最初からやらかすとか…ありえない
今日は国立月影学園の入学式である。とは言っても、普通の学校であることに変わりは無いのだが…国立だから頭のいいやつばかりって訳でもない。つまり、大物政治家の子息や令嬢が入る学校だ。まぁ、俺もその子息とやらなのだが…。と、とにかくいくら国立といえどもアンポンタンは居るっていうこと、それだけだ。んで、俺としては戸籍が一度抹消されている身なので世間体で言う一般人だ。なぜ戸籍が抹消されたのかって説明すると長くなるからそれについては、また今度。それより、この状況をなんとかせねば!
構図的には、どこぞのアンポンタンに囲まれていじられている…。なにこれ
「お前名前なんてーの?」
「村上鈴之介、ですが。なんでしょうか」
「何もねーよ…ってぇ事もねぇが、その顔がちょいと気になってなぁ。聞かせてくんねぇーかなぁ、おめぇらも気になるよなぁ?」
周りの取り巻きがクスクスと笑いだす。
「元からこういう顔なんですよ。」
「んな訳ねぇだろっ!!」
ガシャン
机を蹴っ飛ばしたらしい。そのまま胸ぐらを掴む。
「お前わかってんのか!あぁん!?」
「いや…なにがですか?」
「こいつ~!!」
殴りかかってくる。
「ちょっと待てぇー!」
今度はなんだ…またアンポンタンか?
「どうして、こいつを殴る必要がある?」
「お前こそなに邪魔してくれとんねん!」
「フッ…ただ見過ごせなかっただけさ…」
なんだこいつ?正義感の強いバカか?それとも誰かを助ける俺カッコいい、みたいなバカか?どちらにせよバカだこいつ。
「邪魔する奴はぶっ飛ばす!」
「え?え?は?おぶうっ…」
殴られた…ただのバカだ。
「はぁ…あなた、こんな事していいと思っているの?学校で暴力沙汰なんて…」
「うっ…ちっ、もういい。いくぞお前ら」
痛いところを突かれたようだった。まぁとりあえず、床に転がってるバカと助けてくれた少女をみる。すると
「あなたも災難ね、入学初日からアホどもに絡まれるなんて…あなた、名前は?」
「俺の名前は村上鈴之介です。さっきあんたの言うところのアホどもに言ったんだけど、聞いてなかったの?」
「いやー、一応ちゃんと挨拶しておきたかったから。んで私の名前は月村雫っていいます。どうぞよろしく!」
ん?つきむら…んーどっかで…あっ!もしや…
「なぁ月村、俺のこと覚えてる?ほら…小学校同じ…っていうか家隣だったよな?」
「ん?…!え?もしかしてスズ!?なの?…びっくりしたよー!全然面影なかったからさ…へぇ~スズと同じ学校だったんだ…」
「俺もびっくりした!雫と同じ学校だったなんてな…」
久しぶりに会った幼なじみと夢中になって話していると、下の方でなにか…じゃなかったバカが起き上がってきた。
「痛ててて…ちょっとは心配してくれよ!」
「「あ、ごめん。忘れてた」」
「忘れんなよ!はぁ…俺の名前は星原竜成だ。よろしく」
「お、おう。よろしく」
「ちょうどよかった。友達にならないか?」
「え?遠慮しときます。」
「なぜだ!?まぁいい、とりあえず俺は隣のクラスだから…んじゃ」
そういって、風のように星原は去っていった。
「あいつ、いったいなんだったんだろ?」
「さぁ…わからん」
「それよりさ、スズ…どうして無表情なの?」
「えー、それ聞いちゃう?」
「聞きたいよ…そりゃね、面影なかったからさ…気になるじゃん。」
「えー、話せば長くなるけどいいか?」
雫は頭を縦に振る。しゃあない。では、何があったか話すとしよう。けど長いから要約する。
・小六の時に親戚のほとんどを集めて会食をした。
・その場にいた人全員があるウィルスに感染した。
・そのウィルスの性質は体の中から破壊していくらしく、跡形もなくなった。
・俺も感染したんだが、処置が間に合ったためまだ生きている。
・ここ二、三週間前に処置の副作用として、何が起きるか分からないらしい
・その結果、今は無表情っていう副作用がでている
「…………っていうかんじなんだけど、え?どうした!?」
話し終わると雫は泣き出したのだ。
「うっ…うっ…スズ、スズー!!」
今度は抱きついてくる。…うーん、一言で言うとかなりヤバい。そのー、雫は女の子でして…あのー…胸が当たるんですわ…。無表情でよかった!にやけ顔が見られなくて。雫が落ち着くまで待つことにする。
「よしよし…泣くなよ。もう高校生だろ?」
「なんであたま、なでてんの?小学生じゃあるまいし…ぷっ」
「確かに、そうだな」
「くっ、あはははは!」
雫が笑ってくれたのでよしとしよう。
キーンコーン、カーンコーン、ガシャンガラガラガラ
チャイムがなると同時に先生が入ってきた。
「はーい。今日からこのクラスの担任の佐津川千春です。よろしくお願いしまッ…あいだッ!」
ゴンッ
っと教卓に頭をぶつける担任…大丈夫か?
