あらたなる脅威
事件解決もつかの間あらたなる動きが・・・
「タイジ様、ギルドからの緊急クエストです」受付嬢のリサ
「やあ、リサすっかり元気になったんだね」
「その節は私とギルドと町を救っていただき本当にありがとうございました」
「かわいいリサさんの一大事ですからね。当然の行いですよ」
「あら、お上手・・・」赤面するリサ
「師匠、そんな事を話してる場合なのですか?」横から割って入るコトミぷんぷん
「ご、ごほん、失礼しました。で緊急クエストとはなにごとですか」タイジ
「はい、実は北側の手つかずの荒れ地に巣くうオーク共が人里を襲いはじめたのです」
「結界がほとんどおよばずに放置状態だった北側ですね。」
「そうなんですがこのほどタイジ様の魔力発生装置のお陰で北側にも結界がいくらか展開出来る様になった矢先、オーク共が大量発生していたのです」
「つまり、今回はただのオークだけではないと・・・」
「はい、発生の規模からみて間違いなくオークキングもしくは上位のオークジェネラルが群れを率いてるとみて間違いありません。だとするとわが町の冒険者では太刀打ち出来ないのです。」
「つまり我々のそうぞうC以外達成不可能なクエストって事なんですね」
「はい、ここはタイジ様にすがるより他ありません」
「見方を変えれば我々がオークの生息地を犯してるともとれますね」タイジ
「確かに一部の魔物を除きやはり人類と魔物は共存出来ないのです」リサ
「ケンはどう思う?」
「は、我の意見ですがやはり平和ではなく武をもって人々の脅威となるオークは成敗するしか方法はないと思います」ケン
「でも本来なら結界を張り巡らせば安全なのでは?」タイジ
「は、基本はその通りですが一部の強力な魔物は結界をキャンセル出来るようです」リサ
「私が発明した携帯型結界装置も役に立たないって事か・・」
※携帯型結界装置とはタイジが独自に発明したモバイル電池と組み合わせた少人数用の結界発生装置結界範囲は狭い、主に行商人などが旅路の安全のために重宝してる万民の安全のため安価で販売してるので儲けはほとんどない薄利多売商品。
「はい、過度に装置を信用しきった行商隊などが主に北側で突然大量のオークに襲われる事件が頻発してるのです」リサ
「安易に捕食できる人間の味を覚えたのかと」ケン
「事実ならば商業ギルドと俺の信用がた落ちだね。」今後の商売にも影響でそうだ
「実は北側ルートは王都に通じる重要な通商ルート、ここが塞がれると我が町にとっても大変な事態となるのです」
「いままでは街道防衛のために結界魔法がそそがれていたので北側は未開発でした」リサ
言い方を変えれば街道整備ばかりしていたので北側の開発は大きく出遅れ魔物が跋扈してしまったとも言える。
そこまでして手厚く防御していた街道が犯されたとあっては国としての沽券にも関わるしなによりも通商が遮断されたら国全体が弱体化するのは明白
「なるほど、これは緊急事態ですね」
「師匠、やりましょう」ケイ
「しかし、オークジェネラルが相手となると我々にも犠牲がでるやも・・」
「命を恐れていたら戦など出来ませぬぞ」ゴブリン隊隊長シュウ
「この町の存亡の危機でござるぞ」コトミ
皆血気盛ん戦闘意欲は高い
「分かりました。でも勇敢と無謀は違いますちゃんと作戦を立てて事に当たります」
「おお、それでこそ我があるじ」ケン
「尚今回の緊急クエストには多額の懸賞金が掛かる模様ですが今王都に申請中につきどのくらいの懸賞金が出るのか今しばらくお待ちください。」リサ
町の国の存亡がかかってるのに懸賞金云々どころではない
「そちらはお任せします」
「どうかこの町を救ってください」リサ
「任せてください。必ずご希望にお応えいたします」俺
一旦拠点にもどり作戦会議
「で、どうなのオークジェネラルって倒せるものなの?」タイジ
「一騎打ちとなれば我が剣でも少々難しいかと」ケン
「ケンが圧倒出来ない?つか苦戦必至?」
「は、オークジェネラルと言えばランクで言えばSSクラスですから」ケン
「SS?・・・そんな魔物聞いた事がござらん」ケイ
「古の伝えによりますと数百年に一度発生するかどうかの魔物ゆえ」ケン
「更にやっかいなのはオーク共はある程度の知識を有し軍隊行動が可能な所」
「だね、行商隊を奇襲出来るって事は計画的に襲ってる証」
「敵の総数を知る必要がありますね」タイジ
「は、実は隠密裏に調査完了してまする」アケミ
