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異世界最強アイテム  作者: kou2199
25/26

スライム大量生産計画

ザビル村再開発計画発動からはや一ヶ月が経過したある日

「主人、極秘のラボが地下鉱山跡に完成しましたぞ」ケン

「おお、そうか、村開拓と同時進行だったのに思ってたより早いな」


「何を言いますか主人が開発したトンネル掘削機あればこそですぞ」ケン


魔物召喚ラボ

ヤルダート山脈のどこか人知れずの極秘の場所に召喚魔物実験を行うための基地をごく少数の特務ゴブリン、オーク兵が共同作業でで作り上げた


岩盤を特殊工具でくり抜いての総堀仕上げ建物は三階建て構造。一階実験室、二階研究室と各種倉庫、三階宿舎と生活設備。20人が外部補給なしで一ヶ月以上生活出来る設計

一階は縦横20m高さ10mの大広間。ドラゴン召喚にも耐える広大さ。真ん中に5x5のステージがあり場合によって魔方陣配置を考慮した設計


万一の召喚魔物暴走に備え頑強かつ魔力耐性を施した岩盤総堀作り。いかなる魔物であってもここからの脱出逃走は不可能だろう。実験が成功し実用可能レベルとなればケンの特殊生物保管可能のアイテムBOXに収納し外部に持ち出す予定。


「これはまるで悪の巣窟ですな」ズメルが言うと禍々しさが際立つ

「うん召喚儀式によく似合うおどろおどろしさだな」俺

「我が初めて召喚された場所によく似てる。召喚部屋などは皆同じなのだろう」ズメル

「まあ、安全性を考えたらこうなるわな」ケン


「愚かな人間共は我の二度目の召喚時に安全対策を怠ったのだ」ズメル

「聞いたよ。召喚部屋を突き破ったら王城の地下だったってな」


「うむ、怒りにまかせてそのまま王を食い破ったら兵隊共が怒る怒る」

「そりゃ怒るだろう」

「生意気にも刃向かってきたので全滅させてやった」

「それだけではないだろ?」

「うむ、更に小癪にも討伐隊などで刃向かって来たから返り討ちにした」


「結果2万の軍隊は全滅。ヤルダートは壊滅的被害を受けた・・」

「そこからが解せんのだ、なぜかエドモンの北に転移させられて誰かに操られた」

「多分、王暗殺と2万兵抹殺、転移までが敵の思惑通りだったのだ」ケン

「うむ、暴走した我は同胞をも全滅させるところだった」

「ついでにオーク討伐も敵の思惑だったのだろう」


「ぐぬうう許せん・・」

「だがそのお陰でズメルは我が配下となり人魔共生の道筋が見えた」俺


「主人その話は何度もしたし済んだことだ」ズメル

「まあ、とにかくこうしてラボが出来たし皆で前に進もうではないか」ケン

「なにかと反対していたケンにしては珍しく肯定的なんだな」俺

「よくよく考えると人魔共生は究極の平和で我が理想」ケン

「こんな大それた設備で申し訳ないのだが最初はスライム召喚からだ」

「大は小を兼ねると言います。千里の道も一歩からですぞ」ズメル

「全く最近はケンの蔵書のお陰かなんかでズメルはすっかり頭でっかちだな」俺

「知識を得ることは素晴らしいことですぞ」ズメル


「ともかく実験開始します」ケン


「ケンのアイテムBOX内部を我がカオスイーターで映像化した」

「おおっすごいアイテムBOXの中が丸見え」シュウ

ラボ二階の研究室の大型モニターに今正にスライム召喚の瞬間が映しだされようとしてる

「主人、行きますぞ」

「わくわくどきどき」俺


「スライム召喚!」ケン

「ジュワ・・・シュシュシュ」なにやら背景真っ黒の異空間がにわかにゆがみだし次第に実体化していく模様が映し出されてる


「主人、今ですこのスライムのパラメータを割り振れますぞ」ケン


「おおっ視覚的にメーターが見える」

「なになに、HPとMPとスキル割り当てと数値化がが可能って事か」俺

「まさかそんな事が具現化できようとは・・これは神への冒涜」ケン

「時間がないんだよ。能書き言ってる暇有ったら早く割り振るんだ」

「HPとMPは最大値でも30前後ですな・・スキル割り振りは?」

「低すぎるHPとMPは15づつで構わないだろう」


ちなみに通常人間種での初期値はHP70MP50位が平均、人間の赤ん坊よりもスライムの初期値は低い。最低ランクの魔物だからそんなもんだろう。多少個性があるはず。何度も召喚すればもっと高い初期値のスライムが召喚される可能性あるが似たり寄ったりと予想される。なお一般的成人平民の平均値はHP200、MP100前後。当然英雄クラスタイジの数値は天文学的数値だが本人の希望により未公開w


