人魔共生への足がかり
さて領内問題が解決し内政に本腰をいれだすタイジ
「これからは効率的な農政政策をトップダウンで行う」タイジ
「中間搾取なき民のための政策でござるな」
「うむ、今は辺境伯領内だけだがいずれはヤルダートとオウカー王国すべてに施行する」
「して具体策とは?」ケン
「まずは教育とインフラ整備だ」
「は?それのどこが農政なのでござるか」ズメル
「お前はケンの蔵書で勉強したのではないのか?」
「はあ、しかしその様な記述どの書籍にも見当たりませぬ」ズメル
「あ、失言、そんな農政こっちの世界にはなかった」
「と、申しますと?」
「これからは俺の元いた世界の技術を隠すこと無く実行するって事だ」
「しかし、行きすぎた改革は弊害を生みませぬか?」
「成果さえあがれば民は納得する」
「ですが周辺領がだまってる筈もなく・・・」
「分からない奴だな、そのためにヤルダートとの闇国交だろ」
「なるほど」膝をポンとたたくホムンクルス、ケン
「お前も視察したとおりヤルダートにはほぼ無尽蔵の倉庫街がある」
「ヤルダートを利用した闇備蓄でござるか・・・正に反逆行為、国賊ものです」ケン
「黙ってれば誰も分からん」俺
「そうですな、従来の技術で採れる農作物の量は国王も把握してますからな」
「だろ、余剰分などに気づくはずはない」
「あと、オーク村とザビル村から供出される農作物も隠れ備蓄だ」
「我の魔力増加に伴いオーク村での収穫量は右肩上がりです」ズメル
「罪滅ぼしのつもりか?」
「万民のためです」ズメル
「ヤルダートにも技術移転する予定だ」
「なんと・・・とんでもない逆賊行為」ケン
「これは国交樹立時の密約だから」
「そうでしたな」ケン
「となるとヤルダートも急激に復興しますな」ズメル
すでに品種改良されたサツマイモの収穫がはじまり飢饉は解消されつつある
「そのための貧民への教育施行だ」
「成る程、近代農耕機具への対応ですな」
「第一王子に力を貸し国王になってもらえば我が国も安泰だ」
「なるほど、目に見えての民達への援助はラムダ殿下への好感度」
「更には今まで国力を削り、王まで陰謀にかけて王位簒奪を狙った第二王子への反発」
「ほう、陰謀の首魁は第二王子ですか」ズメル
「状況証拠だけだがどう見ても第二王子の画策だと推察する」
「我に仇なした輩ですな」ズメル
「間違っても暗殺などするなよ。」
「な、なぜでござるか?」ズメル
「第二王子を推す勢力がまだ判明してない。今第二王子を暗殺しても国が揺らぐだけだ」
「はかりごとは難しい・・」ズメル
「話を戻すが次の政策はインフラ整備だ」
「ほう、いんふらとは?」
「まずは通商貿易をするための街道整備だ」
「しかし、魔物結界はすでに限界ですぞ」ケン
「魔物結界など必要としない為に魔物との融合だ」
「な、なんと。それは不可能ですぞ」ケン
「なぜ?」
「ほとんどの魔物はズメルやシュウみたいな知能など有してませぬ」
「だから?」
「魔物と仲良くなることなど不可能なのです」
「魔物も教育次第だとわかったんだが?」
「か、かりに知能を有する魔物が出現したところで共生など不可能です」
「魔物に土地を与え食料を自給自足出来る様にすれば?」
「今までの歴代為政者が出来なかったことにござる」ケン
「不思議だよね、なぜ共生したら駄目なんだ?誰かが損する?」
「か、神への冒涜ですぞ」ケン
「魔物が卑しき者となぜ決めつける?」
「魔物は人を襲い奪います。凶悪なんです」ケン
「なんとか融和出来ないのか?」
「だ、誰もそのような考えは・・・」ケン
「万が一魔物と共生出来れば無駄に費やしてきた結界魔法など不必要になるしその分農政改革に予算を回せると思うけどな」
「それは理想論です」ケン
「ネガティブ・ケンと押し問答しても埒があかない。出来る方向で作戦を練るからな」
「あううう・・・」反論出来ないケン
「主人には具体策があるのですな?」ズメル
「今その話してるところだろ具体策などあるものか!」
「み、見切り発車ですかぁ」シュウ
「少し位強引じゃないと前になんて進めないからな」俺
「うーん」皆がうなる
「あのさ」
「はい」
「まずは魔物の実態調査が先だと思うが」
「実態調査など前代未聞」ケン
「したくても出来なかったんだろ?」
「そうですな広大な領地全域を調査するなどまず不可能です」
「このあいだ作ったドローン使えば安全に上空から調査出来ないかな」
「うーんどうでしょう。草木に隠れる魔物は発見不可能でしょう」
「それもそうか・・」
「だが可能性はありますぞ」ズメル
「ほう?」
「我がそのドローンとやらに乗り込み上空から無色カオスイーター発動すれば広範囲において全ての魔物の気配を感じ取ることが可能ですぞ」