「おお、さすが調査担当、素早いね」
「は、ギルドにご協力していただき被害調査とオークの実態を調べました」
「で?」
「は、師匠からお借りした情報システムを使いどろーんなるもので集落を上空から偵察した結果集落の大きさから判断しおよそ500程度のオーク戦闘要員は半分程度とみられます」
「味方約60で相手は2~300か・・・これは手強そうでござる」コトミ
「で、被害実態ですが今まで10日の間に約85名程の犠牲が出てます」アケミ
「これでは北側ルートは完全に遮断されてる様なものだね」
「多分敵の狙いは補給ルート遮断による兵糧攻めかと」ケン
「な、なんと・・・単に魔物の攻撃だけじゃないって事?」タイジ
「は、前回のザビル村事件といい今回の事件といい・・・」ケン
「つまりどこかの国の画策って可能性?」タイジ
「は、あまりにも事件が重なり過ぎてます」ケン
「で、実際の所この町はどのくらいもつの?」
「は、タイジ様の開墾したザビル村からの収穫量が莫大なのと我が町で広がった結界範囲のお陰で3ヶ月程度は持ちますがそれ以降は食料制限となりましょう」アケミ
「たったの3ヶ月か・・・」
「今から計画的に自粛要請をすればなんとか一年位は耐えられましょう」
「市民全員の飢えを防ぐにはやはり北側ルートの復活しか方法ありません」アケミ
「事は我が町だけの話ではござらんぞ」ケン
「ん?どういう事?」
「我が町から南方面の町々は全てこのルートを通るのでござる」
「う、つまり国家存亡の危機に近いって事?」タイジ
「御意、残念ながら我が国の情報網は発達してなくこの窮地はまだ王都に伝わってませぬ軍が動くまでは時間がかかる事でしょう」ケン
「また、例え動いた所で凶悪なオークジェネラルに対抗するのは不可能にござる」
以前にも話したがこの国は小国、特に軍備は脆弱この上ない、タイジ
には知らされていないが数年前に隣国との小競り合いがありただでさえ少ない戦力が更に心元ない状態なのだ
「これはますます周辺諸国の干渉が懸念されるね」俺
「は、ですが真相解明はこの窮地を乗り越えてからの話」ケン
「うん、でもなんでこの国が狙われるの?」
「は、あるじはご存じないでしょうが我が王国、小国なれど大陸のほぼ中心部に位置し交通の要所でもあるのです。つまり利権、権益が多くそれで国が成り立ってるのです」ケン
つまりは国家間貿易の要所として通行税収入が半端ないって事。
「弱みを握られてる国が多い?」タイジ
「この大陸には素材を含めその地でしか得られぬ特産品が多く国家間貿易は絶やすことが出来ないのです」
「つまり通行税徴収だけでも十分な利益が得られてるって事か・・」
「小国が生きていく為には綺麗事は言ってられませぬ」ケン
「ん?でも魔物に交通が遮断されたら他の国も困る筈だよね」
「考えたくはないのですが数カ国が同盟しなんらかの方法でオークを
操作してるかもしくは他のルートを得てるのやもしれませぬ」ケン
「いや、大国が飲み込んでしまえば侵略に時間が掛かっても得るものが多いからだろう」俺
「ですがここ300年我が国は生き残って来たのです」ケン
「何か理由があるんだね」
「は、他国を跳ね返す国王の知略です」ケン
「じゃ、今回も国王がなんとかしてくれるんだろ?」
「ですが今回は敵側の動きがあまりにも速すぎてまだこの窮状は国王に届いてませぬ国力が弱ってる上に初動が遅れたのでは今度こそ国家滅亡の危機でしょう」ケン
「あやうい天秤の上にある国家なんだね」
「は、いかにも。強国が本気を出してきたのかもしれませぬ」ケン
「国家間の懸念事項はともかくケンの言う通りまずは窮地を乗り越えるのが先だ」「御意」全員
「さて、この少数精鋭でいかにしてオーク軍に対抗するか」タイジ
「隠密接近し一気に首魁に迫るとか」コトミ
「結界をも無効化出来る魔力の持ち主。隠密接近は不可能だ」ケン
「魔力以外の方法での隠密接近は不可能かな?」タイジ
「魔力、魔法以外でそのような術はこの世に存在しませぬ」ケン
「いや、ある。俺の前世の科学を使えば可能だ」タイジ
「ですが例え首魁に接近出来たところでオークジェネラルの力は強大」ケイ
「俺はこの現世での魔物の力とやらほとんど知らないんだけど」
「はあ?」
「物理攻撃ってどの程度通じるかな?」
「あらゆる物理攻撃は敵の魔力の前では無力」ケン
「でも、ほとんどの魔物や人間はアンチマジックエリアで無効化出来るよね」タイジ
