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⑥章[リンゴトゥルー☆受け継いだ弾丸で戦え、天元! 鬼畜に利用された玩具のリンゴの生贄カウントダウンパーティを阻止しろ! 悲劇を喜劇に変える時――№4マジョルカジエンド] 其の一

⑥章


☆リンゴトゥルー☆


[受け継いだ弾丸で戦え、天元! 鬼畜に利用された玩具のリンゴの生贄カウントダウンパーティを阻止しろ! 悲劇を喜劇に変える時――№4マジョルカジエンド] 其の一








 お前なら託せる。俺の最高の相棒だからな……決着をつけて来てくれ、この物語を……お前と過ごしたこの日々を俺は一生忘れない――意識が朦朧とする中、そんな声が聞こえた。僕も同じ気持ちだよ……ケロベロス。僕はお前になら託せたんだ……行かないでくれケロベロス!

 暗闇の中でケロベロスが遠ざかって行くのが分かった……ケロベロスが暗闇に溶け消えると……辺りがだんだん明るくなった。そして、声が聞こえた。また会えるといいな――相棒、と。









 ピッカ!! 閉じた瞼に反射するストロボが、眩しい……――体がどこも痛くない、さっきまで全身を襲っていた痛みは消えて、目を開けると人ごみの山の中にいた。

 ここは、トラックから脱出した後の時間帯だ、リンゴちゃんが捕えられてまだ間もない。僕はクラブの場所をもう知っている! 急いで迎える絶好なポイントだ。

 そんな中、手の中を見ると、この時、確かに握っていた筈のケロベロスの姿はなくなっていた……。そして代わりに『ヘビ』『カラス』『番犬』の弾丸が僕の手の中に3発しっかり握られていた。

「ハッ!!――ケ、ケロベロスぅ……。本当にいなくなってしまったのか……嫌だ! やめてくれ……お前がいてくれたから今の僕があるんだ……お前がいない未来なんて、僕もう……つまんねえよ、怖いよ……死ぬことよりずっと怖い……会いてぇよ……ケロベロス……ゔゔ……」

 弾丸を見つめながら涙を流したが、ケロベロスが帰ってくる奇跡は起こらない――覚悟を決め弾丸を強く握り締め胸にあて、№4の待つクラブへとスカルの羽で飛んでいった。

「頼むぞ……ケロベロス! 僕に力を貸してくれ……お前に託されたこの未来、僕が必ず救いがあるものにしてみせる! さぁ……№達! これで最後だ……この長い因縁に僕が必ずケリをつけてやる……ケリをつけなきゃ……気が済まない!」

 クラブに到着すると、僕等を誘拐した太った男が入口に立っていた――僕は勢いよく男の前に着地し、驚いた表情の男に『ヘビ』の弾丸を思いっきり投げつけた、そして言ってやった。

「だからお前は! デブなんだよ! リンゴちゃんを開放して早くここに連れてこい! 僕達に二度と関わるな! 僕はお前の上司だ! お前は僕が言った事は絶対守る奴だ!」

「えっ……!? 上司って……俺がこのクラブの社長なんだが……えっ……なんだ……」

 男は一番上に立つ人物らしく混乱し始めたが、僕はケロベロスの残してくれたこの弾丸の魔力を信じて、一歩も引かずに騙しきるため声を荒げて続けた。

「言いか! よく聞け! だからお前は……デブなんだよ!! お前はもう社長でもなんでもないんだ、僕の部下のイベントスタッフ1号だ! バーカ! いいから早くリンゴちゃんをここに連れてこい! そしてお前はここから消えろ! 死ぬぞ、デブ! この中にリンゴちゃんがいるのは分かっているんだ! 直ちに解放しろ! ほれ、早く! 5,4,3、2、1!」

「わぁ! カウントダウンしないでください! わ……分かりました。今すぐ連れてきます……そして、私は消えればいいんですね? おぉー怖い、怖い。おい、お前ら早く連れてこい!」

 太った男はそう言うと、中から仲間を呼びリンゴちゃんを連れてこさせた――まだ生きていた! 良かったと、僕は胸をなでおろしていると……リンゴちゃんは僕に抱きつき泣き始めた。

「天元くぅ~ん……怖かったよぅ……すぐ助けにきてくれてありがとう……私は幸せだ……」








 この太った男にとって私は商品の玩具だ――私はこの男にこのクラブのDJになるよう誘われていた。

 最初は面白いと思った、色んな人を紹介してくれるし、読モの仕事もコネを使い増やしてくれたらしく私の周りは輝き出したと思った。いや……本当は暗い闇に迷い込んだだけだった。

 兎に角、私はお洒落な場所に行きたくてしかたがなかった、初めてこの男にクラブに誘われた時も私はいってみたくて、快くOKしてしまった。

 未成年がクラブに出入りする事は禁じられている、私は出来るだけ大人っぽい格好をして男に「煙草を吸いな、便利だから!」と、言われ煙草を吸って大人を演じた……。

 ところがその写真をとられ、私はこの男の玩具となってしまったのだ。言う事を聞かないとこの写真をばら撒くぞと、脅されている……ああ、私はバカだった、これで楽しい青春を全て台無しにしてしまうかもしれない、当然彼氏も作れない、私は奴の玩具なのだから、そう思ったらなんだか可笑しくなって、とても悲しくなった。

 私はこの悲しい思いを全て天元君に伝えた。すると、彼は微笑み、私を縛るこの男に言った。

「じゃあ、その写真返してもらおうか? そして、二度とリンゴちゃんの前には現れるな、僕の前にも現れるな……このゲスやろう! 今、僕は機嫌が悪い……早く写真をだせ!」

 天元君の表情にはとてもその時、凄味があるように感じた。そして男は写真を取り出し、天元君に渡した――私は開放されたのである、悲劇のヒロインから解き放たれた。

「これが写真です……あれ? おかしいな、懐に写真と一緒に入れておいた銃がない……うん? クラブの中に置いといた銃もないだと!? やばい、だれかに奪われたか……まずいぞ、お前ら! 急いで街中を探せ! 俺はクラブの中を……」

「待て! クラブの中は僕が探す……これは僕の戦いだ、お前はもう失せろ! デブ!」

 そう天元君が言うと、男は逃げるように去っていった――そして、天元君は回収した写真を破り捨て、胸で泣く私に優しく声をかけてくれた。

「リンゴちゃん、もう君は悲劇のヒロインなんかじゃない、これからは沢山の輝いた未来が君を待っている。君にはハッピーエンドが相応しいよ、後の事は僕に任せて、また明日学校で会おう! デート楽しかったよ、ありがとう! じゃあ、僕はまだやり直した事があるから、これから先は危険だからリンゴちゃんは付いてこないでね! 必ず無事に戻るから! 安心して」

 爽やかな笑顔で天元君はそう言うと『魔女の呻き』の中に入って行った――私は彼の願い通り後を追わなかった。

 明日また会えると信じて、私を救ってくれた王子様の言葉を信じた。短かったけど、こんな救われるデートをできた私は幸せだなぁ……と思った。ケロベロスが見当たらなかったが、それを聞いては何故かいけない様な気がして、私は走って家に帰る事にした。











其の二に続く――――。

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