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異世界最強アイテム  作者: kou2199
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リサの災難

事件発生

「おはようございます!」今日も元気に冒険者ギルドに入る俺達


冒険者生活も二週間を過ぎこちらの世界にも大分慣れてきた気がする

ランク上げはまだまだほど遠いがコツコツ毎日が大事だから仕方ない

そもそもがこの間ゴブリンを大量に討伐したせいで町周辺に今の所脅威はない

なので仕方なくタイジ達はP獲得は低いが獲得金貨が多い魔牛、魔豚狩りばかり

ほとんどの冒険者は生活のため同じ様なことしてる、うだつがあがらない・・・

Pが高く賞金も多い魔蜘蛛ポイズンタランチュラ魔蛇サーペントなどは

この町周辺にそもそも生息していないもっと森深くに行かなければ


と言うわけで今日も変わらずの日常が繰り返されるだけだろう。


「さてさて今日は一体どんなクエストを受けようか?いい案件あるかな」

コトミはベタベタ腕組んで嬉しそうにしてる

「だっていつ非常事態で移動魔法使うか分からないから師匠とは離れられないのです」

完全に言い訳だ。


そんなラブコメごときにイチャイチャしつつ冒険者ギルドに入る

まあ、ここのところ毎日なんで周囲も慣れたのか冷やかして来たりはしない。


ところが


「ん?」なんか雰囲気がいつもと違う・・なんか殺伐としてる?

