21. 楽しいお肉パーティー
負傷者の治療を終えた後、長の魔獣はクラレンスのパーティが引き取り、残りはクラレンスの提案により、皆で公平に分け合うことになった。今回は他の者たちも遠慮した。
「毎回こんなふうに気を遣っていただかなくても……僕らは手伝っただけで、ほとんど騎士様が仕留められたんですし」
「そうですよ。騎士様がいなかったら、私たち全員死んでいました」
バイソン型魔獣は、仕留めるのが困難な上に、肉自体が高級食材とされ、皮や角なども非常に高価な素材として扱われる魔獣だった。
クラレンスは首を横に振った。
「そもそも僕を狙って起きた出来事です。それに、今日はここでの最後の活動でもありますから、こうして皆でたっぷり分け合えるのは、むしろ嬉しいことです」
その言葉に、皆一瞬しんみりとした空気に包まれた。涙を浮かべる者もいた。初心者の冒険者たちは予想外の大収穫に興奮して、魔獣の解体を始めた。
「こんなデカいやつ、初めてさばくよ」
「ここにいる全員そうだろ? 群れで動くバイソン魔獣なんて、普通は逃げるしかない相手だぞ」
「見た? さっき僕がコイツの頭をメイスでぶっ叩いたとこ!」
「ハハ、見た、見た。まあ、それなりに勇敢だったな。褒めてやるよ」
皆が高揚した空気に包まれている中で、魔獣の群れをこちらに引き寄せた者たちへの非難の声も上がった。
「魔獣を引き連れてきたあいつら、前に回復術士を見捨てた連中だろ?」
「そうだよ、あいつらに間違いない」
「最低な奴らだ。自分たちが悪いくせに、こんなことをしでかすなんて。すぐにギルドに知らせて捕まえさせなきゃ」
「当然だ。あんなの、生かしておく価値もない!」
「もうどこかに逃げたんじゃない? こんなことしておいて、まだキヘンナにいるとは思えない」
「だったら指名手配にでも載せるしかないな。二度と混沌の地の近くに足を踏み入れられないようにしなきゃ」
黄金の騎士は、激しい戦闘を終えたばかりとは思えぬほど疲れの色も見せず、大剣を地面につき、警戒の姿勢を崩さずに立っていた。その凛々しい佇まいは、見る者に感嘆と畏敬の念を抱かせるに十分だった。
しかし、鎧の中の状況はまるで違った。30体を超える大型魔獣を相手にしたクラレンスは、すっかり力尽きていたのだ。
― 労いの言葉でもかけてやろうと思ったが……何だ、その間抜けな顔は?
(話しかけないで。マジで死ぬほどキツい……)
― おい、よだれ垂らすのやめろ。今の顔を誰にも見られてないのが救いだな。後々顔を晒して歩く時が心配でならん。
それはそうと、あいつらのことはどうするつもりだ?
疲れ果てた状態の中でも、そのことを思うと、再び怒りがこみ上げてきた。ザヴィクや仲間を含め、多くの者がこの騒動に巻き込まれていた。
(……見つけたら捕まえて、ギルドに突き出す。私だけならまだしも、仲間や他の人たちまで危険にさらしたんだ。私が許す許さないの問題じゃない)
― その通りだ。奴らは人として越えてはならぬ一線を、すでに2度も踏み越えた。前回の出来事から何の教訓も得ず、むしろより悪辣な行為に及んだ。そんな奴らを放っておけば、更なる毒を振り撒き、善良な人々を脅かすだけだ。
(あいつら……見つけられるの?)
― さあな。キヘンナにいるなら、探すことはできるかもしれん。望むなら、戻ったときに試してみるがいい。我らの力と能力は、我が授けたものではない。根本的には、お前自身に備わる資質と力によるものなのだから。
最初に鎧を身につけた日のこと、頭に流れ込んできた数多の記憶の幻影。その多くは、まだ忘却の中に埋もれていた。力が向上するにつれて、少しずつ開かれていく巻物のようなものだった。
(それでも……少しずつでも、前に進めているよな?)
一歩を踏み出すことすら困難だった初日と比べれば、確かに成長を感じていた。
*** ***
解体作業にはかなりの時間を要した。群れ全体で30体を超える大型魔獣だったからだ。アイテム袋でもあれば、収納して運べただろうが、そんな高価な代物を持っている者など当然いるはずもなく、解体して持ち帰るしかなかった。
いつの間にか、日は傾き、人々は野営の準備を始めた。近くから薪を集め、クラレンスの赤い大剣で火を起こし、水も汲んできた。
問題は食事だった。皆、日帰りのつもりで出てきたため、夕食の準備がある者は少なかった。
「肉はたくさんあるから、それを焼いて食べましょう」
クラレンスが提案すると、ラリサは小首をかしげた。
「どうやって調理する? うちの荷物に鍋とかフライパンはあるけど、小さくて到底足りないし……串に刺して焼くしかないかな?」
するとクラレンスは、黄金の盾を2枚取り出した。
「これを洗って、その上で焼こう」
「えっ、いいの? 火にかけたら、色が変わったりしない?」
美しい金色の盾が煤けてしまうのはもったいないと思いつつ、ラリサは水で盾を丁寧に洗い拭き取った。
クラレンスは、盾を直接火にかけるのではなく、地面から少し浮かせた状態で置いた。そして、盾が熱を帯びる様子をイメージした。驚くべきことに、盾は自然と肉が焼けるほどに熱くなった。
「すごい……レオン大王の仲間、マクスボーン様が持っていた〈守護の疾走〉みたい!」
シャルは驚いたような仮面の表情で感嘆した。
ラリサも目を丸くした。
「火を使わずに料理できるなんて革新的ね。薪も要らないし、すごく経済的。これだけでも立派なお宝じゃない?」
黄金の盾を鉄板代わりに使うことに、鎧が何か文句を言ってくるかと思いきや、意外にも黙っていた。
(もしかして、昔もこうやって使っていたんじゃないの?)
鎧の不自然な沈黙に、クラレンスは得意げになった。
(やっぱりそうなんだ。元からこう使うものだったね)
― ば、馬鹿なことを言うな! 本来そんな用途なわけないだろう! たまたまそういう使い方もできるってだけだ!
(ふーん、でも、昔の勇者たちも、案外人間らしい一面があったんだな)
完璧無欠な理想像とは少し違う、どこか親しみの湧くイメージが心に浮かんだ。
ラリサは、何かを決意したような表情で、薬袋から塩を取り出した。
「せっかくの高級肉なんだから、美味しく食べなきゃね」
そして、周囲から食べられるハーブや根菜を採ってきて、黄金の盾で肉と一緒に焼き始めた。
塩で下味をつけ、ハーブを添えて焼いた肉は香ばしく、旨味が際立っていた。黄金の盾で焼いたおかげか、肉汁が閉じ込められ、柔らかくてジューシーだった。
人々は鉄板と化した黄金の盾の周りに座り、楽しく肉を味わった。ほとんどの人が、こんな貴重な肉を食べるのは初めてだった。クラレンスが最後に仕留めた長の魔獣も、そんなふうに人々の胃袋へと消えていった。
夜の帳が下りた空には、今にもこぼれ落ちそうな無数の星が、いつにも増して輝いていた。
焚き火のまわりに集まった人々は、今回手に入れた魔獣の皮や素材をどうするかを話しながら、花を咲かせるように語り合った。これを機に、まともな武具をそろえようという者、魔導書や道具を買うつもりだという者、家計の足しにするという者―それぞれの思いを口にしながら、夜はゆっくりと更けていった。