「成る程ケンや俺の魔物感知魔法では上級魔物は感知をキャンセルされてしまうから上級魔物には使えないからな」俺
「わがカオスイーターは感知するのではなく直接魔物と接触する魔法ですから感知をキャンセルできないのだ」ズメル
「つまり見えない触手みないな?」
「我はSSS魔物主人の言うところの触手とやらの数はほぼ無限だ。だが効力は視界の届く範囲なのでやはり上空からの使用が好ましい」
「とんでもないチート」俺
「しかし、主人あのような小さきどろーんとやらに我が乗り込む事など不可能」
「もっと大型の・・・これはヘリコプターだな」
「へりこぷたー?」
「うん、今概念送ったから作って。今回は一機でいいから」
「とんでもない話、一体どれだけの素材を消費すると思ってるのですか?」
「でもできるんだろ?」
「で、出来ますけど・・・ブツブツ」
「物が大きいので中庭に出します」ケン
「なんだかんだ言ってもやってくれるケン素敵!」
「主人、分かってると思いますが」
「わかったわかった素材1.5倍返しだろ」
「いつのまにか倍返しの約束だったのが1.5倍に値切られて迷惑千万!」
「そう言うなよ俺とケンの仲じゃないか」
「親しき仲にも礼儀ありですぞ」
「よ、ケンさんいい男!」
「おだててもこれ以上はまけませんから」
「ボワン」
出てきたのは「オスプレイ」
「こっこれはなんでござるか」ケン
「これに乗り込んでみんなで調査するんだよ」
「な、ななななんと空を飛べるのでござるか?」ビックリ仰天の一同
「うん、多分全員乗り込めるぞ、ほら乗って乗って」俺
「で、ですが一体誰がこれを操るのでしょう」
「そっか俺もこれ動かすスキルはもってないな」俺
俺は適当に操縦桿をくねくね動かしてみる・・・
「ドラマとか映画で操縦してる映像は見たことあるんだけどな、さすがに練習なしに実戦は不可能か・・」
「ケン、概念送り直すからもう一揆作って」
「はあ?・・・いくらなんでももう一機は不可能でござる」
「本当?」
「いや、もう一機ぐらいならなんとか・・」
「嘘つけ、俺の計算では10でも20でも可能だろうが」
「そ、そんなことしたら備蓄素材が枯渇してしまいます」
「そりゃ20機作れば枯渇だろうけどあと一機位どうにでもなるだろ。はよだせ」
「うううう・・・もう一機だけですぞ」
「ボワン」
「主人、これ全く同じではないですか。操縦出来ないのは同じでは?」ズメル
「いや、今度のはジョイステックにしたから直感的に操縦出来る・・・はず」
「ともかくこの二機使ってみんなで特訓だ」
「ええ?皆でですか」
「誰が得意なのかわからないから全員で訓練だ、ゴブリン隊全員参加せよ」
「ご命令とあらば」
「でもいきなり実機で訓練したらあっというまに壊してしまうからシュミレーター作る」
「も、もしかしてもう一機でござるか?」
「今度のは実際は空飛ばさない模型だよ」
「ですが使う素材はほとんど同じですぞ」
「ケチ臭いこと言うなよ。これで領地調査出来たらいくらでも素材回収出来るからさ」
「ほ、本当でござるな」
「俺がいままで嘘言ったことあるか?ケンじゃあるまいし」
「慮外な!我も主人に嘘など一度たりともついてませぬ」憤慨するケン
「ああ、騙したのと嘘はちがうな、確かに」
「そ、そんな昔の事を今更ほじくり返して・・・」
ぶつぶつ言いながらも今度はシュミレーターを出すケン
「こっこれはなんでござるか?」ズメル
「本物壊したら修理費用大変だし命いくつあっても足りないからからこれで訓練する」
なんだか訳が分からない内に全員でオスプレイ操縦のための猛特訓が始まる
というかマニュアルもなんにもない状態だからエンジン始動すらままならない
何時も思うのだが概念をケンに送って具現化してるのに出てくる物は容赦なくリアルで作り込みが本物なんだよね。細かい所とかどうやって再現してるのだろう?自分でも意味不明なんだけど・・もしかして神でも関与してる?
とにかく本物のオスプレイなので操作半端ない。何百とあるスイッチの意味から理解していかないと・・・って救いは英語表記でもなぜか読める点だけかな万能翻訳魔法のお陰か
いや英語読めるけど軍用語ばかりなので訳分からないのは同じ。マジでマニュアル欲しい
「ブヒュルルルル・・・」エンジン掛けるだけで全員で2日も費やしてしまった
いや、天才ケンとズメルのお陰で奇跡的にたった2日で始動できたと言うべきか
「やれやれでござるな、これで本当に空飛べるのござろうか」ズメル
「千里の道も一歩からだよ慌てる必要ないしこの訓練は将来絶対に役に立つ」俺
どれどれエンジン始動出来たがスロットルはどこだ?各種メーターの意味は?
