妹虐め sideデボラ
今回も短くてすみません。
妹を虐めなければいけない。
これはとても気が重いものです。
私の妹はとても良い子です。
私の至らない点ををいつもさり気なくカバーして、守ってくれていたのです。
そんな妹を虐めなければいけないなんて・・・。
同じ白金髪をしていても、同じ緑の目をしていても、妹はとても美しいです。
それでも、私は妹を虐める気にはなれません。
コーネリアス様との婚約の件もどうでもいいです。
ですが、父の言葉は絶対です。
侯爵令嬢として、私は妹を虐めなければいけません。
本当は嫌ですが、やらなければいけません。
どんなに離れていても、妹の姿は一目でわかります。
私は急いで逃げようとしますが、生憎ここは我が家の屋敷の廊下です。
並ぶ扉の先は全て部屋で逃げ込んでも袋の鼠です。
今、来た方向に急いで戻るしかありません。
走らないように、音を立てて妹に気付かれないように、できるだけ急ぐしかありません。
「デボラお姉様?」
悲しげな妹の声を背に、私は自室に逃げ込むべく足を動かします。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
虐めて、ごめんなさい。
せめて我が家では貴女を虐めさせないで。
私の愛する妹である、貴女を。
無視する形になってしまったとしても、私は貴女に辛くあたることも、罵ることもしたくないのです。