町での暮らし
さてさてどうやって生活をなりたたせるのか
「昨日のクエストできました」
「え、まさか・・・今まで何十人もの職人がさじをなげてたのにですか?」
「あ、今日は設計図だけです、許可されたら製造と販売は私が行います」
「なるほど、今回は案だけの提出ですね、拝見させていただきます少々お待ちください」
待つこと小一時間
「お待たせしました、是非ギルド長がお話したいとのことでこちらにどうぞ」
「ほら、案の定」ケンが思念を飛ばす
「よかったよケンの言うとおりにして」俺
「タイジさんはじめましてギルド長のヨームと申します。このたびはとんでもない
クエスト応じて頂きありがとうございました。で設計図を検討させて頂いたのですが・・・」
「はい、承知してます。お宅では製造不可能なんですよね」
「いえ、決して作れないという訳では無く、とても予算内では無理との結論なんです」ヨーム
「でしょうね、なので今回は私がこの装置の製作と販売を行いたいのです」
「ですが・・・とても一般市民が購入出来るとは思えません」
「ヨームさんとしてはこれおいくらで販売出来るとお考えですか?」
「私の経験から申し上げますと材料費と製作に30枚・・販売だと最低50枚ですね」
「金貨5枚でギルドに卸して販売価格金貨10枚なら売れますか?」俺
「ば、馬鹿な・・そんな値段なら飛ぶように売れてさらに他の町でも必ず普及するでしょう」
「それでは近日中にギルドにまず10程卸します、後は随時追加生産いたしましょう」
「分かりました、契約書を交わしましょう、そうすれば準備金とクエストの報奨金お渡し出来ます」
「ありがとうございます、実は最初の資金繰りどうするかなやんでいました」これはケンの入知恵
今後のためにもギルドにわざと借りを作っとけば仕事がしやすいだろうとの助言。
「はははは、そのためのギルドであり組織です資金繰りもなんなりとご相談ください」
「たすかります!今後もよろしくお願いします」
※貸付金制度・・融資金に応じて返済期間は異なるが概ね2~5年以内の分割返済
利子は超格安例えば金貨10枚借りると利子は2年だと銀貨4枚5年だと金貨一枚
なお資金繰りに困った場合は延長制度もあるが万一踏み倒したらカードが失効し
いかなる国や町への入出が不可能になる町に居れば投獄されるし外なら無宿人になる
平たく言えば低金利でお金を貸す事でその町に縛ろうという魂胆。
俺は汲み上げポンプ製作の初期費用金貨50枚(10個分)を2年間の期限で貸付けを受けた
ケンの能力ならば一瞬で製作可能だがあえて一月後に試作品を見せる契約を結んだ
返済計画は毎月金貨2枚x24ヶ月で48枚、最終月に残りの金貨2枚と利子2枚をまとめて
支払う計画。勿論売れ行き好調ならば前倒し返済や追加融資も可能とした。
又商業ギルドからお仲間販売ということで各種素材等必要ならば格安で販売してもらえる
約束もとりつけた・・ま今回はケンのアイテムボックス内の資源をつかう予定だが
いざと言うときになにかと便利だろう。
商売は信用と実績が物を言う。急いては事をし損じる。
「設計図通りに物が完成出来たらこれは革命的かと存じます。期待してます」ヨーム
「あと今回はギルドに卸す契約なので不要ですが店舗での販売となると商人ギルドへの加入が
必須となりますので加入しておいた方がなにかと便利かと」ヨーム
「ですがギルドの入会の度に入会金銀貨5枚はちょっと無理です」俺
「ああ、ご心配なく3つ目加入以降入会金は免除されます年会費銀貨2枚だけですから」
「なるほど、すると複数のギルドに加入されてる方も多いのですね」
「ほとんどの住民は成人すると何らかのギルドに複数加入してます」ギルドマスター
「ただし身分証明書代わりになるギルドカードは大事にしてください。万一紛失すると
再発行手数料は金貨10枚ですから。」
「なるほど故意に再発行して悪巧みとかが出来ないシステムなんですね」
「ですから大抵の冒険者様は手持ちの魔剣に管理させてます」
「何から何までアドバイスありがとうございます」俺はぺこりと頭をさげて礼を言った
「礼を言うのはこちらでございます。数十年に渡り不可能だった案件を解決出来そうですから」
「あの、クエストにはありませんでしたが、農作関連のアイデアは必要ありませんか?」ケンが勝手に声色つかう
「おお、勿論農耕関連の発明ならば喉から手が出るほどありがたいです」ヨーム