「あるじ、これはただならぬ気配ですぞ油断召されるな」ケン

「なにかがおかしいです」コトミも気配を察し腕を離し剣に手を構える

受付周辺が特にガヤガヤしてる


「なんか今日は違う雰囲気なんだけどなにかあったの、あれ?」

「受付の・・・えっとリサさんはどうしたの?」

今日は別の受付嬢が立ってる」

「それが・・・リサ、あ、自己紹介がまだでした、私はエレナと申します」


「でリサさん一体どうしたんですか?」

「実は昨日帰宅時に無頼漢に襲われて一命はとりとめましたが重傷で自宅休養中です」

「え?町は安全な結界があるのでは?」

「それが・・・国の恥をさらす様なのですが元冒険者や元兵士など一部の輩が

特殊能力を得た後に無法者に墜ちるケースが後を絶ちません」エレナ


「なにか取り締まる方法はないの?」

「一部の闇組織が「免罪符」と称して特殊な魔道具を開発したのです

その魔道具を使われてしまうと取り締まりがとても難しくなります」


「我の能力値偽証魔法と同じ類いかもしれませぬ」ケンが思念で俺に伝える

「そんな事がまかり通ったら国の根幹が揺らいじゃうね」

「無法者の数自体は少数なのでまだ国として本格取り締まりに動いてないのです」


「しかし、何の罪もない一般市民が危険にさらされるのは許せないな」俺

「リサは当ギルドの看板娘的存在ですので多くの冒険者様も同様の意見です」

「だが、師匠この事件は容易ならざる相手でござろう」コトミ


「分かるの?」

「は、通常ギルドに属する関係者は危険が迫ると瞬間移動の技で回避出来るはず」

「よくご存じで、実はリサも魔除けのペンダントを何時も装着していたのです」


「だけど緊急避難の魔法が発動しなかった?」

「のようですな。敵側からのなんらかの魔法かもしれませぬ」コトミ

「だが致命傷を受けなかったのもその魔除けのお陰と考えるべきでござろう」コトミ

「なるほど、一命を取り留めたのは偶然では無かったのか・・」俺

「多分相手は完全に息の根を止めたと判断したのでその場を去ったのでしょう」エレナ


「だとしたら相手がもしリサの存命を知ったら必ず口封じに再び襲ってくるはず」ケン

「なぜ?」

「顔がわれてしまったら悪事するのに不都合になるからです」ケン

「なるほど、魔道具持ちで犯罪犯し放題でも顔がバレたら指名手配受けるからね」

「左様、故に今までは見られたら必ず相手を仕留めていたのでござろう」ケン


「だけど分からないな。ギルドの受付嬢襲ってなにか利益あるの?」俺

「もしかしたら私怨関係かもしれません」エレナ

「なにか心当たりでも?」俺

「ギルドというのは因果な商売で買い取り値段が安いの売値が高いの恨みを買うものです」エレナ

「なるほど、だから何時も受付の娘は若くて可愛い子を採用してるのですね」俺

「はい、お客様のご機嫌をうかがうための精一杯の努力です」エレナ


「だけど買い取り価格って国を超えて統一されてないの?」

「統一されてる商品もありますが入手の難易度は場所により違うので難しいケースがほとんどです」

「なるほど、例えばA国では高く買い取って貰えてもB国では捨て値なんて事もあるのですね」

「各地を渡り歩いてる冒険者ならばある程度理解されてると思うのですが・・・」


「逆恨みの類いかも」俺

「もしくは一方的な片思いとかも」コトミ

「愛想を振りまくのが受付の仕事でもありますので誤解とかもあり得ますね」エレナ

「リサと申す者はうちの師匠にもちょっかいだしてたし」ちょっと怒ってるコトミ

「コトミ、それ言い過ぎだよ」俺

「お客さんを食事に誘うなんて営業の範囲を超えてまするぞ」コトミ


「いや、色恋や逆恨みごときで一歩間違えたら斬首もありうる犯罪に手を染めるかな?」ケン

「む・・・」全員黙り込む


「なにか他にあるのでしょうか?」エレナ

「いや、今得た情報だけではなんとも判断できぬな」ケン

「たしかに・・・」俺とコトミがうなずく


「族は仕事として依頼を受けた?」エレナ

「む・・」コトミがいち早く反応した

「なにかしらの不利益を受けた者が暗殺を依頼した?」ケン

「しかし、リサは一介の受付嬢・・・なにかの秘密でもあったのでしょうか?」エレナ

「一度リサさんと面会が必要かもしれないね」俺


「いえ、今はどこに監視の目が光ってるかわかりませぬ、それは危険すぎまする」コトミ

「なるほど、経験者は語るか・・」

「いえ、その・・・ごにょごにょ」コトミ

「君の過去は詮索しないと言った、そのことは不問だから、今は事件解決の方法だけを探ろう」

「は、かしこまってござる、つまり今は面会するのは危険と言うことでござる」


「さてさてどうするのが最上策でござろうか・・・」ケン


「一つ言えるのはエレナさんの身も危険だと言う事」俺

