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異世界最強アイテム  作者: kou2199
12/26

利権構造

この国の腐敗構造が見えてきた・・

朝が来た


「うーんなんか環境が違いすぎてよく眠れなかったよ」俺

「はい、ベットがふかふかすぎましたね」コトミ

「さて、おきて朝飯の準備だ」

「はーい」


「おはようございます。ご主人様!」

なんとメイド達全員食堂に待ち構えていた

「え?何事?」

「朝から寝ぼけられては困りますぞ。ご主人様は辺境伯なのです」セバス

いや、朝なんだから寝ぼける訳で・・・

「ああ、そうだったね今まで全員で食事作ってたから」

「ご主人様はこれから大事な政務があるのですお忘れ無く」セバス


「と言うわけで食事のあとは俺だけ政務を行うがみんなはどうする?」

「は、出来ればそばに居て仕事をお手伝いしたいのですが・」コトミ

「うーん君は武力担当だから難しいかも」

「お、覚えます、だから見捨てないでくだされ」コトミ

「いや見捨てるとかそーいうのじゃないけど」

「隊長、ならば私も付き添いコトミを補佐いたします」アケミ

「うん、そうだねそうしょう」


「我々はどうしましょう」ケイ達4人

「君たちは隊員だが食事担当でもある、メイドと給仕を指導して欲しい。今まで培ったレシピも伝えて欲しい食事は大事だからね」

「指導というよりもこっちが教わる事の方が多そうですが」ケイ達

「とにかくみんなで協力しあって欲しい」

「はっ」ケイ達とメイド、給仕全員がかしずく。まあ上手くやっていけるだろう

「あの、私はどうしましょう」ノン

「ああ、君は今日からしばらく普請担当でお願いする、大改造が必要だからね、設計図は後で作成して渡すからとりあえず資材関係の調達をまかせたい、あと出入り業者のチェックも頼む」俺