「相手の力量によりますな、それを凌ぐ魔力の持ち主ならばそれすら返されます」
「SSクラスの魔物だと魔法は多分効きませぬ」コトミ
「そんな化け物一体どこから沸いてきたんだ?」
「これも古くからの言い伝えですが一流の魔道士が複数集まり高等魔法にて召喚出来る場合もあると聞いたことがござる」ケン
「我が里でもその言い伝えは聞いたことがあるが召喚した魔道士は死に至ると」コトミ
「とんでもない召喚術なんだね」タイジ
「は、そんなことは強大な国でしか出来ない事でしょう」ケン
「そんなボス級の魔物召喚して召喚した自身は大丈夫なの?」
「は、召喚主に危害は与えませぬ」ケン
「おいおい、コトミ君の話だと召喚主の犠牲が条件なんだろ?本当に大丈夫なの?」
「・・・・召喚主がいないとなると・・・野放しかあるいは上辺だけの従事やも」
「とんでもない事だね。下手したら人類存亡の危機かも」タイジ
「新たなる情報が入りました」アケミ
「どんな?」
「は、オークジェネラルはカリスマというユニークスキルで周辺のオークを次々と従え集める能力を有します。敵の数はどんどん増えて今や兵員1000以上と推定」
「ば、ばかなそんな数どうやって食わせてるんだよ」タイジ
「は、今までは行商隊を襲うことで糧にしてきましたが今後は周辺の集落が危ないかと」
「北側は未開発なんだろ?」
「北側を制した後は西や東方面も危ない可能性あります」アケミ
「これは猶予3ヶ月どころの話では無くなって来てるな」
「御意、遅れれば遅れるほど我らが不利でござる」コトミ
☆
「どう?」
「さすがはあるじ、西側の山々に目を付けたのは鉱物資源が目的だったのですな」
「うん、地質調査をしたところ金、銀、銅、鉄、アルミ、その他金属が大量に採れる先日借りた鉱物資源量なんて比較にならない量だよ」
「しかし鉱物資源いかに採れようとオーク討伐に関係ありませんぞ」ケン
「おおありなんだよ。それこそ科学の力のために絶対必要なのさ」
「はあ?かがく?一体何を言ってるのか我には皆目見当つきませぬ」
「俺が一番欲しかった科学の魔法が実現するんだよ」
「はあ?科学の魔法でござるか」
「オーク討伐には絶対に欠かせない新兵器って事さ」
「しかしいかに剣や槍、弓矢を改造したところで限界がござる・・」
「そんな次元のものではないから。まあこの世界の常識では理解不可能だろうね」
「とにもかくにもまずはコレ作って」
「はあ?これのどこが新兵器なのでござるか?」
「だからぁ新兵器を作るためにはまず素材が必要なんだよ。つまり溶鉱炉さ」
「ようこうろ?でござるか・・・我には全く意味がわかりませぬな」
「鉄鉱石やアルミを溶かして強度や形を自由自在に操るのさ」
「その様な事は我に銘じていただければたちどころに作れます」
「実験や試作段階ではケンは重宝するけど、大量生産となるとこれが必要なんだよ」
「しかしいかな強力な金属の矛や盾を作ったところでオークジェネラルの前では無力」
「いくらオークジェネラルって言っても魔力には限界あるんだろ?」
「はあ、鑑定出来ないのでなんとも言えませぬが桁外れなのは間違いござらん」
「ケンがいつか言ったよね、俺の世界の電力とこちらの魔力は共通性があるって」
「はあ、あるじのスマホが動いてる理屈ですな」
「カオスイーターで吸い取れないかな?」
「さすがはあるじ大賢者様の知恵でござるか?」
「オークジェネラルの必殺技にカオスイーターがあるって聞いたことがあるんだ」
「確かに発動させることで相手の魔力や生気、すべてを食らい尽くして更に毒で犯す万能技、オークジェネラルにしか発動出来ない魔法と言われてますな」ケン
「あと勇者とかが操れると言う無限牢獄とかって製作可能?」
「ほう、よくご存じであれは一種の封印魔法、一旦閉じ込めた敵はあらゆる攻撃が無効化される究極魔法でござる。ですがこの世に存在しないSSS級勇者しか扱えません」
「多分魔力が足りないので発動しないだけだよね。詠唱は可能なはず」
「ですからなんども申してる様に人間である以上魔力量には限度があるのです」ケン
「ここまで言っても気がつかないのかよ」呆れる俺
「はあ?・・・・あ」
「そう、俺が開発した水力発魔機で可能なのかどうかって話だ」
「しかし実際に必要な魔力量などは詠唱してみないと分かりませぬ」
「詠唱は出来るんだな?」
「は、古の魔道書に書き示されてと聞き及んでます」
「手に入らない?」