「なるほど、暗殺者の目的がギルド全体だとしたらリサだけでは終わりませんね」エレナ


「どうする?ギルドの営業妨害が目的だとしたら休業は敵の思うつぼだけど」俺

「営業は差し支え有りません。当ギルドには従業員宿舎が建物内に完備されてますから」

「しばらくは缶詰って事ですか事件解決までは仕方がないですね」俺


「どっちにしろ敵が次の行動を起こすまでは我々も身動きとれませぬ」ケン

「と、言う事でギルドからの緊急クエストですが手の空いてる冒険者様はどうかご協力願います」

「おう、まかせとけ」場に居合わせた15人ほどの各ランク冒険者達が勇み立つ

「だけどな・・手がかりない現状ではどうやって敵を捕まえるのか見当も付かねぇなぁ」

みんなうなずく


「報奨金はギルドマスターからのポケットマネーなので十分とは言えませんが金貨100枚です」

「おおおおっ」全員の士気が上がった金貨100枚なんて依頼は滅多にないからだ


ケンの思念が届く

「あるじ、いま勇み立った15人の中で否定的な反応をした奴が2人程います」

「む、さっき言った通り敵側スパイの可能性あるな」


突然スマホがブルブル震えた・・多分コトミからのメールに違いない

内容はケンと同じ「怪しい気配の輩が二人います」なかなかコトミもするどそうだ

スマホとメールの仕組みも一回教えただけですぐに理解する利発さも備えてる


「実はあるじの「すまほ」我が体内にコピーしたのでコトミのメッセージも読めてます」ケン

「うむ、これでお互いの意思疎通が隠密裏に可能だね」俺

「すまほなる魔道具は便利でござるな」ケン

「師匠、スマホなる物は普段わが魔剣に持たせてるので思念通信も可能になりました」コトミ

「おお、それならショートメッセージよりも便利だし早いね」

「高ランク冒険者でしか不可能な思念通信、我ごときが出来るとは師匠の妖術恐るべし」コトミ


「で、輩の後をつけますか?」ケンの思念

「いや、気づかれたらまずい。ケンこれ作って」俺が思念で返す

「これはなんでござるか?作るのは容易いのでござるが」

「タグと言ってこれを相手に装着すれば相手の居場所がスマホから分かる」

「なんとあやしげな魔道具・・・」コトミ


「問題はコレをどうやって相手に装着するかだが・・」

「簡単でござるよ、拙者におまかせあれ」コトミ

「フッ」一瞬コトミが消えたがすぐに戻って来た


「二人に付けて来ました」コトミ

「はやっ」

「あるじの言われた通りタグとやらは透明化してるので相手に気づかれませぬ」ケン

「それにこの世界の人間は風呂入らないから気づかれにくいしね」


「自分の魔力を吸い取られて電源代わりにされ発信し続けるんだから面白いだろ」俺

「ともあれこれで当分気づかれずに族共を泳がすことが出来ますな」ケン

他の冒険者たちは口では勇ましい事を言ったが生活がかかってる者も少なくない

他愛もないクエストを受けてそそくさとギルドを後にする者がほとんどだった


「ダイジさん達パーティはどうなされますか?」エレナ


「今日は出遅れたから他クエストは遠慮しておきます。一旦宿にもどり色々検討したいし」

「かしこまりました。説明した通り誰が襲われるか分からない状態ですのでお気を付けて」

「はい、宿はすぐそこですが油断はしません」俺


「あるじ、賢明な選択ですぞ、宿が今のこの町では一番安全ですからな」ケン


     ☆


「ちっ、まずい事にになってきちまったな」ガエル

「兄貴、どうする?まさかあの小娘生きてるとは思わなかったぜ」ドエル


この二人は先ほどケンとコトミが怪しんだ二人。冒険者を名乗ってるが実は盗賊

「金持ち商人を襲おうと屋敷周辺を調べていたら顔見知りのリサに鉢合わせてしまった

リサが親しげに我らに話し掛けてきたのが悪い」ドエル


「うむ、背後から気づかれないように刺したし心臓を一突きしたはずなのに」

「まさかギルド関係者にそんな救命魔道具が装着されていたなんて想定外だった」ドエル

「どうする兄貴、顔を見られた以上もう「免罪魔道具」持っていても通用しないぜ」

「ギルドでの話だとリサを襲うことは容易ではない。だが本人が回復しない限り

人相書きも出回らない」

「この町からずらかりましょう」

「いや、駄目だギルドは国を超えた組織、人相書きが出回ったら我らの行き場所はなくなる」


「じゃ、どうしやしょう?人相を変えますか?」

「魔道具使えば可能だがギルドカードの変更は不可能だ、カードを提示しなければ

どの国や町にも入れなくなる。一生無宿人だぞ」


※ギルドカードはパスポート代わりとなる。市民権を得た一般市民はその町専用の

カードが支給され移動する場合には有料の申請手続きが必要となる(通行手形)