この際だから出入り業者の刷新も行ってしまおう。

「は、お任せ下さい」ノンの目が輝く適材適所

ノンは実直で熱血漢、癒着業者などは絶対に許さないタイプ。その点は信頼出来そう。


さて、しょうがない一番苦手な机仕事に向かうとするか・・・


「主人、これが今までの経理報告でございますチェック願います」セバス

「うん」

俺は全ての報告書をケンのアイテムBOXに放り込んだ


「な、なにをされるのですか?大切な書類を」驚くセバス

「いいんだよ、セバス。いちいち目を通さなくても全部電子書籍化して必要項目だけ検索を掛ければ時間短縮になるのさ」


「な、なんと・・・そーいえば主人は大魔道士でしたな」セバス

「セバスこれは勿論口外無用であるぞ」また偉そうなケンの講釈

「は、ケン様承りました」なんとセバスはケンを上司と認めてる様


「酷いねこの書類、穴だらけだ」俺

「いくら羊皮紙とはいえ当家はその様な粗悪な紙は使ってませぬ」

「いや、紙の事を言ってるんじゃないよ。内容がザルだと言ってる」


「ば、馬鹿な、私も目を通しましたが不審な所など・・・」

「まあ表計算ソフトもない時代だからしょうがないね」

「言ってる意味がわかりませぬ」


「小計と合計が少しずつずれてるし縦算するとかなりズレてるよ」

「な、なんと・・・」

「これは専門家が意図的に金をくすねる算術を行使したに違いない、素人では絶対に見抜けない巧妙さだ」


計算機もまともにないこの時代数字が羅列された表を見た所で精査など不可能。専門家とやらの記した数字を有り難く信用してしまうのは仕方が無い。


領内の予算作成は全て政務官のチャベス様(男爵)の仕事です」

「一年で金貨千枚(二億円)はちょろまかされてる」

「な、なんと」


「うーむ、許せん今すぐチャベスを成敗致せねば」コトミが立ち上がる

「君はブレないね・・ちょっとまって」俺

「ですが・・・こやつは大悪党」コトミ


「状況証拠だけでは罪は問えない。証拠を掴むのが先だよ」

「しかし・・悪党などは我が剣で首を飛ばせば済むこと」ケン

「お前まで野蛮な事いうなよ。俺の領は法が最優先なんだよ」


「しかし・・どうやって罪を暴くのですか」

「まずは内偵だ、密偵を送りやつの財産をすべて洗い出す」

「は、その仕事私が行います」アケミ

「うん、君なら安心だ、すぐ剣抜かないからね」

「そ、それは私へのあてつけでござるか?」コトミ

「まあ、適材適所さ」

「ならば今回の件は私も同行して分身の術で行きます」コトミ


「なるほど・・・その手は使えるかもしれないね」

「絶対に刃傷沙汰は駄目だぞ、命令違反は処罰だからな」釘をさす


「その件は二人にお願いするとして次・・」


「他になにかございますか?」

「大ありすぎてどこから指摘していいのやら」

「な、なんと・・」

「次に出鱈目なのはこの街の出納状況だよ」


「え???」

「見て分からないのか?」

「う・・・厳重にチェックしましたが何処が駄目なのか皆目」」

「この街を通過する商品の量が違い過ぎるだろ」

「し、しかし我が国は通行税をもって成り立ってる訳で」

「通行税の率はどのくらいだ?」

「は、1割5分でございます」

「2割はとられてるぞ、これも数字を巧みに誤魔化してるがな」

「な、なんと・・・5分は一体どこに」」


「副政務官と門兵で折半って所だろう」

「通行税担当のタラン(男爵)までもが不正行為ですか」


「それに街を通過する度に通行税を徴収されたら商人生きていけぬ」

「は、ですから辺境の街ほど物価が高騰しますがそれは仕方なく」

「ばか、賢い商人がむざむざ通行税など払うと思ってるのか?」

「え?」


「俺なら抜け荷をするか門兵にワイロを渡して絶対に安く済ませる」

「なんとけしからん」憤慨するセバス


「だからこの出納帳をよく見ると入荷した品物よりも出荷した品物のほうが遙かに多い」

「ば、馬鹿な・・この街自体の生産力などたかが知れてます」

「我が領は出領時の税金は徴収しないからな、門兵にもワイロが取れず不人気部署さ」

「つまり?」

「堂々と抜け荷してるのさ。しかも官民一体でざるのごとくな」

「くっ・・・」


「そしてこの書類」

「これは?」

「政務官と副政務官からの献上品目録さ」

「えーと、それは私もチェックしましたがたわいもないお菓子とか引き出物の類い。貴族間でしたらこれぐらいの献上は普通です」セバス


「ふふ・・・黄金色のお菓子って訳だ」

「は?」

「こんど献上された菓子折の底を確認してごらん黄金色に輝いてる筈だ」

「な、なんと・・・ワイロですか・・」セバス

「知っていたよね。君は筆頭執事だかね」

「た、大変申し訳ありません・・・今すぐ隊規違反で処罰を」セバス

「本当に罪を犯していたらとっくに君は無限労働行きだった」

「つまり?」

「君はちゃんと給料分しか、つまり最低限の生活費しか支給されてない」

「し、しかし・・・ワイロから支給される給金など・・不浄にて」

「そんなことはないセバスはちゃんと仕事してる。出所が何処だろうと正当な報酬だ」