「多分これは高度計でこちらは水平計でござろう」ズメルがズバズバ指摘してくれるしほとんどが正解、初めてなのにすごいよズメル
「これ実機飛ばしていたら秒で墜落でしたな」ケン
「だからシュミレーターなんだよ、これなら何千回でも墜落出来る」俺
「うわああああ・・」
「又墜落でござる・・これは難しい」ズメル
各種メーターと装置の理解力はずば抜けてるズメルだが操縦は駄目みたい
「シュミレーターでなら何回墜落させても問題ないぞ」俺
「そーいう主人が墜落回数なら一番ですぞ」ケン
「うーん、どうやら俺にはこの方面の才能ないみたい」
だがコトミがジョイステック操作に慣れてきて離陸、上昇、移動、旋回が自由自在になってきた。 シュミレーターは操縦桿を抜けばジョイステック仕様に変更できる仕組み
更にゴブリン隊の数名が器用に操縦桿を操れるようになってきた
「さすがホブゴブリン運動神経パないな」
マニュアルなしなのに手探りで操縦を覚えだしてる
数日訓練するとハッキリ適性が分かってきた。タイジ、ケン、ズメル不合格w
シュウはかろうじて合格ライン、コトミとアケミはジョイステック型なら合格
「主人は異世界転生者なのではないのですか?」ケン
「異世界転生者だからって操縦に一切関係ない。完全に向き不向きの問題だ」
「これ以上訓練しても無駄な者は不合格だ、俺もだけど」
「主人は万能なのではないのですか?」ケン
「万能どころか出来ない事のほうが遙かに多いぞ」
「人外級の剣技なのに・・・」不思議がるズメル
タイジはエリートを選抜し正式パイロットとして任命した。同時に少尉に昇進させる
「エリートにはそれに相応しい階級と待遇が必要なのだ」
「おお、隊員の励みになります」シュウも喜ぶ
選ばれたパイロットによる訓練開始一週間経過。コトミはジョイステック型、ゴブリン兵は通常操縦桿式のオスプレイを実機操縦出来るレベルに到達した。負けず嫌いのアケミもジョイステック型操縦はほぼマスターし実機訓練を待つばかり。俺とズメルは操縦はあれだったがマニュアル作りに専念した。マニュアルは大事だし後進の為に必須だろう。
「コトミは臨時扱いから正式子爵位および少佐昇進だ」俺
辺境白軍総指揮官としてはまだ階級低いが年若きコトミゆえ回りとの兼ね合いも必要だろう。
「ありがたき幸せ・・ですが子爵は分不相応につき返上したいのですが?」
「駄目だ、コトミ子爵は今後対外交渉の切り札、頼りにしてるんだから」
「たまたま前回は上手く行きましたが我には貴族は向いてません」
向いてないと本人は謙遜するが周囲の評価はすこぶる高い。
「いやいや、アケミ君の話だと見事に演じきったそうな」
「お恥ずかしい、一生懸命演じただけでござる」
「本当は領地をあげたいのだけど・・」
「それだけはご容赦ください。我に領地運営など不可能でござる」
「経営は適任者に任せば良いこと、対外的に子爵領は絶対に必要なんだ」
「は、ご下命とあれば」コトミ
「わたしがサポートするから安心して」アケミ
「あ、姉者・・頼りにしてます」
訓練に時間を要してしまったがようやく上空偵察が出来る。というか普通なら軍隊で正式の訓練を受けたとして最優秀者であっても半年~数年レベルの訓練が必須なのにゴブリンは軍事的に超優秀なのだろう。一週間で実戦配備なんて奇跡に近い。
「これで我がカオスイーターを使い上空偵察ですな」ズメル
「頼む、いまはズメルだけが頼りだ」
「お任せ下され」
指揮タイジ、副指揮ケン、ゴブリン兵2名パイロット。通信兵アケミ、軍事顧問コトミ
合計6名がオスプレイに乗り込みいよいよ初の上空偵察
「グイイイイン・・・」オスプレイは天高く舞い上がる
「おおおおっ主人これはすごいですぞ」ズメルが一番喜んでる
「俺も操縦したかったよ」タイジ
「主人の操縦では命がいくつあってもたりませぬ」ケン
「人の事言えるか。お前だって散々だったじゃないか」俺
「ホムンクルスゆえ上手く動けないだけです」ケン
「言い訳言い訳・・・」俺
「さ、ティルトを動かして水平飛行に移行してくれ」
「はっ」パイロットスーツに身を包んだゴブリン兵超かっこいい
「様になってるなぁ・・かっこよすぎだろ」俺
「我々は選ばれたエリートパイロットですのでそれなりの服装で決めなければ」
「うんうん、あこがれの対象になってくれれば後進も続くだろうしね」
というか元々がイケメン揃いのホブゴブリンパイロット、カッコイイを遙かに越えてもはやアイドル級。
「これは早いですな」ケン
「万能型だからね。こいつは優れものなんだよ」
「まずは南北に通じる街道付近の調査からだ」
「御意」ぐいーんと機首を傾けてまずは王都方面をめざす
「絶対に領域からでてはならないぞ」俺
今他領との摩擦は困る
「は、承知してます」
「北街道の両脇はうっそうとした森しかありませんな」
「うむ、ここを開拓出来たら食糧問題解決するのだが」
「は、街道結界展開のためここらへんは全く手付かずの未開地です」ケン
「ズメル、魔物探知たのむ」
「承った」魔剣ズメルから見えないニョロニョロが大量に発生し四方八方を詮索する
「ほうほう・・なるほどなるほど」
「関心してないでどのくらい魔物がいるのか教えろ」俺
「このめいんもにたーとやらに映像を出します」ズメル
「そんなこと出来るのか?」
「は、ケンに相談して外部もにたーとやらに接続出来る様になりました」
「カオスイーター万能すぎるだろ」