いずれにしてもカードが失効した場合再発行手続きをしないと出入りは不可能となる

人相書きが出回った犯罪者は一切の移動制限が課せられるし見つかれば逮捕される。


「つまり手段はただ一つ、リサが復帰して人相書きを書く前になんとしても葬る事だ」

「いくら救命魔法具装着だとしても首を切り落としてしまえば助かるまい」ガエル

「し、しかし兄貴出来るんですかい?そんなこと」

「だから、こうしてギルドで情報を集めてるのだ、今の所この依頼を引き受けてるのは

タイジとやらのパーティだけのようだ、Fランクに上がったばかりの駆け出したいしたことはない」


「ガキのお遊びみたいなパーティだったな」

「ランクの低いガキのくせに腕組んでいつもギルドに来るとんでもない奴らだ」

「で、そのガキ達をどうやって利用するんです?」


「どうやらタイジというガキは受付の娘に惚れられてるらしい。真っ先に連絡するはずだ」

「ったくとんでもないませガキだ」


「つまり奴らを見張ってれば必ずリサの元に案内してくれるって訳ですな」ドエル

「だが・・策を講じなければ難しい」ガエル


「確かに迂闊に近づくと怪しまれるな・・・・」

「盗賊スキルで隠密密着しましょう、気配消せます」

「うむ、じゃ交代で密着監視しリサの見舞いに行った所で一網打尽だな」

「へい、兄貴の言うとおりにします」


「だが、困ったことに奴らの宿・・・あそこで監視行為は難しそうだな」

「あそこの宿はとびっきりの用心棒が常に目を光らせてるので隠密監視は難しそうですぜ」

「あそこの宿は食堂が大繁盛してる上にやばい奴らのよりどころ、隙はある」

「なるほど、無法者や盗人でも宿や宿泊客に危害を加えなければ不干渉が原則ですからな」

「冒険者とかも一杯あそこを定宿にしてるし、我らが常連となっても問題はないだろう」

「へいいかにも」


「それにな、ギルドからの情報だとリサは一命は取り留めたが重傷で

当分、そうだな一ヶ月ぐらいは絶対安静だそうだ。」

「ならばゆっくりリサとやらの命狙えますな」ドエル

「うむ、そのうち誰かがリサの見舞いに行くだろう。それで住みかは分かるはずだ」

「ならば毎日ギルドと宿の食堂で情報集めしやしょう」ドエル


「どうやらタグ情報だと敵はギルドと宿の食堂で情報集めしてるようだね」俺

「リサを見舞いに行く仲間を監視してるのでしょうな」

「それに俺たちの動きも調べてるみたいだね」


「たぶん、子供2人のおこちゃまパーティだと高をくくってるみたいでござるな」ケン

「ぬ、あなどりおってますます許せん」コトミ


「いや、コトミ君相手が油断してくれてるのならありがたい事だよ」俺

「は、それは承知してますが我は子供ではござらん・・師匠も腕前を見たら・・」

「いいんですよ。今は子供扱いしてくれた方が動きやすいのです」



「あるじ」


「なにか分かった?」俺

「実は先ほどあるじの為にギルドに相談に行ってきました」

「あれ?ケンはずっとここに居た気がするけど?」

「主人には黙って分身体を使ってました。能力はどっちも同じです」

「そんなことも出来るんだ・・なんでもありだね」俺

「我は魔道具ですから大抵のことは出来まする」剣


「もっと一杯俺に隠してる能力有るんだろうね」

「必要に迫られたら使っていきますのでご安心を」


「ま、それは後の話として、なにが分かったの?」

「怪しい二人のギルドカードを閲覧しましたぞ」ケン

「そんなこと出来るの?」

「容易い事、ギルドには登録者全員の情報が納めてあります故」

「でも、それって普通門外不出だよねギルド関係者以外で見れるの?」

「ふふふ、我に不可能はござらん」」

「呆れたね、それって立派な犯罪行為じゃないか」

「我ら二人だけの秘密にすればなんの問題もござらんし、我は悪用など絶対にしませぬ」

「で?」

「二人の名、兄貴がガエル弟がドエル、Dランク冒険者ですぞ」

「結構高ランクの冒険者なんだね」

「たいしたことはござらんが・・・問題は経歴」ケン

「あやしいの?」


「表面上では分かりませぬが、お金の流れが・・・」

「そっかギルドならお金の流れもある程度分かるんだよね」

「御意、クエスト達成の数や具体的な報奨金や買い取り金額の流れが掴めます」


