ゴブリン村
新メンバーとはじめての狩りにお出かけです
「今までの狩りは私とコトミ君が別々ばらばらに刈り取って来たけど今後上位魔物に
なったっらそう簡単には行かないと思います。ここはせっかく訓練所があるので戦略
と戦術も磨きましょう」
「おお、師匠望むところです。我に異存はござらん・・・しかし戦闘要員が我と師匠
だけでは心許ないですな」
「うん、それでね私はもうケンの剣を頼らない。なのでケンには分身体になってもら
い人間の形となり今後は攻撃3人+後方支援アケミ君の4人態勢で狩りをしていきた
いと思ってる。
「お待ちください、私達も戦うことは出来ます」ケイ、アンナ、ユミ
「うん、分かりましたそれでは訓練所で能力を確かめてからどうするか決めましょう」
俺
「俺もできますたい!」野太い声で発する新加入のノン
「つか君少女なんだよね」
「少女でごわす!」
「どこでその言葉覚えたの?顔と全然一致しないんだけど」俺
「今まで従事していた先輩の方言でごわす、気になさるな」ノン
「つか、君職人というよりも重戦士って格好だね」
「は、先輩の影響で重戦士にあこがれてます、気になさるな」ノン
「もしかして君は先輩にくっついて居た方がいいんじゃないの?」
「せ、先輩は先週殿方とご結婚されましたぁ!そのまま引退されました!」ノン
「がーー先輩ってのも女性だったんだ。」俺
「あ、あこがれの先輩でした、おいどんはもう二度と恋なんてしません!」
「あ、そっち方面の方だったんだね」俺
「せ、先輩には一度も告白してません。先輩はおいどんなんかなんとも思ってません!」
「まあ、人生いろいろあるからさ。とにかく新生活がんばってね」俺
「ですが!師匠の技を見て考えがかわりましたぁ」ノン
「え?なんか感動するような事あったっけ?」
「く、汲み上げポンプには戦慄を覚えましたぁ」
「はあ・・・」
「じ、じつはおいどんと先輩はここ数年井戸水を汲み上げる方法を研究してたのです」
「それはご苦労様です。ですが苦労は買ってでもするものけっして無駄にはなりませんよ」
「ですが師匠、設計図を見て愕然としたのです。あの様な簡単な仕組みでもちゃんと
水が上がってくるまさに青天の霹靂。つまりショックで・・・あのその先輩は」
「なんか悪い事をしてしまった様ですね。先輩さんを失意のどん底に落としてしまったみ
たいで」
「いえ、それで良かったのかもしれません。自分の限界を知り引退というか結婚を決意されたので」
「私自身も決してかなわぬ恋から目覚めさせていただいた師匠に感謝してます」
「これノンとか言う者、ふざけてるのか?そんな軽い気持ちでここに来たのなら今すぐ帰れ」ケン
「ふざけてなどいませんたい。おいどんは職人に命を預けたのです一生師匠に仕えるつもりたい」
「いや、方言おかしいよ、付け焼き刃で不自然だから標準にもどして」俺
「は、師匠のお望みとあれば・・・先輩語は封印しました」ノン
「なんか悪い予感しかしないのでござるが?」ケン
「うん、拙者もケンに同意でござる、この職人とやらは方向性が違う気がしまする」コトミ
コトミにノンはまるで恋に恋する乙女的な乗りにしかみえない
「ここを追われたらもう行くところありません、どうかここに住まわせてください」ノン
「あ、大丈夫大丈夫決定権は俺だから。コトミとケンは違う事で反対してるだけなんだ」俺
「そうなんですか?しかし仲間とは仲良くしたいので・・・」ノン
「大丈夫だよみんな言葉はきついけど良い奴ばかりだから」俺
「師匠は甘すぎる・・・」ぶつくさコトミ
「みんなそろっているから念を押すがここでは色恋沙汰は御法度でござる。
コトミも異存はないと申し合わせ済み、ケイ達とやらもコトミの元下僕なら従うように」ケン
「も、もちろんでござる」コトミ
「あこがれは色恋ではないので大丈夫ですね」ノン
「うむ、あこがれですむのなら許す」ケン
「ったく主人気取りでなに仕切ってるんだよ」俺
「我はあるじの代弁者。あるじの意思を伝える者にて」ケン
「ったく余計な部分も多いぞ」俺
「はあ?一体どこの部分が余計なのでござるか?もしかして色恋したいとでも?」
「い、いやそうは言ってない。が、人間には抑えられない感情というのがあるって事さ」
「はあ」ケン
「とにかく色々訓練してから皆の適正を計ろう、それでいいよね」俺
「は、手取り足取りお願いしたします」・・・・・色恋はないんだよね?