「とんでもない仕組みが出来上がってるのですな」ケン

「言ったろう、この国は上から下まで腐りきってると」

「最初に気がついたのは先日オークに通商妨害されたときに食料備蓄が極端に少な過ぎて可笑しいと思ったんだよ」


「と申しますと?」

「備蓄倉庫すら横流しされてるって事だ、わかれよそれぐらい」

「上がってくる書類のチェックしかしてませんでした」


「いや、セバスのせいじゃないそんな仕事筆頭執事の仕事ではない」

「どれだけ搾取されていたのか想像もつきませぬな」ケン


「全部貴族どもの私腹だろう」

「ぬーますます許せん」コトミ


「一度我が領内の貴族を全て集めて就任パーティを開くぞ」

「その場で弾劾ですな!」コトミ

「いやその場では何もしない釘を刺すだけだ」

「それは手ぬるくないですか?」


「いや貴族の人事は全て国王が行ってる辺境伯では人事に口出せない」

「つまりは国王も甘い汁を吸ってる?」

「とんでもない額だろうよ」


「今まではそのワイロを活用し隣国にばらまいて小国を維持してたのだろう必死なのは分かる・・・民の苦しみは増すばかりだ」


「此度オークロード事件は隣国との金銭トラブルでしょうか」ケン


「多分な、法外な要求をして我が国が払いきれなかったのやも」

「フ、馬鹿ナ企ミデソノ王国ハ我ガ滅ボシテシマッタゾ」ズメル

「いや、滅んでなんかいないよ、王様の代えなどいくらでも居るさ」


「成るほど、政敵にしてみれば願ったり叶ったりで甘い汁」ケン

「く、腐りきってる」コトミ


とにかく近日中に行う就任パーティまでに証拠集めだ皆たのむ

「ちょっと人手は不足してるがなんとかなるだろう」

「お待ちくだされ」コトミ

「ん、なんですか」俺

「隠密行動ならば我が里を活用くだされ」コトミ


「君の申し出はありがたいが・・・」

「実は我が父はもうご存じかとは思いますが我が忍軍の上忍」

「ついにボロをだしたな」ケン


「ケン黙ってて、これは重要な話なんだから」


「は、はあ・・・」ケンしょぼん

「おおよそ察しはついていたけどなぜ今?」

「は、主人(隊長から昇格したようだ)の身分が辺境伯へと昇り

いよいよ国家の政へ進んだからでございます」コトミ


「国家規模の不正弾劾なんだけどいいのかな?」

「我が里はどこの国にも属してませぬ完全中立組織です」

「中立組織が一国の政治に介入するの?」


「我が里は国の不正、腐敗を正し正道へと導くのが使命にて」

「なんでそんな組織があるの?」

「は、実は我が組織は人民による人民の為の組織、清く正しくそして清貧をつらぬく市民からの要請機関です予算はほぼゼロですが志は高く崇高です」


「だから上忍の君の父親までもがせっせと働いてるんだ」

「は、宿経営は情報源にもなりますし格好の隠れ蓑につき」


「宿にいた胡散臭い連中のほとんどは連絡員だね」

「は、想像にお任せします。すべては闇が支配してる組織ゆえ」

「だろうね、正体がばれたら国に命を狙われるね」

「想像におまかせします」コトミ


「だけどそんな組織がなぜ今まで行動しなかったの?」

「は、内偵はしていましたが・・この領はそれでも他領よりは民が食べて行ける状況でした」コトミ


「生かさず殺さずか・・・」

「それに昨日拝見した地下二階の牢屋ですが・・」

「む辺境伯の私刑対象は君たちの同胞?」

「は、さぞかし無念だったかと・・牢屋の壁面に暗号が残ってました

死を目前にしても・・・うう」涙ぐむコトミ


「君も忍者なら私情を隠すように、仇は必ずとるから安心して」

「なので是非この任務は我が組織にお任せ下さい」


「でも犠牲者がでるかもしれないよ」

「そんな事は覚悟の上、里衆は命など初めから捨ててます」

「覚悟は分かったけどなるべく安全にね」

「は、承りました・・それではアケミ姉行きましょう」

「シュ・・・」初めて忍者消えをめのあたりにした

「いや、別に消えなくてもいいのにね」

「忍者である事を誇りたかったのでしょう」ケン


「お、ケンにしては珍しくコトミ君を擁護するね」

「高潔な志に感銘したまで、我もかくありたいと・・」


「さあ、これから忙しくなるぞ。我らの方針が決まったのだから」


「ははっ」


「とりあえず、セバス、俺に貴族の礼儀作法おしえて」

「そ、そこからですかぁ・・・なんとも気の長い話ですな」

皆の決意が↓だださがり


「だって祝賀パーティの席で粗相できないし」

「わかりました」セバス

「僭越ながら我も貴族のたしなみは伝授出来ます」ケン

「二人とも頼むよ、突貫工事でお願い」


「厳しいですぞ」セバス

「覚悟の上さ、皆が命がけなのだから俺も命がけだ」

「それでこそ主人」皆の士気が↑上方修正





ちなみに拝領したタイジ領にはタイジ街とザビル村他町村合わせて15程を収める事になる、タイジ辺境伯領の面積は丁度東京23区と同じ位、王都との位置関係は国の中心に王都があり王都(直轄領)を南に下がり大中二つ程の領を挟み辺境伯領、西側が国境、南北が通商ルート、東側は別の伯爵領という位置関係。


