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⑤章[メイカトゥルー☆美人天才姉妹の姉レイカの過ちと、其々の人生! 信者を操る怪電波を放つ№を見つけ出せ! こんな私を許してくれますか? ――№1フランフォン] 其の一

⑤章


☆メイカトゥルー☆


[美人天才姉妹の姉レイカの過ちと、其々の人生! 信者を操る怪電波を放つ№を見つけ出せ! こんな私を許してくれますか? ――№1フランフォン] 其の一









 無事故無事犯で世に名前を残した奴なんていやしないんだ――だからメイカ、お前は私に「真面目に生きてれば良い事がある」なんて言う、薄っぺらい言葉を2度と吐くな、其々の人生の道を進もう……お互いに邪魔をせずな――そんな事を言って、姉のレイカは20歳の時に家を出ていったのだった。

 お互いの人生を邪魔せずに生きようと……ハハハ、笑わせるよ、薄っぺらい言葉を吐いたのはレイカの方じゃない! 私達が心配して探している時には何の連絡も私達家族によこさず、自分が弱った時だけ助けを求めて連絡してくるなんて――随分虫のいい性格だわ……私が築きあげたこのネットの世界だけはレイカのせいなんかで滅茶苦茶にされて堪るもんか! 

 リアルのレイカとリアルのメイカの関係をこのネット世界で知られる前に確実にレイカを私の手で仕留める……でなきゃもう、ネットの姫メイカちゃんが終わってしまうから。

「ピピッピー! ピピッピー! 大丈夫だよ……メイカちゃんには僕が憑いている!」

「なになになに! フランフォン! あなたの電波があれば私は安心して、ネットの姫メイカちゃんを守れるよ! いい? 私のこの知られたくない弱点を知っている人間を炙り出してね」

 信頼の眼差しで彼女は№に命令した――彼女はフランフォンを操っているつもりなのだ。












 ピッカ!! 閉じた瞼に反射するストロボが、眩しい……――いつもの如く過去のターニングポイントへ到着。流石の天使の骨とはいえど、こう何度も骨を折られると痛みも増してきた。

「ハッ――痛たたた……こ、ここは……僕の部屋だ! そうだ……ここはきっと僕が操られていた空白の時間帯の筈だ……モコちゃん……ケロベロス! モコちゃんが異変に気づいたのはいつごろだ!? もう、モコちゃんは家を出て行ってしまったのか? ほら、今の時間だ!」

 骨オリで未来を変える為に過去に返ってきた僕は、モコちゃんがこの事件にもう関わりをもってしまっているか確認するべく、持っていたスマホをケロベロスの目の前にかざし時間をみるように促した――だが、スマホは日にちと時間を映しだすホーム画面ではなく、さっきまで操られていた僕が見ていたのであろう、メイカちゃんの配信が放送されていた。

「うん? て……天元! 見て見ろ! この配信にモコが映っているぞ! ここは氷見の自宅か? どうやら、パソコンで配信をしているみたいだが……なんでモコがいるんだ……」

「な……なんだと!? あ、今の時間は……ケロベロス、今日は5月31日の日曜日13時だ!」

「うむ……。ならもう、モコは氷見の調査に出ていっているはずだ! 遅かったか……」

 一通り自分達の置かれている状況を把握した僕は、ケロベロスと共にモコちゃんとメイカちゃんが映し出されている配信に目を向けた。

「えっと、お昼の料理配信も終わったし、ここからは雑談配信に切り替えますかメイカちゃん!」

「なになになになに! ガールズトークだね! 最高だよ、モコちゃん! 今日はゲストで来てくれてありがとうね! モコちゃんも自分で今度、放送してみればいいのに!」

「いやいや! 私だけじゃメイカちゃんの様にはできないよ、メイカちゃんは言葉に運動神経があるみたいに頭の回転が速いから、面白い配信ができるけど、私みたいな凡人にはとても、とても! あ、コメント読んでいこうよ、メイカちゃん!」

「うん! そうだね! せっかくのゲストだからモコちゃんがコメント拾って読んでいいよ! 今日はスマホからじゃなくて家のパソコンから配信しているからコメント拾いやすいし!」

