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QUEEN

私の愛する神さま


たとえ闇が降りようとも


私は貴方から離れません



離れようにも


離れる術は無いのですから

魔法界のどこかの国にて。


「オイ聞いたか?アルマゲドンを使っての戦争が始まるらしいって」

「知ってるよ。大戦だろ。昨日、エデンに王が招集されたらしい」

「アルマゲドン使用の大戦といやぁ、審判者の同意が必要だろ?同意したのかい。月姫様は」

「したらしいよ。平和主義者かと思ってたがね」

「何だお前知らないのか?月姫様は条件付きで同意しなすったんだよ」

「「条件??」」








条件ただし、とは?」

人の王の問いに、審判者月姫は答えた。


「これは大戦です。何が何でもアルマゲドンを使用します。

 それから、兵隊以外を無理やり兵にしないこと。彼らから、彼らの戦いを奪うことはありません」


女王が言い終わると、東の刀矢(あまり魔力を持たない怪力の戦闘民族)の王が立ちあがり言った。


「仰せのままに。我らが審判者、アリア・セシリア王」


彼は刀矢族特有のルビーの瞳を、アリアのサファイヤより澄んだ青の瞳に向けた。








「へぇ~。良い事言うじゃねえか」

「流石は平和ボケした、死者を崇拝する国の王だ。ははっ」


そう言った男は、隣の友人に殴られた。


「いてっ!」

「バカヤローお前。彼の女王はな、マジ凄いんだぞ。

 嫉妬深い王が聖安国を攻めた際、アリア女王はたったお一人で全軍を壊滅させた話を知らねえか?」

「知ってるよ。有名なおとぎ話だ」

「いやいや。実話だよ」

「まさか。たった二十の小娘だぞ」

「嘘じゃねえ。オラのいとこが見た」

「おっ」「ほう」


「いとこは海の部隊にいたんだが、全てを理解したのは全てが終わった後。医療院のベッドの上だったそうだ。

 いとこの話はこうだ」


「聞かせてくれ!」「話せや」



「それは…月明かり美しい夜だったそうだ。

 オラのいとこは、高い見張り台にいたんだ。

 聖安国の月はそらぁ見事だ。いとこは月を見ていたそうだ。


 と、いとこは、月の中に竜を見た。細長い銅に、巨大な翼の珍しい竜だ。

 いとこは竜の上にそらぁ綺麗な女を見た。月姫様だったんだな。

 長くて綺麗な黒髪をよ、風になびかせ、月を背後につけて白竜の上に立っていた。

 月女神のようだったとか言ってたな。


 オラのいとこは見惚れちまって、声も出なかった。

 いや、オラのいとこだけじゃねぇ。女神を見た全員だ。


 だが、正気に戻れた奴がいたらしい。鐘が鳴らされた。


 いとこは慌てて弓矢を構えたが、月を見た時にはもう女神は消えていたそうだ。

 だがよ、かわりに……」



男はやがて言葉を切ると、惚けたように固まってしまった。


「オイ?」

「続きは?」


「かわりに…かわりによ、目の前によ、あの御方が立っておられたんだそうだ。

 そして船を沈没させ、乗っていた全員を無傷で送り返しなすったんだ」


「あの御方?」「?」



男は、まるでそこにいとこの見た女神がいるような顔で、昇り始めた銀色の月を見上げていた。








聖安国の和風の城に、女がいた。


長く美しい黒髪は光を弾き、肌の色は白く、耳はエルフのように尖っている。

その両目は空と海を合わせるより青く透明で、瞳孔までその色なので、瞳孔の存在はわからない。


彼女、アリアは、昇り始めた朝日を眺めていた。


爽やかな朝の風が、アリアの髪にじゃれついては通り過ぎて行く。



赤い珠のような精霊が寄ってきて、アリアの顔の近くで漂いはじめた。

「おはよう」と言っているらしい。



小鳥のさえずりが庭に響いている。


聖安の一日が始まる。

最初っからセリフのオンパレードでしたね。あはっ。


次回、『召集』。

キレ―な兄ちゃんが二人、可愛い兄ちゃんがひとり、イケメンヅラした悪魔が一匹出てきます。

お楽しみに♡

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