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異世界最強アイテム  作者: kou2199
18/26

コトミの策

はたして乗っ取られた辺境泊軍3千を取り戻せるのか

話はすこし戻りコトミ監査官のお仕事はつづく


男爵家の朝は早い。朝の7時には朝食と決まってる様だ10分前に男爵が席につき次いでお客様あつかいのコトミ子爵が席につく10人掛けのテーブルの左右に二人が座る。後ろは護衛兵と執事、メイド


簡単なお祈りの後さめきった朝食に二人が向かう

一通り手を付けたあと作法通りに談笑が始まるのだが口元にとってつけたような氷の微笑みを見せつつコトミが質問を始める


「タラン男爵お話が」

「は、なんでしょか?」

「妾は先日タイジ辺境泊に拝謁し子爵の位と領内監査役を賜ったのだが」


「む、これは談笑などではないな。いきなりなんだろう」と思いつつ身を引き締める男爵


「大出世おめでとうございます。なんでもコトミ子爵様以前はこの街の冒険者だったそうで」

「ほう、調べたか」


「若くしてタイジ様とパーティを組みこの街を救った英雄、知らぬ者などいません」

「で、話なのじゃが」

「もしかして辺境泊軍の帰属問題でしょうか」

まあ、誰がどうかんがえてもその話だろうなとは思ってたタラン男爵


「おお、さすが男爵話が早いの」


「残念ながら前辺境泊謀反の疑いで陛下より軍に関しては我が預かりとなってます」

「3千もの軍を辺境泊をさしおいて男爵が私物化するなど前代未聞じゃが?」

「それはしたり、我は私物化などしてませぬ、全ては王命に従ってるのみ、その様な詮索は逆に王家への不敬となりましょう」


「すまぬ、言い方がまずかった、その件については穏便に頼む」

「いくら子爵様でも言葉にはご注意ください。万が一私がこの件を陛下に報告したら大変な事になりますぞ」くくっ男爵め弱みでもにぎつたつもりなのだろう


とは言った物の・・・


「ですが・・・」男爵

「なんじゃ?懸念材料でもあるのか?」

「子爵様もお気づきかと思いますが、我が男爵家にはあまりにもの負担なのは確かで」

「ほう」

「この館をご覧下さい家具はおろか調度品まで売り払っての貧乏館」

「困窮してるはたしかの様じゃのう」

「心情ご察しいただき、願わくば・・・」

「つまり、現状を妾になんとかしろと申すか?」

「どうか新辺境泊にとりついで頂きたく」


「兵は戻せぬが費用は持てと?都合いい話じゃな」

「先ほどの無礼我が陛下に報告すればなんとしましょう?」

「つまり誠意を示せば軍帰属は男爵の腹ずもりひとつと言う訳か?」

「おそれながら」


「話は分かった持ち帰って辺境泊に相談する」

「確か辺境泊はこたびの農政改革にて莫大な収穫を得たとか」

「ほう、耳が良いの」


「お恥ずかしい話ですが兵站問題は一刻を争う緊急事態、早急に解決したく」

「今すぐ取り次げと申すか・・・だが残念だが」

「は?」

「辺境泊はしばらく外遊だんじょんめぐりとの事でこの街を離れてるのだ」


「な、なんと・・・この大変な時に・・」新辺境泊使えない奴と思ったのだろう

「普通その様な話は辺境泊新任時に速やかに報告する問題だったはずじゃが?」

「そ、それはそうですが・・・実のところ私が新辺境泊に任命されるとばかり」

「ふふ、当てが外れたか・・それはご愁傷様じゃのう」

「私財の殆どを投じたのにです・・・」おっと男爵から思わぬ本音


「だが、実際にこの街をオーク軍から救い市民から熱狂的な支持があるタイジ様をおいて其方のようななんの功績もない男爵風情が辺境泊になれるとは思えないぞえ?」


「くっ実力不足は実感してますが・・いくらなんでもあからさまにそのような文言」

「すまぬな妾は田舎者のなりあがり子爵ゆえ言葉を知らんのじゃ」

