プロローグ
ここは王都から少し離れた森の中。
建てられている別邸の後ろに広がる湖は、太陽が湖面を照らし水面がキラキラと輝いている。
そんな綺麗な景色を間近で見たくて、小舟に乗りたいと訴えた。
目の前に座るのは、全く楽しそうな顔をしていない白金色の髪の美青年。
「私と遊んでいるのだから、もう少し楽しくなさったらどうなの?」
青年の前に座るチェリーレッドの髪の私が、生意気な態度で青年に意見する。
すると、あからさまに不機嫌そうに大きな溜息を吐く青年。
その姿に私は琥珀色の目をさらに吊り上げる。
「一体何がそんなに気に入らないと言うのよ!?」
いつものように癇癪を起しながら立ち上がるも、今日はいつもとは違うことを忘れていた。
なぜならここは小舟の上。
突然起き上がったことで、小舟が大きく揺れ……。
湖に落下した。
落下する直前に大きく見開かれた海のような青い青年の目と合ったが、彼は私を助けようと手を伸ばすことはなかった。
私はこんなに彼のことが好きなのに……。
湖に沈んでいきながら、悲しみが溢れ出す。
ブクブクと口から泡が吹き出し、呼吸が苦しくなってきた。
私は死んでしまうの!?
何か助かる方法はないの!?
もがきながら手を伸ばすと目の前に、見たことがないのに見たことがあるような、大きな不思議な形をした建物が立ち並ぶ街の風景。
そして見たことがないのに見たことがあるような、不思議な服を身に纏った人間達。
ここ……私、知ってる。
ここは……。
日本!?
次の瞬間、自分ではない人間の人生が次々に頭に流れ込んでくる。
これって、まさか……!
「異世界転生、キターーーーー!!」
驚きすぎた勢いのまま、水面に飛び出した。
これが俗に言う、『火事場の馬鹿力』である。
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