「ブワン」モニター上に各種光点が点滅する
「えっと青い光点は中級魔物、赤が上級魔物ですな」ズメル
「うむ、ざっと見中級は200~300,上級は数える程だな」
「上級魔物は中級魔物をえさにしてるのでしょう」ケン
「初級魔物はいないな?」
「どうやらこの付近のゴブリン級魔物は駆逐されてしまったようですな」
初級魔物と言えばゴブリン、コボルト、スライム、スケルトンクラス
尚ズメルの検索では人間の脅威とならない魔牛、魔馬、魔うさぎ等は検索対象外
魔牛とか魔うさぎ等は初級の冒険者にとってはそこそこ手応えのある相手なんだけどね
全部表示していたら画面が光点だらけになるのでズメルの強さ基準に則り割愛した模様
「弱小魔物は前回の事件で大量発生したオークが刈り尽くした?」
「かもしれん、だが現在全オークは我が村に引っ込んでますぞ」ズメル
「お前の力で草食可能に改良したのだったな」俺
「御意、オークだけでしたら我が管理統括可能でござる」ズメル
オーク界の頂点、オークロードの出現により全オークが影響を受け絶対強者への服従、結果的にタイジの部下となったズメルの命令でオークは人間の脅威から外れ魔物が人間と共存共栄の道を歩み始めたのだ。
「それだよ、それ」俺
「は?」
「魔物の上位種に同族の管理がもし可能なら共存の可能性ないか?」
「し、しかしより凶暴凶悪な上位魔物の出現を許す事になりリスクも生じます」ケン
「召喚してテイマーが管理すれば?」俺
「前代未聞でござる、普通召喚とは敵対勢力を御する為の行為であって・・」ケン
「お前の常識などは聞いてない」俺
「ぐぬぬぬ・・・」ケン
「面白い話だが一体誰がそんな途方もない事が出来るのだ?」ズメル
「いかにも。大魔道士、召喚専門とテイマーですぞ・・不可能です」ケン
「なんでSSS級の魔物を召喚した大魔道士は命がけなんだ?」
「しれたこと。この世にSSS級の大魔道士など存在しない、力が及ばないのに無理して召喚するのならば複数の魔道士の犠牲の下行うしかないのだ」ズメル
「成る程、道理だな。テイマーについては?」
「召喚した魔物は服従スキルが強制付与され一、二段低いテイマーでも使役可能なのだ」
「だがお前は使役されなかった?」
「我をあなどるな、カオスイーターは全ての状態異常を無効化出来る、服従スキルなど強制キャンセルしたまで」
「お、おそろしい魔物なんだなお前」
「何度も言うがなぜ主人に負けてしまったのか・・げせぬのだ」ズメル
「ありがとうな。お前が与してくれたお陰で人類は救われてるよ」
「我は人類がどうなろうと知った事ではない、だが主人から受けた恩義に一生を掛けて報いる気持ちは変わらない。それが人類救助というのならそうなのだろう」ズメル
「話を戻すがSSS級魔道士が存在すれば召喚時の身を滅ぼすリスクはないのか?」
「力関係が五分五分の魔物を召喚するは可能ですが使役となるとテイム能力次第」ケン
「召喚は可能だが果てしない魔力を消耗するぞ。」ズメル
「SSS級以上の大魔道士ってのは可能なのか?」
「最上級を越える最上級など前代未聞。もしいるとすれば勇者を越えた英雄クラスでしょうな。我が知る限りでは存在しませぬ」ケン
「うむ、書籍を全部調べたが古今東西そんな者は存在せぬな」ズメル
「うーん・・」
「主人?なに唸ってるですか」シュウ
「いや、試しに自分自身をスキル鑑定してみたんだよ」
「な、なんと自分自身の鑑定など前代未聞でござるぞ」
「それが出来ちゃったんだよね。長年研究した成果だけどね」
「どのようにして出来たのでござるか」ケン
「鑑定の魔道具をケンのアイテムBOXで勝手に作ってみたんだよ」
「な、なんと我に黙って我のアイテムBOXを盗用したと!」
「人聞き悪いな、借用だよ借用」
「で?」
「ズメルが可能になったアイテムBOXに収納してそこから発動させてみた」
「な、なんと我のアイテムBOXも盗んだと?」怒るズメル
「だから借用だよお前らに被害などでてないだろ?」
「た、確かに・・・ですが人の腹の内を勝手に探るなど・・」
「何言ってるんだ今更、お前のはらわたの中身など全部知ってるって前から言ってるだろ」
「なんかグロな話じみてますな」ケン
「アイテムBOX盗用はいいとして話が途中でござる」ズメル
「でな、自分を鑑定して初めて能力を知れたって訳さ」
「そんなことは出来る筈ないのです・・・ブツブツ」ケン
「言ってること矛盾してないか?お前は俺の能力値把握してると常日頃言ってたな」
「そ、それは最上位魔道具の我の特殊能力ゆえ・・」
「アイテムBOX内でなら全ての物はコピー可能だったよな」
「ですがそれは素材がなければ絵に描いた餅・・・素材名など教えてませぬ」
「全部おまえの蔵書から研究出来た」
「ぐぐぐ・・・なんと」
「所詮は人間が作り出した魔道具だからな、人間を越えるなんてあり得ない」
「しかし、それは初代の主人が英雄級の強者だったからであって・・」
「理屈は知らないがとにかく鑑定魔道具はコピー出来たしズメルを介して客観的に俺の数値を見ることができたんだ。信じようが信じまいが勝手だ」
「で、その能力値が分かったからなんだと言うのだ」ズメル
「ここからが本題なんだよ」
「じれったい」ケン
「お前に習った」俺
「つまり主人の能力はSSS級魔物を召喚し使役するに足りる能力だった?」シュウ
「あ、美味しいところとるなよ」俺
「話の流れからそれ以外有るわけないわな、全員そう思ったよ」ズメル