無礼者のコトミに内心憤慨する男爵だがここはなんとしても取り次いで貰いたい


「コトミ子爵は名代とのこと全権大使なはず」

「如何にも、辺境泊より全てを任されてるぞえ」


「な、ならば辺境泊不在でもこの非常事態、どうかご裁断ください」

「待たれよ、其方は緊急事態とか非常時とか勝手に言うがそもそもこの話は妾が問いかけたことから始まったはず。なぜ先に男爵から切り出さなかったのだ?申してみよ」


「ははっ先に切り出すつもりでしたがまさか朝一番で子爵様からこの件問われるとは」

「つまり妾に先手を打たれてしまったと言う事か」

「は、」

「昨日はおくびにも出さなかったのにのう」


「貴族として日が短い子爵様ゆえご注進申し上げますが貴族と言うのは何よりもメンツとプライドが優先するのでございます、どんな時でも優雅さが必要かと」


「成る程、どんなに困窮してても段取りが最優先と言う訳か」

「は、」


「其方の言い分は分かった、ではこれからは遠慮なく本音で語るとしよう」

「分かりました」

「で、実際問題どうして欲しいのじゃ?」


「は、子爵様に裁断いただき緊急食料援助を賜りたく」

「おかしいのう」

「は?なにがでございますか」


「この街の備蓄倉庫全てを管理する役目は副政務官、其方の仕事のはずじゃが」

「確かに備蓄倉庫の管理は我ですがこ度オーク軍襲来により底をついてしまいました」


「納得いかぬな、実際妾はオーク軍討伐の任務を受けて戦った身として申すが実際の戦闘期間などは一週間も無かったはず、しかもタイジ様の手駒は少数、かつ兵糧は持ち出し其方の倉庫からなど一切援助を受けていないぞ。」


「それはそうですが戦闘の前段階で兵糧攻めを受けて備蓄が底をついてる状態。これがその時の報告書です。確か昨日この書類はご確認済みと申されてたはずですが?」

したり顔で弁明するタラン男爵

すでにその書類の不正については全て解明済みなのだがあえて今は触れない


「たわけ!そのような世迷い言通じるとでも思っているのか」


「な、なんという言われ方・・いくら子爵様でも容認出来ませんぞ」

「我らはギルドから討伐依頼を受けたときにこの街の現状などは全て把握していた。その時ギルドの報告では備蓄食料は最低で三ヶ月分、食料調整すれば一年は持つと報告をうけてるのだ!その件で申し開きあるか?」


「・・・・」


「馬鹿め自ら尻尾をだすとは」

「なにを言われる」


「お前はこんな事態になるとは思わず備蓄倉庫を意のままにしたという証じゃ」

「聞き捨てなりませんぞ、一体どこにそんな証拠が?」

バサッ突然男爵の目の前に書類が積まれる

「こ、ここここ」余りにもの衝撃に声が続かない男爵

「おのれはニワトリか」


つまれたのは昨日確かに隠した筈の悪事の証拠書類、そこには商人と役人と結託し備蓄倉庫を思うままに横流し、私物化し現金化して着服した証拠の数々。

倉庫にあったはずの食料を現金化してしまった後で辺境白軍を押しつけられた男爵はあわてて食料を買い戻そうとしたが後の祭り、商人どもに足元を見られ割高で買い戻すハメに

つまり現状男爵館が貧乏じみてるのは完全に己の失策。痛恨の失策


「愚かな副政務官の失策により食料は枯渇急騰し市民は途端の苦しみ。万死に値する愚行。言い逃れなど出来まい」コトミ


「ぐ、」


「この責任なんとする?」

「・・・」

「この証拠を陛下に渡したら・・・一家断絶間違いなかろうな」

「まさかこんな事態に成るとは思っても見なかったのだ」

「痴れ者め、目先の欲にくらんで本質を見誤るとはそれでも副政務官と言えるのか」


「オーク共がこなければうやむやに出来たのだ」

「お前のお陰でどれほど民が苦しんだと思ってるのだ?タイジ様がいなければこの街は全滅だったかも知れぬ、この責任どうとる?潔く自決せよ」コトミ


「お、おのれ!もはやこれまで・・であえであえ」お前は悪代官か!