「ではポンプ納入時にまたご相談いたします」俺
「ケン、あんなこと言って大丈夫なのか?」
「あれ、あるじがなにやら農業改革したいと言ってたはずですが?」
「そうだけど。いっぺんになんでも開発したら怪しまれない?」
「ですがポンプぐらいでは大して儲かりませんぞ」
「そうだね、せいぜい年間で金貨50枚も儲かれば御の字だね」
「そんな端た金では館などもてませぬ」
「ちょっちょっまって、別に館なんて買うつもりないから」
「なにをいいまするか、男子たる本懐は一国一城のあるじですぞ」
「また、でかいこと言って・・・」
「あるじなら可能です、我がみこんだあるじ故」
「かいかぶりすぎだよ」
「ともかく現状の農業について調査しなければ何を開発するべきかもわからないね」
「御意、それでは明日、冒険者クエストをこなしながら農地視察も行いましょう」
「薬草採取以外になにかGランクでのクエストあるかな?」
「害虫駆除とか小動物の狩猟とかなら常時クエストされてますぞ」ケン
「では明日は小動物の狩りやってみるよ。手助け無く自分の腕を試したいし」
「ほう、我の助けなしで剣を振るえると?」
「昔、高校で一応剣道部の補欠の補欠wだった事あるから剣を振る位は出来ると思う」
「わかりました。楽しみですな」
翌日、今日は先日の反対側の西門から外に出てみた
「ケン、こっちはすぐ近くに山が見えるね」
「はい、西門の方が結界範囲も狭く田畑面積も少のうございます、つまり魔物が出やすい」
「でもGランクじゃゴブリンすら倒しては駄目なんだろ?
「畑の外に出なければゴブリンとかには遭遇しないでしょう。今日は農耕機具開発のための
視察も兼ねているので丁度いいかと」ケン
農民達を刺激しないよう遠目からタイジ達は作業を見守る
「驚いたね、この時代の百姓ってほとんど道具らしい道具なんてないんだね」
「なにをいいますか鍬と鎌とざるがあればほとんどの農作業は可能ですぞ」ケン
「収穫期での小麦の脱穀はどうやってるの?」
「は、いわずもがなですぞ。ざるにのせた小麦をゆさゆさと振ると脱穀されていきます」
「あきれた効率の悪さ・・そんなこと誰もが疑いも無くずーーっと行っていたんだ」
「はあ?脱穀なんてそんなものですぞ。他に方法なぞありませぬ」
「はい、案件一つ解決・・っと」俺
「なにかよき案でも考えつきましたか」
「うん、とにかく図面にしてギルドに相談する所からだ、そして庶民価格で専売」
「あと、作物の運搬とかはどうやってるの?」
「は、?勿論背負子で背負って運搬するしか方法はござらん」
「そしてある程度集まったら移動魔法でギルドに運びます」
「でも魔法って誰でも扱えるの?」
「は、基本誰も魔力はもってますが魔法の行使は特殊な者のみでござる」
「もしくは魔道具に魔石を込めて発動させますがいずれにしても貴重品で高価です」
「だから一般の百姓は背負子で運ぶしかないのだね」
「御意」
「でも町で馬車とかは見かけたよ」
「田畑に魔馬車は入れません、ぬかるんでるし道がありませぬ」
「物流の発想も皆無か・・」俺
「家畜もいないね?」
「は?家畜など聞いたことありませんぞ」
「牛とか豚とか食料用に育てないの?」
「肉は全て狩りによる魔物の肉しか知りませぬ」ケン
「だから農耕用の牛とか馬もいないわけか・・・人力だけとはとほほだな」
「はあ?人の手以外の力などどこの世界にも存在しないはずですが?」
「ま、おいおいとね」
「あと、見た所百姓は肥料とか全然使ってないね」俺
「はあ?肥料ってなんでござるか?・・・その・・・「こえ」以外に肥料などはありませぬ」
「不衛生だし病原菌の元だよ、絶対に廃止しなくては駄目です」
「ほう、対策があると?」
「貝殻集めからだね」「あと腐葉土か・・」
「面妖な、貝殻でいったいなにができるのござるか?」
「もちろん肥料だよ」
「ほほう・・」
「それよりも山に行って石灰を集めた方が効率がいいけど今の俺のランクでは無理だな」
「つまり冒険者ランクがあがれば農耕機具開発もはかどるのでござるな」
「さすがケンは頭いいね」
「あるじ、話の途中ですがその先に小魔物が隠れていますぞ、狩り取るチャンス」
「おう、ではケン、お前を借りるけど能力は封印してね」
「御意、今からこの剣はごく普通のショートソードでござる」
「へえ、伸び縮みするんだ、便利だね」
「今のあるじに通常ロングソードは荷が重すぎます」ケン
魔うさぎが二匹現れた!