「で、なにがわかったの?」

「は、ここ数ヶ月一切仕事はしてないのにギルドには頻繁に訪れてます」

「気に入ったクエストがないからかだろ」

「なのに、少額ながらギルドにお金を預ける回数多すぎるのです」


「なにか他の収入源でもあるってこと?少額なのは怪しまれない工作?」俺

「とにかく身分以上のはぶりの良さは確実でござる」

「更に分かってきたのですが、この二人はよそ者でした」

「つまり?」

「流れ者って事です、この町にきたのも3ヶ月前、偶然かもしれませんが以降窃盗とか強盗事件が

増えてます」ケン


「あやしいね」

「胡散臭いですな。しかも過去の履歴をみたら一つの町に滞在するのは長くて半年程度

疑われる前に移動してるのかも知れませんぞ」


「だけど、なぜリサを襲ったの?」

「恐らく富豪の家でも物色していたら偶然リサに出くわしたのでしょう愛想のいいリサが親しげに

声を掛けてしまったのやも」ケン


「顔を見られたのでとっさに刺したって訳か・・・許せないな」俺

「とんでもない輩です、成敗せねば」ケン

「でもさ、それってまだ状況証拠だけだろ。まだ有罪とは確定できないな」

「あるじ、何を申されますかこの世界では疑わしきは成敗が鉄則ですぞ」


「だからえん罪が絶えないんだよ。無実の者が咎められたらどうするんだよ」

「疑われる方が悪いのでござる。この世界に罪を罰する機関などござらん悪い奴はみんなで成敗です」

「呆れた未開の世界ってやつだな。俺はやだよ賛成しない」

「そんな悠長な事言ってたらリサの命があぶないですぞ」ケン


「良い方法を思いついたよ」俺

「ほう」

「ケンの懐には数十万枚の金貨あるんだよね」

「は?確かにありますが。悪用には使いませぬぞ」


「いやいや、敵をおびき出すおとりだよ」

「ほう?」

「つまり、大金持ちを装って奴らに襲わせるのさ」俺

「どのようにして?」


「変装魔法って可能?」

「はあ、見た目の変装は可能ですが身分を偽ることは不可能ですぞ」

「それは町の外に出たり旅行したりしたときの事だろ」

「まあ、この町で動き回るのでしたら余程の事が無い限りばれませんが・・・」


「勿論ギルドに相談して一芝居打って貰う必要あるけどね。」

「つまり、あるじがお金持ちに化けてギルドに現れ、大金を貯金するふりをするのですな」

「うん、全部を預けるのでは無く一部を貯金するみたいにカバンから取り出して見せたらどうなる?」

「当然、盗賊達は襲う算段をたてるでしょうな」


※ちなみにこの世界ではどこのギルドであっても銀行の代わりに預金したり引き出したり出来る仕組み

国をまたぐ組織のギルドなので預金は貴重な資金源。ギルドカードがキャッシュカードと同じ役目。

登録者に貸し付けしたり出来るのもこの制度のお陰。借金を踏み倒せば全ての権利を失う重罪扱い。

血判登録なので偽造したり他人のギルドカードを悪用することは不可能。


「なるほど襲わせておいて返り討ちって訳ですな」ケン

「だが敵魔道具がどのような仕組みなのか・・・」俺

「む、確かに免罪魔道具ってのがどのような仕組みなのかは分かってませぬな」

「今まで逃げ通せたのにはなにか強力な仕組みがあるのだろうから」俺


「御意、これは油断すると取り逃がしたり下手したら返り討ちって事態もありますな」ケン

「ですが、コトミに現金の所有を知られるのは得策ではありませぬ」ケン

「いや、それも含めてだよ」


「というと?」

「彼女が近づいてきた理由、あり得ないとは思うけど・・・」

「なるほど、何らかの理由で我がアイテムボックスの中身を知った?」ケン

「考えたくはないけど宿の食堂でケンに大金を吸い込ませたのを用心棒に見られてるやも」

「なるほど、用心棒はコトミの父親でござったな」

「だからあえて今回でコトミを試す、裏切られたら私の見込み違いで済ますけどね」俺

「わかりました。今後の為にも信頼関係の構築は大事でござる」


    ☆



「お邪魔しますよ」

「いらっしゃいませ。今日はどんなご用でしょうか」エレナ


「実はこれから商談があってのう金貨が大量に必要なのだが少々多すぎるみたいなのじゃ

で、半分の金貨一万枚を預かってほしいのじゃ」大富豪みたいなおっさん