「と、ともかく俺の魔道士ランクはSSSに+が付いていた」
「ありえませぬ」ケン
「あるんだからしょうがないだろ」俺
「我が魔剣ズメルが+効果を与えてるのでしょうな」ズメル
「なるほど」全員が納得
「内輪だから公開するが魔法SSS+、冒険者S、生産者S、商人SS農業SSSだったHPとMP値はまだまだ伸びしろがあるそうだ」
「ほぼ人外級ですな」シュウ
「魔法についてはケンの蔵書のお陰だ」
「話はわかりましたが一体どんな魔物を召喚するのでござるか?」ケン
「可能な限りの最上位魔物を召喚使役し理想は全魔物との融和だ」
「魔物にも系統がありますのでその最上位魔物を召喚すれば最小限に済みますぞ」
「なるほど、具体的に教えてくれ」
「は、魔物は大きく分けて通常系、アンデット系、デーモン系、ドラゴン系などに分かれてます」
「なるほど、リザードマンを統括するのならドラゴンが必要って事か・・」
「ちなみに有史以来ドラゴンを召喚使役した例はありませぬ」ケン
「デーモン系・・つまりガーコイルなどを統括するには?」
「アークデーモンロード・・・これまた召喚実績はありませぬ」
「通常系は?」
「ミノタウロスかキマイラですな、もちろん召喚実績ありませぬ」
「それとは別に特殊魔物、ゴーレムとかスライムがこれに当たりますがそもそもゴーレムは人為的に召喚された特別魔物なので召喚者以外が使役するのは絶対に不可能にござる」
「スライムは?」
「召喚実績も使役実績もありません。下等魔物すぎて意思など持たないのが原因かと」
「うーんラノベでは史上最強なのはスライムなんだけどなぁ・・なんとかなんないかな」
「なにを言ってるのかわかりませぬ」ケン
「スライムってこの世界での扱いは知らないけど使役できたら結構重宝なんだよなぁ」
「はあ?あのスライムが?」ズメル
「続けますぞ、通常系にも種類がありまして餓狼とか四足歩行系の頂点はフェンリルです当然召喚も使役も例がなくそもそもがこの世に存在してるかも不明です」
「食いしん坊なやつだな!」
「はあ?なんの事やらわかりませぬ」ズメル
「あと魔牛とか魔馬、魔うさぎの頂点はヘビモスでござる当然ですが・・・」
「召喚も使役も前例がないんだろ?」
「は、そもそもヘビモスなどを見たものがいませぬ」
「いや、それは違うぞ、ヘビモスに出会った冒険者は全て死亡するから報告がないだけだ」
「ズメル、それ物騒すぎ」
「事実でござる」ズメル
「ヘビモスに伝わる伝説では出会った者すべてがヘビモスの魔力に引き込まれて逃げられないそうです。出会ったら必ず死しか有りませぬ隠密スキルなど無きに等しく」ケン
「アンデット系は?」
「は、通常はリッチロードが頂点と見なされてますが伝説によるとオーバーロードなる神をも超越してると言われるアンデットの記述がありますな」ケン
「それはさすがにヤバすぎる奴だろ」俺
「ま、神話の世界でしょうな」
「ラノベでは存在してるけどな・・」
「そんなのがいたらこの世界が無事なはずがありませぬ」ケン
「あと、フェンリルとオーバーロードは同じ奴だぞ」
「はあ?ありえませぬ」ケン
「いや、こっちの世界の話」
「ほう、異世界ではそうなんですな・・興味深い」ケン
「とにかく今紹介したのがそれぞれの魔物の頂点でござる」ケン
「実際にであったのはミノタウロスだけか・・」
「とんでもない魔物でしたな」ズメル
「ドラゴンとフェンリルとリッチロードとアークデーモンロードを召喚したいな」俺
「欲張りな・・・まあひとつでも召喚出来たら奇跡として伝説になるでしょうな」ケン
「召喚するだけでは意味が無い使役しないと」
「使役に失敗したらそれこそ人類滅亡ですぞ」ズメル
「ま、それは将来の話、今日のところは実態調査して引き上げよう」
「上空偵察しただけでたいそうなお話になってしまいましたな」ケン
「何言ってるんだよ、これはこれからの方針で進むべき道標だぞ」
「それとスライム召喚と使役は簡単だからすぐに行う」
「それは簡単でしょうが・・何の役にもたちません」ケン
「スライムに上位種はいないのだな?」
「上位種というか個体ごとに環境に順応していきます」
「ああ、食料に応じて変化してくって事だったね」
「え?我はなにも教えてませんが?」
「ま、賢者の知識ってやつだ」
「賢者にたいするランク付けは存在しませぬがあるのならSSSなのですな」
「元いた世界の知識が豊富なだけでSSSかどうかは知らない」
「話戻すけどスライムをアイテムBOXに収納させて勉強させるって可能?」
「生物を収納できる特別アイテムBOXは存在しますが・・スライムに知能はありません」
「それって素質次第だと思うんだよね。もしくは召喚時に知能を割り振れるやも」
「パラメータ操作など前代未聞でござるぞ・・神への冒涜」ケン
「だからさ、ケンのアイテムBOX内で召喚すれば可能なんじゃない?」
「アイテムBOX内での召喚など前代未聞でござる」
「だれもやったことがないだけだろ?」
「主人の発想は無限大ですな」呆れるシュウ
「いや、最下等のスライムでの実験ならやってみる価値ありそうだぞ」ズメル
「む、無理でござる・・BOX内の素材が失われてしまいます」
「耳タコ耳タコ、補充すればいいだけだ」
「主人は神か仏か?普通召喚魔術って大気中の魔素を集めて一見無から有を作る魔法・・ケンの言うとおりアイテムBOXでなど実行したらどれだけ素材を消費するやら」ズメル