☆
「トー、ヤー」
ここは新居の屋上訓練所
ケイ以下ノンも含めコトミ以外の全員稽古でタイジを取り囲み打ち込むが・・
「応!、カシーン」タイジの心眼は4人掛かりで攻撃しても体に触れることすらかなわない
「ま、まいった」ケイ
「お、恐るべし手練れ、たった一振りで4人の剣を吹き飛ばすとは」コトミ
「同時に斬りかかるから同時に振り払えるんだよ。4人で攻撃するのなら戦術使わないと」
「それにしても師匠の腕前は更に上がってますな・・初めて手合わせした時はまだつけいる
隙がありそうでしたが最早実力差は天と地でござる・・悔しいですがどうにもなり
ませぬ」コトミ
「不思議なんだけどコトミ君の剣技を見たことで何かが分かってきたんですよ」俺
「し師匠~それってひどくないですか?我は一向に上達出来ないのに」コトミ
「弟子の技みて師匠が成長するなんて話し聞いたことありませぬ」ケイ
「ふん、そもそもがコトミごときとあるじでは素質が違い過ぎるのだ己をしるがよい」
ドヤ顔ケン
「とにもかくにもあるじの急成長おみごとでござる」擬人化したケンが褒め称える
今後ケンの剣はあてにしないタイジの希望でケンは擬人化し狩りに加わる事になってる。
「折角ケンは擬人化したんだから一手指南お願いしたいのだけど」
「ほう、あるじの望みとあらばお受けするしか。勿論魔法攻撃は封印いたします」ケン
「ごくん」頂上対決が見れるとなり全員固唾をのむ
「それでは始め」コトミが合図を送る
「エイ」「応」
「カカカカカ・・・」お互いの剣さばきが速すぎてなにも見えない
「よくぞ、ここまで・・我は幸せで胸が一杯でござる」ケン
「話せる余裕があるってことか・・・それならば」ギアを更にあげるタイジ
「人間ではない」驚愕のコトミ、ケンはもともと人間じゃないが・・・
やがてピタッと剣を止めるタイジどうやら降参のようだ
「駄目だとても一本取れる気がしない。お釈迦様の手のひらなのが分かるよ」
脱帽のタイジ
「いや、そうでもござらん、あるじの剣技はすでに人間の領域を超えてますれば」
「手加減してくれて受け専門だったのは分かるよ」
「我はあるじが強くなるのが目的、今回は受け手に回りました」
「だけど、一本だけコソっと小手に入れたよね。このアザ」
「おお、それが分かってるのなら更に上達した証でござる」
「底が知れないなケンは・・」
「世の中には強敵がいくらでも存在します。あるじの力ではまた足りてません」
※実はケンはタイジの鏡、タイジの成長に伴い自身も強くなるようにプログラミング
されてる魔剣
つまりどんなに修行を積んでも一歩先を行く自分自身が相手なのだから適うわけがない。
稽古は終了し皆で昼食を囲む
「ケンは擬人化したんだから食事もとれるんだよね」
「は、周囲に怪しまれない様に全て普通の人間と同じ生活様式です」ケン
「実はギルドに相談に何度も行った途中で飯屋にて食事を取る訓練も積んでました」ケン
「味覚はあるの?」
「は、失礼ながらあるじの舌をコピーさせて頂いたのであるじと好みは同じでござる」ケン
「・・・なんか嫌な感じ」俺
「はぁ?どこがでござるか?あるじは人格者で剣豪、嫌がられる要素などありませぬが?」
「なんか俺の好み知られるのって気分良くないんだよなぁ」俺
「???我にはその感覚とやらは理解不能です」ケン
「なんか顔つきも俺と似せてるよね?」
「御意、あえてそうしました。」
「なぜ?」
「傍目から兄弟然と思われれば強い連帯感を疑われにくくなりますし・・・」
「し?」
「いざと言うとき。つまり影武者としても効果があります」
「なるほど、常に用心するって事だね?っても俺が狙われるってあるの?」
「今後修行が進み冒険者ランクが上がれば自然と敵も増える事でしょう」ケン
「え?冒険者同士で争うの?」
「あるじはお忘れか?有事の際には緊急クエストで否応無しで徴兵される事」
「あ、ケンが最初に言ってたね。つまり高ランク冒険者って敵には脅威になるって事か」
「高ランク冒険者の動向は各国が必ず探ってるとみて間違いござらん」
「だから爵位も得られるし領地も得られるのか・・・大変だね冒険者も」
「強さの代償ですから避けて通れませぬ」コトミ
「なるほど、だからコトミ君はあえて冒険者ギルドに加入しなかった訳か」
「師匠は詮索せぬと約束されてますな」コトミ
「もちろんだよ二言はないが今後の俺自身の方向性を探ってるのさ」
「師匠はこのままS級冒険者となり国に尽くすのが使命でござる」コトミ
「む、・・・」ケンが唸る。なにか考えるところがある風
「話変わるけどケイ君達の料理は本当に凄いね」
「は、まだ修行中なれどお褒め頂き光栄です」ケイ
「パーティメンバーだけの食事では勿体ない気がする、食堂開いてもいい感じ」俺
「元々宿の食堂で働いてましたからね」ケイ
「そんな凄腕の君たちをよく私の元によこしてくれたものだ」
「師匠が教えてくれたレシピの数々だけで来た甲斐ありました」ケイ
「スープとパンだけだけどね」俺
「もっと我々は知りとうございます」アンナ
「うん、もっと教えてもいいけどそのためには色々開発する必要もあるんだよ」
「ほう、開発と?」ケン
「うん、まだこの世界には存在しない調味料とか料理道具とかから始めないと」
「それは楽しみです」
「料理道具となれば私の出番もありますね」ノン
「うん、俺が考えケンが試作するけど実用化するのはノンの腕次第だから頼みましたよ」
「話変わるけど君たち全員戦闘要員としても合格点与えるから」
「うむ、我もそれは賛成だ」ケン
「えらそうに」コトミ
「やったー」ケイ達
「でも今後のクエスト時には誰か必ず一人は留守番してもらい連絡係努めてもらうから」
「む、それは当然でござるな」コトミ
「連絡係と言われても・・・どうやって連絡するのですか」ケイ
「我がそうぞうCメンバーには特別に秘密の連絡装置を支給します。勿論門外不出ですから」
「禁を犯したら処刑もありうる重罪だからな」ケンがすごむ
「それほど機密なのですね」ノン
「うむ、我とて父上にも教えていない最重要機密でござる」コトミ
新メンバー全員にスマホを支給した
「こ、これはなんですか?」ユミ
「魔道具以外で通話出来るアイテムだよ」
「こんな物初めて見ました・・・魔道具でないのですか?」アン
「魔道具ではないけど同じ様なものと考えてね」俺
「師匠もはやこれは魔道具そのものですぞ」コトミ
「確かに、これを魔道具と言わずになにが魔道具だって感じはするな」肯定するケン
「どっちでもいいけどとにかく部外者には絶対秘密だからね」俺
「ですがこのようなものを手に取って通話すれば絶対に怪しまれます」ノン
「皆さん手持ちの魔法剣に忍ばせれば以降思念通話形式で使えます」俺
皆形の違いはあれども魔法剣は所持してる。この世界の必須品?