前任の辺境伯は極めて閉鎖的、というか隣国との関係を密にしていたので東側の領とは疎遠関係で通商ルートも存在してない、辺境伯領から見て北の領は王都に通じるので最低限の付き合いはある。南側の領については「通してやってる」的高圧的態度で時には法外な通行税を課して不必要ないざかいが絶えない。南側領は背に腹変えられなのでやむなく服従してるが恨み骨髄状態のようだ。


セバスから周辺領との関係を聞いたタイジ・・

「うーん同じ王国内でも摩擦あるんだな」

「は、所詮は貴族間の思惑、私腹を肥やせれば他領などはどうでもいいのでしょう」ケン

「仲良くすればもっと儲かるのにね、実に下らん」

「主人みたいな先進的思想は旧態依然の貴族社会には存在しません」セバス

「足の引っ張り合いと見栄の張り合い、虚像と虚言、くだらんね」


「しかしですぞ、隣国は多くの兵を失い今は侵略戦争どころではありません、今こそ我が領立て直しのチャンスかと」セバス

「いや、今の腐敗態勢を一掃しなくては絵に描いた餅だよ」

「王国から派遣された政務官と副政務官ですな・・・」ケン

「悪の元凶だ・・・こいつらだけは絶対に許せない」


「スパット切リ捨テテシマエ、我ガヤッテモイイゾ」ズメル

「いや、駄目だ奴らを葬っても後釜が派遣されるだけ、王国にとっては甘い汁だからな絶対に利権は手放さないよ」俺

「臭い臭いは元から絶たねば駄目ってやつですな」ケン

「もしくは人事権を手中に収めるかだ」

「しかし、そうなると武功が必要ですな、国王の絶対的信用を得ねば不可能かと」セバス


「言ってる事矛盾するけど、例えば隣国を我々が収めることが出来たら?」

「ば、ばかなそんなことをしたら逆に国王はタイジ様を脅威と見なしお命の危険」セバス

「いや武力で制圧ではなくて隣国からせがまれて併合という形ならどう?」

「政治的支配だとしてもタイジ様が有能と認められたら国王にとっては脅威となります」

「実は今は内偵中のコトミ君からちょっと聞いたんだけど国王が最も信頼してる側近君ってのが実はこちら側の間者らしいよ」

「ほう、それは興味深い話ですな」セバス

「彼の命に関わるから詳しいことは口外禁止だが随分と俺の事を過小評価して国王に侮らせてるらしい」


「成る程、つまり今は国王の意識外と言う事ですな」ケン

「前任辺境伯は知りすぎたので処分されたとも報告がきてる」

「つまり隣国とあまりにも密接すぎて疑われた?」

「国王自らが命じておきながら疑心暗鬼ってやつだろう」

「となると国王は狡猾ながら小心者と言う事ですな」ケン


「ば、馬鹿、あからさまに国王批判はするな、どこに聞き耳があるかわかないのだ」

「はは、これは失礼しました。ですが我の検知魔法には周囲に間者は居ませぬ」

「とにかく余計な事は言わない方がいい」

「話を戻すが俺が辺境伯に命ぜられたのはいろいろと扱いやすいと見られたのだろう」

「10歳かつ平民あがりの成り上がり者って印象でしょうな」ケン

「前任辺境伯以上に甘い汁がすえると思ってる事だろう」

「就任パーティの招待状に金貨1万枚を添えたのはそのためなんですな」セバス

もちろん金の出処はケン。ぶつくさ言いながらも用立ててくれた。

「だが用心深い国王はここには来ないだろう多分名代が来る」

「でしょうな」

「だから動きやすい」俺

「ほう、逆手にとると?」





「さて、このたび辺境伯に命じたタイジとやらの様子はどうじゃ」

「は、今の所情報は届いてませぬが所詮田舎の冒険者たかがしれてるかと思います」側近


「聞けば齢10にして50を超える配下がいるとか」

「は武勇伝は伝わってきてますが眉唾ものかと」侮りきってる側近

「千をこえるオーク共を退治したとも聞いておるぞ」

「は、ギルドからの報告によりますとよく統制された軍隊の力だったと伺ってます、本人の実力ではありませぬ」側近