「閉ざされた亜空間での召喚なんだからこちらの思い通りに出来ると思うんだ」
「理屈ではそうですが・・・」ケン
「話違うけど生き物を収監出来るアイテムBOXって怖くね?」俺
「ですからこの術は選ばれた者しか使ってはならないのです。」
もし無限大に生物を収納出来る能力などが露見したら権力者に悪用されまくりだろう
「わかった、この件は門外不出、口外した者は即処刑だ、俺も含めてだ」
「はは、」全員がうなずく
「話は違いますが今後偵察して発見した魔物達の動きは全て把握可能です」ズメル
「増減の確認は出来るのか?」
「さすがにマーキングした魔物が減った場合は把握出来ますが増えた分の確認は不可能」
「そりゃそうだ・・つまり定期的に巡回パトロールが必要って事だな」
「は、お任せ下さい、順次ゴブリン兵からパイロット訓練を行います」シュウ
「パイロット育成となると現状のゴブリン兵50では全く足らないな」俺
「は、その件も順次増員を見据えて訓練してます、今しばらくお待ち下さい」
「いや、ザビル村の負担にならない範囲でお願いするよ」俺
「ですが主人の活躍を聞き志願者が絶えなくて増員せざるを得ない状況なんです」シュウ
「まゴブリン兵統括はシュウに任せてるから頼むよ」俺
「実はザビル村タイジ様のお陰で食料事情は解決、新たに鉱物資源採取と水力発魔機による無尽蔵の魔力のお陰で人口が順調に回復してますが土地の規模を考えたらまだまだ全然足りてないのが現状です。こればかりは10年20年の時間が必要でしょう」シュウ
「そりゃそうだ一気に人口などが増えるはずもない・・順調が一番大切なんだよ」俺
「それとは別に狩り尽くされてしまった通常ゴブリンの保護も必要と思うが?」
「は、本来ならホブゴブリンとゴブリンは別種ですがなんとか通常ゴブリンの取り込みをしたく研究を始めたところです。人類の脅威から共存共栄の道を模索します」
「通常ゴブリンを万が一労働力として取り込めれば人手不足解消にも道筋が見えるな」
「は、仰せの通りでございます」シュウ
「これも口外禁止だが」
「は」
「実は先日シュウはサジタリウスの矢を得た事で上位種へと昇格してる」
「な、なんと」シュウ
「世界初のゴブリンロードの誕生だよ・・お前もSSSだ」
「神の矢を得た+補正でござろうな」ケン
「と、なれば通常ゴブリン種の従属化が容易になったのでは」ズメル
「どうやってその能力使えば良いのか分かりませぬ」シュウ
「そのスキルは使うのではなく念じるのだ」ズメル
「なんと、念じれば発動するのですか」シュウ
「たぶん、ゴブリン種に限りお前が最高魔物だろう」ズメル
「正にズメルと同じで上位種族による管理統括の一例だ」俺
「そうですとも、魔物と人類の共存共栄!決して不可能ではない証明です」シュウ
「ぜ、前代未聞で・・・」保守的なケンは認めようとしないが事実は事実
「オークとゴブリン討伐が出来なくなると冒険者は商売あがったりでしょうな」ケン
「そんなことはない優秀な冒険者はこれから幹部扱いで辺境泊軍に招くつもりだ」
「徴用では無く?」ズメル
「うん、全ては自由意志だ領政が潤えば市民は必ず協力してくれると信じてる」俺
「なんと・・・前代未聞な考えでござるな」ケン
「前代未聞前代未聞うるさいよ、他に言う事ないのかよ」
「く・・・前例がないから前代未聞と・・」ケン
「あと農政問題はある程度道筋がついたのでこれからは畜産業開発だ」
「な、なにを言うのですか?そんな事は・・・」ケン
「前代未聞であっても市民への安定した食糧供給のためこれは絶対に行う」俺
「それこそ冒険者の収入の道が閉ざされますぞ」ズメル
「だから転職に関しては門戸を開くと言ってる」俺
「荒くれ者から正規軍へなど転職可能でしょうか?」シュウ
「まあ、最高責任者のコトミ君いやコトミ子爵の腕の見せ所だろうね」俺
「そもそもが冒険者が魔物を狩るから魔物も抵抗するわけで敵対関係が生まれてる」
「た、たしかに・・」ケン
「お互いを認め協力しあえば敵対関係などなくなる」
「畜産化はその一歩ですな」ズメル
「しかし冒険者が失業したら一体だれがダンジョン探索するのでしょう」ケン
「ダンジョンに巣食う魔物は外には決して出て来ない。余計な事するから対立するのだ」
「ぜ、前代未聞でござる・・・しからばどうやって冒険者は鍛錬するのですか?」ケン
「本当にお前は頭固いな!だから軍隊なんだよ。教育も鍛錬も全て統括して行える理想の環境だ、野良の冒険者で一生安定しない収入その日暮らしが理想なのか?」
「そもそもがダンジョンなどはどこかの権力者が自分の利権のために意図的に大魔道士を使って形成させ冒険者育成の大義名分の下実は命を軽んじる偽善行為だ」
「なぜ権力者の利権だと断ずるのでしょう」ケン
「ダンジョン内の魔物討伐で得る利益よりも冒険者達が失う不利益の方が遙かに大きいからだ」俺
「なぜでしょう?」
「ケン自身が体験して見て分からなかったのか?」
「ラスボスが強すぎる」ズメル
「引き返せないというか欲に目が眩んだ冒険者達が最後にラスボスに出会い全てを失う図式なんだよ」俺
「しかし冒険者などは所持品ほとんどありませんぞ」
「ばか、ギルドカードはなんのためだ?」
「ギルドカードは全ての財産を管理してますな」シュウ
「ついでに言うと愛剣に託されたアイテムも主人の死と共に愛剣ごと全て奪われる」
「つまり権力者の狙いは冒険者のギルドカードとアイテムBOX・・・」ケン
