神、散る(返り咲き予定)
(ど、どどどうしよう…僕の女神だ。女神がいる…!こういう時、僕どうしてた!?)
そんな事、分かる訳もない。だって、これまではあっちから話しかけてくれていたんだから。
僕は、初めて、女の子に自分から声を掛ける事に…なるらしい。
今の僕、変じゃない?まぁ、よくいる”さらりーまん”だ。
清潔感もあるし、イケメンだし、爽やかだし…拒否される理由はない…よね?
『お、お嬢さん…!』
「…」
スルー…スルー…!?
まって…!?今僕スルーされたよね?
いや、待って、気が付いていないだけかもしれないし!ね!?
『そこの、道行くお嬢さん!』
「え、わ、私…?…な訳ないですよね。すいません。では」
嘘!?信じられない!今、この子、本気でこう思ってるんですけれど?
後ろの方に誰かいないか確認して、態々、自分じゃないって確かめてきたよ?
そんな事、ある…!?
『ま、待って…!いかないで…って、早っ!』
僕が、少しの間呆けている間に、彼女はというとあっという間に
遠くの方へと行ってしまった。
こ、ここで逃すわけにはいかないのだ。
ここで逃したら、またどこで会えるかなんて、流石の神であっても解らない。
この広い世界で、ちょっとの縁を辿るなんて、中々に大変な事なのだ。
僕は、あわててパソコンをたたんで、あぁ、悲しきかな。
こんな所で僕の生真面目さが邪魔をする。
呑み終わった飲み物を返却口に返していないし…。
うぅ…惨敗。
ようやく見つけた女神でも、その手の中に、まんまと飛び乗ってくれるとは限らない。
そんな神であった…。頑張れ、神。