おでこを真っ赤にした佐津川先生はあわあわ言っていた。ちょっとかわいい。
「いたたたた…えっと、今日の所は特に連絡事項はないので、解散です……と言いたいところですが一つ思い出しました。」
はぁ…おそらくあの事だろう、とゆうかそれしかない。
「皆さん卒業までに絶対に結婚してください。それがこの学校を卒業するための資格です。
まぁもちろん分かっていると思いますが…」
この国では、男女共に十五歳で結婚する事が出来る。なぜこの学校で変なルールが出来たのは、俺の親父、現国王が一夫多妻制にしたのだ
。何を考えてるんだか……そのせいで男性の未婚者が増えるという事態におちいった。そこで、国立の高校では結婚しなければ卒業できないという馬鹿げたルールも同時につくったのだ。はぁ…この国は息子には辛い環境だ。俺はいつ物理的に消えてしまうかわからないのに、誰かと結婚なんてありえない。
「…ねぇ……ねぇってば!スズー、反応がない」
「屍じゃねぇよ。っと、どした?」
「いや…今日はもう解散だって。一緒に帰らない?」
「いいけど…雫はどこに住んでんの?」
「んー?向こう!」
「りょーかい…んじゃ帰るか…」
「そーだね、そういやさ…スズさ、小学校の時付き合ってた子いたでしょ?」
「いたっけ?」
「いたよー!…たしか渡瀬彩乃っていう子」
久しぶりに雫と会って話したが、そんなに抵抗はなかった。むくれている雫…かわいい。
「おぼえてないなぁ」
「嘘だぁ、絶対覚えてる。だって幼なじみの私をほっといて、その子に付きっきりだったじゃない」
「いや、嘘ついたところでだし…記憶が曖昧なのもほんと。中学時代とかほとんど覚えてないし…」
「ふーん…そっかぁ、っとここでいいよ。家ここだから。」
そこは、高級マンションオートロックつきの。
「俺もここだけど…ま、まぁあり得るよな。同じマンションとかな、他にもいっぱいいるし。」
「そ、そうだね。私一八〇二だけど、スズは?」
は?やべぇフリーズしそう…。さっきから手汗がヤバい。
「えと、お、俺は一八〇三だけ、ど…」
「え!?隣なの?ほんとに?」
「ほんと、なんだよなぁ…」
ま、いっか。気にしたら負けだ負け。
ってなわけで、入学初日は終わる。え?絶対なんかあるだろって?ないない…あのあと電話番号とメアドを交換して、後は家に引きこもっていただけじゃんか。悪い?家からあんまり出たくないの!インドア派なの!
はい…というわけで第1話いかがでしたか?
私の欲望のままに書き綴っているので、自己満足ですが、なにか?
というわけで、第2話お楽しみに~
(予定では2日に一本出せるか出せないかぐらいだと思います。あ、よろしければコメント、アドバイスなどいただけるとありがたいです)
ばいにゃら~