就任パーティで無礼講
「主人、よくぞご無事で」コトミ
「うん、心配掛けたけど無事戻ってこれたよ」
コトミはごく自然にタイジに抱きつきタイジも自然に抱きしめてる
たった二週間会えなかっただけなのに互いに寂しかった事を隠そうともしてない。
周囲もそれを咎めようともしてない。特にいつもなら小言をいうケンですら生暖かい目で二人を見ている
「・・・・いろいろと報告がござります」コトミ
「うん、報告書はあらかた読んだ、大成果だったようだね」
「ですが、主人の指示を受ける前にタランを討ってしまいました」
「いや、君たちがそう判断したのなら仕方が無い全権大使なんだからね」
「は、余りにもの暴挙につき見逃せませんでした」コトミ
「話せば長くなるがタランはタランなりに事情があったみたいだ」
「なんと・・・」
「ほとんどは私利私欲の為だろうがヤルダート市民を救っていたのも事実」
「詳細をおしえてください」アケミ
「うむ、いまこちらの報告書も作成中だ2~3日まってくれ」
「御意、その上でこちらの資料とつきあわせれば全てが判明しますな」コトミ
「うむ、その作業と報告はアケミ君に任せた」
「御意」
「で、精査のあと資料を元に今後の方針を決める」
「いよいよ血湧き肉躍る粛清ですな」なぜか目が輝くコトミ
「それはそうなんだけど・・・コトミ君相手は獲物じゃないんだからその目やめて」
「悪党共を成敗する好機。なんて胸躍る事でしょう。我慢出来ませぬ」コトミ
「ともかく物事には証拠と大義名分が絶対必要、陛下を含めて入念な根回しが必要なんだ」
「は、有無を言わせぬ証拠ですな」アケミ
「今回ばかりは政務官チャベスとすでに処刑済みの副政務官タラン、更に悪に加担した一味全て。動かぬ証拠が判明した者は残念ながら粛清するしかない」俺
「報告書に上がってきた75名全て処刑ですな」ケン
「75名は処刑、その下につく従者達は量刑に応じて平民落ちか奴隷落ちか追放処分だ」
「奴隷制度はなくすご予定なのでは?」シュウ
「それは我が最高権力者にならねば出来ぬ事」俺
「今回ばかりは慈悲はないのですな」念を押すケン
「仕方が無い・・取り返しがつかない所まで行ってしまった輩達、ワイロや不正だけでなく私刑や陵辱の限りを尽くした者達、もはや救いの道はない」
「しかし、なぜ就任の場での断罪なのでしょう」
「勿論内外へ悪は許さぬという意思表明だ」
「なるほど・・王の名代の前での公開処刑と」
「ふふ、根回しの上での公開処刑だ。大義名分だよ」
「開き直った輩の反撃はありませぬか?」シュウ
「遅れをとるような我々ではなかろう」俺
「いかにも・・・逆に抜いてくれればますますこちらの利ですな」ケン
「我は勝てる戦しかしない」俺
「主人、そろそろ自称は我ではなく余が相応しいと思いますぞ」ケン
「面倒だが対外的に必要ならそうする」
☆
半月後後満を持しての就任パーティの日
辺境泊邸の車寄せに豪華絢爛の馬車が並ぶ、一際豪奢なのはオウカー王国名代アセルの馬車、不正に蓄えた財を見せびらかしたいのだろう。さすがお貴族様
「ようこそアセル様お待ちしてました」
「苦しゅうないぞ、余は陛下の名代なんなりと申しつけるがよい」
「ははっ」かしずくタイジ
「アセル様こちらにどうぞ」
執事セバスがアセルをこの日のために改築した特別応接室に案内する
「皆様は式典の準備が整うまでどうか大広間でご歓談下さい。」
「おおっ」来賓者はバイキング式で用意された豪華料理に目を輝かす
「最後の晩餐だな」ケンとズメルが思念通信でほくそ笑んでる
「さて」応接室に入ったアセルが真顔になる
「こちらが不正資料と今回の粛清者一覧表でございます」
「うむ、すでに陛下より全てを承ってる・・しかしこれほど腐りきっていたとは」