「ありがとう! えっと、じゃあ……うん? コメントに何かのURLが貼られている……なんのサイトだろ……飛んじゃえ、えい! って画像検索ページだ……氷見レイカって誰? えっ……。なんだ、このページ……メイカちゃんの顔写真が大量に晒されているけど……」

 テーブルにパソコンを置き、Webカメラをつけて配信をソファーに座って、まったりとしていた2人の空気がその時、一気にその発言で重くなって沈んだのが分かった。

「なになになに! なんで……私の画像がこの名前を検索するとこんなにでるのよ……消してよ! 画像! 誰か消去してよ! なんでこんなに私の画像がでるのよ! 理不尽だわ! 私は全く関係ないのに……勘弁してよ……もう! ゔ―! ゔゔ―! 私の邪魔ばかりこいつはして……今日はもう配信やめる! じゃあ、リスナーさん達さようなら……また明日やります」

 突如、モコちゃんが拾ったコメントにメイカちゃんは混乱し、そして泣きだした揚句に配信を切ってしまった――メイカちゃんの様子がおかしい……このままではモコちゃんが危険だ! 僕は急いで忍足さんに電話を掛けた。氷見の家の住所を聞きケロベロスと共に、スカルの羽を使い氷見の家めがけて飛んでいった――その最中にも忍足さんとの電話は切らずにいると、思いがけない情報を耳にした。氷見メイカの異変の元凶である悩みを忍足さんは僕に語ったのだ。








「天元君、聞こえとるか? 向かいながらでええから聞いてほしい事があんのやけど。さっきの配信はわしも見とったんやけど、氷見レイカちゅうのは氷見メイカの姉の事やで」

「聞こえています! メイカちゃんが豹変した原因の検索ページで出てきた名前ですね?」

 飛行しながら僕は少しでも情報が入ればと思い、忍足さんとの通話を続けた。

「そうや、恐らく彼女が天元君に、言ったっていう自分の弱点ってのは……この姉と自分の関係の事や! 氷見レイカは3年前に捕まった詐欺グループのリーダーでな……とどのつまり氷見メイカは自分の家族に犯罪者がいるって言う事を周りの人間に知られたくないって訳や……」

 僕は氷見の家の住所を忍足さんに調べてもらっている最中に先程少しだけ、骨オリでやり直す前の世界の事を忍足さんに話していた――メイカちゃんが幾度もなく言っていた弱点と言うワードが気になり、それを中心に忍足さんに話したのであった。

「詐欺グループ? いったい何の話だ? まさかメイカちゃんの身内に犯罪者がいるってことか? その事を他人に知られる事が、彼女の弱点っていうことなのか……」

「そのまさかや天元君。氷見レイカは架空の投資話で人から金を騙しとった犯罪者や……でもそのターゲットになった被害者ちゅうのが、クセがある連中達でのう……ヤクザやらアウトロー気味の連中やったんや! 闇の社会の連中を相手にとって喰いものにした氷見レイカは、最初は上手く騙し、成功したんやけど、闇社会の重鎮には警察と繋がっているヤカラも中には、おってな、そんでお縄にかかってしまったてわけや……捕まってもなお、氷見レイカは反省の色も見せず、堂々としていてな、闇社会の連中って言う奴らは人の事を喰い物にしていた寄生虫共やから、こいつ等からふんだくれば世間は私を怨まないし、むしろ一般市民達に感謝されたいぐらいだなんて思ってたんや、自分を正義だと疑わなかった。せやけどな、世間の目は彼女の考えとは違ったんや――氷見メイカ同様に姉の氷見レイカも優秀やった。彼女は優秀がゆえに、自分が正しいと信じてやまなく、正義をはき違えている事に気づきもせずに闇に落ちた。そんな正義は誰も求めてなかったんや……必要悪でもなければ、何でもない……評価は勿論されない。唯の犯罪者だ! と、言うのが彼女が受けた裁判の民意の声であり、下された結論や……。それに厄介なのは、彼女のお陰で損害を受けた闇社会の人間達や、彼女はそういった人間達の恨みを一斉に買ってしまった。当然その代償は彼女だけには留まらず、彼女の家族にまで迷惑が降りかかってのう……そして、今まさに、氷見メイカがその対象や……ネット掲示板なんかには、詐欺グループのリーダーで犯罪者の姉をもつ妹であり、詐欺も手伝っていたとか、ある事ない事を書かれまくって顔写真も晒されているんや、おかげで氷見メイカは精神的に参ってしまっとる。お姉ちゃんさえいなければ! とか、思っているんやろうな、そんな心の隙間を№に狙われてもうたんや、自分で築き上げてきたネットの世界の崩壊を彼女は恐れた……そして、恐らく№と手を組み彼女が№を操っている気になっとるんやろうな……」

