終章 その2
2.暗闇の果てで
誰かが私を見ている。
何一つ見えない暗闇の中でひざを抱えてうずくまる私を、そんな暗闇の中から誰かが見つめている。
(だれ・・・?)
首を巡らすのも億劫で、私はただただうずくまるばかり。
ここは何処なのか、どうしてここにいるのか、何1つ判らないままで私はここにいる。
いつからだろう、こうしてここにうずくまっているのは。
時々風雅姉さんが訪ねてきてくれる以外は私はたった1人。
(どこなの・・・?)
誰かの声がする。知らない男の人の声・・・。
何かを尋ねているみたい。でも大丈夫、風雅姉さんが上手くやってくれる。
だって言っていたもの。
『私に任せておけば大丈夫よ』
風雅姉さんの声。どんな時でも私を安心させてくれる柔らかな声。
でも、風雅姉さんの瞳はなんだか怖い。青みがかった黒い瞳が私を見ると、私はどきっとしてしまって、まるで私が私じゃなくなるみたい。
何かをお話ししているみたい。
何のお話?
(なに・・・)
突然のフラッシュ。
紅い光。
うずくまったままの私の周りにちらついた誰かの姿。
まるで映りの悪い、ノイズだらけのテレビみたい。
倒れている人、ぶら下がっている人、血だらけになって転がっている人。
一体これはなに?
この人たちは誰?
見たことがある・・・?
どこで見たの・・・?
急激な頭痛。
ふっと遠くなっていく意識のなかに、いくつもの名前が浮かび上がってくる。
気持ちが悪い。
頭の中を何かが這い回っているような不快感。
(たすけて・・・あたまが・・・)
暗闇の中、頭を抱えて悲鳴を上げる。
きっと助けにきてくれる。
だって、風雅姉さん、言ってくれたもの。
『壊れないように見ていてあげるから。ずっと一緒よ、私の可愛い琴音』
ほら、言った通りでしょう。姉さんは私のこと守ってくれてるの。
だから、姉さんの言うこと聞くよ。
だって、ずっと一緒だもの。
うん、ず~っと一緒。
だからまた会いに来てね。
私が壊れないように。
(ここからだして・・・)
約束。
ず~っと一緒だよ、姉さん。
暗くても怖くないよ。
いい子にして待ってるから、必ず会いに来てね。
ね、約束だよ、風雅姉さん・・・。