「多分に陛下への献上の為でもございましょう」
「とんでもない、陛下に献上されたのは一割以下じゃ、これは逆臣行為そのもの断じて容認出来ぬ。辺境泊からの進言陛下は大いに感謝してるぞ」
「誠に恐れ多きこと」
「其方が利権を掌握すれば間違いなく献上金が増えるのじゃな?」
「は、当然でございます」
「うむ、大義である、ならば此度の粛清陛下の名の下許可する、これが勅書じゃ」
渡された勅書まごうことなき王家の紋章入り蝋印
「ははっ恐れ多きこと」にんまりタイジこれで大義名分が出来た
タイミングを見てセバスがなにやら包みをタイジに渡し確認後タイジはその包みを開き中身を取り出した後アセルに渡す30cm四方で高さ10cmお菓子にしては大きめ。言わずと知れた中身は黄金色のアレ。大商いとか貴族間でしか流通しない大金貨、1枚で通常金貨の10枚相当、それが100枚は入ってる日本円で換算すると2千万円位。両手で持たなければ支えられないズッシリ感・・・そちも悪よのう
「この菓子折は?」知ってるくせに問いただすアセル
「遠くはるばる起こし頂けた全権大使様の足代でございます。どうかお納め下さい」
「ふふふ、わかってるようじゃな、大義であった」
名代で親書を渡すだけの仕事でこの稼ぎ。「これも役得じゃ」とほくそえむアセル
複数の従者を従え王都からの路銀は自腹だが費やした経費を差し引いても大黒字。タマランチな訳だ。まあ王としても只で使役してるのは余録取り放題と黙認してるからでもある
「お前も最後は首塚のエサだけどな」タイジは脳内でつぶやく
「さて、要件は済みましたパーティを始めまする」
「ふふふふ、血の宴のはじまりじゃな」
正にブラッディーカーニバル「血祭り」w
他人事然のアセル、お前も同じ穴の狢だけどな
☆
「本日は多忙にも関わらず余の就任パーティにおこしいただき感謝の念に堪えぬ」
いよいよ新辺境泊のスピーチが始まった
「若きタイジ辺境泊様へお仕えできる幸せで一杯でございます」一同かしずき挨拶
「本日の就任パーティの正当性を承認するため遠く王都よりアセル侯爵を名代としてお招きした」
「パチパチパチ」万雷の拍手
「さて、本日は無礼講じゃ、ゆるりと歓談されるがよい。ささやかながら酒と料理を用意した」
「大変なご馳走ありがとうございます」
社交辞令が始まり慣例に従い皆が皆挨拶回りを始める、楽団が優雅なメロディを奏でだす
「辺境泊さまご機嫌うるわしゅう」まず初めに序列通りにチャベスがタイジに挨拶
「うむ、苦しゅうない、今日は無礼講じゃ遠慮無くすごすがいいぞ」
「はは、ありがたき幸せ・・お近づきの印ですが」チャベスの側近がつつつと近づき菓子折を手渡す
「うむ、大義であった」にこりとタイジが返す
「ときに副政務官の姿がみえませぬな」チャベスがいぶしがる
「まあ、今日のパーティは強制では無いからな、都合が悪かったのだろう」タイジ
「いくら強制ではないと言え他の者は全員出席してるのに無礼ですな」チャベス
「いやいくらなんでもお墓から出てこれないよ」とタイジは思ったが黙っておく
わらわらわら・・次から次へと序列順に貴族ども達がこべつへつらう・・うんざりだ
新任辺境泊になんとかして取り入りたい一心なのだろう・・次から次へと菓子折の山。
申し合わせてるかのごとく菓子折の中身は序列に従い出しゃばらない配慮がされてる。出る杭は打たれるのだろう。出席者からのワイロ合計金額は日本円換算で億を超えたが、ありがたい事だ民の為に大事に使わせてもらうよ
「さて、頃合いか・・」一通り挨拶回りが終了したところでタイジは再び壇上に上がる
「一体何事?・・なにか美味しいことが起きるのか」出席者はお酒もまわって上機嫌
「宴もたけなわだが、ここらで皆に報告がある、手元に資料配付するから見て欲しい」
