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魔剣

刃を振りかざせ


斬るべきモノを斬り捨てよ



転がり堕ちろ


奈落の底へ



吹き鳴らされる 角笛を聴け


闇にこだまする光の音を 焼き付け給えよその耳に



死に逝く瀬戸際


蜘蛛の銀糸を手繰り寄せよ

両手を刃に変化させた夢幻の攻撃を、アリアはギリギリで避けていく。


空間には終わりが無い為、逃げ道を封じる壁は無いが、同時に身を隠す物も無かった。

飽くまで誓眞は、アリアと夢幻には闘ってほしいらしい。



「ちっ、私の上に就く上司はそんなんばっかか」


アリアが、ボソリと呟く。


「そちらからは攻撃をしないのか?」

「今からするよ」


余裕の笑みを浮かべ、アリアは剣の名を呼ぶ。


「フィアン!」

『待ってました。アリア様』


アリアの手に、美しい水晶の魔剣が現れた。

鞘は消え、蒼い焔のようなベールを纏い、刀身が血を欲して唸っている。


「父と」


剣が横に滑った。


「子と」


また横に滑って、夢幻を襲う。


「聖霊の御名によって」


夢幻が退き、アリアは魔剣を高く掲げ、振り下ろした。


「アーメン」


地面が一気に割れ、夢幻を呑みこもうとした。


「っつ…!?」

「ふむ。よく避けた」


着物の裾がちょっと切れてしまったらしい夢幻の眼が「今のは何だ?」と問うている。


「コレは名前の無い魔剣フィアン。呼び名は『滅びの剣』。

 刀匠フィアンによって鍛えられ、その刀匠の魂を取り込んだ水晶の剣。

 “呪われた剣”」


「名高い刃のようでありんすな」


「この剣は、使用者の魔力と、生き物の生命いのちを糧とする。

 使用者の魔力が強ければ強い程、殺せば殺す程に、フィアンは強くなる」


アリアは愛おしく、フィアンを撫でる。


「私が持つまでにも、かなり殺してきていた。

 数多の都市を滅ぼし、数多の生命を滅ぼしたこの魔剣。

 封じられた事もあったが、先代によって解かれ、多くを再び滅ぼした。

 付いた名前は“滅びの剣”。万物を滅ぼす魔剣」


アリアと夢幻は目を合わせる。


「ワタクシを、滅ぼしんすか」

「その気は全く無い。フィアン、二刀流!“天界・光輪こうりん”」


唱えられた途端に、アリアを囲むように光の輪ができた。

前から割れ、光の片方はフィアンと固まり、もう片方は長剣を造り出した。

二本の剣は、羽衣のように揺れる光の帯で繋がれた。


「行くよ。フィアン」

『はい』



夢幻は思った。


(遅い。やはり、所詮はヒトに過ぎぬか)


夢幻は両手を広げ、迎え撃とうとした。


だが、その行為こそ、アリアが欲しかった隙だった。


身体を低くし、空気の抵抗を減らし、加速する。

エルフの脅威の身体能力を発揮し、アリアは一気に夢幻との間合いを詰めた。


夢幻の視界から、アリアが消えた。

そして…

「―――つっ…!」

気づけば夢幻は、ところどころ斬られていた。


寸前で、次の攻撃は防いで退く。



「やっぱり一筋縄ではいかないか」

『傷の癒えるのも早い。ホラ、もうふさがってますよ』


フィアンの言う通り、夢幻の傷はもう完治している。


「やっかいだなぁ。人には言えんけど」

『アリア様もあんな感じですからね』


傷の癒えた夢幻が、手加減なしで間合いを詰めてきた。

ガキィィィィィィン

火花が散る。


「悪いね。夢幻」

「は?」

「死神の蝶」


フィアンの刀身から、大きな青く光る蝶が、数匹出てきた。

凄い速さで夢幻に迫る。


そのうちの一匹、特に巨大な蝶が、アリアの肩にとまった。














ロンドが、小さな鳥居の下で読書をしている。


たまに会う巫女に、軽い会釈をしたりしながら、物音しない誓眞王の社の方をちらりと見た。













「ぐ…ぎぎ…ぎっ…」


蝶の足や口で絞め上げられた夢幻が、なんとか抜けだそうと頑張る。


「夢幻」

「ま…負けは認めない。ワタクシは、自由に…」



アリアは、その青い両目を細めた。

さっき誓眞に貰った幣を、夢幻の目の前に持っていく。


夢幻の眼に、うっすらと恐怖が宿った。



バトルでっせ。


今回は別に血はそんなには飛びませんでしたね。




明日から学校です。

今日、沖縄は台風騒ぎのため、塾が休みになってくれたので更新できました♡


携帯に溜まっている下書きの数々。

さて、いい加減に阿修羅華以外も更新しなきゃな。


夏休みよ、さようなら。

二度と戻ってこない時間よ、さようなら。

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