「だがその功績にて余が辺境伯に任命したのは事実。ついでに私腹をこやしすぎた前任者の首を切れたしな」王

「陛下の寛大なるご政道感服しました」ヨイショ側近

「うむ、余に益をもってくれさえすれば誰でもかまわぬ」

「相手は10歳のガキでございますどうせなにもできませぬ」


「うむ、余が送り込んだ政務官どもが骨抜きにしてしまうだろう」

「は、人間出世したら次は金と女です、容易き事」

「ふふふ、女を覚えさせたらガキなどイチコロじゃろうて」

「いけませぬな、王とも有ろう方が不謹慎な・・・」

「ふふふそちも悪よのう、何もかも分かってるくせに」

欲まみれの俗物王にはなにひとつタイジ達の高潔さが見えていない


「でその新辺境伯より就任祝いパーティ出席要請が来てます」

「更に献上金、金貨一万枚送られて来てます」

「ほほほほ、黄金色こがねいろはいつみても良い色じゃ・・・」

「で、返事はいかがいたしましょう」

「名代を送らせよ田舎辺境伯ごときに余が出向く事もあるまい」。

「御意」内心でニヤリとする側近

「タイジとやら就任のお祝いに何かが欲しいとか言ってます」

「うむ、ある程度は仕方ない、名代と打ち合わせて多少はくれてやれ」王

「は」

「上手いこと適当な役職と権限を与えて利益を上納させるのじゃ。よいな!」

「万事お任せあれ」側近

「あやつの領はなぜか知らぬが近年豊作に沸いてるとか、うまく上納させるのだ」王

「ははっ」

言質とりましたぞ、と内心でほくそ笑む側近





「主人」次の日ゴブリン隊長のシュウがタイジに何やら報告に来た

「おおシュウ、将軍就任おめでとう、で今日は何用ですか」タイジ

「は主人より我が辺境白軍最高司令官の命を受け身の引き締まる思い更に精進いたしたく」

ま、辺境白軍とはいっても実質ゴブリン隊50名しかいないのだが

「堅苦しい挨拶など無用だよ俺とお前の仲ではないか」


「いえ、主人様は実力で辺境伯の位を授かったのです無礼は出来ませぬ」

「面倒くさいなあ、どうでもいいけど要件があるのだろ?」


「は、実は東の山奥に引っ込んだ筈のオーク達がわが領都に再び進行してきたとの報が間者よりもたされました。」シュウ


「おかしいな、確か武装解除して全てを許す代わりに隊規と同じ魔法を掛けたはず、裏切ったのならば全員即無限牢獄行きのはずだが」

「もしかしたら、無限牢獄をキャンセルできる術を得たのやも」シュウ


「我ハ今無限牢獄ニ囚ワレ身ダカラ分カル、ソノ様ナ気配ハ一切関知シテナイ」ズメル

「となると反逆以外のなにか?」ケン

「で、オーク達の実数は」俺

「は、およそ200程度かと、武装してる気配は無い模様です」

「なんだ?失業でもして領都に出稼ぎに来たか?」俺


「待ッテホシイ、モウ少シ彼ラガ近ヅケバ思念通信ガ出来ルノデ真意ヲ問イ正セヨウ」

「わかったここはズメルを信じるが一応応戦態勢は敷かせてもらうここは領都だ万が一もあってはならぬからな」俺


「御意」全員が戦支度に入る。


二時間後監視塔からの物見からの伝達

「オーク兵見えてきました全員フルアーマ装着なれど武装はしてません、その数約200」


「ズメル通信はまだできぬのか?」ケン

「雑音ダラケダガ少シヅツ通信出来始メテル」


「ザ・・・オークロード様・・・ザザザ・・オネガイガ」

居ても経っても居られずズメルが監視塔に昇り少しでも通信出来るよう障害物を避ける


「ナニガイイタイ」ズメル

「ワ・・・ザザ・・我ラもタイジ様ノ下デ働キタク」


「ドウヤラオーク兵ハ主人ノ傘下ニナリタイソウダ」

「人騒がせな、だったら手紙とかの方法もあっただろうに」

「主人、オーク兵は間者を危惧したのかと」ケン

「成る程なこの辺境伯領、主人は俺だがまだまだ国王の息が掛かった間者だらけだな」

