳ではないので分からないが、書物の量はかなりあるのでそうなのだろう。
さて、来たはいいものの迎えの時間までかなりある。何をしようか…
実は側近に今から行くなまだ速い、休息を取れと言われ止められたのだが、やはり気になって仕方がなかったので来てしまった。
今から学校に乗り込んではダメだろうか?そんなことを考えていると
「陛下!変なことを考えていらっしゃいますね?学校に行ってはダメですよ?」と、後ろから側近の声がした。
げっ、また心読まれた。
「だ、ダイジョウブだ。さっきだってい、行かないと言っただろ?」
側近は呆れたようにため息をつき私の顔を覗き込んできた。
「そうですかー?随分と言葉が乱れていらっしゃいますけど?」
やばい……これはナイリーンに報告するぞパターンだ。今日の夜は長くなりそうだ…考えただけでも恐ろしい……
ぶるっと鳥肌が立った。
あぁ、早くローザに会いたい!
早く試験終わってくれー!
私はそれから2時間待ったのだった。
読んでくれている方ありがとうございます!
次は実技のテストです。