ちなみにケイは槍、ノンは斧、それ以外のメンバーはロングソード、アケミは一応弓使い
「おお、なるほど使えました・・・これはとても便利」ノン
「これは妖術の類いですな・・本来ならば高ランク冒険者にしか扱えぬ魔法なのに」ケイ
「こんな物が一般に普及したら世がひっくり返るから最重要機密なんだ」ケン
「いや、いずれは市民にも普及させて生活向上に役立てるつもりだが今は時期尚早」俺
「とにかく拠点待機役の重要性が分かりました」ユミ
「スマホの利便性は通話だけじゃないんだよ。位置情報も共有できる」俺
「おお、脳内に画面が現れて皆の位置が記されてますな」ノン
「あとメールとかもね、機能については後でじっくり勉強してもらいます」俺
「あと、なぜ拠点に一人は待機してもらうかというとだね・・」
「こ、これはなんの魔道具でござるか?」屋上に設置された装置にコトミが驚く
「うん、これも最重要機密だけど太陽光と風力で魔力を発生させる装置さ」
「ぎょ、・・・ばかなそんなものは今まで存在しませんぞ」コトミ
「どうやら私のいた世界では電力と言っていた物がこの世界では魔力らしいからね」
「しかし、大量に魔力を発生させたとしてもその場で使わなければ無用の長物でござろう」
「うん、確かに、だから蓄電池ならぬ蓄魔池を作ったよ、これで充魔出来るし使いたい
ときに魔力を取り出せる」つまりポータブル電池、ポタ電
「おそるべし発明品」コトミ
さらにタイジは屋上設備について説明をつづける
「この装置を使ってこの町や国の動向を探ったり怪しい魔物とかの動きを掴める」
「おお、それは大変な事ですな」コトミ
つまりレーダーとソナーを実用化した
「いや、実際の所はまだまだ出力が全然足りてない。この国全体のカバーなど出来ない」
火力とか原子力発電も遠い将来は必要になるのかも知れないが今は無理
「とまあ基地(拠点)の体裁とパーティ構成は固まってきたから早速試しに狩りに
出かけよう」俺
「は、まずは訓練を兼ねて低ランク魔物の討伐から始めましょう」コトミ
「ならば西側に生息すると言われる上位ゴブリン成敗おすすめします」ノン
「では西門からゴブリン征伐と行きましょう」俺
「我々の実力ならばオーク集団とて遅れはとりませぬ」ケイ
「最初は基本の確認と訓練が必要だからね物足りないかもしれないがそれで行こう」俺
早速パーティはギルドにおもむきゴブリン討伐クエストを受け西門から出発
「我がそうぞうCの華々しい門出でござるな」意気揚々のコトミ
「西側を選んだのは我々の農地を得る調査でもあるからね。実用を兼ねてるんだ」俺
「そうですな、張り切ってゴブリン共を成敗し土地も得ましょうぞ」ケン
「師匠、前方1km先にゴブリンらしき集落発見しました固体数400程と見ます」
留守番兼情報収集役のユミ(どうやら適正があるみたい)が全員に思念通信してきた
「おお、留守番役・・というかこれは後方支援といって差し支えござらんな」ケン
「だろ、のこのこ全員でお出かけするのではパーティの意味がないんだよね」俺
「さすがはご主人様」ノン
「ではここからは全員気配をけして隠密魔法発動だ」俺
「師匠??我々家来3人にはそのような高ランク魔法は不可能です」ケイ
「大丈夫そのためにポタ電(今回はモバイル電池サイズ)持ってきたんだ。ここから
魔力使う」俺
「シュシュシュ・・」魔法発動
「なにも変わりませんな」ノン
「パーティ同士では姿見えてるけど外部からは見えないし気配も消えてるから」
速やかに進む一行
「よしあと400mだ慎重に行こう」
「あ、あるじ・・・」ケンがなにやら驚いてる
「ん、どうした?」
そこにはリーダーを先頭にゴブリン共全員がかしずいていた
