神、やらかす
『ねぇ、君は鵙のどういう所が好きなの?』
「そうですねぇ…スズメ科なのに、バリバリの猛禽類って所かな」
『へぇ、じゃあ鵙そのものがすきなの?』
「うーん…まぁ、言ってしまえば。このシリーズのキャラよりも、そうですね。
私、鵙が好きだから。それに、自分の誕生日の鳥が鵙なんです。だからかな。これ買ったの」
『僕と同じ!』
「へ、へぇ…?」
以外にも、話しは弾んでいた。
僕はまだこの公園で、彼女と話しを続けている…!素晴らしい。
彼女は、鵙に思い入れがあるらしい。
誕生石のようなものかな。なるほど。
だったら、僕もその気持ちは分かる。
自分が生まれたその日を祝福してくれるモノ…。
それってなんだか特別だものね。
だったら、僕も、彼女と同じ誕生日…ってことにしてしまおう。
その方が、僕が嬉しい。
さぁ、僕の方からも、彼女に愛を謡おうじゃないか。
『僕も、鵙っていう鳥が好きだ。
まるで、君のように「気高く」凛々しい魂の持ち主でありながら、
その愛嬌の籠った姿が、僕…とても好きで、ね…』
「そう、なんですねぇ…?」
『僕、鵙…つまり君が好きなんだ。僕、君に「一目ぼれ」してしまって…その…』
「…それは。…無理です」
『は、え…?』
無理です…?
今、無理って言われ、た…?
「そういう口実で近づいてくる方には、お答えできません。
というか、私の事、揶揄わないでくださいよ。可愛くないからって…」
あ、違う。僕、間違えた。これは…どうしよう。
『ち、違うんだ。いや、違くない…!お願い、聞いて…!』
「可愛くないからって揶揄われたこと、あなたにはないでしょ。ごめんなさい、さよなら」
「まってーー…!」
楽しそうな顔が、怪訝そうな顔に変わって、戸惑いになって、最後は…
泣きそうな顔だった。
僕、彼女を傷つけてしまったらしい。
でも…うん。なんか分かった。
彼女がどことなく人目を気にして歩いていた事。
この世界では、それだけ、呪縛に支配されているんだ。
肉眼でしかみえないものを、人は見ているんだ…。
僕はしゅんとなって、彼女が去っていくのを見送った。
でも、諦めたわけじゃない。
今度は、神として、彼女に気持ちをつたえよう。
破れかぶれだ――!
嘘をついたら、相応の結果が待っていたとさ。
頑張れ、神。