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【第三話-後編】最初から、利用されていた。全てが。

「...復讐?」

「ええ、そうだけど。」

世界を滅亡させるとか、大規模なテロを起こすとかでもなく、至って個人的な理由だったことに思わず拍子抜けしてしまう。


「...なによ、納得いってないって表情ね。」

彼女は不貞腐れた顔をしながらムスっと頬を膨らませている。

「いや、あまりに個人的な理由だったもので...少々驚いてしまっただけだ。」

「言うわね。私が受けた屈辱さえも知らないくせに。」

「まず、何があってこのような回りくどい方法で私をおびき寄せたのかを説明してくれないと、そこに至るまでの経緯が分からない。」

正直に問いかけたつもりだが、彼女はぽかんとした様子で大きなため息をついた。


「はぁーーー...めんどくさ。私と手を組む気がないのなら、教える意味もないわよ。ということで、この話はお終いに...」

彼女はそう言いながらそっぽを向き、部屋の出口に向かってスタスタと歩き出した。

まずい、まだ聞きたいことがたくさんあるのに。急いで引き留めなければ。


「待て、まだ話が!」

「は、なに?赤の他人に構う時間なんてないのよ。用件があるならさっさと言って。」

動いていた足を止め、呆れた顔をしながらこちらを振り向いてくれた。

「この紙に書いてあることが事実であるのなら、フィナンド様は治療薬を完成させないためにこの私を閉じ込めているということか?」

「...さあ、どうでしょう。」

そう言うと、彼女は横に視線を逸らす。


「でも貴方が知るには、“まだ”早い。

理由はもっと...残酷なものかもね。」


私が推測したのとは別に、理由がある?

確かに、確定させるには証拠が不十分なうえ、ただの憶測に過ぎないのは分かっている。

だが...


「...まあいいわ。いずれ私と貴方は必ず、手を組むことになる。その時は───」

何かを言いかけた瞬間、彼女の表情が一変し、何やら慌てた様子で「話の続きは後で!」と言い放ち、その場を去ってしまった。


結局、フィナンド様の目的に関する有益な情報を聞き出せなかった。

リスクが高いのは重々承知だが、かくなる上は、直接聞き出すしか...


「そこで何をしているんだい?」

「...っ!」

考えるのに夢中で、足音に気づかなかった。

後ろからフィナンド様の声が聞こえる。こればかりは、言い逃れできない状況だ。

「フィナンド様、舞踏会にはご参加されないのですか。」

「はなから、親しくもない輩と交流して男女が入り乱れるパーティーなんかに興味ないからね。そんなことはどうでもいいんだけどさ。」

必死で話題を逸らそうとしたが、一秒の時間稼ぎにもならなかった。


「...答えなさい。アスカと、何を話してた?」

「ただダンスに誘われただけで、他は何も...」


無表情なのに圧を感じる彼の眼差しが、怖い。

見苦しい言い訳なのは知っている。

だが、いざフィナンド様を目の前にすると気が動転して、このくらいの嘘しか思い付かなくなってしまう。


「一つ忠告しておくけど───

彼女と手を組んでいるのは、僕だ。」


「え?」

アスカの話を聞く限り、フィナンド様と手を組むメリットはないはず。

...どうも不可解な点が多すぎる。

こうなったら、ずっと引っかかっていたことだけでも直接聞き出すしかない。


「では、私をこの王宮に閉じ込めている本当の理由は?毎年新たな薬師を雇っているのであれば、私の代わりになる者などいくらでも」

「単純な話さ。君の作る薬が、実に“素晴らしい”ものだからだよ。」


このとき、私が今まで行ってきた研究は全部、何もかも無駄だったと気づいた。

一瞬にして目の前が真っ暗になる感覚に陥り、その場に膝をついて崩れこんでしまう。


「僕が雇ってきた薬剤師くん達はみーんな、つまらない薬ばかり作ってたからさ。ま、もう全員いないんだけどね。」


身柄を拘束されているわけでもないのに

パニックで、足が、口が、動かない。


「それに比べて、君は本当に優秀だよ。

魔力と生命力を補う成分が入っているものを、3年も作り続けてくれたんだから。

...まさか、あの疫病が“魔力と生命力を削る病気”だと、本気で思っていたのかい?」


利用されていた。最初から、全てが。


「君は賢い。でも、その目で見たものの正体を誤認したまま育てば...」

そう言いながら彼は、何も抵抗できない私に向かって左腰に付いている鞘から剣を引き抜き、ゆっくりと近づいてくる。


...いつか必ず、復讐してやる。この屈辱を晴らすためなら、何だって、やってやる。


さっきまで動かなかった口が、一時的に開く。

「殺してやる!!」


気づけば、大きな声で叫んでいた。

普段、感情的になることが少なかった私が

人生の中で最も、誰かを憎んだ瞬間だった。


「大きな鴉だって、小犬に成り下がるんだよ。」


彼がその言葉を口にした瞬間、私の首を目掛けて、剣の刃が横から突き刺さってくる。

シュパッという鋭い音とともに、自身の頸動脈から今までに見たことのない量の鮮血が吹き出す。


許さない。許さない、絶対に───


「ほらね。言ったでしょ?

私と貴方は必ず、手を組むことになるって。」

ご愛読いただき、ありがとうございます。

作者のあいなしです。

次回、殺されたロスターは、交渉に...?

転生した先に、何が待っているのか。

よろしくお願いします!

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