「こ、これは?」
「人族の皆様・・・どうか落ち着いて話を聞いてください」
頭をさげたままリーダー格と思われるゴブリンが話す
「あるじ、これは罠でござるぞ、油断させて混乱させる狙いかと」用心するケン
「だけどさ、平伏してる者を斬ったり出来ないよ普通、まあ話だけでも聞いてあげよう」
俺
「は、あるじがそう言うのでしたら・・・」ケン 全員いつでも抜刀出来る態勢をとる
「で、話ってなに?平和的なことかな?」俺
「あ、あるじ。相手は討伐対象のゴブリンですぞ!やるかやられるか以外は存在しませぬ」ケン
「だけど相手が対話を求めてるのに一方的に殺戮できないから」
「おお、そちらの頭目の御仁は話が通じるようですな」ゴブリンリーダー
「通じるかどうかはわからないよ。だって我々は君たちを成敗に来たんだからね」
「は、存じてます・・・しかし、我々ゴブリン達にも正悪はあるのです。人間は皆一緒と
お考えの様ですが」
「で?君たちは正義だから討伐しないでって事?」
「話を聞いていただきお気に召されないようでしたらご自由にどうぞ、覚悟は出来てます」
ケンが思念通話で俺だけに話す「あるじ、油断召されるな。こやつらは手練れですぞ」
「うん、漂うオーラが普通のゴブリンのそれじゃないのはすぐ分かるよ」
「下手したら我とあるじ以外はかなわないかも・・」ケン
「だから分かってるって」俺
「警戒されるのはごもっともですが我々に敵意はありませぬ」頭目
「うん、殺気がこもってないからわかる」俺
「で、話なのですがここではなんです集落にご案内させてください」頭目
「す、すごいな・・気がついたかい?」俺がケンに思念を飛ばす
「は、話してる最中にこっそりアンチマジックエリア発動されてしまいましたな」ケン
「つまり俺以外は全員無力化されてしまった訳だ」俺
先日の事件の通りコトミ以下全員「魔剣」の力頼り、魔剣が封じられたら剣技は使えそ
うもない
「こやつらは策士にござる時間稼ぎをしておいて罠を張るとは・・・」してやられてしまった
「まあまあ、敵意はないと言ってるし実際俺も敵意を感じてない。ついて行ってみよう」
なにやらあやしげな霧が漂う小径を進む・・・
「こっこれは左右から挟撃されたら一巻の終わりでござる」さらに警戒するコトミ
「頭目とやら、この霧は後で襲撃されない為の用心なのか?」俺
「は、それもありますが実は特殊空間を移動してるのです」頭目
「曲者、我らをどうするつもりじゃ」ケン
「と、ともかく集落へきてくだされば全てお話いたします」頭目
「話をするのであれば名乗るのが普通ではないのかな?」俺
「し、失礼いたしました、我はこのゴブリン団を束ねる頭目の一人息子シュウでございます」
シュウ
「わかった我の名はタイジ」
「は、存じ上げております」シュウ
ん?全ては計画的?
10分位歩いただろうか突然視界が開けた
「こ、ここは?西門先にこのような広大な土地があるとは聞いたことがない」コトミ
「は、実は西側の山向こうの土地でございます」シュウ
「む、みたところ広大な土地ではあるが四方を山で囲まれてる盆地だな」俺
「さすがでございます、なのでこの地は外敵から守られてるのでございます」シュウ
「実は我らパーティがいつかはここを領地にしたいと思っていたのだ」俺
「それならば話は早うございます」シュウ
「だが、なにか訳ありだから我らを呼んだのだろ?」ケン
「とにかく集落に行って頂き長の話を聞いてください」その場にかしずくシュウ達
たどりついたのはこじんまりした集落・・人口いやゴブリンの数は300~400位か
その中でも一番大きい朽ち始めてる家に案内された
「ようこそおいで下された、ごゆっくりしてくだされ」頭領?