「王立図書館秘蔵で門外不出かと」ケン
「独自に開発出来ない?」
「なんどもいいますが我は作るだけ、発想はあるじまかせ・・・おおっ」
「分かった?つまり俺が概念をケンに送る事が出来れば後は素材次第なんだよね」
「た、確かに・・・ですがどんな素材が必要なのか皆目見当がつきませぬ」
「ケンのアイテムボックスは魔道具製作時に必要素材と不足素材教えてくれるんだよね」
「は、今までの歴代あるじが残した無尽蔵ともいえる素材とあるじが発掘した素材が増えてますな。多分足りないものはないはず」
「と、言う事でカオスイーターと無限牢獄を発動出来る魔剣作って」
「な、なんと荒唐無稽で無謀な事を・・・その様な世紀末的魔剣など作ってもあるじが使いこなせる訳がありませぬ」
「だからぁ、ケンがその剣を宿してくれれば済む話だろ?ちがう?」
「はああ?なに言ってるのか我にはまったく分かりませぬ」
「ケンの実力ならば可能と思うんだよね」
「出来るか出来ないか試す価値はありそうですな」コトミ
「あとね、・・・まあその話は事件解決してからだ」俺
「ん?あるじは事件解決後の世界を見てるのですか?」ケイ
「だってもしカオスイーターと無限牢獄が開発出来たらオークジェネラルなんて雑魚にしか見えなくなるからね」
「数百年に一度の天災級魔物が雑魚・・・」唖然とするケン
「我でさえ負ける可能性がある魔物ですぞ?」ケン
「それ一騎打ちになった場合の話だろ?戦ってそんな単純じゃない」
「た、確かに果たし合いと集団戦では全く意味が違いますな」コトミ
「いいか?戦いなんて99%は準備段階で決まってしまうものだよ」
「さにあらず、戦とはなにがあるか分からないのが戦ですぞ」ケン
「民を国を守ると言うことはそんな博打では絶対に駄目なんだよ戦うときは絶対に必勝でなければ戦ってはいけない、つまり準備が一番大事なのさ」
「それは理想論です」
「人間には知恵ってのがあるんだ」俺
「確かに分かってる事を準備しないは愚策ですな」コトミ
「と、とにかく両方の魔法作ってみます」ケン
「たのむ」
「むむむ・・・・」
「おおっなんと貯蔵素材で出来ましたぞ!」
「参考までに素材名教えて」勿論思念通信
「はカオスイーターの方は「マンダラケの実とリン、アルミ、鉄、硫化水素、ポイズンスネークの毒、塩、胡椒、マヨネーズ?我はマヨネーズなるものは知りませぬ」ケン
「以前料理レシピもケンに貯蔵させておいたのが役だったね」俺
「それらの素材を特殊な魔法壺で112日間茹でるとカオスイータの種が出来ます」
「うん」
「それを魔素が充満した特殊な畑で99日間耕すと実が成りその実を魔方陣に吸い込ませると出来るそうです」
「つまり時間操作が可能なケンのアイテムボックス以外では途方もない時間と労力が必要なんだね」
「御意、我がアイテムボックスでは瞬時にカオスイーターの実が出来上がりました」
「うん、それ複製も作ってね」
「は、さしあたり10個ほど作りました、コレ売れば金貨1000枚は下りませぬ」
「悪用されるから絶対に売らない。コトミ君にも秘密だからね」
「は、」
「次は無限牢獄だ」
「おまちください、作成してみます」
「・・・・・・・・」
「必要な素材は炭素繊維、チタン、鉄、人間の髪の毛、蜜蠟、これは全てそろいます」
「うん、頼みますコレ私の髪の毛です」タイジがケンに渡す
「う、あるじの髪の毛は人外級の高品質・・・とんでもない無限牢獄が出来ますぞ」
「なにいってるんだか・・俺は単に異世界に迷い込んだ地球人だっつうの」
「我の知る限りでは地球なる星はこの宇宙に存在してませぬ」
「そうかも知れないね、この世界と俺の住んでいた地球とは別の宇宙の気がする」
「は・・」何かを知ってるそぶりのケンだが今は追求しないでおく
「完成しました、詠唱すると我がアイテムボックスから必要量が消費する仕組みです」
「これで素材が有る限りいつでも発動出来るんだな?」
「前置きしましたとおり人類ではあり得ない魔力が必要ですけどね」ケン
「うん、多分モバイル魔池では全然量足りないだろうね、なにか考えないと」
「我がアイテムボックスの中に魔力貯蔵タンクを作れば発動時に同時に使えるかと」
「それはナイス、それで行こう」
「ですが当然敵はアンチマジックエリア使って来ると思われます」
「だから剣に宿すって言ったろ、一太刀浴びせることが出来れば物理的に発動出来るって訳さ」
「し、しかし、そうなるとあるじの剣技次第。オークジェネラルは武力でも最強」