「スライム固有スキル、浄化、酸、分裂。合計100の範囲で割り振れますぞ」ケン


「では初号スライムは浄化70,酸10、分裂20に割り振ってみよう」俺

「は、なんとか時間内に間に合いました。」ケン

研究の結果スライム召喚術開始からパラメータの操作可能時間は2~3分と判明してる

いずれにしろあくまでも初期値なのでその後の環境次第でいくらでも数値は変動する筈

「生まれます」

「シュボン・・」史上初めてパラメータ操作済みのスライムが召喚された瞬間

画期的なのは操作中の一切が大勢の研究者の目の前の大型モニターに映し出されてる点、後々の研究に大いに役立つことだろう。


「主人、大成功ですぞ。まさかこんなに上手く行くとは」ケンが興奮気味に報告する

「いや、問題は実用に耐えるかどうかだ結論はその後だよ」俺

「確かに、召喚ありきではなく実用ありきですからな」ケン

「たかがスライム、されど人魔共生への大きな一歩」俺

「おっさすが大賢者様、格言でござるな」ズメル


「続けてコピー体作成しますか?」ケン

「いや、初号スライムはこのままで経過観察する予定だ」

「確かに、粗悪品をコピーしたら大変ですからな」ズメル

「何事も試行錯誤が大事、初めから上手く行くわけがない」俺


「なぜ浄化100に割り振らなかったのですか」シュウ

「汚物分解に酸能力も必要だし分裂してくれれば生産の手間とコスト削減出来るかもしれないと思った」俺


「なるほど浄化全ふりでは融通が利かないのですな」ズメル

「召喚スライムの寿命はどのくらいなのですか?」シュウ

「自然発生のスライムは毎年梅雨時に大量発生するが翌年まで生き残ったと聞いたことがない。食物連鎖の底辺だから捕食されてる可能性も高いが多分寿命自体が1年未満なのだろう」俺