「しかしあのような物騒な格好の兵が入場すればイヤでも目立ちますぞ」セバス


「だからって忠義の者を追い返すわけにはいくまい。多分だが食料事情もあるのだろう」

「成る程・・男手による出稼ぎの側面もあると?」セバス


「ケン、いまからあそこに行くぞ。そして装備を全てアイテムボックに入れてくれ」

「ははっおおせのままに」ケン

「しかし危険ですぞ、今はコトミ殿達はいませぬ」セバス


「馬鹿者、我トケンガイレバ万ノ敵ダロウト蹴散ラセル、シカモ相手ハ我ガ同胞」

「と言うことだセバス、心配無用さ」俺

「はあ、それではどうぞ無茶はなさらずに・・」

「我ら領兵もお供します」シュウ

「足手まといだからシュウだけ付いてきて」俺

「御意」


「つまり領都普請のために主人がオークを労働力として雇い入れるという算段ですな」

「ナルホド」ズメル


「ケンは賢いのか賢くないのかわからないね、ご名答だよ」

「賢くないは余計ですぞ」ドヤ顔ケン、人間化してから表情がよく分かるぞ


「そしてこの筋書き書いたのはズメルお前だろ」

「ハ?ナンノコトヤラ」

「SSS級魔物のお前の思念通信域がこんな狭いわけがない、つまりこれは予定の行動だ」


「グ、時ニ主人ハ賢イノカ賢クナイノカ」

「馬鹿おれは世間知らずだけど賢いんだよ」


「あー自分で言ったら威力半減ですぞ」ケン

「ともかくズメルの思惑には乗ってやるから責任とれよオーク兵の面倒頼むぞ」

「兵トシテハ、勿論ダガ城内普請ノロウドウリョクダ」ズメル

「成る程・・・ノンに今見積もりさせてるが労働力不足と資金不足なのは間違いない」

「報奨金ナドデハ足リナイト思ッテタ」ズメル

「お前、魔物のくせに金勘定も出来るのかよ」


「カオスイーターデ主人ノ能力ホンノ僅カ吸イ取ッタ、知力モ含ム」


以下隊員のみに伝わる思念通信

「国と事を構える準備も必要だからな」

「まさか就任パーティは布石?」ケン

「ああ、パーティの場で味方と敵を判別するつもりだ」

「そ、その様な事が出来るのですか」ケン

「出来る出来ないではない、やらなければならぬのだ」タイジ


「フフ、面白クナッテキタナ。ダカラオークヲ呼ンダノダ」ズメル

「お前は予知能力もあるのか?」俺

「イヤ、普通ニ予測出来ルダロ」

「ズメル、お前凄い・・・」関心するケン


思念通信をやり取りしてる間にタイジ達はオークの前にたどり着いた

オーク全員がその場にかしずく


「ズメル様が主人と崇めるのであれば今から我がオークは全てタイジ様の配下でございます、どうか我が軍200を配下に収めください」オーク軍副将ダメル


「うむ大義であった、ズメルから全てを聞いている。早速入城して欲しい」

「は、ただちに」


「だがその前にフルアーマーは外して欲しい、物騒すぎて領民に怪しまれる」

「はは、ズメル様からすべて伺ってます、喜んで」オーク兵は文句言わずに従ってくれた

「ヤレヤレ、一悶着あると思ったのに皆服従してくれて助かる」タイジ

「ズメル様から逐一領の事は報告を受けてました。どうぞこれも納め下さい」


「これはなに?」

「は、実は東の山脈づたいに広がる金鉱より採掘した金でございます、どうか軍資金に」

「な、なんと・・・実は喉から手が出る程資金が欲しかったのだ」タイジ

「人間ト言ウノハ不思議ダナ、コンナ砂粒デ国ガドウノナルトハ」ズメル


「おい、ズメルお前の部下のダメルですら流暢に話せるのになぜお前は片言なんだよ」

「これはしたり、実はだましてました」

「ちゃんと話せるなら面倒だから普通に話せ」


「は、これからは主人の命に従います」ズメル

「ザビル村周辺の鉱山地帯とオーク村の金山か・・・これは天佑なのかも」

「実はいままで国内あちこちに彷徨っていたオークがタイジ様の庇護の元オーク村に

