目覚めたら風邪だった〈真璃の恋人3日目〉
ふぁあ…眠い…。
昨日も、真璃がベッドにinしてきたので、眠れなかった。なんとなく月を見ようと思ってベランダに出て、眺める…あと3日もたてば、上弦の月だな。
「…へっ、くしゅん!!……あぁ…風邪引いたかな?」
夜風にあたって、冷えたようだ…。また例のベッドに戻るのかと思うと、少しためらうが……あ、そういえば最近アレ書いてなかったな…ドタバタしてたし。
と、思い本棚の一角においてある、ノートを取り出す。えーっと…今日は、5月10日。うわぁ…最後に書いたの1ヶ月も前だし。まぁ、いっか。
とりあえず、ここ1ヶ月にあったこと…うん、いろいろありすぎ。全部書いちゃえ。
よし…これでいいや。たいしたもんじゃないし。4年前から、書き始めた日記…もとい、俺の生きた証、これで…32冊目だ。長生きしてんなぁ…。
「ふぁあ…。寝よう」
よだれを垂らしながら寝ている真璃の隣へ入る。……ヤバい。俺の適応能力が高すぎて、隣に女の子が寝ている事に違和感を感じなくなってしまった。…もう、末期だな。
◇ ◇ ◇
…隣がもぞもぞ動いている。その動きで目が覚めた。目をうっすら開けて、確認する。
「ん?…何してんの?」
「えーっと…暑いから?」
「お前…たしか、お嬢様だよな?」
「いちおう…」
「だよな…赤の他人の前でパジャマを脱ぐな」
「他人じゃないもん!…こ、恋人だもん!」
顔を真っ赤にして、抗議する…というよりは、だだをこねているような…もしかして、寝ぼけてる?
「そうか…ところで今何時だ?」
「今はね…9時だよ?」
…遅刻じゃねぇーか!!
「そうか…遅刻確定だな…」
すると、パジャマ半脱ぎの少女が
「なんで遅刻?今日土曜日だよ?学校休みだよ?」
「え?今日土曜日?あぁーよかった…」
俺はいつから、学校大好き人間になったんだろ?
「うん、休み。だからずぅーっと一緒に居られるよ?」
「そうだな…で、いつから入れ替わったんだ!?」
「スズが寝た直後」
「真璃は?どこ?」
「リビングのソファー」
「…どうやって侵入…ああ…合い鍵か…」
何を考えているんだ…さやかは。さっぱりわからん。
ドタドタドタ!
慌てた様子の…本来隣に居るべき…いや、隣にいちゃだめだろ、じゃなくて、真璃が入ってきた。
「さやちゃん!!まだ、私の番だよ!」
今日一番に発した言葉がそれか…。
「えー…まりちゃんだけずるいよぉ!」
「いや…順番って決めたよね?ルールは守ろうぜ…」
「むむむ…いいもん!スズなんて知らない!」
なぜ、拗ねる…俺が悪いの?死ねばいいの?つらいよぉ…。
あ、でも、さやかが俺から離れれば、すべてOK…なわけねぇよ。そんなんで、真璃が納得するわけがない。ならどうする…
「俺が言うのもおかしいけど…さやか、本当にそんなんで諦めれんのか?」
「……諦めれると思う?」
「…ふっ。諦めれるわけないよな…高校にまで持ってきたんだもんな」
「そうだよ…あ~、やっぱりスズには勝てないや。いつも自分よりも、相手を優先しちゃうもんね?」
うっ…た、確かに…そうなんだよな…。
「…うぅ~!!恋人の前でいちゃいちゃするなぁ!!」
真璃がぽかぽか殴ってくる。全然痛くない。むしろかわいい。
「わかった、わかったから」
「ほんと~?」
「ほんと、ほんと」
「…じゃあ、き…き…き…き」
き?なんだ?