 忍足さんは元精神科医の名残なのだろうか、氷見の弱点を汲み取り僕に伝えた。

「そうだったのか……確かに、メイカちゃんは全く悪くないのに、姉と同じく犯罪者のレッテルを貼られそうになっているとは……精神的にくるものがあるな……」

 自分には関係のない家族が独断で起した罪が自分にも飛び火して、今まで自分が努力して築き上げたものを壊されようとしている――そんな堪ったもんじゃない状況下にメイカちゃんは置かれているのであった。

「怪電波を飛ばしている№は、この場合№1フライフォンで間違いないだろう。氷見メイカをテクノ依存症にしてヘブンズドアの配信に異常なまでに依存させて、その領域を侵す者がいれば始末する……。異常なまでにネットの世界を守らせようとするこいつは、何かの電子機器に化けて姿を隠している可能性が大きいから探してみとくれや、頼んだで、天元君!」

「分かりました忍足さん! 電子機器ですね……探してみます! もうすぐメイカちゃんの家に到着します……色々、ありがとうございました。忍足さん!」

「おう、がんばっとくれや! この家族を救ってやっとくれや――詐欺師の嘘つきは一生嘘をつきつづける、息を吐くのと同じぐらいに簡単に嘘をつく。悪人はな、簡単には変われない、自分の事が最優先で利益を確定させるんだわ……その欲深い心を治そうとしても、少し時間が経つと全てを忘れてしまいまた悪人に逆戻りや、家族だろうと親友だろうと簡単に騙す……悪人は全て壊すんや。人の人生なんてゴミの様に踏みにじり自分の人生が最優先なんや――そんな悪魔にとり憑かれた様な奴らでも、天元君! 君ならそんな厄介な筋金入りの悪人をも騙し、更生させることができる! 君にはその魔力がある! 君の相棒が放つ奇跡があるんや! そいつで、レイカもメイカも救ってやってくれ、自分の自己顕示欲を満たそうと彼女らが閉じこもる世界を壊して、全ての世界で生きさせてやってくれ! わしから言えるのはそれだけや!」

「忍足さん……。任せてください! そいつは僕にしかできない事だ! いや、僕らにしかか……頼むぞ、ケロベロス! スカル! この家だ!」

 そんな中二に病なセリフを吐きかっこつけて、僕は電話を切った。

 僕達は氷見の家である二階建ての一軒家の前に着陸した。そして、無理やり家の中に侵入しようとかいう行動にはでないで、ご丁寧に玄関のチャイムを鳴らしての正面突破を選択したのだった――ピンポーンと、玄関にチャイムの音が響いた。

 すると、中から「ハイ」と、言う返事と共に桃の香りが漂ってきた。玄関のドアが開くと金髪のお姉さんが中から出てきたのであった――どことなく顔がメイカちゃんに似ていたので僕はすぐに確信した。この人が、メイカちゃんの姉である氷見レイカさんだ。

 顔はどことなくメイカちゃんに似ているが、雰囲気は似ても似つかないものであった――話しにくい要素を全て外したのがメイカちゃんであるが、姉のレイカはその全く逆であり、とても話しかけ難いオーラを出して、桃の香りミストを放つピーチ味の電子タバコを吹かしていた。






其の二に続く――――。


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