集結しズメル様の指示により秘密裏に金を全力で採掘中です」


「オークはいったいどれだけ集まってるのですか」タイジ

「は、王国以外の地からも招集を掛けてますが今の所1万近くが集結済みです」

「一万は凄い、だが食料問題は?」

「は新しき農作技術をズメル様から伝授頂き野作物の収穫量は増える一方食べきれなくて周辺の人間の村に無償で配っても配り尽くせずやむなく廃棄せざるを得ません」


「全く前任辺境伯の失態だ、東側ルートを至急整備せねば領の損失計り知れない」タイジ

「は、ですのでこちらに向かった200の他に通商ルートを普請するため500が急ピッチで東側ルートを建設中でございます」ダメル


「ズメル、お前は一体・・・」タイジ

「ケンから教わった、言われた通りに動くだけが従者ではないと」

「確かに・・・でも報告欲しかったな」タイジ

「だから今報告してる」ズメル


「ズメルは配下が居る分我よりも動けると言う事か」ケン

「我が同胞を救ってくれた恩義まだ返しきれてない」

「とにかく喫緊の課題は城内整備と再軍備化でございます」ダメル

「なんとも頼もしい側近どもよ」タイジ

「主人の高潔さに惹かれた我ら一同どうか手足のようにお使いください」一同


「とにかくオーク兵達は兵員宿舎に入って貰い明日から普請の手伝いと軍事訓練よろしく頼む」タイジ

「ははっおおせのままに」ダメル

軍組閣だが一応近衛部隊でもあるシュウの法が上司、軍隊形式で言うところの少将扱い

ダメルはオーク兵(現状700)統括を任せ大佐扱いと決まった。こうして腐りきった王国打倒に燃える反乱軍ののろしがこうして静かに立ち上がった


「ケンとズメル」

「ははっ」

「隣国ヤルダートと交渉したいのだが」

「なりませぬ、今は足場固め動くときではござらん」ケン


「いや交渉なんて早ければ早い程いいと思う」

「内容次第ですな」ズメル


「うん、オーク村で捨てるほど余ってる農作物をヤルダート支援に回せないかとね」

「敵に塩を送るわけですな」

「どうせ食べきれなくて廃棄するのなら敵国であっても一人でも救うのが人の道だろ?」

「主人の優しさは相手につけ込まれる可能性もありますぞ」

「いや、俺の勝手な考えかも知れないが窮地を救ってくれる者こそ真の友人だと思う」

「ですが相手は一方的にわれらを侵略してきたわけで」


「いや、黒幕はわからない。宣戦布告してきた訳でもないしヤルダートが有罪と決まった訳でもない」


「ですがズメルを召喚して我らに仕向けたのは事実」

「それもズメルが勝手に行動しただけで侵略までは考えていたかどうか」

「主人は甘い」当の本人ズメルがビックリしてる


「ザビル村の件はどう説明されると?」

「確かに前任辺境伯とヤルダートが手を組んだのだろう、どの程度窮地に陥るかをな」

「命をもてあそぶ不届き者です」ゴブリン隊長シュウまでが反対の様だ


「だが、今のヤルダートは国王が倒れ正規兵2万を喪失してガタガタのはず当然民草への政どころではなく民は飢えに苦しんでいるはずだ」


「それは自業自得というもの」

「民になんのつみがある?」タイジ

「し、しかし今食料を支援したところで上部組織で独占し民には流れませんぞ」

「そーなってくれれば国は内部から崩壊する」タイジ


「外部からの支援によって内部が崩壊ですか・・・策士ですな」ケン

「どちらにしても支援する意義はあると思う」タイジ

「主人が言うのであれば我らは従います」

「いや、駄目なら駄目って言って欲しい、イエスマンにだけはなって欲しくない」

「御意」


「しかし、問題は輸送方法、いかにして・・」

「物資自体はケンのアイテムBOXに収納すれば済む」

「成る程それは了解です。がヤルダードにはどうやって・・」

