表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

月夜の君

昇る朝日に夢を抱き


沈む月に儚さを抱く



流れる雲に空を想い


消えゆく闇に蛍を思う

「ワタクシだけで充分じゃ。ワタクシだけで…」


ブツブツと愚痴り続ける夢幻を末尾に、一行は御札だらけの扉の前に来た。

「え?何を封じてるの?」的雰囲気を隠すことなく放出している。恐い。


「「・・・・・」」

「さ、入って、式神選んで」


扉は開けられた。

入るしかないので、アリアはフィアンを握り、夢幻はひそかに指を刃に変え、入った。

誓眞と聖安は、戸口で待機。


「足元、お気をつけなんし」

「うん。ありがとう」


入ると、薄暗い真っ直ぐな廊下が続いていた。

提灯ちょうちんが点いたが、先がよく見えない。


ふたりは、長い廊下を歩いて行った。




三分後。

やっと半分まで来た時、ふたりの足が止まった。


「うっ…うう…ぅ…」


意味もなく血の気が引く。


「こ…これは…」

「な…泣き声…?」


「ううぅ…う…」


「ちょ…コレ進んでいいのか?ダメなのか?」

「進むしかないようでありんす」


夢幻が指す先には扉。ロック済み。


「誓眞様あんにゃろォォォ!!」

「主。ワタクシが先導いたしんす。恐縮じゃが、後ろから」

「うん」


コツコツ コツ


足音と、泣き声だけが異様に響く。


「そういえば、主」

「うん?」

「“ありあ”とは、どういった字を書くのでありんすか?」

「漢字で?」

「しかり」

「いや、私は外国で生まれ育ったから、漢字は無いよ」

「そうでありんしたか。では、意味は?」

「意味?意味は、月夜」

「月夜?」

「そ。アリアとは、滝つぼの国のエルフの方言で月明かりの夜。月夜って意味なの」

「月夜…」


ふむ、となって、夢幻はパッとアリアに向き直った。

不気味な雰囲気に不釣り合いの、明るい表情だ。


「わかりんした」

「ん?」

「ワタクシは主を、月夜つくよ様と呼ぶのでありんす!」


そう言い放つと、夢幻はさっさと歩きだした。

足の運びが、さっきよりスゴク軽い。


そんな夢幻を見て、アリアはちょっと微笑んだ。






「月夜様。扉が見えてきんした」


アリアを「月夜様」と呼び始めて、夢幻のテンションは何故か高い。

泣き声にも臆さぬ様子で、アリアの前に立って進んでいく。実に頼もしい。


そして、扉の前に着いた。


さっきの入り口より綺麗で、御札の類は一切無い。

しかし、泣き声はこの部屋、扉の中から聞こえてくる。


「では」


クリアに聞こえてしまう泣き声に、内心ビビりながら、夢幻は扉を開けた。

―――――ギィィィィ







「うっ…くっ…ぐすっ」

ついに現れた泣き声のぬし。

その正体は―――――――!?


なんてね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