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00 星のない空の下で
いつも夢を見る。
いつも雨の夢を見る。
空は今にも雷が光りそうな、黒い厚い雲に覆われている。
場所は地上より空に近い、そう、私が通う高校の校舎の屋上。
古い校舎のために、今にも雨で崩れそうなコンクリート製の手すりが、屋上の周りを囲っている。
そこにいるのは、後ろ姿の『私』。
雨にすっかり濡れて、制服は色が変わってしまっている。
空には星も月もないのに、『私』の身体はキラキラしている。
雨の粒が何かに反射して、『私』を光で包んでいる。
『私』は、手すりから地上を見下ろしている。
ふと、『私』は振り返る。
私よりずっとしなやかで、艶っぽい透き通った瞳をした『私』。
その瞳は、それ自体がキラキラと光を発している。
ストレートの少し茶色がかった長い髪も、キラキラ輝いている。
寒さのため紫色になりかけている、形の良い口唇。
その口唇が、少し震えた。
「待っていました…。」
誰かにそう呟く。
「待っていました、この時を…。」
愛おしそうに、でも辛そうに。
初めまして。はなです。
ほんの序章ですが、読んでくださると嬉しいです。