「前任辺境伯はどうやって国境門もないヤルダートと連絡を取っていた?」

「それは分かりませぬ」

「セバスなにか知ってるか?」


「はあ、ハッキリとは存じませぬが前の主人は突然地下に降りてしばらく戻ってこない時が良くございました


「む、地下は存分に調べたはずだがまだ他に何かあるのだろうか」タイジ

「皆でもう一度調べに行きましょう」ケン

「いや、ゾロゾロ行っても仕方が無いし我の予想ではカギかなにかが必要なのだろう」

「しまった宝物庫・・セバス、処分もうしてしまった?」

「いえ、まだ目録を作ってる段階ですし御用達商人を選定中です」

「どうやら宝物庫の中に秘密のカギがあるはずで、地下室のどこかに扉があるのだろう」

「おお、なんとなくダンジョン巡りの気配ですな」ケン


「うん、多分外敵から守る罠もあるはず、あのとき宝物庫は見ただけだったが中にはいりこまなくて助かったのかもしれないな」タイジ


「なんの、我ら魔剣が二人いればどんな敵だろうと蹴散らして見せます」

「うん、それは分かるけど自信と過信は違う、あくまでも用心に越したことは無い」

「今まで用心してきたからこそ我も生き残れたのでした」ケン

「うん、慎重かつ大胆がキモだ」

「あるじ、それは矛盾と言う物ですぞ」ズメル


「とにかく、ケンとズメル、後はシュウ」3人と1剣で向かおう

※ケンは擬人化して前衛、ズメルはタイジの剣、後衛はシュウ

「ははっ」


「我らは周辺警備に当たります」ダメル


「でもその前にオーク村行って農作物収納しないとね」 タイジ

「は、それやらないと意味ありませんでした」ケン

「主人待て、オーク村への往復なら我が移動魔法が使える」ズメル

「お、いつのまに」

「ケンのアイテムBOXの中にあった魔道書は全て読破してます」ズメル

「ふ、さすがだ恐れ入ったよ」

「日々鍛錬をしてますがまだまだ主人の域には達してません。自分の村への往復がやっと」

「それでも凄いよ。普通移動魔法は一度その地にいかないと発動しないのに」


「は、実はダメルに発信してオーク村の村長の館に魔方陣を置いてあります」

「く、部下持ちはなにかと便利だなぁ」ケン


「では、早速」「ブシュ」全員は一瞬立ちくらみがしたが気がついたら見たことも無い部屋の中


「つきました。あらかじめ村民には伝えてますので食料庫にどうぞ」ズメル

「つうかこれが食料庫?デカすぎるだろ」タイジ

まるで学校の体育館なみの広さの食料庫

「主人、同じ倉庫が他に11カ所ありますぞ、まさかこれほどの収穫とは思ってもませんでした。ザビル村の奇跡は本当だったんですね」ズメル


「つか多分ここの村の魔素がザビルの数倍高かったんだろう。ザビルと同じ手法で耕したらそら溢れる訳だ」


「来年はもう少し調整します」

「いや、今年と同じで頼むよ、食糧支援は戦略に使える」タイジ

「おおせのままに」


「全部収納するぞ」

「お待ちください、我が村の分は残してください」

「いやここに置くと痛むから必要なときに言ってくれればすぐに新鮮な作物を運ぶ」

「成る程、移動魔方陣はあるのでしたね。」

「うん、魔方陣があれば魔力量が少ない者でも自由に行き来できるからね」

とはいえ、忙しくて動けない可能性もあるので一応倉庫一つ分の備蓄は村に残した。まあ9千ほどのオークの民だがこれで2~3ヶ月は大丈夫だろう。


「よし、館に戻ろう」「シュン」

「これは便利だ。便利すぎる」移動魔方陣を喜ぶタイジ

「今の所オーク村専用ですけどね」

「今後人員の出し入れもここから可能だな」

「は、有事の際威力を発揮するかと」

「まあそれは後の話だな」タイジ


「ではダンジョン探索だ皆の者用意はいいか?」

「応!」


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