「はい、短期のお預かりですね。ありがとうございます承りました」エレナ

「ではお願いします」秘書然としたお姉さんが金貨一万枚入りのカバンを渡す


※金貨は通常金貨の他に大金貨(金貨十枚分)と白金貨(金貨百枚分)がある

秘書が預けたのは白金貨百枚、目もくらむほどの大金。


「あ、兄貴」

「うむ、絶好のカモが現れたな」


凶悪兄弟さっそくタイジ達の仕掛けた罠にはまってしまった


富豪と秘書のあとを隠密魔法にて尾行する兄弟

とうぜん富豪は用心棒が4人ほどガードしてる


「兄貴どうする?あんなへなちょこ護衛簡単に始末できるが?」

「いや、昼間はまずい深夜になってから宿を襲う」ガエル

「へい、じゃいつもの通り魔道具で全員眠らせておきます」

「だがあの富豪と秘書は眠らせぬようにな。カバンに解除不可魔法がかかってるやもしれん」


※解除不可魔法とは強力なセキュリティ鍵の一種。当人以外では絶対に解錠出来ない魔法


「へい、何時もの通りぬかりありません」ドエル、なれた物だ

「カバンの中身を頂くまでは生かしておく・・・だがその後は口封じだがな」


「さすが富豪だな宿ではなく豪邸を貸し切りのようだ」ガエル

「へい、お陰で仕事がはかどりそうです」ドエル


時間は深夜二時


「ではいつものように免罪魔道具発動させます」ドエル

「ふふふ、簡単な仕事で金貨一万枚。だがこの豪邸じゃもっと金庫に眠ってるやも」ガエル

「兄貴、これはいい稼ぎになりそうですぜ」

「よし、乗り込むぞ」ガエル


盗賊どもは正面玄関から堂々と屋敷に忍び込む

「ガチャガチャ」玄関の鍵など秒で解除するドエル、プロ中のプロ

「こっちに違いない」中へ中へすすむ輩


「まっていたぞ盗賊ども」

「な、なに?」慌てるガエル兄弟

バーンと大広間のドアが開き中にはタイジとコトミが待ち構えていた


「なんだお前達は!」吠えるガエル兄弟

「見て分からないのか?つまりお前達を誘い込んだって訳だ」

「なに?・・・あの富豪はウソか」

「ギルドと一芝居打ってお前達を誘導したのだ」


「く、仕方がない顔を見られた以上お前達には死んで貰うしかない」

「そうやって罪もない民達を大勢殺したのだな」コトミ


「ばーか市民だけではない兵隊もみんな殺してやった」ドエル


「おのれ、ただでは済ませんぞ」コトミ

「お嬢ちゃん威勢はいいけどそんなおままごと剣でなにができるのかな?」


「こ、この~」怒るコトミ臨戦態勢


走り込みざま抜刀しドエルを両断するコトミ目にも見えない早技

「ブン・・・」だがコトミの剣は空しく空を切るだけ


「ひーひひ、お嬢ちゃんの剣はハエが止まってるようだ」煽るドエル

「ば、ばかな我の太刀を見切られた?」

「あ、あるじ・・・」コトミの魔剣が悲鳴を上げる

「シュバルツどうした」初めて明かされたコトミの魔剣の名前はシュバルツ

「我が剣は魔道具・・・なぜかわかりませぬが魔力をすべて封じられてます」

「な、なに・・・それでは我が力だけでは威力は半分以下だ」


「剣を振ってみてわかんないのかなぁ。お嬢ちゃん」ドエル

「無礼者・・・」


「お嬢ちゃんの実力では我々は倒せないよ」ガエルが一瞬でコトミとの間合いを詰めていた

「族め・・・ぐうう」

むなしく当て身を食らいコトミは気絶してしまった。コトミの突撃から数秒での出来事


「ふふふふ、後でたーぷり楽しもうね」圧倒的実力をみせるガエル


だがその隙をタイジが逃すはずはない

「シュリーン」タイジ必殺剣が一閃


「おーととと、やばいやばい。どうやらこいつのほうが強そうだ」ちょっと慌てたドエル

「ぬ、なぜ生きてる?手応えはあったのに」タイジ

「ばーかめ、我ら兄弟がそんななまくら剣でやられるとでも思っていたか」


「どうせお前もあの世にいくのだ教えてやるが我らの装着する防具はミスリルどんな剣も通さぬ」

「あの魔力をも封じるミスリル製の防具か・・・」

「ついでに我らの武器もミスリル製だからな、触れただけでザックリの代物だ」」

「う、その武器は・・・」ケン


「お、お前の魔道具は優秀みたいだな。そうだこれはスピアといって暗殺専用の武器」


「ただの盗賊ではないな・・」ケン


