「奔放なる」神
この奔放たる神は「探していた」…己を甘やかし、よしよしと宥めてくれる「女神」を。
そんな彼が見つけたのは、人間からすると…。
しかし、そんな彼には、まったくどうでもいい事なのであった。
僕は、女の子が好きだ。
あの柔らかそうな「丸み」。
優しそうな「眼差し」。
そして、全てを包み込んでくれる「優しさ」。
そのどれをとっても、女の子っていいものだ。
僕は、「あのゼウス」のように、「女の子」に無体は強いたことは無い。
だって、ただ、「母親」がいない寂しさを埋めてもらいたいだけなんだ。
ただただ、「よしよし」って、抱きしめて良い子だねってしてもらいたいだけなんだ!
僕は、奔放な神らしい。
らしいっていうのは、僕が勝手に聞いた事。
友達の神は、まったくそんな身勝手な願いを持つこともないし、
女の子にそう夢見る事もないそうだ。
僕は、そんなぁ!とショックを受けたものだ。
だって、あの、柔らかい感触。
大人びた「考え」と「思い遣り」。
そして、いい匂い。
僕は、そこまで言って、「変態」と、友達にレッテルを貼られてしまった
哀れな神なのだ。
そんな僕だけど…本当に、女の子に無体を強いた事だけは、ないんだ。
それは、僕の誇りでもあったし、安心安全な僕の「ラベル」でもあった。
そんな僕としての神っていう仕事。
それは、この世界を見守る事。
世界が今日も何とか廻っているのか、それを確かめるお仕事だ。
他の神に言わせてみれば、僕は「ニート」というものらしいけれど。
でも、これだって、僕の大事な仕事だ。
その一環として、僕は、この世界の人間に紛れて、地上の視察をする。
皆、今日も忙しそうだ。
今の僕は、さらりーまん。
会社勤めのひとの恰好をして、カフェでパソコンをいじっている。
見ているのは、「神」への質問コーナー。
僕は匿名で、それにずばずば答えていく。
これも、僕の近代のお仕事。
そんな時、ふっと、光が見えた。
なんだろうと思って、目をやると…いた。
いたよ…いたんだよ…!!!
あれは、女の子じゃない……ぼくの、いや、まだ僕のじゃない、けど女神だ!
薄いこげ茶色の長髪は風に揺れ、ちょっぴり痛んだ毛先すら、狙っているかのような開き具合。
丸っこいその姿は、何故か自信なさげにその背を更に丸めていた。
いっそ、人間達から見たら、ちょっと「おブス」とでも言われてしまいそうなその子。
でも、とんでもない!透けて見える彼女の魂は、これでもかというくらいに美しい…。
僕には分かる…!
彼女こそ、僕の探していた、「女神」だ…!
それほどまで、僕は、「一瞬で」心を奪われてしまった。
これは、逃す手がない。
僕は、こんな日常の一コマで、とんでもない出会いを果たしてしまったのであった。