「だからぁこの戦いは一騎打ちではないって言ってるだろ」俺
「われらそうぞうCの出番でござるな」コトミ
「うーん多分束になってかかっても適わないから無駄でしょう」
「オークジェネラルの前に敵軍団1千をどうするのかが先ですぞ」ケン
「うん、だからパーティのみんなには新兵器を使って貰う、これなら安全だし」
「ほお、新兵器とはどんな?」
「君たちを信用してないわけではないけど決戦当日まで明かせない」
「ですが新兵器使用となると訓練とか修練も必要でござる」コトミ
「うーん、それもそうだけど・・・」
「あるじから信用を受けてないのは隊としての失態、この場で腹を切ってお詫びします」シュウ
「ちょちょ、ごめん俺が馬鹿でした。隊を信じれなくて戦など出来ようもない分かりました」
「では、今回の新兵器とやらをもし口外した裏切り者がいたら厳罰に処する魔法をお掛け下さい」コトミ
「コトミの口からそんな言葉が出るとは意外」ケン
「我は訳あって師匠に仕えてますが裏切りなど絶対にしませぬ、処罰魔法大歓迎でござる」
「分かった、皆それでいいね」俺
「御意」全員
「ケンそんな魔法ってあるの?」
「あるには有りますがあまりにも熾烈でござるが?」
「例え身が朽ち果てるとも裏切りなどはしませぬ」全隊員
「あいわかった、それでは我が魔法の奥義「破滅」を全員に掛ける今後隊規を乱した者は何人たりとも、あるじや我も含めて全員が処罰対象とするがいいのだな?」
「ケンそれってどんな処罰魔法なの?」
「裏切った者は自動的に先にあるじが完成させた無限牢獄行きです」
「ちょ、それって無限牢獄が出来る前はどんな魔法だったんだい?」
「は、有無を言わさず消滅させる魔法でしたがあるじ曰く状況証拠で処罰してはならぬとの教えに従い一ランク落とした処罰とさせて頂きます」
「無限牢獄から出ることは可能なの?」俺
「は、特例として残りの隊員全てが罪を許すのなら放免可能に設定しました」
「わかった、みんなそれでいいね」
「は、望むところです」
「ケン自身も罰するってすごいな」
「当然でござるなにかとあるじは我を疑ってる様なので身の潔白を示す為です」
「肝心の規約ってどう規定するの?」
「それは皆で決める事、ゆるゆるでもキツキツでも皆の意思次第」
「昔の新撰組みたいな隊規なんて作ったら粛正の嵐で内部崩壊だ」
「しんせんぐみ?妙に響きのいい隊名でござる」コトミ
「俺のいた前世に昔内乱期があってそこに生まれた時代の寵児達の悲
しい物語さ」
「俺の案だけどなるべくシンプルに行きたいね」
「ご意見お聞かせ願います」ケン
1、隊員は常に訓練に励み国民の模範となること
2、隊員は私利私欲を禁じ常に身を綺麗にしておくこと
3,隊員は隊規を守りこれを外部に決して漏らさないこと
4、隊員の過去は一切不問とすること。
「異議有りませぬ」全員
「師匠、私利私欲ってなんでござるか?」コトミ
「他人をだましたり私腹を肥やしたりする愚かな行為の事だよ」
「そんな輩はこの隊にいませぬ」ケイ
「ま、今後いろいろ隊員も増えるだろうしけじめだよ」俺
「お給料貰って綺麗な服とか買ったら隊規違反なんですか?」アンナ
「正当に支払われた給金をなにに使ってもそれは自由だよ。
ここで言う私利私欲ってのは隊の金庫からちょろまかしたり商人と手を組んで隊に黙って利ざやを自分の財布に入れたりする行為さ」
「ぬううう、黙って聞いておれば!許さん、悪党出て来い」
マジで刀に手をかけるコトミ
「こら、これは例えの話だ、いつも熱くなりすぎだよコトミ君は」
「私の行為は隊規違反すれすれだったんですね」かしこまるノン
「ああ、そうだね、前回の事件はノンの善意から村は救われたのだけどそれは結果論、隊を裏切ったのは間違いないからね」俺
「ノンを庇うわけではありませぬが例え無限牢獄に投獄されても結局は無罪放免だったでしょうな」ケン
「あ、そーいえばケンも俺に対して裏切り行為したっけな、当然無罪放免だけどさ」
「あはは、そうでござったな、これからは何事も全員で相談するべきですな」
「ということで隊規はこれでいいね」
「御意」
「ま、基本和気藹々が一番なんだけどね、戦ではそうも言ってられないから」
「当然でござる」コトミ
「なんとなく話がまとまった空気でござるが実際は作戦会議なにも進んでませんぞ」ケン
「あはは、そうだったね、なんか脱線したけどと言うことで今回の秘密兵器の件みんなに明かすから」