「期待を持たせあと一歩と思わせておいて全部狩り取る非人道的行為なのだ」俺
「ゆ、許せない」ズメル
「博打と同じ原理だよ、胴元しか儲からない」俺
「し、しかしダンジョンを無事攻略して高ランク冒険者になる者もいますぞ」ケン
「人寄せパンダかやらせかワイロだろう。一定数の攻略者がいなければ誰も挑戦しない」俺
「パンダというのがなんなのかは存じませんが我らの例は人寄せパンダ?」
「ああ、きっとラムダ殿下の想定内、だから法外的お宝アイテムが出てきたのだ」
「つまり間接的支援?」
「勿論協力に見合う者かの試験だったのは間違いない、殿下もそう言っていた」俺
「世知辛い世の中ですな」ズメル
「まあ、形は違うけど元いた世界も似たようなもんだよ」俺
「とりあえず急ぐのはいんふら整備と畜産業ですな」ケン
「インフラ整備はちょっと時間も費用もかかるなぁ」俺
「スライム召喚からですか・・・気が遠くなりますな」ズメル
「人ごとみたいに言うなよ。お前が我が手にある限り魔力は使わせてもらう」
「ぎょ、人の魔力を勝手に・・・」ズメル
「互い様だろ?お陰でお前はケンのアイテムBOXにアクセスし放題なんだから」
「む、それはそうですが」ズメル
「それに俺の考えではスライムとゴーレムは使い方次第で無限の可能性を秘めてるぞ」
「ほう・・なにか具体策でもあるのですか?」
「ゴーレムは力仕事に適してる。無限の労働力だろ?」
「お戯れを・・いくら主人がSSS大魔道士であつても使役できるゴーレムなどは数体が良いところ。とても人夫などに使えませぬ」ケン
「だからぁさっきから同じ事言わすなよ」俺
「はあ?どこに何度も言う部分ござるのか皆目見当つきませぬ」ケン
「少しは考えろよ。お前のアイテムBOX内で召喚するゴーレムだぞ」
「はあ?それで?」
「パラメータをいじれると言ったよな」
「可能性は認めますが実践したわけでは無く」
「独自性を持たせたゴーレムを恒久召喚しケンのコピー能力をつかい無限増殖させる」
「ば、ばかな・・・そんな事は絵に描いた餅でござる」
「やってみなければ分からないだろ。それにゴーレムの素材ってなんだ?」
「あらゆる素材で召喚可能ですがほとんどの場合は土くれですな」
「土くれなどはこの世界に無尽蔵だぞ」
「ぐ・・確かに備蓄に影響はしませんな」
「どうだ!備蓄備蓄うるさいケンでも恐れ入るだろ」
「お、恐れ入りました」ケン
「スライムの有用性とは?」シュウ
「うん、我が領都人口は順調に増えてるがまだまだ衛生管理状態が不十分」
「と言いますと?」
「平たく言えば上下水道の完備だよ」
「上下水道でござるか?」ケン
「トイレどうしてる」
「はあ、普通は通称オマルに用を足して窓から捨ててますな」
「とんでもない不衛生さだ俺のいた世界では遙か昔に廃止された前世の異物だ」
「し、しかしそれがこの世界では常識で・・」
「不衛生は疫病を蔓延させ住民の寿命を縮める致命的欠陥だ」
「しかし前代未聞で・・」
「とにかくこれから領都は下水道を完備させるこれは決定事項だ」
「し、しかし労力と財源は?」
「今までほとんどが私利私欲のために消し飛んでいた税金を充てる」
「そのための粛清でしたか」ズメル
「財源の確保は政治の初手だ。」俺
「不当に課せられていた通行税は全て廃止し関わった門兵全てを罰した」俺
「コトミ子爵の尽力ですな」シュウ
「今までは生活のためやむなしと黙認されてきたが今後は一切認めないし違反者は厳しく罰する。同じに不当に安かった賃金の適正化も図ったので多くの門兵は救われた筈」
「飴と鞭ですな」
「徴収した税金の適正化だ」俺
「予算は確保できたと」ケン
「いや、実際従来の工法では技術も予算も全然足りない。近代化導入が不可欠なんだ」
「土木工事にゴーレム投入が不可欠と?」ケン
「お、珍しく先読み出来たなえらいぞ」
「ばかにして・・」怒るケン
「あとアイテムBOX内で土管を大量に作る」
「無限コピーと無限土くれ戦法ですな」
「ご名答、でもいくらなんでもケンだけの能力では足りないから工場を建設する」
「ヤルダートの貧民・・・」シュウ
「正解、工場はヤルダートに建設して雇用の確保と技術者育成だ」
「全てが繋がってますな・・」ケン
「政治ってそんなもんだろ?」
「ぜ、前代未聞です」ケン
「ついでに鉱山開発も兼ねて山脈にトンネルを掘りヤルダート交易を容易にする」
「一体どこにそのお金が?」ケン
「土くれは掘り起こせさえすればアイテムBOXに収納可能なんだよな?」
「なるほど、ゴーレムと土管を作りつつトンネル工事・・」ケン
「勿論掘削技術をこれから開発しないと効率的に出来ないけどな」俺
「国境樹立ですな」ズメル
「うん、いままで通行不可能だったヤルダートへの道を通す」
「で、スライムはどのように活用するのでしょう」
「あ、話が脱線したけどスライムの活用法だったね」
「主人の話だと上下水道完備まではわかりました」ケン
「排出される下水をそのまま川にながしたらあっという間に公害発生だ」
「そりゃ汚物がそのまま川に流れたら大変なことでしょうな」ズメル
「なので浄化槽を作る」
「いつぞやの水循環システムとやらですな」ケン
「ま応用だね、循環はさせないけどスライムを使って汚物を食べて貰い水質改善を行う」
「スライムに汚物を食べさせる?ぜ、前代未聞ですぞ」ケン
「だから、パラメータいじるんだよ」