「な、なにこのうさぎ目が赤く光ってて角が生えてる」
「油断めされるな、これは魔うさぎ、つがいで行動し連動で襲ってきます知能も多少ありますぞ」
俺は相手が小動物なので下段に構え「無」の呼吸をとった
「キキキ・・」二匹の魔ウサギは各個ジグザグ敏捷に動き襲ってきた
「シュン」俺は下段から魔うさぎとの間合いを瞬時に詰め閃光のごとくなぎ払った
完全に間合いを読み切った剣先は二匹を同時に捕らえ一振一撃二匹両断を果たした
「ギャアアア」魔うさぎは断末魔の叫びを上げて消滅、2個の魔石がそこに残っていた
「ケン、助力しちゃ駄目って言っただろ。これじゃ自分の力量計れないよ」
「あるじ、なにを言ってるのですか我はなんにも助力してませんぞ、全てはあるじの実力」
「え?ば、ばかな俺にこんな剣技あるわけないだろ」
「現実を受け入れてくだされ。これがあるじの今の実力なのですぞ、実際我も驚きましたが」
「そりゃイメージでこう切れたらいいと思ったけど本当に出来るなんてありえないよ」
※無の構え「水月」なんて技は時代劇小説にしか登場しないチートスキルと言える
「なるほど、それがあるじのユニークスキルでござろうな」ケン
「へ?」
「人並み外れた発想の具現化があるじの能力という訳でござる」
「じゃ、つまり?イメージ出来た事を実現できる能力?」
つまり道具を作るイメージ伝達も剣の動きのイメージ作りも特殊スキルだったのだ
「だからケンにイメージ伝えただけで具現化出来るんだ」俺
「だとしか思えませぬ、さすがあるじ、選ばれた・・・ごほん、なんでもござらん」
「おぼろげながら分かるよ。俺は偶然では無く明らかに望まれて召喚されたんだね」
「ひ、ひみつです」
「あ、そ」
「と、ともかく今回は正式なクエストなので合法的にポイントがあがりますぞ」ケン
「ここら辺の小魔物狩りなら制限なしで出来る?」
「御意、貴重な食料なのでいくら狩り取っても大丈夫でござる」
「だけど魔うさぎ退治したら消滅しちゃったよ?」
「食料や素材となる魔物はすべてギルド保有のアイテムボックスに移動するのです」
「勿論きちんと倒した分はカウントされますし、魔石を持参すれば刈り取った数照合出来ます」
「なるほど、冒険者はいちいち獲物を運搬する手間が省けるね」
だから流通手段が遅れてるともいえる。
「どうしますか?まだ狩りを続けるのでしたら我の探索能力必要かと思いますが」
「うん、残念だけど俺はまだその能力未達、頼むよ」
「御意、徐々に修練していけば必ず会得出来ます」
「じゃ、今回はケンのサーチ能力で付近の魔物達検索して!」
「御意、100m先の林の中に魔鹿が群れで生息してますぞ、これは高ポイント獲得のチャンス」
「おお、」いきりこんで走り出す俺
「またれよ」
「ん、なに?」
「それでは獲物に気配を察知されてしまいます。隠密移動の魔法で行きましょう」
「ほう、そんな魔法あるんだ」
「今回は我が見本を見せますがいずれ習得していただきます」
「え、俺が魔法なんて使えるの?」
「ふ、あきれますな・・あるじの魔法値は・・ご、ごほん、秘密です」
「とにかく魔法は鍛錬次第で使える能力はあるんだね」
「はい、なにごとも修練でござるがな」
「分かったとにかく今は目の前の獲物に集中することにするよ」
「シュイーーン」ケンが魔法を発動させる
「ん?特段なにも変わってない気がするけど?」
