46/47
エピローグ sideサリス
太陽は万物を温め、全ての陰りを消し去る。それを魅力に思う者もあるだろう。しかし、強すぎる熱は灼き尽くし、容赦ない光は有象無象の区別なく暴き出す。
月は熱がない。光も弱すぎてないかもしれない。しかし、見えなくても影響を与える。凍えるかもしれないが、その寒さを気にしなければその美しさと優しさに触れることができる。
太陽は灼かれても耐え得る強さがなければ近寄ってはなならず、月は凍えても耐え得る強さがなければ近寄ってはならない。
あの男は灼かれても耐え得る強さがなかった。
だから、あの男は手に入れた太陽に灼かれ、涼を月に求める人生を送ることになる。
では、月を手に入れた私は?
凍えても耐え得る強さを持つ私は熱い愛で月の凍てついた心を溶かす。
あの男が身分をどう振りかざそうが、月は永遠に私のもの。
あの男の弱さが月を手放させたのだから。
折角、私が攫うことを諦めて月の傍に寄り添い続けることを選んだというのに馬鹿な男だ。
次のエピローグはざまあです。