「ぼそぼそ」
「な、なんとそんな兵器はこの世に存在しませんぞ」びっくりするケン
「うん、なるべく前世の科学兵器は出したく無かったけど相手が天災級魔物だからね」
「確かにこれは門外不出で絶対に口外禁止でござるな」コトミ
「今回だけの限定使用のつもりだ」俺
「ですが2つある秘密兵器の内1つは汎用性が高く国家防衛の根幹になり得ますぞ」ケン
「うーんでもこんな兵器あったら国家間の軍事バランスが崩れるからなぁ」
何をのんきに、我が国は諸外国から籠絡される寸前なのですぞ」
「分かったよ列強諸国が明らかに我が国に牙をむいてきたら改めて考える」俺
「いや、今すぐに国王に献上し部隊を編成し国防軍に組み入れ訓練しなくては有事の際間に合いませぬ」ケン
「でも魔法が跋扈するこの世界でこんな武器は通用するの?」
「魔法は確かに万能ですが希少性がとても高く誰もが扱える代物ではござらん」ケン
「あるじの発明しようとする武器はその気になれば女子供でも扱えまする」コトミ
もう読者の皆さんはお気づきかとは思うがタイジが提案した新兵器は「火縄銃」魔法全盛のこの異世界で銃火器は著しく開発が遅れてる。概念すら存在してない
「多分オーク共には通常弾では通用しないから魔石弾も開発する」俺
「こんな武器があれば非力な我らでも距離を取って戦えまする」ケイ
「オークジェネラルには通じないと思うけどね」俺
「敵軍団千を排除出来れば勝利はほぼ間違いなしでござる」ケン
「通常の火縄銃では連射が不可能、弾込作業がネックになるんだ」
「でもなにかしらの対応策があるのですよね」ノン
「うん、散弾式魔弾の開発と連発式の改良だよ」
「散弾式ですか・・弾を細かくしたら威力が減りませんか」ケン
「だから魔石弾なんだよ、魔力(魔法)を込めた弾だから分散させても威力は落ちない」
「おそろしい兵器でござるな・・」
「オーク鎮圧だけに特化した魔石弾を開発できないか考案中です」俺
「なるほどオークに限定出来れば他の魔物とか生物、人間への被害を防げますね」ケイ
「具体的なオークの弱点など存在するのでしょうか?」アケミ
「うむ、里による文献によると頭部攻撃に弱く蜘蛛などにおびえると記されてます」コトミ
「うん、それは良いヒントだね、つまりヘッドショットと蜘蛛か・」
「頭部に攻撃を集中させて蜘蛛の気配を魔弾に込めれば効果絶大なのですな」ケン
「一発で20位に分散し蜘蛛の気配を入れて頭部のみに狙いを定めるって事出来る?」俺
「あるじから頂いた概念を魔弾に注入すれば可能かと」ケン
「うん、あと連射については今概念を送ったよ」俺
「ほう、弾倉式火縄銃でござるか?」ケン
「うん、もうこれは火縄銃ではなくて小銃、機関銃だけどね、完全オーバースペックだよ」
「オーク撃退専用兵器とすれば悪用もされませぬな」ケン
「うん、門外不出かつ秘匿兵器として絶対に他者に悪用されない様にしなければ」
「我々そうぞうCには皆で誓った鉄の掟がありますので心配無用でござる」コトミ
「と言うわけでケン、この銃を100丁、魔石弾を1万発急いで生産してほしい」
「生産は可能ですが消費した素材は必ず後で補充する事。これは約束ですぞ」
「分かってる、ケンのアイテムボックスは我々の生命線失うことは許されないからね」
「これで準備はほぼ整いそうですな」コトミ
「いやいやまだもう一つの秘密兵器について説明してない」俺
「む、つまりオークジェネラルに対する最終兵器ですな」
「最終兵器はさっき作った魔剣での一刺しだよ」俺
「ですがそれはとどめのための剣なのですよね」コトミ
「うん、敵に接触出来るほど近づなければ魔剣の威力を発揮出来ないからね」
「つまり敵に接近するための秘密兵器ですな?わかったでござる」なにかにピンと来たケン
「さすがはケン、言わずとも分かるか」
「オークジェネラルの必殺魔法を弾き返しかつ物理攻撃に絶えうるとなれば・・」ケン
「ごく・・」ケイ
「なれば?」コトミ
「もうじれったいでござる」ノン
☆
「ゴーレムでござろう?」ケン
「おおおっ80%正解」
大リーグボール2号か!(誰も知りませんねm(__)m)
「つまり我が思い浮かべるゴーレム以上って事ですな」ケン
「肉弾兵器なのは同じだが更に強化版ゴーレムを作る」
「あるじ残念ですがゴーレム召喚には我の手持ちスキルでは魔力が足りません」ケン
「知ってるよ。ケンには土属性が一番低いって事」