「我が名はザビル、ここゴブリン村の長でございます」
「で、ザビル殿は我らになに用なのですか?」俺
いきなり集まっていた村民とザビル全員が土下座
「どうか我が村をお救いください」
「な、なんだぁいきなり」俺
「かっては賑やかだった我がザビル村は今存亡の危機にあるのでございます」
「・・・ってこれクエストなのかな」俺
「じ、実は話せば長くなるのでございますが・・・」
「だけど事情をきかなければなにも分からないよ」
「いかにも・・・それでは」話し始める村長ザビル
簡単な食事と飲み物が振る舞われた・・・せい一杯のおもてなしにも見える
ケンが鑑定スキルを使いすべて無害と全員に思念通話で知らされてる
「あ、いっておきますがザビルの名は襲名性でございます」
「なるほどザビル村の長が名乗る名前って事ねわかりました」
「我が村は代々この土地に生まれこの土地で育ちこの土地で死んでいたのです」
「見ての通り広いとはいえ四方を山で囲まれてるのでそれはささやかな世界でした」
「うん、幸せそうでいいじゃないか」俺
「し、しかし突然平和維持が困難になりました。」
「なにかあったんだね」
「御意、突然ここ数年飢餓が町を襲ってきたのです」
「あれ、それって連作障害とかじゃないの?」俺
「さよう、そのような情報を隠密から聞きましてタイジ様を知ったのです」
「なるほど、スパイ?忍者がいるわけね」俺
「は、人間の世界も知っておかないとなにが起きるかわかりませんので」ザビル
「よくゴブリンが人間の町に潜入できたね」
「は、実は人間にも我らの協力者がいるのです」
「ちょっ、ちょっとまってなんか話がおかしいよ」俺
「は?」
「だってゴブリンが言葉しゃべるのおかしいしそもそも魔物で人間にとっては敵なはず」
「人族にも種類があるように我らゴブリン種にも種類があるのでござる」ザビル
「そうなんだ・・」
「我らホブゴブリンは人語を理解出来ますし決して他者を襲ったりいたしません」
「なるほど、知性と理性があるゴブリン種族って事なんだね」
「は、いかにも・・」
「だけど連作障害だけで困窮したわけでもなさそうだね」
「は、この不作の原因はどうやら魔法によるものらしいのです」村長
「つまりアンチマジックエリアを展開できるエリアでは作物がとれるって事?」
人族の結界魔法と真逆の効果だが農地を守る点では同じ?効果のようだ。
「話が早くて助かります、しかし村民を上げて魔法展開しても困窮は進むばかり」
つまり村民の魔力ではいまが限界、人間界での結界魔法の限界範囲と同じなのだろう
「つまり人口が増えれば農作地は広がるけど少ないと飢餓から逃れられない・・じり貧か」
「さようにございます、このままでは人口が減り続け滅亡はまちがいなし」
「多分大本の元凶が存在するのだろうけど喫緊の課題は魔力不足って事だね」
「はは、これはタイジ様におすがりするほかなく・・・」
「密偵は・・・ノンか?」話の漏れ方がおかしいしね
「た、大変申し訳ございません、我が命と引き換えにどうかこの村を救って頂きたく」
「君の命もらってもしょうがないけど。初めからここに導く作戦だったんだね」
「お許しください」
「我が鑑定魔法を騙すとはこやつ相当の手練れに違いありませぬ」ケンの思念通話
「みんなで俺をだまして・・・」呆れるタイジ
「し、しかし師匠に仕える覚悟は変わりませんし悪意は一切ありませぬ」ノン
「門外不出と言った情報だだもれさせてるじゃん、これは万死に値するよ」俺
「で、ですから我が命と引き換えに・・・」ノン
「ノンはどうみてもゴブリンには見えないね」俺
「は、我はれっきとした人間でございます」ノン
「なにかあってゴブリンを助けようと思ったんだね」俺
「は・・・しかしここのパーティは過去は詮索しないが掟と聞きました」ノン
「あはは、すねに傷有るやつらばかりだからね」俺
「い、今はそんな話をする場合ではござらん」話を切り替えるコトミ
「なんだか分からないけどしょうがないから協力しましょう」俺
「たく、あるじの人の良さにつけこむ輩の実に多いことよ」ケンがつぶやく正におまゆう
「まず始めに農地を視察して現状を把握します」俺
「この家の屋根借りますよ」
「な、なにをするのでございましょう?」村長
「うん、いちいち歩き回ったのでは時間かかるからここで一気に調査します」
「ば、ばかないかなる妖術?」身内のコトミとケイ達も驚く
「うん、レーダーとソナーに独自の魔法を使っての万能探査装置さ」
「あるじの言われるままに作りましたがこの装置でそんな事が出来るのですか」作ったケンもびっくり
あばらやの屋根の上に簡易アンテナをセットし調査をはじめる
「で、このハエ見たいのはなんでござるか?」コトミ
「あ、それドローンね動画みれると更に情報把握しやすいから」
「ぶーん・・・」四方に分散するドローン達、全て魔力と魔法による自律運転
「凄いだろ?モバイル電池搭載でアンチマジックエリア内でも問題なしさ」
「こ、これは恐ろしい妖術・・・」呆れるケイ達
スマホから通話が届く留守番のユミからだ
「し、師匠なにやら大量にデーターなるものが届いて勝手にからくり箱が動き始めてます」
「うん情報分析用のコンピューターがビックデーターの解析を始めたんだ、気にしない
でいいから」