全員に資料がわたされる。みな「キョトン」
ペラペラと資料をめくると見る見る青ざめだす「こ、これは?」
「言ったはずじゃ、今日は無礼講と。なので余も無礼を行う」
「ここに処刑者一覧とありますが?」チャベス
「見ての通りじゃ、お前も含めて断首を言い渡す資料だよ」
「ばばばばかな・・・なんの証拠があって・・」
「資料に全て記述されてるが?」
「こ、これは全て偽りの数字でございます、でっちあげです」
「たわけ、コトミ全権大使がただ漠然とお使いしたと本気で思っていたのか?」
「・・・ま、まさか」
「お前が全権大使を接待漬けにしていた隙に別働隊が証拠をすべて差し押さえていたのだ」
「そ・・・そんな」
「特にチャベス、お前は分を超えすぎた不正の数々と私刑と陵辱の限り、どれだけの民を苦しめたのか、被害者全ての名が証拠としてあがってる。観念せい」
「そ、それは政務官としての使命でございます全ては王命の下」
「だまれ、チャベス!!陛下はお怒りじゃ其方は死罪とな」アセル
「バン」アセルは王印付きの親書を両手で開き白日の下に晒す。紛れもない詔書、臣下であるなら何人たりともこれに逆らえない。チャベスお前はすでに死んでいる
「お、おのれ散々利用しておきながら・・」
「この場にいる者全て処刑対象だ、罪を認め神妙に縛につくがよい、されば慈悲をもって罪一等を免じ張り裂き刑から断首に減ずる事を約束する」タイジ
この異世界で張り裂き刑は最大の刑、普通高貴な身分の者に適用されることはない
「ぶ、無礼な・・・張り裂き刑などはいやしき身分の刑」
「だから無礼講って言ってる、お前達は一線を越えすぎてしまてる。断じて許さん」
「お、おのれ・・・もはやこれまで。辺境泊などを語るガキなど道連れだ!」マジ悪代官
チャベスが目にもとまらぬ早さで懐刀を抜きタイジめがけて突進する。
通常このような正式の催しで帯刀は厳禁で入場時に預ける決まりだが懐刀(ナイフ程度)の所持は許されるケースが多い
「おおおおお」他の者達も呼応して暴れ出すこうなったら貴族もへったくれもない自分が生き残るために躊躇などしてられないのだろう。正に思うつぼ
だがチャベスの短剣はタイジに届かない。ステルスズメルの伸びる剣が突っ込んでくるチャベスの心臓を一突きにしたからだ・・・「ぎゃ」チャベスは小さく唸ったが即死
「苦痛を与えずに処刑したは主人の慈悲である」
ズメルがつぶやくがすでに絶命したチャベスには届かない
一方暴れる暴徒達だがたちどころにその場にいた執事、メイド、給仕に取り押さえられる
訓練通りに身を隠したセバス以外は全員派遣された里の忍者、なんの訓練もしていない貴族や側近ども達などひとたまりも無い
「ズババババ・・・・」
メイドに扮していたコトミ、容赦なく魔剣シュバルツが吠える勿論峰打ちだが
「なるほど両刃のロングソードで峰打ちするときは剣を横向きにするんだ」変なところで感心するタイジ
なんとコトミ一人で20人以上をぶっ倒してしまった。圧巻圧倒
「本当はそのまま断首したい所だが段取り上仕方が無い、峰打ちじゃ」
面倒だが形式上であっても「処刑」の形を取らないと王命に背くので仕方が無い
残りの暴漢達も里の忍軍の前では赤子同然、次々と峰打ちを食らい昏倒、捕縛されていく
コトミを入れて10人程の手勢だったのに70人以上の暴徒をあっけなく制圧
「神妙にせい!」
「お、おのれ・・・」抵抗空しく全員お縄。時間にして2~3分こいつら軟弱すぎ。
「全員素直に縛についたので約束通り罪一等をゆるし断首とする」コトミ
全然素直じゃないけどコトミにしてみたら遊戯に等しかったのだろう
「お、おのれ無理矢理押さえつけておいて・・・」顔ボコボコのくせに吠える
「主人の慈悲に気がつかぬのか!張り裂き刑でも構わぬのだぞ」コトミ