「ぎょ・・鑑定スキルでも持ってるのですか?」ケン
「いや、前も言ったとおりケンのアイテムボックスの中身からケンの持つ属性をある程度読んだ」俺
「う・・あるじは何者でござるか?我の知るあるじではござらん」
「ケンみたいな能力が決まってる魔道具とは訳が違う、人間は成長するんだよ」俺
「それにクエスト時に雷系と火系魔法は頻繁に使ってたが土系は一度も見てない」
「なんと・・師匠はそんな事まで観察していたのでござるか・誰一人気がつきませんでした」
「以前に言ったはずだスマホの能力は思念通信だけではないと」
「はあ?意味が分かりませぬ」ケン
「誰一人活用してなかったけどスマホには録画機能ってのもあるんだ俺はクエスト時に全てを記録して後で全員の動きを調べ次の戦いに備えてたんだよ」俺
「さ、さすがは我があるじ・・・恐れ入りました」ケン
「実は君たち手持ちのスマホの録画機能も全て使ってたんだよ」
「つまり??」
「君たちの目をカメラレンズ代わりにして全員の行動を録画してた」
「ぎょ・・・・つまりどんな行動もあるじは知っていた?」ケン
「ごめん、君たちが裏切り行為をしてないのは事前に知っていた」俺
「師匠・・それはつまり私生活も覗かれていたって事でござるか?」
コトミ
「まさか、悪用などは絶対にしてない。録画条件を定めて使っていた
からね」俺
「具体的には?」シュウ
「うん、つまりパーティ行動時と裏切り時のみ録画する条件さ」俺
「だがこれからは録画時に分かるように設定を変更するから安心して欲しい」俺
「いえ、我々全員あるじのしもべでござる、やましい行動などは絶対
にしてません今まで通りで大丈夫ですぞ」ケン 「おう」全員が了承してくれた。
「これからも映像とやらで全隊員の能力向上のため活用してください」ケン
「実は映像記録を蓄積したのは隊全員の「次」の動きを高めるためでもある」俺
「具体的には?」ノン
「後方支援の者に皆の行動を指示させて効率的に動けるようにする」
「今回の作戦でいえば雑魚オーク退治の効率化が図れますね」コトミ
「うん、同士討ちを避けたり部隊配置を効率よくする、AI化だ」
「えーあい?」コトミ
「前世での俺の仕事だった」
「なるほどあるじの専門分野だったのですな」ケン
「こんなことを言うのはアレですがあるじは10歳児ですぞ・・末恐ろしい」ケン
「こんなガキみたいな格好してるけど中身は35歳のオヤジだよ」
「なるほど・師匠に漂う中年オヤジ感はそれだったのですね」コトミ
「色恋もさめただろ?」俺
「・・・・逆です」真っ赤になるコトミ、いやケイとかノン達も「中身は35でも実際は10歳ですぞ。節度はお忘れ無く」ケン
「ケンもたいがいだな。この世界では早婚が当然だとかまだ10歳だからとか一貫性がないぞ」俺
「ごほん、今は伸るか反るかの大事な作戦会議中でござる、そんな話してる暇はござらん」ケン
「だったね、どこから脱線したんだ?」
「ゴーレムが作れるとか作れないとかからでござる」コトミ
「作れる作れないは別としてゴーレムの定義ってなに?」俺
「は、ゴーレムとは召喚と自然発生の二種類ありますがどちらも動きは単純で肉弾しか出来ない突進型物理攻撃特化魔物でござる」コトミ
「正解、つまり意思がある敵にとっては御しやすい魔物だよね」俺
「ですな、平たく言えば実戦では「盾」代わりぐらいにしか役に立ちませぬ」コトミ
「だがメリットもあるよ、ゴーレムは土が基本だから素材は無限大に存在してる」俺
「術者によりますが土が基本なれど火ゴーレム、水ゴーレムも作れますぞ」ケン
「うん、あまり実用的にはアレだけど、とにかく基本土魔法熟達者でなければ召喚出来ない」
「我がそうぞうC最大の弱点は魔道士が一人も居ないこと」ケン
「俺の存在忘れてない?」タイジ
「はあ?なにかの冗談でござるか?」ケン
「口外無用が絶対条件の我が隊だからネタをばらすけど。何度も言うようにケンのアイテムボックスの中身は全て知ってるんだよ」俺
「はあ?それが魔道士とどんな関連が?」ケン
「にぶいなぁ・・・つまり膨大なアイテムBOXの中には門外不出級の魔道書もあったってこと」
「ですが・・あるじ魔道書は本人以外には絶対に見れない仕組み」
「歴代のケンのあるじ達はそこまでおろかじゃないよ」
「は?」
「つまりケンのアイテムBOX収納時にコピーを作らせて次の後継者に閲覧可能にしてたって事。じゃなきゃアイテムBOXに収納してたって全くの無意味だろ?ちょっと考えれば分かる事さ」