「ほう、面白い全権大使の妾を切ると申すか」

「お前がいなければ全て上手く行くのだ」

「兵站問題はどうする?」

「兵どものことなど知った事か、こうなったら 我の命が最優先なのだ」


「聞いての通りじゃ将軍どうする」

「は?」きょとんとする男爵


扉の向こうでやりとりを全て聞いていた辺境白軍総司令官ベルガー中将(子爵)

「とんでもない反逆者でございますな」

「うむ、万民の命の糧を我が物にするなど万死に値する逆賊行為じゃ」コトミ


「ベルガー、お前は我の部下だ、今すぐ子爵を切れ、」男爵

「愚かなことを、我が軍は辺境白軍、お前ごときに指図される言われなどない」

「だがいくら辺境泊軍といえども王命には絶対のはず」


「お前の権限はあくまでも軍隊の管理、なのにさっき軍など知った事かと言ったな」

「それがどうした」

「残念だがたった今陛下より勅命がきたぞ」


「ば、ばかな」

しかしベルガー将軍が持つ書状はまぎれもなく王紋入り蝋印この紋所が目に入らぬか

あの王様側近の間者にアケミが素早く連絡をとりタラン男爵罷免と断罪を王が命じたのだ

いくら王直々に任命した副政務官であっても身分を超えすぎた悪行に王ですら庇うことはできなかった。

外堀まで埋められてることにようやく気がついたタラン・・・万策尽きた

「もはやこれまで」タランは目にもとまらぬ早さで懐剣を抜剣しせめてコトミだけでも道連れと思ったのだろう。素早くイスを踏み台に高く跳ね上がりテーブル越しにコトミの首に迫る。文官あがりの男爵にしては素早い動き


「しれ者が!」抜剣したのはタランの方が早かったのに断首されたのはタラン


タランがジャンプしコトミに迫る刹那、クロスカウンターのごとくコトミは応じヒラリと身を躱しつつ魔剣シュバルツのステルスを解除し抜きざま鮮やかにタランの首と胴は分かれてしまった。百戦錬磨のコトミには条件反射に等しい。つまり何の造作も躊躇もない

「シュリーン」居合い勝負でコトミを負かせる者などいない


切り落とされたタランの首はテーブルにあったコトミのスープ皿にボチャンと落ちみるみる鮮血に染まる


「お見事!」ベルガー


つかこんな残状だというのに護衛兵ピクリとも動けなかった。護衛対象のコトミ子爵が一番強いので仕方ない事だが・・・


似合わぬお貴族様ごっこでたまりにたまったストレスを発散出来てコトミご満悦

「やっとでご役目はたせたでござる」普段の言葉が思わずでてしまった

「書状により我が辺境泊全軍、新辺境泊の元へ戻れと命令を賜りました」ベルガー

「王命は絶対ですからな」コトミ

「ははっ」

「任命はまだが多分妾が軍務官に赴くはず、今後どうかよろしく頼む」コトミ

辺境泊が直命したコトミ子爵、軍総司令ベルガーを配下に置く軍務官担当任命は当然だろう

「一件落着」安堵するコトミ


コトミの思惑通り見事合法的に3千の兵を手中に収めたのだ。なによりも陛下お墨付きが大きい。王側近の間者君一体どのように口車に乗せたかは知らないがグッジョブ


これは後日談だが側近間者君の仕事は更にづづき後釜副政務官はアケミが就く事となったがその話は別に


「領地固めはちゃくちゃくと進んでます、主人早く帰ってきて・・」コトミの切なる思い


「チャベスの断罪が残ってるわ、油断はできません」アケミがコトミに思念を飛ばす

「たまたま今回はタランの悪行が酷すぎて即処刑となりましたがチャベスに関しては任命パーティ後との事、一体いつになることやら」コトミが返す


「無事成果を上げて主人がダンジョンから帰ってくるのを待つしかありません」


この街に巣食う大悪党二人の内一人は成敗したがまだまだ安心は出来ない


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