「ど、どうか話を聞いて下さい・・我らは一家をささえなければならないのです」
「私利私欲の悪行三昧、おのれらは度を超えすぎたのだ」ズメル
「ひ、ひえ・・どうか命だけは」
「安心しろ、辺境泊の慈悲により本来なら一家すべて断罪処分となる所だが今回だけは本人以外の罪は問わぬ。もちろん貴族としての特権と私財は没収するが助命だけは確約する」コトミ
「家族が路頭に迷うのはお許しを、せめて生活資金だけでも・・」
「黙れ、其方達が罪も無い民達に行ってきた所業、知らぬとは言わせぬ」アケミ
「これ以上の問答は無用、成敗!」タイジが命令
両脇を押さえつけられて身動きとれない状態で罪人の首が前方に出される
「ひ・・おお助けを・・」
咎人の前に首受け用の桶が用意され端から順に首が落とされていく処刑するはケン
ケンの光速剣は討たれる者に苦痛を与えぬ剣、せめてものタイジの慈悲なのだが
「・・うっ」ものの数分でリストにあるチャベスを含め75名全て打ち首
宴の場から一転処刑場と化した大広間、生き残ってる来賓はアセルのみ
「ううううう、これほどの惨劇とは・・・」楽しみにしていた公開処刑なのに余りにもの凄惨な光景に恐怖に引きつるしかないアセル
「アセル様これで我が領に巣くう者達は一掃しました。これより陛下の為万民のため一層精進致したく」平然と血の海の中かしずくタイジ
「ひひひぃいいい・・・恐怖にひきつるアセル」
「アセル様?」
「う、うむ其方の使命しかと承った、今日は大義であった」
「ははっ」
アセルは心から震撼した「こいつは化け物・・・とんでもない奴だ」と
大粛清を終えた翌日アセルは王都への岐路につく見送るタイジ
「あ、あの」
「は、アセル様どうか道中お気を付けてお帰り下さい」
「い、いやそうではない、別の相談があるのじゃ」
「はあ?何用でございましょう」
「ど、どうか余の首だけは助けてほしい、いや助けてください」
「一体なにを仰るのか分かりません」
「其方の裏組織に調べさせて構わぬ、余は処刑された者共とは違うって事を」
「は、すでに存じ上げてます」
「ぞ~」底知れぬ恐怖を感じるアセル
「で、タイジ様・・・ご相談が」
「侯爵様が辺境泊ごときに様付けはよくありませぬ」
「い、いやこれは余の・・・いや私の私見です。タイジ様・・・どうかお助けを」
「存命がお望みなのでしたら方法はございます」
「なんでも致します。靴を舐めろと言われば舐めます・・」
なんと誇り高きアセル侯爵が本当に馬車から飛び降りてタイジの前で跪き靴を舐めようとする
これにはタイジ、その他側近もビックリ
「おやめ下さい」
「助けてください」なんと今度はタイジにしがみつき始める
「アセル様それ以上タイジ様に近づくと首を跳ねますぞ」コトミが恫喝
「ひ、ひえぇ」あわてて飛び退くアセル、涙目で命乞い
「私の調べではアセル様は処刑対象ではありません、どうかご安心を」
本当は充分処刑対象なのだが一応この場はそういう事にしておく
「な、なんでもします。間者でもなんでも致します」アセル
今回の粛清での資料を見ているアセルには自分の罪が痛いほど分かってる
侯爵の身分を傘にどれほどの悪行三昧をしてきたか・・・
「わかりました、今後は内通者としてご協力下さい」
「へへっ」頭を地面に擦り付けて土下座するアセル侯爵
「分かってるとは思いますが・・・」
「は、存じてます裏切り防止魔法でございますな。」アセル
いや、本当は自分より身分が上の侯爵に裏切り防止魔法など使えないが使える事にしておく
「それと公の場では威厳を保ち決して私を上に見ないで頂きたい」
「ははっ」焼き土下座かっw地面に額をこすりつけて命乞いのアセル
「ですから、それをやめてくださいと」
