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冥界に続く泉

作者: 薄雪草


月のない夜

冥界へと続く階段を

降りていく

神官たちと

贄の

足音


水音が響く

波紋が重なる

夜露の降る泉に


獣の声も届かない

暗い聖なる泉


低い響きは

風の音か

誰かの

声か


雨乞いの儀式が始まった



洞窟内は蝋燭が焚かれ

神官たちは詩う

着飾って化粧を施された贄が

選ばれてただ一人

泉の岸に立つ


断崖の下は

底知れない深さの泉

冥界への入口


その恐ろしく澄み切った泉に棲むのは

水神か

あるいは、邪神か


善悪を超えた存在

青い空、天上、青い泉、地底

朝、夜、時、季節

鳥、作物、獣、魚

すべて

神は棲む



詩の終わり

蝋燭の消える頃になると

贄は泉に入っていく

帰ってきたものはないという

深い泉の奥に


そうして地上には雨が降り

作物は繁り、人は栄える




昼の泉に降りていく

ダイバーたち


笑顔で

異国から来た者たちは

躊躇いもなく

泡を吹かせて

潜水する


青い光の差す

聖なる泉


その底には今も

朽ちて

土となった贄たちが

眠っていることを

知らない







セノーテ、という映画を観て。

光の刺激が強いので、過敏な人には向かなそうでした。

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