「ぐぬぬぬ・・・確かに言われてみれば当然でござった」ケン
「ですがどんなに優れた魔道書があったとしても使いこなせるスキルがなければ豚に真珠猫に小判」
「当たり前すぎる事をドヤ顔で言われてもなぁ」俺
「で、ですがあるじが魔法の修行をしてたなど我の記憶には一切あり
ませぬが?」ケン
「ふふふ、俺をあなどってはいけない。ケンが出来るなら俺だって出来るはずさ」俺
「は?全く理解出来ませぬ」ケン
「だってケンは分身の術が出来るよね。あコトミ君も出来たね」
「我の分身の術は姉者を使ったインチキ分身の術でござる」コトミ
「実戦においておおいに魔物達を混乱させた立派な術だよあれは」
「じれったいでござるな、だからそれがどうしたんでござるか?」ケン
「あはは、さっきケンが勿体ぶったからお返しさ」
「まじめに頼みます。はよ教えてくだされ」ケン
「俺の得意分野はコンピュータ解析と何度も言ったよね」俺
「なるほど、あのカラクリ箱に魔法を仕込んだのでござるな」コトミ
「それだけではこんな短期間で熟達は不可能だよ」俺
「ほう、他のカラクリがあると」ケン
「ケンのアイテムBOXは時間操作が自由自在だったよね。それを利用させて貰った」
「はあ?」
「つまり魔道書の解析をコンピュータにお願いしそのままケンのアイテムBOXに入れて時間経過を早めて一瞬で鍛錬させたって寸法さ」
「し、しかしどんなに解析出来てもあるじ自身MPが足りなければ無用の長物」ケン
「またっしらばっくれて・・・初めから俺のMP総量ケンは知ってるよね」
「ですがあるじに教えてません」
「予想出来た」俺
「意味が分かりません」ケン
「クエスト時に敵魔物の魔法をわざと受けてメーターの減り具合から自分のMP総量を推察したのさ」
「なんと無謀な・・・つまりあるじはわざと魔法を受けていた?」
「ぼけなすだと思ってたろ正直に言えケン」
「んん?それは可笑しいですぞ。確かに脳内にメーターは出現します
が魔法を受けたらHPが減るだけでMPは影響しないはず」ケン
「いや、精神魔法系具体的に言えばガーコイルの攻撃を食らうとMPも減るんだ」
「なんと・・普通の人間がガーコイルの魔法食らったら一発でアウトなのに」コトミ
「うん、だからHPの総量も知ることが出来た」俺
「身を削って調べたのですね・・・恐れ入りました」ケン
黙っててすまなかった、これも一種の隊規違反だね、今後はすべて皆に相談して決めるよ」
「結論言えば普通の魔道士が何十年も掛かって会得する事を短時間でしてのけた?」ケン
「平たく言えばそーいうこと、コレをチートって言うんだよ」
「インチキ・・・」コトミ
「国家存亡の危機に際してインチキもへったくれもない。有るのは現実だけ」俺
「おおおっ確かに」賛同するケン・・・さんざんいいように利用されてるのにね
「それで、つまり師匠はゴーレム召喚が出来て更に魔改造も出来ると?」ノン
「うん、魔物を魔改造するなんてロマン溢れてすごいよね」他人事か
「話を戻しますが単純細胞のゴーレムを魔改造とやらで知能化出来たのでござるか?」コトミ
「おいおい、主題はなんだったんだよ」俺
「えっと確か必殺魔剣の間合いにいかにして入るかでしたな」コトミ
「どんなにゴーレムを改造しても俺が敵に近づけなければなんの意味も無い」
「ま、まさか・・・」
「そのまさかさ」俺
「っ・・・非常識すぎますぞ」ケン
「勝てばいいのさ。勝てば」俺
「し、しかしあまりにも荒唐無稽でありえない事」
「いや、ゴーレムではないけど元の世界ではよくある話さ」
「師匠とケンだけで理解してないで我らにも教えてくだされ」コトミ
「つまり体の中に入って操縦出来るゴーレムを作るのさ」
「な、なんと!」
「そんなの見たことも聞いたこともありません」全員が驚愕する
「そんな奇っ怪なゴーレム古今東西誰も実現させてませんぞ」ケン
「だから魔改造と言ってる」
「恐ろしい事・・・」コトミ
「ですが巧みに敵に接近したとて最後は生身のあるじが敵に向かうことは変わりませぬ」
「うん、弱点はそこだね」俺
「ゴーレムから出たところで師匠が瞬殺される場面しか頭に浮かびませぬ」ケイ
「怒り狂うオークジェネラルの前でのこのこゴーレムから出たら無駄死にだろうね」
「無謀すぎます」ケン
「そこからが大事なんだよ」俺
ひさびさの投稿です。これからもボチボチやってきます。