「師匠の言ってる言葉が全く理解出来ませぬ」コトミ
「うん、これは前世の技術だから君たちは知らないはず」
「あるじこそ最大の謎隠ししてますな」ケン
「いったろ、ここのパーティは過去詮索無用って」俺
実は俺って前世はビックデーター解析のSEだったりしてる。つまり詳しいのさ
「で、設置したこのモニターに結果が出てくるのさ」
「き、奇っ怪な・・・からくり箱から文字が浮き上がって来ましたぞ」腰抜かすコトミ
「ふんふん、なるほどね」俺
「なにやら怪しい文字だけであるじはなんの事やらわかるのでござるか?」ケン
「一応データーを盗み見されないように俺しか分からない暗号使ってるからね」俺
要は前世のプログラム言語を使ってるだけ、こちらでは十分暗号、いや現代でも暗号だが
「ともかく、なにか分かったのですな?」ケン
「うん、土壌の調査、土地の面積の確認、あと作付け可能面積を予想した」
「残念ながら俺には未知、というかデーター不足でなんの魔法が使われてるのか判別不能」
「それは残念」村長
「しかし、アンチマジックエリアを拡大できる方法は分かったよ」俺
「おお、して?」
「おどろいたのはここの土壌だよ。こんなのははじめてだ」
「ほう、」
「いわいる魔素入りの土地、魔土なんてのが実在するんだね」俺
「ここにはホブゴブリンしか生息していない理由の一つかも知れませぬ」村長
「なるほど・・・魔物が発生するのはその土地その土地の固有魔土の影響かもね」
「なにやら研究しがいがありそうでござるがそれは後の話でござろう」ケン
「うん、そうだね」
「ゴブリン専用の土地だからゴブリン専用の農作物しか取れない?」
「いえ、それは違います。作物は人間でも他の魔物でも食べられますので」村長
不思議なことに草食系とか肉食系食物連鎖については前世とこの異世界は全く同じ
雑食なゴブリンの食料は人族と何ら変わらない。生肉を平気で消化出来る鉄の胃は
持ってるが
「うーん、ゴブリンを絶滅させたい何者かの陰謀かと思ったんだが・・・」俺
「なるほど、武に長けるホブゴブリンと戦で勝てないとみた曲者がって話しですな」コトミ
「お、さすが陰謀に詳しいコトミ君」
「我を曲者呼ばわりしないでくだされ」怒るコトミ
「と、すると事はもっと重大だよ」俺
「なんででござるか?」ケン
「人間を絶滅させることも出来る恐ろしい魔法って事だからね」俺
「ぎょ・・・確かにここの村だけの話では収まらぬ由々しき事態」コトミ
「うーーーん・・・もしかして・・」
「拙者も同じ考えでござる」ケンとコトミ
「他国の侵略行為かもしれぬ、ここで実験をしてるのかも」俺
「確かに国が把握してない村が消し飛んでも怪しまれませんな」コトミ
「ならばこの村を救う大義名分になりうるよ」俺
「しかし、相手は魔物のゴブリン・・・敵意はないと申しても人間の敵には変わりませぬ」
ケン
「問題はそこだね、助けてあげたら力を蓄えられて人間を襲ったのでは意味がないね」
「お待ちくだされ」村長
「我々ホブゴブリンは今までただの一度たりとも人間と敵対したことはございませんし
出来れば共存共栄したいと心から思ってます。我らの武力はきっと貴国の役にたつ筈」
ザビル
「人間側に立つ用意があるって事?」俺
「は、その証に我々は今後タイジ様の元に下ります。どうか村民全員の命をお救い願います」
「た、たわけ!あるじがホブゴブリン共のいいなりになどなるわけがなかろう」怒るケン
「また、ケンか・・・なんでおまえが仕切るんだよ!」
「わ、われはあるじの代弁者ゆえ・・・」ケン
「じゃ、でしゃばるなよ。ケンが俺をあるじと認めるのなら全ての裁量権は俺だろ?」
「ぐ、いかにも・・・あるじが決める事にござる」
「ですが、今回の案件は重大ですぞ・・・あるじの一存でゴブリン共の命運はおろか我が
王国の運命まで左右される由々しき事態」ケン
「わが王国っていうけどさ、俺は王国に帰属したなんて一ミリも思ってないから」俺
「あ、あるじぃ・・・そ、そんな、あるじは我が国の冒険者登録をされてますぞ」
「だから?」
「物を知らないのにも限度がありますぞ、冒険者登録をした以上登録した国家に忠義を
尽くすこれは絶対条件でござる。そんな事が国王にしれたら反逆罪で処刑もありうるの
です」ケン
「そうか・・・知らなかったとはいえまんまとケンの魂胆にはめられてた訳なんだね」俺
「人聞きが悪うござる。身一つ無一文のあるじ、どうやって生きていくつもりだったの
ですか?」
「ケンと出会わなければ野垂れ死に間違いなしだった。恩義は感じてるよ」
「な、ならば不用意な発言はお控えくだされ」
「だけどケンは今までなんにも教えてくれないからね。知らなかったんだからしょうがないよ」
「た、たしかに・・・いきなり国家がどうのって言っても知らないものは仕方ありませぬな」
「じゃ、ケンとしての見解を聞こうじゃないか」俺
「さ、さよう・・・ここはまずゴブリン共の実体を知らなければなにも分かりませぬ」
「うん、それはそうだ・・」
「タイジ様ケン様の言うとおりでございます、さすればしばらくこの村に滞在いただき
我らの誠意を確認ください、粗末ながら宿泊のご面倒お任せ下さい」村長
「いや、接待などうけたら貧しい村がさらに追い込まれてしまう。食い扶持は自前でいくよ」
「ありがたい事です」手を合わせておがむ村長