「気配を消したのです、相手にはあるじの姿がみえてませぬ」
10mの距離に近づいたので更にそろりそろりと距離をつめる
俺は「無」の構えを再びとり今度は中段の構え
閃光一閃背後をつかれ無防備な魔鹿をけさがけに首を切り払う「オオオオオオ・・」
雄叫びと共に群れていた魔鹿5頭の首を電光石火の早技で両断した
初撃で2頭、ひらりと体を返し戻しの一振りで3頭を瞬殺。
「あるじお見事」
「ケン、すごいよ。イメージ通りの立ち位置からの理想の角度で切り込めた
だから全然力いれてないのになめらかに剣を振れたよ」
「は、獲物に対して直角に刃が入れば力などはいらないのです」ケン
「うん、まさに斬ったという手応えを感じない手応え・・」
「は、それが極意というものでござる」
この日は魔うさぎ20匹、魔鹿8頭、魔豚12頭・・・大収穫とあいなった
「ケンのサーチ能力のお陰で狩猟がとてもはかどったよ」
「ふ、あるじは気づかれて無いようだが途中からはあるじの能力に切り替えてござるよ」
「え?勝手に習得したってこと?」
「あるじがイメージに描いたのでござろう、素晴らしい学習能力でござる」
「たぶんこれからは詠唱しなくても勝手にその能力は発動されまずぞ」
「つまり、常に周囲の状況判断が出来る?」
「一流の剣士ならばだれでも会得する技とも言えますな」
「オーラとか殺気を感じ取れる能力って事か・・」
「時間は早いですが今日はこれにて町に戻りましょう」ケン
「うん、今日は結構な収穫だったね。この調子でいきたいね」俺
町に戻りまず冒険者ギルドに立ち寄る
「驚きましたね・・・ゴブリンを二匹も倒したのは伊達ではなかったのですね」受付
「はあ」
「確かにクエストで小動物刈り取り依頼はしましたが・・魔鹿と魔豚なんて
普通はGランクならパーティ、単独ならEランク冒険者の仕事なんですけどね」
「え、もしかして規約違反してしまいましたか?」
「いえいえ、食料になる魔物はランク云々は問いません・・が皆さん命は惜しいですから」
「たはは・・・俺は怖い物知らずって事なんですね」
「いや、怖い物知らずを超えて無謀ですね」受付
「まあ、今回は無事生還出来たので結果オーライということで」俺
「実はギルドの倉庫に突然大量の肉が出現したので皆びっくりしてたのです」
「これからも頑張りますので宜しくお願いします」
「ついに我が町にも将来有望な冒険者が誕生したのですね。感激です」受付
「たはは、・・そんな大それた願望はありません、その日どうやって生きていくかです」
「と、言う事で今回はいくらもらえるのだ?」ケン
「それでは報酬ですが魔ウサギが一匹銀貨一枚、魔鹿と魔豚は一頭金貨一枚
合計金貨22枚ですが今回は大漁特別割り増しが適用されて合計金貨25枚です」
やりとりを見ていた周囲が「うわ」とか「すげーな」とか騒ぎ出してる
「肉類は貴重な食料です今後もどうかよろしくお願いしますね」
「町の助けになるのならば喜んで」
「市民を飢餓から救っていただき感謝の念に堪えません」大げさな・・・
ズシと金貨入りの袋を手渡しされた
「助かりました、コレでなんとか当座はしのげそうです」俺
「ですが毎日割高な宿住まいというのも不経済かと思います」受付
「そうなんだよね、どこか安いアパートとかないかな?」
「この国にアパートなるものはございません。全て一軒家をお貸しするシステムです」
「安いのでどれくらいなんですか?