「ひーひっひひ今頃気がついても遅いわ、我らは元傭兵、暗殺を生業としたプロなんだよ」ドエル

「その傭兵がなぜ盗賊に身を落とした」タイジ

「ふふふ、まあ教えてやろう。我ら兄弟は優秀な暗殺実行部隊に所属していてめざましい成果を

あげ国家に忠誠をつくしてきたのじゃ」


「だがな!あまりにも手法が残虐すぎると部隊を除名されてしまったのだ」ガエル

「怒りに燃えた我らは30人程いた部隊全員死んでもらい逃亡した。その時に部隊が使っていた秘宝を

我ら兄弟がありがたく頂いたって訳だよ。それが今使ってる免罪魔道具アンチマジックエリアだ」


「く、それか」


「その通り、だからお前達の魔道剣は全て役に立たないのさ、だが我らには支障が無い

ついでに言うと、消費した魔力の回復も出来ない。つまり長引けば長引くほどお前達は不利

って寸法なのさ、あははは分かったか」


「言う事は終わったか?ならばこっちの番だ」タイジ


目にもとまらぬ早さで変幻自在に剣を操るタイジ

「こっこいつ・・・アンチマジックが効かないのか?」狼狽するガエル

「あ、兄貴・・こいつの剣は本人の実力のようですぜ」防戦一方となったドエル


さすが兄弟タイジの必殺剣に押されつつも防御だけは出来てる

だがタイジは更にギアを上げる・・・・「シュイーーーーン」「カカカカカ」稲妻のような早さ

「馬鹿め例え当たってもミスリルが防御してくれるわ」強がるガエル


「あ、兄貴・・・こ、こいつ防具の隙間を狙い撃ちしてます・・・ぐ、ぐわあぁ」

ミスリル防具の隙間、手足の関節部分に剣を通しだすタイジ


「お前達の太刀筋は見切った、諦めろ」タイジ


「見切っただと・・・プロの傭兵だった我らを見切っただと?」

「強がっても無駄だ、おとなしく投降しろ、そして罪を認め法の裁きを受けるのだ」タイジ


「あ、兄貴ぃ~」弱音をはきだすドエル落城寸前


「ズブ」鈍い音とともになにかがタイジの体内に突き刺さった

「ぐ、ぐわあああ・・・」もんどり打つタイジ

「あるじ、・・・一体なにが?」


「ふふふ、勝負というのは勝ったと思ったときに隙が生じるのさ。我らはプロどんな卑怯な技でも

勝つためならなんでもするんだよ。お坊ちゃん」


なんとそこには仁王立ちしてるもう一人の盗賊、そう三人目の兄弟アベルがいた

「我らは三兄弟。つねに陰でアベルが行動していたのさ。こんな時のためにな」ドヤ顔ガエル

リサを背後から突いたのもアベルの仕業だったのだ。


「お、おのれ卑怯な」ケン

「ばーか、殺し合いに卑怯もヘチマもあるか、生き残ったほうが勝ちなんだよ」ドエル

実は弱ったふりで油断させていた


「ケン、やつらの言うとおりさ、油断した俺が悪い」タイジ

「あ、あるじ・・・」

「ふ、だがな念のためケンに作ってもらっていた鎖帷子、お陰で致命傷は食ってない」

「ば、ばかな確かな手応えだったはず」アベル


「そんな防具は聞いたことがないぞ」ガエル

「あるんだよ。そんな防具もな」すくっと立ち上がるタイジ

ミスリルは貴重な素材だがとうぜんケンは保有していた、つまりミスリル製の鎖帷子


「ふ、だが所詮強がりにすぎない。どうする?3:1の戦いだぞ」ガエル

と話掛けてる隙にアベルは再び気配を消す「シュ」正に消えたのだ


「キェェェェ」ドエルは天高くジャンプし脳天突き刺しにはいる

「これならお前の防具とやらも役に立つまい」

タイジが苦境なのは確か・・・


だが刹那ともいえるこの一瞬タイジは別の思考をめぐらせていた

「目で相手を追うから騙される・・・」ふと目をとじ直立不動となる


「ふひひひ、全てを諦めたか馬鹿め」正面から心臓を一刺しにかかるドエル

「スピアで突き通せばならそんな防具突き抜けてくれるわ」ガエル

見えないアベル、天井からドエル、正面から閃光のガエル・・・


「見えた!」目をつぶるタイジに「心眼」が宿ったのだ

無意識の意識、刹那の時間タイジには永遠とも言える時間経過

「敵の姿が全方向見えるし停まってる」まさに無我の境地。奥義開眼


「シュインン・・・」

タイジの剣は正確に防具の隙間、三人の右膝を同時に一刀で払った


「うぎゃああああ」悲痛な叫び声をあげる三兄弟もう立ち上がることは不可能