「し、しかし食料などはもちあわせてませんぞ?一旦拠点にもどるのですか?」コトミ
「いや、ケンのアイテムボックス頼みだよ」
「あるじ・・・過去のあるじの財産はあてにしてはなりませぬぞ」ケン
「だって仕方ないだろ想定外の事なんだから、あとで必ず埋め合わせするから今は頼むよ」
「し、仕方有りません、が必要最低限ですぞ」ケン
「お、結構融通聞くんだ、拒否されると思ってたよ」俺
「口ではあるじを叱っても心意気は素晴らしいお考え、実の所は感銘してるのです」ケン
「それに魔物狩りの野営時にも食材の融通はしてますぞ。お忘れか?」ケン
「あのときも渋々出してくれたっけね案外ケチだなケンは」
「何を言いますか、際限なく消費したら備蓄などあっという間に枯渇してしまいます
厳しいぐらいで丁度いいのです」ケン
「わかったわかった、で今回もよろしく頼むよ」
「あくまでも非常事態を受けてのやむなしで必要最低限ですからな」ケン
しかし最低限の野菜や穀物しか出さなかったケンだがケイ達の料理の腕前がそれをカバーした
「質素倹約というのもこれはこれで味わいあって素晴らしいね」俺
「こ、これは里においても本当に貧しい最低限の食事ですな」結構喜ぶコトミ
「一汁一菜の有り難みってやつだよ、恵みに感謝しなければ」俺
それはゴブリン村をも感動させるほどの清貧ぶり・・・
「いくらなんでも冒険者のタイジ様がお召し上がるには貧しすぎるかと存じますが」
「いや、村の困窮ぶりを体験するにはこれぐらいで丁度だよ」意に返さない俺
なんと貧しさを通して村とパーティメンバーは共鳴しあうことが出来はじめたのだ
いらぬというのに村人のささやかな差し入れが後を絶たない
「どうか食べてくんろ~」自分たちの食べ物にも事欠くのに献上品が絶えない
タイジ達もただだまって村に滞在していたわけでは無く村の隅々を巡回し村の可能性を探る
一行を神様でも崇めるように手を合わせて歓迎する村人達
自然発生的に屈強な男達が一行の警備を引き受ける勿論ボランティアなので食料持参
そんな暮らしが一週間を過ぎた当たりであの頑固者のケンがなにやら申し出をしてきた
「我は確信しましたぞ、是非この村を救うべきだと」ケン自らがタイジを説得し始める
「うん、これだけ貧しいのに村民達は助け合って他人を庇ってる・・美徳の民達だよ」
「あるじはわざとこの一週間貧しさに身を置くことで試されたのですね」感服するコトミ
「窮すれば鈍すると言うがこの村の人達は一生懸命生きてる、それが見たかったんだよ」
「ですがあるじ、救う決心をされたのはいいのですが具体策あるのですか?」ケン
「まずは魔力不足の解消からだ」
「と、いうと?」
「アンチマジックエリアをここの土地全域に行き渡らせれば不作が解消される」
「し、しかしそれは困難でござる、村人全員でもこんな範囲でしか対処出来てないのに」
「この村での一番の長所は四方が山で囲まれてること」
「はあ?」
「豊富な水資源に恵まれてるってことさ、調査で判明してる」
「水?それと魔法がどんな関係なんでござるか?」コトミ
「まあ、この世界では未知の技術だから分からないだろうね」
「魔力を水で作るのでござるか?」ケン
「うん、山間、谷と谷を封鎖してダムを造り落差を利用した水力発電所を作る」
「あ、あるじ~そんな大それた事不可能にござる」ケン
「いや、出来るよケンのアイテムボックス内の資源を全て調べたら十分可能」
「う、いつのまに調べたのでござるか?」
「簡単だよ。膨大な魔力で魔法を使ってアイテムボックス全て調べる事が出来たからね」
「ちゃんと使った資源は後で元に戻すから今は貸してくれよ」俺
「や、約束ですぞ・・・つか本当に返せるのでござるか?」ケン
「勿論だよ、もし返せなかったらケンの良いなりになると約束する」
「二言はござらんな?」
「命に替えても約束する」俺
「わかりました」ケン
「い、一体なにをするつもりなのですか?」村長
「まあ、みてて」
「あるじの図面通りに山間につくりますぞ」ケン
「ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・」
突然山間の谷間に巨大なダムが出現したのだ・・・モーゼの十戒のごとくに
「いやあ、これは信じられないねまさにチート、つか荒唐無稽すぎるわ」呆れるタイジ
「あるじが指示しておいてなんたる言い草」ケン
「しかし発電するには水が満ち足りないとできませんね」コトミ
「うん、だからつなぎに小発電出来る火力発電所も併設したよ」俺
「歴代のあるじ達が生涯を掛けて蓄積してきた財産が一瞬でなくなりましたぞ」ケン
「使うときに使わないでため込んでも役にたたないからね」俺
「し、しかし火力発電と申しましても一体何を燃やして魔力を作るのでござるか?」ケン
「地質調査をして分かったんだけどあそこに見える山の地下で天然ガスが産出される
まあ、量的にはとても採算ベースではない量なんだけどつなぎ発電には十分」
「底知れぬあるじの知識にはおどろきしかありませぬ」コトミ
「全部前世の人類共有の知識だから俺だけの知識ではない」
「しかし、師匠の前世とやらは誰も知らないので証明しようがござらん」コトミ
「それを探るために俺に接近したんだろ?ちがう?」俺