「ならば分裂頻度の調整次第で永久的に補充いらなくなりますな」ケン

「それは分からないいくら分裂したところで寿命は同じで同時に死ぬのかも知れないし」

「成る程、スライムは自然発生のみで繁殖や分裂は種族保存に影響与えないのですな」

「この世界がスライムで埋め尽くされてないのが証拠だろう」俺


「たぶんですが固有スキルの種類にも個体差あると思います」ケン

「うむ、充分考えられるな、人間で言うところの個性だろう」俺

「スライム一つでも奥深いのですな」ズメル

「だから研究所が必要なんだよ」俺

「さすが主人・・・」シュウ


「ケンこの調子でスライムを100体ほど召喚してみてくれ」

「??100体もですか?」

「素材的には問題なかろう?」

「それはそうですが・・なぜ100も生産する必要が?コピーすれば済む話では?」

「だから研究なんだよ。100体召喚して個性を調べつつ能力測定するんだ」俺

「大量に召喚し一番優秀な個体をコピーするのですな」ズメル

「そのための研究施設、効率的かつ優秀スライム生産が最終目的」


「アイテムBOX内にスライム100体つづけて召喚します」ケン

「ズズズズズズ」


「個体別能力測定開始」

「全スライム全てが異なるスキルとパラメータ値です同じスライムは皆無です」

「初号スライムの初期値は100匹で較べたら中の下位の能力の様だ」


「おおおっ」おどろきの調査結果

「想像以上にスライム、多種多様ですな」

「驚いたよ、個別スキル数と種類、初期パラメータ割り振り値が全く違う」

「早熟系や大器晩成型、おっとり型器用貧乏型etc・・・これ人間と全く同じ」研究員

「魔物にも個性があることが科学的に実証された訳か」ズメル

「多少はあるのだろうとは思っていたがこれほど明確に違うとは・・」

「最優秀個体を人為的に強化したらどんだけのスライムが誕生することか・・」

「これは長期的な研究と開発が不可欠ですな」ケン

「しかし自然発生でしかスライムが発生しないのなら交配とか遺伝子組み換えとかは不可能なのでは?」


「いや優秀個体をアイテムBOXに永久保存すれば無限コピーが可能、強化かどうかは分からないが一定の効果は得られるはずだ」ケン


「これは研究次第だが遺伝子操作を召喚魔方陣に書き込むことはできないのかな」俺

「未知の領域なのでなんとも、しかし実現出来たら人為的強化スライムが出来るやも」ケン


「ケンには他の仕事も一杯ある、ラボだけに束縛するわけにはいかない」俺

「ですがアイテムBOX内でのスライム召喚は我にしか出来ませぬ」ケン

「今後を見据えたら工場で大量生産が出来なければ意味ありませんな」ズメル

確かに街や領内、国での運用を考えるとケンによる実験と実用化は別の話


「それは困った、生産するとなると問題山積みって事か」俺

「スライム召喚装置とかがあれば便利なのですが」シュウ

「アイテムBOX内で召喚しなければどんなリスクが発生するか分からん」ケン

「凶悪SSS魔物でもあるまいしスライムなら危険はないと思うが?」俺

「仮に酸攻撃100全振りの突然変異種が出現したりしたら相応に厄介ですぞ」ズメル

「アニメやラノベだと実験室はよく吹っ飛んでるけどな」俺

「ここは現実の世界、研究員を危険な目に遭わすのは反対です」ケン


「アイテムBOXに近い性能の実験設備とか出来ないかな?」俺

「うーん・・・なんでも作成可能の我でも概念がなければ作れませぬ」ケン


「主人以前にスライムの酸攻撃は魔法の一種と申してましたな」ズメル

「うん、無から有は絶対に不可能、魔法も実際は魔素を媒体にしての変換術、酸攻撃も間違い無く魔法だろう」


「ならば召喚魔方陣を常設しアンチマジックエリアでフタをすれば魔物は暴走しません」

ズメル


「だけどお前はそんな環境下でもアンチマジックエリアを破壊し大暴走したんだよな」

「我にはカオスイーターがありますので召喚部屋を破壊し外に出れたのです」

「お前だけの固有スキルカオスイーターの固形化って特殊能力か」

「は、我の魔力ならばアンチマジックエリア下でも1m位発動可能ですので」ズメル


「召喚を命じた王も想定外のズメルの力にびっくりだったろうな」

「我はSSS魔物の中でも更に最上種。人間などに遅れはとりませぬ」ズメル

「俺にはあっさり負けたけどな」

「主人は人外、ひとにあらずですから」ズメル


「とにかくそれは有効かもしれませんな」シュウ

「召喚は出来たとしても維持保管はどうするのですか?」ケン

「く・・・アイテムBOXほしいなぁ」俺

「結局はそこか・・・」

「堂々巡りで埒が空きませんな」


「冷凍保存とか出来ない?」俺

「はあ?スライムを凍らせるのですか?」ケン

「さすがに生きてる魔物を冷凍保存しても蘇生は無理か・・・」俺

「人間や他の魔物では不可能でしょうけどスライムの主成分は水、出来るかも」シュウ


「とにかくやってみましょう」研究員A

ケンが作成した紙巻き魔方陣を床に「てぃ」と広げるとあっという間に後置き魔方陣として定着、その上に俺が直径2m位のお椀状アンチマジックエリアでフタをする


アンチマジックエリア内では魔法詠唱は無効化されるのでズメル剣を魔方陣に突き刺しスライム召喚魔法を詠唱する


「ボワン・・」無事召喚された

「ああ、これははハズレですな初期値が低すぎです」ケン

「今はそれが目的の実験じゃないだろ」俺

「では冷凍魔法を掛けます」ケン

今度はケンの持つ魔法剣をスライムに突き刺すと瞬時に「パリ」っと凍り付いてしまった

「これを一旦エリア外に出して・・・おお冷たいw」俺


「解凍はどうやるのでしょう?」シュウ

「うーん試してみないと分からないけど俺の感では瞬間解凍は遺伝子を引きちぎってしまうと思う」


「成る程、水は凍らせると収縮し固形となり解凍すると膨らみ液体に戻りますな」

「うん、その過程でコアが多分収縮と膨張により痛んでしまうと思う」

試しに瞬間解凍してみたが案の定粉々に砕けてしまった

最初のは失敗


「これは予想以上に困難です」ケン

「お前のアイテムBOXというのがどれほどチートなのか分かったよ」俺

「これは、我がつききりで研究に携わるしか方法なさそうですな」ケン


「それは困る、これからヤルダートとの交渉や領政改革、難問山積みなんだよケンがいなければなにも進まない・・」俺


「多少ならば我もアイテムBOXもってるが?」ズメル

「私も先日それ相応のアイテムBOXを得ました」シュウ


「って同じだ、お前達がいなければなにも進まない」俺

「タイジ様、今有る材料だけでも当分研究は可能かと思います」研究員

「いや、駄目だそれでは理想の研究環境とはとうてい言えない」俺


「最初の一歩、スライムだけで頓挫ですな」ケン


「サンプリング抽出法でやってみるか」俺


「さんぷりんぐ?なんですかそれ」ズメル

「ある程度個体数を調べれば固有スキルとパラメータ値が予想出来る方法だ」

「ほう・・つまり当てずっぽうに召喚しなくてもある程度の予想が出来る?」ケン

「うん俺のいた世界では大体1500とかそのくらいの調査で全体像が予想出来た思う」


「つまり1500のスライムを分析すれば分布値が把握出来る?」

「勿論突然変異種は予想不可能だがな」


「それに今思いついたのだが凍結させたスライムの解凍はアイテムBOX内で行えば劣化が起きないのでは?」


「なるほどアイテムBOX内は時間経過が起きませんから瞬間解凍でも状態異常は回避されますな、それは妙案」ケン


「つまり今すぐ1500のスライムを召喚し瞬間冷凍、成分調査の後適性のある個体のみケン達のアイテムBOXに収納し解凍させ、コピー体を作れば魔改造スライムのクローン生産が可能だ」俺

「なんとかクローン化も工場生産出来る様に研究します」研究員B

「頼みます、工場生産が可能になれば効率性は飛躍的となる」俺


「なんだか難しい話ですがなんとなく上手く行く気がしますな」ケン

「どっちにしても成果が上がるのは時間が掛かるだろうね」俺

「急いては事をし損じると言いますからな」ズメル


こうして魔改造スライム計画が発動した

アイテムBOXに匹敵ずる能力の代替え品考案が魔物大量生産に必修項目と分かった。まあ、そのためのラボな訳で。

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