「おとなしく縛につけ、さもないとこの場で成敗いたす」タイジ目開けてないw

「ば、ばけもの・・・兄者、これはもう駄目じゃ」今度は本当にうろたえるドエル


「ば、ばかどんなに負け戦でも生き残れば次がある。今は退散だ」ガエル

「みんなつかまれ、瞬間移動魔法で逃げるぞ」ガエルにつかまるドエルとアベル

このまま逃走すれば人相書きが出回り町に住むことは不可能だろう

だが無宿人になろうが山賊に身を落とそうが生きていればやり直せる。


「ま、まて卑怯者!」叫ぶタイジ


「おぼえておれ必ず仕返しするからな」捨て台詞とともに消える三兄弟

「く、くそ~」悔しがるタイジ同時にがっくり膝を落とす


「あるじ、心配召されるな。全ては想定内ですぞ」ケン

「え?」


「やつらの生い立ちも力量もあるじの実力も全て我は知ってましたぞ」ケン

「一体なに言ってるんだよ。そんな事言っても奴らはのうのうと逃げちゃったよ」


「ですから、それも想定内。実はここの屋敷には初めから魔法を掛けていたのです」

「言ってる意味がわからない」タイジ


「ですから我の大魔法アンチフィールドガードをあらかじめ発動していたのです」

「なんじゃそれ?」

「このフィールド内で移動魔法を発動すると自動的に王国の監獄に移送されるのです」

「し、しかしアンチマジックエリア使かわれたら全ての魔法は封じられるはず」

「アンチマジックエリア発動前の魔法は封じることはできませぬ」


「つまり、アンチマジックエリアの外に展開した魔法なのでアンチマジックエリアから出た

やつらは即座に監獄に移送された筈です。もう一生出てくることは不可能でしょう」


「ケンはギルドに相談すると言っていたが移動場所を監獄にする要請だったのか」

「御意、作戦というものは二重三重と張り巡らせなければなりません

あるじにも教えなかったのは敵を騙すには味方からといいますからな」


「なにも知らない俺はそれこそ必死で無我の境地になれた・・と言う訳か」

「御意、お陰で新たなる新境地を得ましたぞ。確実に修行の成果はあがってます」


「だからぁなんの修行なんだよ」

「それは秘密です」


めをさましたコトミ

「し、師匠、我々は黄泉の国にいるのではないのですね?」

「もちろんさ、両足見てごらんちゃんと有るだろ」タイジ

「は?それは一体なんの意味ですか」

「あ、ごめんごめん前に居た所での話で幽霊には足が無いってこと」


「もうしわけござらん、我は何の役にも立てないどころか血気に走り敵の陰謀に

わざわざ飛び込んでしましまいました」


「うん、それは今回の教訓だよ。相手の力量もわからずに突進するは愚の骨頂」

「お恥ずかしい限りです。我の命運はつきたと思ってました」コトミ


「パーティってのは共同体なんだから勝手に先走りはまずいって事です」

「は、師匠我は九死に一生を得るどころか有り難い薫陶まで得られました」

「そんな大仰な・・でもね本音を言うと盗賊共にとどめを刺されないで本当に良かった」

「は、それは我が身が女という特典かと。族共の下心が我を救ったのです」

「だけど万が一俺達が負けた時はなぐさみ物になるという危険もある」

「師匠が負ける事などあり得ませぬ」コトミ


「さ、事件は解決しましたぞ、ギルドに戻って報告せねば」ケン



    ☆



後日談

めでたく解決となったこの事件、三兄弟処刑後なんと金貨4万枚もため込んでいたのが発覚した

犠牲者に戻したいところだが全員死亡してるのでそれは不可能、結局国庫に納まることに

だが事件解決に大功労だったタイジになんと金貨五千枚の報償がでたのだった

当然タイジは固辞したが国王たる者が引っ込める訳にもいかず結局タイジは賜る事になった

その際に授与式典の申し出もあったがなんとかこっちは辞退する事が出来たようだ。


一方ギルドからでたギルドマスターからの報奨金金貨100枚の行方

無事回復したリサの快気祝いと称しギルド関係者、冒険者で宴を開きあっという間に散財した

「タイジ殿は年は若いがたいした御仁じゃ」「凶悪犯から町を救ってくれた英雄だ」

町中に評判はひろまっていく・・・



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