「ご、ごほん過去は詮索せぬがわがパーティの掟につき秘密でござる」コトミ
「やや・・・なにやら煙突から煙がでてきて火力発電機とかが動きはじめましたぞ」村長
「うん、これで当面、いままでの4倍ぐらいは作物育てる事が可能になったよ」俺
「し、しかしこの種はなんでござるか?」村長
「緊急飢餓対策として短期間で出来る作物を作るんだ。味はイマイチでも栄養価が高い」
「これは?イモの類いでござるか?」
「うん、サツマイモっていうんだけど」
「すごい発想でござるな」ケン
「いや、すごいのはケンだよ、概念だけで具現化出来るなんてチートでオカルトさ」
「なにを申されるか我には発想が出来ませぬ、偉大なのはあるじです」ケン
「しかも俺が勝手に遺伝子組み換えを指示して短期間で育つ品種を思い浮かべただけで・・」
「あるじの功績でござる」ケン
一週間後
「し、信じられません・・・イモなるものが途方もない量収穫出来ました」歓喜にむせぶ村長
「これはね蒸すだけで食べられるから簡単、なのに栄養価は凄いんだ」
「おおおおお、いままで味わったことのない美味しさ・・」大感激する村人達
「確かにここまで貧困だとイモでもご馳走に感じるな」食べられる事に感謝する全員
「こんなに早く収穫できた秘密は品種改良だけではありませぬな?」ケン
「だから、山で石灰とリンとってきたろ?あれが肥料なんだよ」
「おお、なにやら採取してましたが・・・あれが」驚くコトミ達」
「実はね、この肥料にも俺の概念をケンに伝えて通常の3倍増しの効果が出てるんだ
だけど試作が限界で大量生産は出来なかった。今後の課題さ」俺
「いえ、今回は非常事態につき緊急避難的な作物が必要でしたが今後はこのような法外な
肥料は返って田畑の疲弊を招く恐れがあるので今回限りが得策と思います」ノン
「なるほど、効き過ぎる薬は害も生じるって道理だね」俺
「しかし、飢饉にあえぐ土地で一回限りの特効薬として今後製品化により利益も見込めますな」
しっかりソロバン弾いてるケン、あきんどとしても才覚あるのかな?
とにもかくにも村を救ってみせたタイジ達に村民は大感謝
「かねてからの通り我が村はタイジ様配下となりまする」村長
「ケンそれで良い?」俺
「あるじが所望ならば異存はござらん」ケン
「じゃあ、これからもよろしく頼みます」俺
「ははっ」村民
「あと半年もしたら本格的に水力発電が出来る、そうしたらこの地域は豊かな農作地として
再出発可能。もう貧困はありえない」俺
「は、これで後顧の憂い無くタイジ様に仕える事ができまする」シュウ以下ゴブリン戦士50名
なんとホブゴブリン50名が新たにそうぞうCメンバーとして加わる事になったのだ
もはや私設軍隊といっても過言ではないだろう。随時村から作物を拠出する手はずなので
兵糧問題は解決済み。
50人以上のパーティとなるとギルドでの扱いも変わってくる自動的にBクラス認定されて
爵位まであと一歩。勿論この町での最大勢力となりその行動は常に注目の的となる。
「タイジ殿はすごいな10歳にしてこの町一番の冒険者になってしまった」周囲ざわつく
「英雄に歳なんて関係無い、出来るか出来ないかだけだ」評価爆上がり
しかも豊富すぎる魔力発電の成果は国を潤すこととなり国王にまでその業績は称えられた
自らが開拓した事もありゴブリン村周辺はタイジの村として国王からのお墨付きも受けた
しかし冒険者ランクがまだ足りて無く「領地取得」には至らなかった。
今回はエドモン町の領土が拡大しただけという名目。領主のエドモン伯爵は濡れ手に粟
「残念ながら爵位を受けるまでは国王へのお目通りは辞退させて頂きます」
とのことで式典はまたしても断ったタイジなのであった。
「しかし、王国始まって以来の大業績ですぞ・・・」ケン
「ふん、こんなちっぽけな水力発電所ぐらいで王国始まって以来だなんて大げさすぎだよ」
「しかし事実は事実」
「いいかケン、実の所は根本解決してないからね、ゴブリン村を襲った厄災魔法については
何一つ判明してない。いつ王国が厄災に襲われるか予断を許さない状態なんだよ」俺
「確かに・・・今回ゴブリン村を救った事で返って敵を挑発したやもしれませぬ」ケン
「だろ?うかうかしてられないし暢気にかまえてなんていられないんだよ。」俺
「それに引っ越してきたばかりだけどもうすでに拠点狭すぎる。こっちも解決しなきゃ」
「御意、押し掛けて来たゴブリン兵、中庭にテント設営して凌いでますがなんとかせねば」
「いきなり50人も増員だからね、これは想定外すぎるよ」
「ですがお陰でBランクに上がり収入はものすごい事になってますぞ」
「うん、いままでの稼ぎとはまさに桁違いの収入だし、やっとで皆に給料払えるね」
「給金などは不要にござる、皆あるじに仕えるだけで幸せなのです」
「いやゴブリン達には村という大事な物がある仕送り出来なくては生活出来ないからね」
「あるじは慈悲深すぎますな」ケン
「なんとか爵位をうけて領地を得て皆を幸せにしないとね」俺
「ですがこれ程の業績でも爵位賜れないのはやはり国はゴブリンに信を置いてないのかと」
「だろうね、だからゴブリン兵達は一生懸命働いてるのさ・・頼もしい限りだよ」
「ですな、彼ら達に報いるためにもなんとしてもAクラスにならねば」ケン
今回は頑張って長くしました。