とタイジが言うとコトミが剣に手を掛けて脅かす。先ほどなどはアセルが引くのが遅かったら本当に断首したに違いない、剣素人のアセルであってもコトミから吹き出す殺気は決して脅しだけでは無いと充分に伝わってる。
「ひ、ひえええ、わ、わかりました・・・いえわかった、よきにはからえ」
「ご協力に感謝したしますそれとこれ」
「は?」
「さっき渡した手付金では運動費用として不足、追加です」菓子折を渡そうとする
「と、とんでもありません、これからは定期的に献上金奉納したく」
「言葉!」
「う、うむ、辺境泊の働き見事、よって報奨金を定期的に給付するものとする」
「は、ありがたき幸せ」タイジ
タイジは苦労せずして内部協力者とスポンサーを得てしまった、これは想定外
一体アセルは自分の首にどれくらいの値を付ける事やら・・今後が楽しみだ
涙目でタイジと約束をしたアセル侯爵は一礼の後岐路についた。馬車から身を乗り出しアセルは見えなくなるまで手を振り続けていた。侯爵のする事とは思えないが必死なのだ。
「主人はそこまで見越しの粛清だったのか?すごすぎる」ズメル
今回の茶番に関心するズメル
「まさか、こんな展開になるとは思ってもなかったさ」俺
「ですがこれで王家打倒の足がかりを得たのは事実ですぞ」ケン
「今は思念通信だけにしてくれ」
「当たり前です」ケン
「まずはヤルダートとの闇国交樹立が先だ。今は富国強兵が急務」
「御意」
「それにしても主人の慈悲ときたら」コトミ
「なにいってるんだよ大粛清したばかりだぞ」
「処刑したのはチャベス以下極悪人5名だけであとは幻影魔法でアセルに処刑したと
みせかけてますな」ケン
「うむ、実は俺のチャーム魔法が上達して、助命した者全てに永久洗脳が可能になった」
「つまり今後は手駒として重用すると?」
「うむ、私腹を肥やした不逞の輩ではあるが今後一生を掛けて償ってもらう」
「主人のやることに文句はつけませぬが・・・甘過ぎでござる」ケン
「いや、今の辺境白領に人材は一番の宝、実利だよ」
「そういうことにしておきますか」ケン
「情けは人のためならずさ」俺
王命で処刑対象だった者共故にそのままの地位という訳にはいかないバレたらこっちが反逆罪となるから。なのでチャーム魔法にて助命した者共全ての記憶を操作し今後は平民としてタイジ達のサポートをしてもらう予定。勿論成績優秀者には処遇改善もあるだろう。
都合良くというかヤルダート支援の役人が極端に不足してるのでそちらに派遣する予定
勿論残された家族には「処刑」したと伝えるしお家取り潰しは断行する。貴族社会に生きてきた者には王命が全て。助命されただけで有り難いことだと感謝されるはずだ。
没収した私財はすべて富国強兵のためにありがたく使わさせてもらうが、ケンに返さなければならない借金とんでもない額になってる。
「なあケンさんよ、身内なんだから少し手加減してくれよ」何時も金に苦労するタイジ
「馬鹿を言ってはなりません、これは初めから主人との約束でござる、一銭たりとも負かりませぬ。と言うか倍返しの約束だったのを金利5割にしたのは我の慈悲ですぞ」
「そこら辺の高利貸しよりあくどいぞ」俺
「将来への投資とお考え下さい」ケン
「酷すぎる仕打ちだ・・」
「普段我がいくら忠告しても耳タコと聞く耳もたぬからこうなるのです」ケン
「全ては民のためなのに・・・」タイジ
「民のためで無かったら粛清した輩と同じ我が剣のエサです」ケン
「おーこわ・・」
「悲観するばかりではありませぬ、実はヤルダート経営すでに成果があがりつつありますぞ」アケミ
「ほう、わずか半月で成果か」タイジ
「は、タイジ様から頂いた品種改良のサツマイモが収穫され民達の食糧難が一気に解決されました。更に工業化による経済効果が見られはじめてます」