「な、成る程汚物処理に特化させたスライム・・」ケン
「水質改善以外にもいろいろ応用出来そうだからこれから研究する」
「しかし、途方もない数が必要ですぞ」ズメル
「スライムの素材はなんだ?」俺
「は、ほとんど水が主成分、魔水草の反応で自然発生します」
「いや水草だけでは発生しないはず」俺
「は、大気中の水分に含まれる魔素を媒体に雨期に大量発生します」
「つまり大気中の魔素が雨期に水分と交わり濃度が増してスライム大量発生の元になる」
「御意」
「スライムの危険性は?」
「は、酸を相手に浴びせて溶かし養分を吸収して糧としてるようです。尚人体に浴びても衣服が溶ける程度で損傷は与えません」
「酸攻撃は魔法の一種だろうな」
「小動物程度しか狩ることは出来ませんのでほとんど人畜無害ですな」ケン
「と言うことで使役魔物として実に適性がある」俺
「下水道とか水質改善とかの概念がなければ発想出来ない事ですな」ケン
「使役してスライムに食料を供給するのだから立派な共存共栄だ」
「しかも人為的に操作できるスライムならなお安全、これはいけますぞ」ズメル
「あと副産物でスライムの酸は洗浄液として今後期待出来る」俺
「はあ?衣服をとかす酸が洗浄液ですか?」
「濃度を薄くすれば多分万能洗浄液として実用可能とみる」
「パラメータを操作し酸抽出専用スライムですな」ケン
偵察を終えて帰投したタイジ達はそのまま館に戻り昼食会議
「最近コトミ子爵に会ってないなぁ・・」タイジ
「子爵はご多忙の身故しかたありませぬ」セバス
「仲間内でワイワイやってころが懐かしいなぁ」タイジ
「たしか主人の剣技を見極めるまでが任期だったはずなのに」ケン
「しかたないよ彼女は最早里忍軍の長であり子爵であり最高軍事司令だもん」
「いつの間にか虎の威を借りて大出世ですな」ケン
「なんか悪意でもあるのか?そんなに気に入らない?」
「我がブツブツ言うのはクセですコトミ殿を嫌ってる訳ではありませぬ」ケン
「我との会話ではコトミ殿はよくやってると褒めてましたぞ」ズメル
「こらこらそんな事をばらすでない増長するだけだ」ケン
「ふーん、内心では結構認めてるんだ・・」俺
「実際問題我らがダンジョンを彷徨ってる時のコトミ軍団の活躍は天晴れでした」シュウ
「うん、ちゃんと名代務めて各貴族達の不正を徹底的に暴いてくれた功績は絶大だよ」
「それに本来ならコトミ君は子爵、ケンとズメルも立場をわきまえるべきだぞ」
「主人が言うのであればこれからは子爵様と呼びます」ケン、ズメル
「まあ仲間内だからそこまでかしこまることはないだろうし本人も戸惑うだろうが」
「は、コトミ様は未だに子爵様と呼ばれるのを嫌がってますな」セバス
「ともかく多忙のコトミ君とはしばらく一緒に仕事出来ないけど我らは我らの仕事を推し進めよう」俺
「御意、で?」
「急で申し訳ないのだけど召喚実験用のラボが必要だと思うんだ」
「ラボ?」
「専用の研究室と専門研究機関を創設したい」
「なるほど、・・・確かにハイリスクな研究ですからな同意いたします」ケン
「領都内でいきなり化け物が暴れ出したら大変だからな」俺
「ヤバイ事だと認識はあるんですな」ズメル
「ヤバイに決まってるだろ。万が一ドラゴン召喚して言う事聞かなかったら人類滅亡だぞ」
「主人にそこまでの自覚があるのなら大丈夫でしょう」
「だから、最初の召喚実験はスライムとゴーレムだって言ってるんだよ」俺
「と言う事は領都内ではなく郊外に研究室もうけるのですな」ケン
「ヤルダート山脈内はどうだろう」俺
「なるほど」
「ザビル村に宿舎を建ててそこから移動魔法をつかい山脈の奥深くに研究所を建設したい」
「ザビル村での兵訓練と農業、採掘全てを監修するのですな」シュウ
「ホブゴブリンだけの村では無くなるし多分村から都市へと発展することだろう」俺
「村の発展は望むところですし四方を山で囲まれてる盆地ゆえ敵の目をかわせましょう」
「うん、立地条件が素晴らしすぎる」俺
「史上初めての魔物と人類共生域の誕生ですな・・凄い事ですぞ」ズメル
「是非オーク達にも協力して欲しい人手がいくらあっても足りないんだ」俺
「勿論です。人魔共生の試金石として村の発展は最重要となるでしょう」ズメル
「これを機にシュウにはザビル村の最高責任者になってもらう」タイジ
「は、ありがたき幸せなんとしても任務遂行し成功させてみせます」シュウ
「と言うわけでシュウも領地持ちの子爵だ」
「な、なんと・・・もったいのうございます」平伏すシュウ
「いや、コトミ様が子爵ならシュウ様も子爵は当然でござろう」ズメル
「申し訳ない、今の俺の辺境泊という地位では子爵以上を任命出来ない」タイジ
「これ以上は無い有り難き幸せでございます」シュウ
「本来ならオークを束ねるズメルにも子爵になってもらいたいのだが・・」
「あはは、我は魔剣ですぞ魔剣の貴族など聞いたことがありませぬ」ズメル
「いや、ホムンクルス化すれば充分可能だと思う」俺
「擬人化は今しばらくお待ちを。我をおとしめた黒幕に存在を知られたくないのです」
「うん、解決後にはズメルもお貴族様だな」
「オークの貴族など前代未聞・・・」ケン
「何言ってるんだ、俺の推し進める人魔共生策、人事に差別など絶対にしないからな。それに本来ならオークロードと言えば「魔王級」、子爵では全然足りない地位だ」俺
「おおせのままに」ケン珍しく文句言わなかった
「では各人早速行動に移ってくれ」
ははっ」