「キス…してよ。誓いのキス…」
顔面真っ赤の真璃、恥ずかしいなら言うなよ。こっちまで恥ずかしいじゃないか。
様子を窺おうと、真璃の方を見る。見ようと思った…そしたら、顔が目の前に。そのまま
チュッ
……キスされた。めっちゃいい匂いがする。
チュッ、チュッ
小鳥がついばむように、何度もキスをしてくる。今までずっと、友達の延長みたいに感じていたが、ある意味(お風呂などを除く)初めて女の子として意識した瞬間だった。
「…よし、許してやろう」
少し恥ずかしがりながら、真璃は言った。
「…あ、ああ…」
ふしゅぅ~…
「え!?スズ大丈夫?…熱っ!!風邪引いたんじゃない?」
「…だい…じょう…ガクッ」
オーバーヒートの結果、意識が途切れた。
「スズーっ!!えと、えと…どうすればいいの?さやちゃん!」
「体温はかって、ベッドに寝かす。あとは…まぁいいや」
「よくないよ!」
なんか、騒がしいなぁ…。
◇ ◇ ◇
…はぁ…はぁ…はぁ…。
息が荒い。寝不足と…なんやかんやで風邪を引いてしまった。けほ。
「うわ…まだ熱い…とゆうか熱あがったんじゃない?」
…目をうっすら開けて、声の主を確認…
「…天使?」
焦点があわん。ほぼ見えてない。
「…天使です」
真璃、だよな…たぶん。違ったら…あーもう、頭痛い。
「天使さん…水をください」
「はい…どうぞ」
…ごくごく。っぷはぁ~。…これ水?かな…
「どう?おいしい?」
「…これ、水?」
「ううん、違うよ?」
「じゃあなに?」
「…聞きたい?」
いかにも聞いちゃいけない気がする…が、聞かなきゃダメのような気もする。
「聞きたい」
「…そう、教えてあげる。それね…私の体液」
「そーか。で、なに?」
「だからぁ~、私の体液」
「そーか。…具体的になに?」
「唾液…」
「………殺す気ですか?」
「え?いや、だって…さやちゃんが…」
「あいつがどうした?」
「体液…愛のこもった体液を与えると、すぐ直るって」
「あいつ…しばき倒さないと…」
さやかのとこへ行こうと立ち上がると、立ちくらみが…
ふらっ…ドサッ…
「!?…はっ…はっ…はっ…」
「…いてぇ…ぬお!?」
えと…俺の下に、真璃が…。どうしてこうなった…。
「…はっ…はっ、はぁはぁ」
なんか、息荒くなっとるぅ!!
「真璃大丈夫か…っとお!?」
顔を真っ赤にするのはいい…。俺も恥ずかしい。
「はぁ、はぁ、はぁ、んっ…はぁはぁ」
けど、真璃さん…あなた、今お嬢様がしちゃいけない表情してるぞ…俺のせいだけど。
おとなしく、ベッドに戻る。真璃は…そのうち起きてくるだろう。
…ごめん、真璃。許せ…。
そうこう考えている内に寝ていたようだ…まだ体が重い。けほ。窓の外は暗い…半日も寝てたのか。
キィ…
「あ…起きてたんだ」
「いや…さっき起きた」
「どう?まだ熱い?」
真璃が手を近づける。
「まだ熱いね…」
「なんか、ごめんな」
「ご飯食べる?お粥…作ってみたんだけど」
「もらうよ」
「取ってくるね」
そう言い残して部屋を出た。
ピーンポーン
はーい…と、真璃がでた。
「やっほー…と、家を間違えたかな…」
…その声は、あいつだな。
「あのー…村上鈴之介のお宅は…」
「ここ、ですよ?スズの家は」
「あ、そうですか…私は彼の主治医なんですよ…名前は天野瑞穂といいます」
「あ、そうなんですか。ではどうぞ」
いれちゃらめぇえええええ!!そいつだけは…。
「やっほー。お兄ちゃん!」
「やっほー、鈴之介くん」
「やっほー…じゃなくて、茅那ちゃんなんで?」
「ああ…言ってなかったっけ?この子は私の娘だ」
へぇー…知らなかった。
「で、なんで来たんだ?」
「患者を心配するのは医者として、当然でしょ?」
「確かに…じゃなくて、どうやって俺が風邪だって、わかったんだ!」
「盗撮」
「「は?」」
「とうさつ」
「いや…わかってるから」
「あと、それ風邪…だけど、風邪じゃない。きみがあれから風邪を引いたことはなかったろ?」
「確かに…引いてないな」
「だから。万能物質の異常じゃないかなって、思ったから」
「なるほどな…真璃ちょっと…」
「…わかった」
真璃が出て行ったのを確認して、万能物質を露出させる。
「ふむ…問題ないな。なぜだ?」
「じゃあ大丈夫だろ。帰ってくれ。彼女が心配するから」
「…はいはい。お姉さんは帰りますよ」
「えー!ちぃ…まだお兄ちゃんといたい!」
「…また今度遊んでやるから…今日は、帰ったら?」
「えー…」(←茅那)
「えー…」(←瑞穂)
「お前は帰れ」
瑞穂を押しやる。
「わかった…今日は帰る。ほら…お母さんも!」
「えー…」
なにしてんだよ!親子逆転してんじゃん!
と、天野親子を帰す。入れ替わりに真璃が入ってきた。
「ねぇ…スズ…」
「大丈夫…大丈夫だから、泣くな」
今にも泣きそうな真璃の頭を撫でてやる。
「………………すぅ……………すぅ」
まぁ…いろいろあったしな。今日も、お疲れさん。ゆっくりお休み。
いやー…なんか、うん…投稿遅れてごめんなさい。普通に書く時間がなかったんですぅ~!!ごめんなさい…。メタな話、話の続きはもうたくさん思い浮かんではいるんですが…ね。
というわけで、次回の投稿も大幅に遅れるかも?(すみません…気分屋なので、わかりません)
ではでは、ばいにゃら~