「そうですね町のハズレならば格安、さらに城外ですとぐっとお得になります」
「うーん城外だとギルドに来るのが不便になりそうだね」
「魔法ギルドにて移動魔法書を購入すれば結界内での移動は簡単にできますけどね」受付嬢
「へーそんな便利な魔法書もあるんだ・・」俺
いちいち魔法士を傭い同行させなくても使い捨ての魔法書は存在する、それなりの値段だが
「はい、この世界ではほとんどの事が魔法で可能となってます」受付嬢
なるほど、だから科学技術が進歩しない弊害もあるんだな・・
「で、こちらの物件なら月金貨5枚、城外物件なら月2枚からございます」受付嬢
ちなみに使い捨て移動魔法書は移動距離にもよるが一回銀貨5~金貨1枚
専属の魔道士を傭えば最低で月金貨30・・買い取り式の魔道具は100回程度使えて
金貨50枚程度が相場だそうだ・・・とても農民が作物の運搬になど使えない。
又、結界範囲以外への移動魔法はあるにはあるが高ランク冒険者のみの特権かつ高価
とても一般人や商人が気楽に使える魔法ではないとのこと。やはり移動は基本徒歩
「ありがとう検討してみます」ケンがなにやら急ぐ風
「あるじ宿にもどろう」思念通信
「うん・・・なにかあった?」
「気配を消して我らを探ってる者がいます」
「う、おれもなんとなく違和感感じてたけどそうだったんだ」
「ちょっと大金稼ぎすぎたかもしれませぬ」
金貨5枚あれば4人家族が一ヶ月生活出来る金額。25枚も稼げば当然目立つ
さらっと魔鹿とか魔豚を大量に狩ってきたが実はとんでも無いこと
ケン(途中からは俺自身)のサーチ能力がなければ絶対に不可能な成績なのだ。
普通サーチ能力などはB級以上の冒険者じゃなきゃ不可能なスキル
本人が自覚してないタイジの潜在能力・・・どんだけ?
このエドモンの町には現在約150人程度の冒険者が根城にしてるそうだが
殆どがEかDランク、最上級の冒険者がCランクで3パーティしかいない。
冒険者と聞こえはいいが殆どの者はその日暮らしに近い。稼ぎの多い者でも
金貨10枚も稼げば「大漁」気分なのだ
平均収入は一日金貨2枚位とか、それでも一般民に比べれば高給取りとも言える。
命掛けでクエストをこなし時として徴兵され一般民の安全を守る役割もある
決して良い商売とは言えないかも知れない。
「敵はおいはぎ?野盗?」
「今はなんとも」ケン
「ともかく敵?は明らかに気配を消せる盗賊スキル持ちです」
「寝込みを襲うつもりかな?」
「かもしれせんがあの宿なら恐らく何事も起きませぬ」
「うん、従業員と宿泊客を護衛する用心棒が凄腕っぽいからね」
「剣の道を究めた我でさえその用心棒の所在を感知できませぬ」
「当分行動は昼間だけにするべきだね」俺
「盗賊風情に遅れはとりませぬが無益な殺生も避けたいですからな」ケン
ギルドから宿へは大通りを歩きすぐだし夕暮れ前の時間なので人通りも多い
これでは盗賊とて容易に襲うことは不可能だろう。
警戒しつつも無事宿についてほっと一息
「さて、これからどうする?俺としてはやはり家を借りたいのだが」
「もちろんでござる、家住まいの方が今後の鍛錬修練に好都合ですから」
「そっか自宅で誰にも気兼ねすることも無く魔法とか剣技を磨けるね」
「御意、明日にでも先ほど紹介された物件を見に行きましょう」
「遠い物件は家賃やすくてもアクセスに費用かかるから良く考えないとね」
「あるじ、そのために我はいるのです。優秀な魔道剣つまり我クラスならば
その程度の魔法ならば自由自在でござる。勿論料金などはかかりませぬ」
「それは便利だとは思うけどやっぱりギルドから近い方が便利に違いないよ」
「御意、情報を得るのに近い方がなにかと好都合は間違いござらん」
「あとは間取りとか水回りとか内装しだいだね」
「多少の改造は契約時に申し出れば可能でござる」
「うん、引っ越すときに原状復帰させるか損料を支払うかってやつだね」
「ほう、それも大賢者様の知恵でござるか?その通りでござる」
「いや、それは前世での常識だったから」
「あるじのいた前世とやらは科学技術はもとよりかなり高度な文明だったので
ござるな?」
「うーん俺の住んでいた国はそうだったけど国による差はかなりあったよ」
「そこら辺は全く同じでござる。国によって貧富の差や政も違いまする」
「アニメだと宗教国家や帝国主義、魔王国家とかいろいろあるんだけど・・」
「まさにその通り大賢者様の言うとおりでござる」ケン
早めの夕食を終え談笑しつつ後は寝るだけ・・午後8時頃だろうか
コンコン
「む?」誰かがドアをノックする