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【閑話】小さな王妃のお茶会 side???

高位貴族の子どもたちを呼んでの王妃主催で行われるお茶会では、子どもたちはお近付きになる為に王太子に近付ける者と近付くことが出来ずに遠くから眺めている者に分かれる。大きくなったら後者の女の子は壁の花と呼ばれるようになる。

そして彼女は後者だった。

色とりどりなドレスに身を包んだ女の子たちの中で、癖のない白金の髪を背中に流し、同じ色の髪の妹と思わしき少女の動向を見守っている彼女は、一人だけ景色から切り取られているように見えた。



ああ、彼女だ。



私には一目でわかった。

彼女が私の全てであると。


彼女の妹は同じように王太子に近付けない子どもたちに次々と声をかけていき、王太子抜きで勝手にお茶会を楽しみ始めた。

まるで主催者のように振る舞うその様は小さな王妃だった。


親に連れて来られてはいるが王太子に近付けずに遠巻きにしていた子どもたちは、急遽開かれた小さな王妃とその姉のお茶会にお呼ばれしてしまったのだ。


彼女は妹たちが大人たちに見咎められないよう彼女自身の小さな身体で大人たちの視界を遮るように立ち、


「まあ、なんて美味しそうなお菓子なの?! オーガスタ、見て!」


と、お茶菓子に手を伸ばして、口に放り込んだ。



その行為は無作法だった。

主催する王妃の開会の言葉も待たず、王太子への挨拶もまだ全員は終わっていない。


「あまりにも放っておいたから、小さなお客様が別のお茶会に参加してしまったわ」


と王妃は笑って許したが、眉を顰める者がいなかったわけではない。


ここに来ているからには、もう、子どものしたことで済まされることでは許されないのだから。


私の気持ちは決まっていた。


だから、父に自分の望みを告げた。





侯爵令嬢デボラが王太子の婚約者になったのは数日後の事だった。

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